fate/extra melt blossom 作:もっこもこの埃
★★★★
欠けた夢を見ていたようだ
昨日の影響だろうか…
前にも似た夢を見た、恐らくこれは自分の記憶なのだろう
「酷い顔ね、本当に呪いでもかけられたのかしら?」
メルトリリスがそんなことを口にする
いや、さすがにそれは…
とにかく、一度ラニに聞きに行くべきだろう
★★★★
そう思いマイルームを出て、ラニの元を訪れ問い詰めたものの得られた答えは、自分の想像よりもずっと残酷なものだった。
『貴方は人間ではありません』
そんなラニの言葉がずっと頭に残り続けている、
本来の自分がどうあれ、後悔しないように進もうと決めはしたが、これは、さすがに…
自分が人間じゃない?
ラニと同じように人工的に造られた、もしくは人間以外の
世界がひっくり返ったような感覚に襲われる。
もう一度問い詰めようにも、既にラニの姿はない
自分はいったい…?
そんなことを考えて立ちすくんでいると、
「随分と考えこんでるようだから言っておいてあげるけど、そう気にすることじゃないわ」
見かねたのかメルトリリスが声をかけてくる
「大切なのは貴方であることよ。別に私は貴方が人間だから契約した訳じゃない、貴方だから契約したの。だいたい、作り物だろうと構わないでしょ?
作り物には、作り物の良さがあるわ、自然には無い計算された美しさ、そして…作り物だからと言って必ずしも創造者の思い通りになるとは限らない。
デミエルフだったとしても…それこそなんの問題があるの?貴方はあなたよ、なんであれね。
えぇ、断言するわ、貴方はどうしようもなくお人好しで善人な、救いようのないバカな人。
そう、良い人よ
そう話すメルトリリスの表情は優しく、けれどどこかずっと遠い場所を見ているような気がした。
でもそう、メルトリリスの言う通りだ
「ありがとう、メルト」
メルトリリスに礼を言って、その場を立ち去る。
★★★★
凛の様子を見に、保健室を訪れると桜に助けを求めるような視線を向けられ何かと思うが、すぐにその原因はわかった。
保健室の奥、遠坂凛が座るベッドの上には大量の本が積み重ねられていて、完全に彼女の場所になってしまっていた。
そんな様子を桜は迷惑そうな表情のまま何も言えずにいたのだろう。
でも残念だが、あれは自分にもどうしようもない。
可哀想だが諦めてもらうとしよう。
そんなことを考えていると、遠坂凛はこちらに気付き顔を向ける。
「あら、来たのね。…?あぁ、聖杯戦争に復帰できないか調べてたのよ。でも、無理そうね。どこにもそんな方法は書かれてないわ」
周囲の本に向いた自分の視線に気づいたのか凛はそう説明する
「それで?四回戦は順調かしら、それとも自分のことについてなにかわかった?」
昨日と違い、機嫌は良さそうだ。
とりあえず、ラニとのやり取りについて話してみるとしよう
…
「ふーん、そんなことがねぇ…」
ひと通り話を聞いくと、彼女は自分の顔をジッと見つめはじめる
「えっと…どうかしたのか?」
「いや…案外そうでもないかもしれないわよ?」
…?
そうでもない、とはどういう意味だろう
「おかしいと思わない?ホムンクルスにせよ、デミエルフにせよ人間以上に電脳に特化しているわけで、それなのに聖杯戦争に参加する時に記憶を無くすなんて致命的なヘマすると思う?まぁ、なくはないだろうけど…」
確かに、自分の記憶がないことについては謎のままだ
けど、それならいったいなんだと言うのだろう
「そ、あなたは記憶がない。それを考えたらむしろ、単に肉体とのリンクが途切れてるって可能性の方が高いんじゃない?ここに来る時になにか不具合なりがあって意図せず肉体との接続が切れた、結果あなたは自分の記憶を引っ張ってこれずに記憶を失い、魂だけの状態になったってわけ」
なるほど…
でも、だとしたらいま自分の肉体は…
「それって大丈夫なのか?」
「大丈夫なわけないじゃない、そのままじゃいずれ肉体は衰弱死する。そうなればあなたは晴れて本物のネットゴーストってわけね」
そんな…
凛はなんてことないように言っているが、こちらにすれば大問題だ。聖杯戦争どころじゃなくなるレベルの状況…
どうすれば…
「そうねぇ、あなたじゃどうにも出来ないでしょうし?よっぽど腕のいい魔術師に手を貸してもらうしかないでしょうね」
「そうか、頑張って探してみるか…」
「…はぁ?なんでよ?」
…?
