fate/extra melt blossom 作:もっこもこの埃
三回戦 七日目 決戦
端末が鳴る
時間だ、これから自分はありすと…
友人と戦いどちらかが命を落とす
…慎二の時とは違う、
仮初の友人ではなく、自分の意思で関わり親しくなった
彼女は戦いなど望んでない、ただ一人の少女として生きたかっただけ…
けれどもう後戻りはできない
進むしかない
「行こう、メルト」
マイルームを出て、決戦場へと向かう
「ふむ、来たか。
では暗号鍵を使い決戦場に入りたまえ」
用務員室の前に立つ言峰がこちらに気づき声をかける
それに頷き扉の前に進もうとすると…
「その必要は無いわ、お兄ちゃん」
ふと、声がかかる
振り向くとありすが立っていて
しかし、必要が無いというのは…
「必要無い、とは?まさか戦う気がないとでも?」
そんな言峰の言葉にありすは頷く
「ええ、あたしはもう満足したもの」
「待ってあたし、それはダメよ。そんなことしたら」
ありすの言葉に黒い少女は縋るように止めに入る
当然だ、ありすのとった選択はつまり…
「つまり、棄権すると?一応言っておくがこの戦いに途中離脱は許可されていない、棄権した場合君は敗者として処理されることになる。理解しているかね?」
「分かってるわ。ごめんね、あたし。
だけど、これでいいの。なんとなく分かっていたもの、あたしは…あたしにはもう帰るおうちは無いここに来る前、いいえもっとずっと前から…あの白いお部屋にいた時からあたしには何も無かったの」
ゆっくりと、
白い少女は語りはじめる
ここではない、遠い場所での記憶
どうしようもない残酷な現実
そして…
「でもね、お兄ちゃんに出会ってとっても嬉しかったの。
ひとりぼっちだったあたしとよく似た白いうさぎ、だからあたしはお兄ちゃんを追いかけてこの不思議な世界にきて、あたしと出会って、お姉ちゃんに会って、それで…」
ひとつの答えを明かされる
ずっと気になっていた事、
ありすが聖杯戦争に参加した理由、
それが、自分…?
「それでね、とっても楽しい時間を過ごしたわ。
はじめてお友達と沢山遊んで、あたしのために素敵なお茶会まで…楽しくて、嬉しくて、あたしすっごく幸せよ。
だから…だからね、あたしの夢はお兄ちゃんにあげる」
ありすの顔には、恐怖も悲しみもない
けれど、その体はゆっくりと
まるでガラス細工のようにヒビが入りはじめる
「あたしの夢は叶ったもの。ずっと昔、あたしが夢見た以上にあたしは幸せな思い出を作れたわ。だから、そうあたしの夢はお兄ちゃんの、大切なお友達が夢を叶えること。
頑張って、お兄ちゃん。ありがとう、あたしとお友達になってくれて。どうか、素敵な夢を叶えてね」
ありすの体全身にヒビが入る
それでも、ありすは酷く綺麗な笑顔を浮かべたまま
傍らに立ち尽くす従者の手を握る
「あたし、ありがとね。
あたしとお友達になってくれて、ずっとあたしと一緒にいてくれて。あたしのあたし、ありすのアリス…とても素敵で大切なあたしのお友達、あなたに会えてよかったわ」
満面の笑みで、無二の友人に感謝を伝えて白い少女は崩れ去る。
敗者は死ぬ、それがこの戦いのルール
棄権は許されず、敗者として扱われる
だから、この終わりは分かっていたこと
けれど…
「…言峰?」
「ふむ…ああ、なるほどそういう事、か」
言峰がほんの少し、なにか…まるで珍しいものでも見たかのように、一瞬だけ目を見開いた
「そうか、君は
何の話だろうか、
確かに知り合って僅かな他人のために死を選ぶというのは珍しいことかもしれないが
棄権した者が消えるのは…
この戦いのルールで、それは彼にとって当然のことではないのだろうか
「いや?これはムーンセルの削除処理ではない。
?
