fate/extra melt blossom   作:もっこもこの埃

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hunting game

 

 

四回戦 五日目

 

 

対戦相手が判明したと同時に、衝撃的な事実を目の当たりにした。

自分自身、魂の欠片…

正直よく分からない、もはや自分の理解の範疇を超えている

 

 

「はぁ…」

 

参った…

聖杯戦争、命をかけた殺し合いと言うだけでも手一杯だと言うのに

 

「大変そうね?ま、ご愁傷さま、としか言えないわ。

でも、そこまで悩むことでもないと思うのだけど。

自分殺しなんて案外ありがちなものよ?」

 

ため息をつく自分に、メルトリリスが話しかけてくる

ありがち?

そんな物騒なことがそうそうあるのだろうか?

 

「そうなのか?」

 

「えぇ、私もやったわよ?まぁ、殺せなかったけど」

 

なんてことないような感じでそう返事をするメルトリリス、いよいよ彼女はいったいどんな人物だったのだろうか

 

…とにかく、そろそろ行くとしよう

 

色々な疑念を頭の隅に追いやって、マイルームを出る

 

 

 

★★★★

 

 

 

校舎の廊下、その隅にある扉の前に言峰が立っていた。

なにか用でもあるのだろうか?

 

「言峰…」

 

「来たか。この退屈な聖杯戦争もついに四回戦となった、いい加減アリーナでの暗号鍵探索も飽きてきた頃だろう。

そこでだ、特別ルールを追加することにしたそれぞれのマスター達にな」

 

「特別ルール?」

 

面倒な事じゃなければいいが…

 

「君たちの場合は、ハンティングだ。残り二日間アリーナに配置された対象の攻勢プログラムを多く倒した者の勝利というわけだ」

 

「勝ったら何が貰えるんだ、何もないわけじゃない…よな?」

 

「勿論用意している。勝利した者には対戦相手の情報を一つ開示する…もっとも、君たちの場合は特殊だったのでな、代わりを用意する羽目になったが。彼女には購買の食べ放題券だ、君には、いや君…というよりは君のサーヴァントに以前かした生成装置の使用権限を与えよう。

どうかな?」

 

生成装置?

なんの事だろうか…

メルトリリスがなにか知っているのかと彼女に視線を送るが

 

「当然いいわ!案外気が利くわね貴方」

 

即答で承諾してしまった

何かわからないが、メルトリリスはやる気のようだし

まぁ、どの道アリーナには向かうのだからせっかくだし勝ちを狙ってもいい、か…

 

「ふむ、では健闘を」

 

そう言い残して言峰は去っていく

 

「白野、こうしてられないわ。さっさとアリーナに行くわよ」

 

「あ、ああ…わかった」

 

急かすメルトリリスについてアリーナへ向かう

 

 

★★★★

 

 

四の月想海/二層

 

 

アリーナに足を踏み入れる

 

「あ、向こうも来たみたいだね。行こう、リップ」

 

「は、はい!」

 

既にあちらもアリーナに来ていたようだ。

先を越されないようにメルトリリスと共にアリーナを駆け対象の攻勢プログラムを探す

 

「見つけた、メルト!」

 

「任せなさい…っ!?」

 

対象を見つけてメルトリリスが攻撃しようとした瞬間、不自然に攻勢プログラムの身体がひしゃげ一瞬で小さなキューブに変わってしまった

 

1point

 

「あれ?ポイント入るんだ、妨害出来れば程度に思ってたんだけど」

 

通路の先、こちらに手を向けたパッションリップと岸波白野

そうか、これがメルトリリスの言っていたトラッシュ&クラッシュ

視界に捉えたものを圧縮する、距離があればたとえ実際に手に収まらなくても…

 

「…ん?もしかしてこれ、すごく不利なんじゃ?」

 

「もしかしてじゃなくて、最悪よ。なんであれでポイント入るわけ!?」

 

直接戦わずに遠距離から狩れるとなると、どうしても効率に差が出てしまう

 

「やったね、リップ。ラッキーだ、このまま勝っちゃおう」

 

彼女達は次のエネミーを探しに行く

まずい、自分たちも急がなければ

 

「ああっ、もう!行くわよ、白野!」

 

急いでメルトリリスとともに走る

 

 

1point

 

2point

 

3point

 

2point

 

4point

 

3point

 

 

……

 

 

 

「はぁ…っ。疲れた…」

 

「…面倒ね、このまま負けるのは癪なのだけれど」

 