なんでと言われても、凛の言う通り自分ではどうしようもないから誰かに助けてもらうほかない。
「いや、そうじゃなくて…別に探す必要ないじゃない」
「まぁ、とりあえずラニにでも頼んでみるよ」
これ以上、凛に迷惑をかけるのも悪いし
そう答えると、凛は顔を引き攣らせる。
いったいどうしたのだろうか…?
「なんでそうなるのよ…いや、あー…もうっ!目の前にいるでしょうがっ!あなたに借りがあって腕のいい魔術師が!私が手を貸してやるって言ってんのっ!わかった!?」
そう叫ぶ凛に、一瞬呆気にとられる。
自分を手伝ってくれる?遠坂凛が?
「いいのか?本当に?手伝ってくれる?」
「だからそうだって言ってるじゃない。借りっぱなしは性にあわないの、それにあなただけじゃなくて私のためでもあるのよ。さっき言ったけど、私は聖杯戦争に戻れない、マスターとして扱われてないからね。でも、聖杯戦争中のログアウトは出来ない、だからこのままじゃ最悪聖杯戦争が終わった時にこの校舎ごと消されかねないの。
だから、あんたには勝って私をここから無事に出してもらわないと困るのよ。手を出した責任、取ってもらうから」
願ってもないことだ、
彼女が協力してくれるならこれ以上ないほど頼もしい
凛の手を取って感謝を伝える
「なっ…わ、わかったから!急に、びっくりするじゃない」
どうしてか凛は顔を赤くしてそっぽを向いてしまった
「はぁ…ま、とにかくお互いやれるだけ頑張りましょ」
「よろしく、凛」
そんなやり取りの後、
ふと思い出したかのように凛は真剣な表情を浮かべ
「ところで、あなた自分のサーヴァントについてどれぐらい知ってるの?」
メルトリリスについて?
「いや、実はあまり…」
知りたかったら自分で調べろ、
そう言われて何度か探してみたが結局なにも分かっていないままだ
「出自とか宝具のことも?」
そう、
思えば自分はメルトリリスのことをよく知らない
自分がそう答えるよりも早く、メルトリリスが姿を現す
「凛。何が言いたいわけ?」
一瞬、空気が冷たくなるのを感じる。
ほんの少しの間メルトリリスへ視線を向けた後、凛は口を開く
「単に協力するって決めたからにはあなた達の状態を確認しておきたかっただけよ。別に口出しする気はないから…でも、一つだけ忠告しておくわ。ここじゃマスターとサーヴァントは一心同体よ。正体を明かさず、お互いを信頼出来ないまま勝てるほどこれから先、甘くないわよ?」
彼女のそんな言葉に、
思うところが無いとは言いきれない。
自分はメルトリリスのことを知らない、いったい何者なのか、何をした英霊なのか…
そして、時折彼女はまるで自分を以前から知っているかのような言動をする。
自分がメルトリリスを信じる理由があるように、
彼女も…彼女はいったい何故自分を信じるのだろうか
「はい、それじゃ話はこれで終わり。ほら!さっさとアリーナの探索でもしてきたら?暗号鍵、まだ取ってないんでしょ?対戦相手についてなにか分かったら知らせて、こっちでも調べてみるから」
そう凛に急かされ保健室を出ようとして、
一つ思い出してふりかえる。
「桜」
そう声をかけると、
桜は何を言うでもなく既に手に持っていた包みをこちらに差し出す
「支給品ですね。
以前言った通り、今回からお弁当にしてみました」
「ありがとう」
お弁当を受け取り、
礼を伝え保健室を出る。
ひとまず凛の言う通り、暗号鍵を取りに行くとしよう
★★★★
前回はあまり探索せずに帰還したアリーナを再度進むと、
途中少しの違和感を覚え、足を止める。
「白野?どうかしたの?」
先行していたメルトリリスが戻ってきて首を傾げる。
「いや、確か…ここに通路があったような?」
そう言ってある場所を指し示す。
そこには何も無く、自分の記憶違いだったような気もしてくる。
けれど、そこには不自然に壁が一箇所抜けていて、それでも初めから何も無かったかのように綺麗に何も無い空間が広がっている
「アリーナの構造が変わることもあるのか?」
「…そんな面倒な作りはしてなかったはずだけど。
けど、そんなことして何になるのよ。暗号鍵を取れなくしたってわけでもないみたいだし」
メルトリリスは別の方向を示す。
そこには別の通路の先にアイテムボックスが置かれていて、あの色は確かに暗号鍵が入っている物だろう。
「なんにしても、これ以上の収穫は無さそうね。ひとまずさっさと暗号鍵を取って帰りましょう?」
確かに…
そうするとしよう
ex/recordの追加ルートはなんだと思います?
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