なら、ありすはサイバーゴーストではなく
電脳に生きる
「残念だが、それも違う。
彼女の魂は酷く不安定な状態だった、死してなお生きている、と言うべきか。
恐らく偶発的なものだったのだろう、死の間際に彼女の魂は霊子へと焼き付き電脳の海を彷徨うことになった。
そして今、自らの死を受け入れた、というわけだ」
偶発的…
それがなにを意味するのか自分は知っている
やけに殺風景な病室、明らかに意味の無い治療
あれは助けたくて治療していたのではなく
「…ッ」
自分が思うよりも、ずっとおぞましく残酷な現実
ソレはどうしようもなく重く大きく
容赦なく自分を押し潰そうとのしかかってくる
声も出せずにいる自分に、
残された黒い少女が声をかける
「…そんな顔をするものではないわ、お兄さん。
ありすは幸せだったわ、えぇ、それは間違いないわ。
だから、笑ってあげて?そんな顔をしていたらきっとあたしは悲しむわ」
黒い少女は少し残念そうな笑顔で、
どこか、今にも泣きそうな顔で、
「あぁ…でも、残念ね。アタシは誰かの夢、今回はたまたまありすの夢だっただけ、だから次のアタシはあたしじゃない。だからせめて、アタシがあの子を幸せにしてあげたかったのだけど…やっぱり夢は夢ね、いくら甘くてもどれだけ幸せでも、優しい現実には敵わないわ」
黒い少女の体も少しづつ、崩れはじめている
夢は終わる、いくら望もうといずれ
だから、皆いつかは現実と向き合わないといけない
けれど…それでも
「彼女を救ったのは君だ。
俺はただ一緒の道を進んだだけ、君が彼女を…彼女の手を引いたんだ」
きっと、一時の夢であっても
それは意味の無いものなんかじゃない
少しの夢が、誰かを救うことだってあるはずだ
「っ!…そう、本当に…優しいのね。
これから先、辛い現実をたくさん見ることになるわ。
でも…きっとあなたは素敵な夢を叶えるわ。えぇ、そう願ってる、あたしもアタシもね」
そう微笑んで優しい夢は終わる
「どうあれ、この三回戦の勝者は君だ。
思うことはあるだろうが彼女の言うように喜ぶことだ、君は生き残り先に進む権利を得た。少なくともそれは幸福なことだろう、彼女にとってもな」
これで終わり
ひとときの夢は終わってしまった
★★★★
三回戦が終わり、
気持ちを整理するために屋上に訪れていた
ありすが辿った運命は、
想像を遥かに超えていて
それは、紛れもない人の意思で作られたもので
そして、ありすが聖杯戦争に参加した理由も
『あたしによく似たお兄ちゃんを追いかけて』
自分とありすが似ている?
あれはいったい…
「三回戦突破、おめでとうございます」
ふと、声をかけられる
よく知っている声、仲がいいという訳ではないがその声は忘れない
「レオ…なんでこんな所に」
「少し…いえ、すみません。実は先程のやり取りを拝見しまして、気になったもので」
なるほど
確かにあんな場所で話していたら他の人の目に付くのは当然か
それにしても、相変わらずレオは凄い
ただ話しているだけで、心が落ち着く
なにか特殊なフェロモンでも出てるのだろうか
「正直、驚きました。この戦いでああいった形での決着をつけるとは」
「…俺は、彼女を助けたいと思ったんだ。
でも、彼女は俺が思っていたよりずっと暗い場所にいて…結局、俺が彼女に助けられる形になった」
後悔がない、とは言えない
しないように、そう願って必死に進んでもどうにもならない現実は存在する
だから、それを背負って進まないといけない
分かってはいるけれど…
「本当にこれで良かったのか…」
「少なくとも、僕には彼女が救われたように見えましたよ。というより、そうでなければあの結末は有り得ません」
レオは当然のように言ってのける
確かに、それはそうかもしれない
だけど、それでも…
どうしようもなく気持ちは闇に沈む
「以前、目にしたことがあります。かつて、
「…たぶん、ありすも」
なんのために、
そこまでする必要があったのだろうか、
それは本当に、意味のあることだったのだろうか
いつか見た夢が、浮かぶ
人こそが地獄を作り上げる
だとしたら、いったいなんのために
「僕は多くを救いたいと考えています、すべての人を助けたいと。ですが…人は多くの間違いを犯します、それこそ取り返しのつかないような間違いを。正直、僕自身すべての人に救う価値があるとは言いきれません、それが理想論だと僕は知っています。だから導かなければならないのです、人々が間違えないよう正しく管理する者がいなければ、そしてそれは人であってはならない。
だからこそ、僕はここに来ました。見ていてください、必ず僕が正しき世界を…必ず」
レオの語る夢
それは、正しく王としてのもの
すべてを救うため、すべてを価値あるものに変えるために
「おっと、失礼。
少し話しすぎましたね、お疲れのところすみません。
では、僕はこれで。」
「ああ、それじゃ」
レオは去っていく
彼は、揺らがない
決して自分の正義を、勝利を疑うことはない
けれど…
その在り方は
■ポールシフト
大規模な地殻変動、これにより人類は大きな痛手を負った。
だがそれ以上に、人々が思っている以上に事態は深刻だった。望まれた王はただ一人その事実に気づいて…
ex/recordの追加ルートはなんだと思います?
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レオルート
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自鯖エルキドゥ
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ccc関連
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その他新規ルート