必死に走り回って攻勢プログラムを倒してまわったが、やはり向こうの方が早いようだ

 

 

「だ、大丈夫ですか、マスター?」

 

「はぁ…も、問題ないよ。うん」

 

「これなら私たち勝てそうですね!」

 

「そうだね、このまま圧勝しちゃおう」

 

そう話しながら二人はアリーナを去っていく

これは、かなり厳しい…かも

 

「ま、まだ一日あることだし。巻き返せば問題ないわね」

 

メルトリリスは相変わらずの様子だ

また走り回ることになりそうだ、明日に備えて今日はゆっくり休むとしよう

 

 

★★★★

 

 

四回戦 六日目

 

 

 

「はぁっ!?ハンティング?なんでそんなことになってんのよ」

 

保健室で凛に現状を伝えると困惑混じりの叫びが響く

まぁ、分からなくはないが

 

「言峰が気分転換にって」

 

「はぁ…かりにも監督役じゃないのアイツ?なんで面倒を増やしてんのよ」

 

いや、本当に

何なんだあの店員は

 

「そう?素晴らしいと思うけれど。トーナメント形式でただ順番に殺し合うだけだなんて単調でつまらないし、少しくらい面白みがあった方がいいでしょう?人形のくせに案外やるものね、あの神父」

 

頭を抱える自分と凛に比べメルトリリスはやたら上機嫌でやる気に満ちている、そんなに生成装置を使いたいのだろうか

 

「ところでメルト、生成装置って何に使うんだ?」

 

「?決まってるじゃない、フィギュアよ。前に貴方に人形を渡したでしょ?今度は私ように、ね」

 

人形…

二回戦の時にメルトリリスがくれた彼女を模した人形、

あれはそういう経緯で手に入れたのか

 

「じゃあ、頑張らないと」

 

「当然よ、必ず手に入れてみせるわ」

 

二人で気を入れなおし保健室を出る

 

「…呑気なものねぇ、ホント」

 

そんな凛の呟きが背中越しに聞こえた気がする

 

 

★★★★

 

 

 

「やっほ!調子はどう?」

 

廊下に出ると聞き覚えのある声がかかる。

顔を上げると、彼女が、岸波白野が立っていた

 

「えっと…何か用か?」

 

「うーん…まぁ、一応?お互い対面したことだし、ちょっと話してみたいなって思ったんだけど」

 

そう話す彼女に敵意はなさそうだ

確かに自分自身と話をすると言うのはそうないことかもしれない

彼女の話に乗ってみてもいいかも

 

「なら、地下の購買にでも行こうか?」

 

「いいね!お腹も空いたし、食べながら話そう」

 

そんなわけで、二人で地下の購買を訪れ適当に空いてる椅子に腰を下ろす

目の前に座った彼女の手には大量の食べ物が抱えられていて、あれを全て食べるつもりなのだろうか?

…というかロールケーキの割合が多いような

 

「ロールケーキを買い占めてるマスターってまさか君のことか?と言うか多すぎないか、全部食べるのか?」

 

「え、まさか、リップにあげるんだ。それに、美味しいよコレ、食べる?」

 

山のように積まれた中からプレミアムロールケーキの袋を一つこちらに差し出してくる

 

「いや、いいよ」

 

「そっか…後で欲しいって言ってもあげないよ?」

 

「それより、気になったんだがどうやって自分の…というより自分たちのことを知ったんだ?」

 

聖杯戦争が始まってからかなり経つが決戦や、彼女もそうだったかは分からないが記憶を失っていたりで余裕がなかった。

彼女の口ぶりからして四回戦が始まるよりも前から自分のことを知っていたようだが、

いったいどういう経緯で魂が二つに分かれたなんてことを知ったのだろう

 

「あぁ、それは…一回戦の時に親切な巫女さんに教えてもらったんだ」

 

…巫女?

対戦相手だろうか?

というかなんでそんなことがわかったのだろう

 

「びっくりだよね記憶もないし、そのうえ自分が二人に分かれてるなんて。最初は私も驚いたし落ち込んだんだよ?もう知ってるかもしれないけど、岸波白野の私じゃなくて君だからね」

 

本来の岸波白野…

そういえば凛もたしか自分が大元だと言っていた

なら、もし自分ではなく彼女が勝ったとしたらいったい…

 

「私は岸波白野の魂の欠片…まぁ、影みたいなものだから。私はこの四回戦で勝とうが負けようがどちらにしても…消えることになる、大元の岸波白野がいないなら影も存在しないからね」

 

「っ…なら」

 

ならどうして戦うのか、

そんなことを聞こうとして口を閉じる

何となく聞くべきじゃないような気がした、少なくとも今は

 

「だからこの戦いは私にとって一つの結末しかない、結果は見えてる…でも、私は負けないから。全力で勝ちに行く、君が魂なんて落っことしたせいで大変なんだから恨みとか色々ぶつけてやる、それに…どうせ消えるのなら最後まで勝って終わりたいしね」

 

そう話す彼女に迷いはない

ただひたすらに全力で今を進もうとしている

それなら、こちらも同じように全力でぶつかるしかない

たとえ結果が見えていても…

 

「ところでそれひと口くれない?」

 

黙って手に持っていた焼きそばパンを差し出す

 

「うん、こっちも美味しいね」

 

 

 

★★★★

 

 

 

四の月想海/二層

 

 

 

最後のモラトリアム、ハンティングゲームも今日で終わり

急いで攻勢プログラムを探さな行ければ、

そう思い走ろうとした途端、メルトリリスの姿が消える

 

「なっ…メルト!」

 

これは…

圧縮されたキューブが液状化し弾け、再びメルトリリスの姿を形成する

 

「チッ…まぁ、ポイント数が有利な以上当然そうくるわよね。リップ!」

 

こちらを撤退させれば向こうの勝ちになる、か

でもそれはこっちも同じこと、今日総取りすれば恐らく勝てる。

なら

 

「メルト、いけるか?」

 

「当然でしょ、誰に言ってるの」

 

「リップ、いくよ。購買のスイーツは全部私たちのものだ!」

 

「ま、任せてください!」

 

見知ったもの、自分同士対峙する

パッションリップが動くよりもはやくメルトリリスが疾走する

 

「相変わらず…トロいわねッ!」

 

「っ…」

 

迎え撃とうと振り抜いた爪を掻い潜ってメルトリリスは刃を振るう

メルトリリスの一撃をギリギリで防ぐが、高速で繰り出される連撃に防戦一方になるパッションリップ

戦闘スタイルの相性、そのうえで狭い通路で戦っていることで思うように動きがとれないらしい

 

パッションリップの一撃をメルトリリスが防ぐ

 

「リップ、押し出して」

 

/shock(38):

 

「っ!?」

 

「邪魔しないでっ!」

 

放たれた光がメルトリリスを拘束し、

防がれた爪はパッションリップの腕から離れ加速しメルトリリスを押し飛ばす

 

「なっ…ロケットパンチ!?」

 

「っ…そういえばそんなのもあったわね」

 

広い空間まで押し出されたメルトリリスへとパッションリップが迫る

 

<メルト、後ろだ>

 

迫り来る一撃をメルトリリスは壁を蹴って身を翻し、すんでのところで躱す

立地によるアドバンテージがなくなり、戦闘は一進一退の状況に変わる

 

「っ…いい加減鬱陶しいわっ!」

 

「ちょこまか動かないでっ!」

 

痺れを切らした二人の攻撃が交わる寸前、

 

 

《セラフより警告》

《アリーナ内でのマスター同士の》

《戦闘は禁止されています》

 

 

お互いに決定打を打てないまま、戦闘が強制的に終了させられる

消耗はしているが、撤退するほどのものではない

こうなれば…

 

「メルト、行こう!」

 

「屈辱的だわ、まったく」

 

身を返して走り出す、

こうなったらひたすら走り回って攻勢プログラムを倒すしかない

 

「マ、マスター私たちも」

 

「結局こうなっちゃうのか」

 

それぞれがアリーナを駆け回り攻勢プログラムを倒し、

クタクタになってアリーナから帰還することになった

 

どちらがどれくらい倒したか、

まったく分からないが、

とにかくやれるだけ、全力で走った

いや、それにしても…

 

「「なんかこれ、違くない?聖杯戦争ってこういうのじゃないと思うよ、いやよく知らないけどさ」」

 

マイルームに戻って発したそんな言葉は、

何となくあちらの自分も発しているような気がする




■トラッシュ&クラッシュ
パッションリップの持つides
視界内の手に収まると認識したものを強制的に不可逆圧縮してしまう、遠近法を要することでアリーナのような巨大なものでさえ圧縮できてしまう。

ex/recordの追加ルートはなんだと思います?

  • レオルート
  • 自鯖エルキドゥ
  • ccc関連
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