fate/extra melt blossom   作:もっこもこの埃

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私の名前は…

 

 

五回戦 二日目

 

 

 

昨日の一件からメルトリリスの状態は回復する様子がなく、一度凛に診てもらおうとマイルームを出る。

すると、ちょうどよく遠坂凛と鉢合わせする。

 

「おはよう、白野くん。

進展は…ってダメそうね。何があったの?」

 

凛に昨日のことを話し、

メルトリリスの様子を診てもらう。

 

「…なるほどね」

 

「どうだろう?」

 

「手酷くやられたわね。ある種のウイルスみたいなものよ、魔術回路をめちゃくちゃにされてる。

簡単に言うと、あなたとメルトリリスにある魔力パスが機能していないのこのままじゃいずれ霊基を維持出来ず消滅する」

 

消滅…

いったいどうしたら…

 

「あまり時間はなさそうだけど。

とにかく、こっちで対処法を探してみるからあなたは少し休んでなさい」

 

「…わかった」

 

 

★★★★

 

そうして

少しの時間が経ち昼頃になった。

 

以前も似たようなことがあった。

けれど、あの時とは違う。

メルトリリスの状態はもちろん、

ユリウスは…

 

「ああ、来たのね。

ちょうどいいわ、解決策を見つけたわ」

 

屋上で凛を見つけ話しかける。

 

「本当か!?」

 

「ええ。無理やりな方法だけど一時的にでも魔力を供給出来ればそれで何とかなるはず。だから、私がメルトリリスに魔力を供給するわ。私も元マスターだし質は問題ないはず」

 

なるほど?

つまり…

 

「…どうするんだ?」

 

「へ?どうって…いや、それは…だから」

 

どうしたのか急に言葉が詰まり始め、凛は顔を逸らしてしまう。

 

「えっと…凛?」

 

「ああもうっ!いいからあなたはさっさとコレ!アリーナに仕掛けてきて!細かいことはあとっ!!」

 

そうして、

どうも様子のおかしい凛に急かされ、

アリーナへと向かう途中、

 

「ふむ。その様子ではやはり生き延びたか」

 

突然声が聞こえ周囲を見渡すが、

誰もいない。

これは…

ユリウスのサーヴァント!?

 

「カカ、そう構えずともよい。今は気まぐれにぶらついているだけに過ぎぬ。もっとも、ユリウスと戦う以上おぬしの警戒は正しいがな。あやつはちと過度にすぎる、出会う人間皆殺してはメシを食うにも困ろうに」

 

「ならいったい何の用だ?」

 

「なに儂は一戦一殺を心がけていてな、それ故この戦いでも必ず一人は死んでもらおうと言うのだが…

あの瞬間、おぬしのサーヴァントはほんの少しだが儂の拳をずらしおった、それにあの妙な感触。

ちと気になったというだけのことよ。誇っていいぞ魔術師よ。おぬしのサーヴァントは中々の腕前だ…だがそれ故に惜しい、気付いているのだろう?アレは力を出せていない。体ではなく心の問題よ」

 

サーヴァントの言葉に思うところがないわけではない。

実際にメルトリリスは何かを隠している。

そしてそれはおそらく、自分の…

 

「いずれにせよ。願わくばおぬし達が再び立ち上がって、万全の奴と相見えたいものだ」

 

そんな言葉を最後に声は途絶える。

立ち去ったのだろうか。

危なかった、メルトリリスがいない状態で敵サーヴァントに遭遇するなんて。

いや、分かってはいたが…

今はこうするしかない。

とにかく急がなければ。

 

辺りを気にしつつ急いでアリーナの扉へと手をかける。

 

「貴方…死ぬつもり?…っ。サーヴァントを連れずにアリーナへ入ろうだなんて」

 

そんな声に振り返ると、

ボロボロの体を抱えたメルトリリスが。

一人で行こうとしたのだがバレてしまったようだ。

 

「大丈夫なのか?」

 

「当然でしょ…だいたい…貴方が死んだら意味ないじゃない」

 

彼女は……

いや、その通りだ。考えるまでもない。

 

「ごめん。一緒に来てくれ」

 

「は…当然よ」

 

 

 

★★★★

 

 

五の月想海/一層

 

 

 

<あーあー、聞こえてる?…問題ないみたいね。それじゃあさっき渡した割込み回路をアリーナの防壁が脆い場所に仕掛けてくれる?場所はそれっぽいところに片っ端からマーキングしたからしらみ潰しに確かめて行って>

 

アリーナに入ると、携帯端末から凛の声が流れる。

なるほど…

とにかく、ひたすらアリーナを回ってみればいいらしい。

 

<…それから、そっちに接続する時にあなたの記録が私に流れちゃうのよ。だから先に謝っておくわね>

 

まぁ、それは仕方ない。

メルトリリスが助かるなら大した問題じゃないだろう。

 

そうして、

凛の指示に従いながらマーカーを元にアリーナを周り、目的の場所を見つけ渡された回路を設置し終える。

 

<うん、問題ないわ。それじゃあ一度もど>

 

「ホント、面倒くさいわね…」

 

凛の通信を遮るように周囲の空気が凍りつく。

…最悪だ。

 

「いつまで経っても試合が終わらないと思えば。

まさか仕留めた獲物が動き回っているとはな、手を抜いたか?」

 

「いやいや、奴らの実力よ。既のところで致命を避けたのだろうさ」

 

まずい…

今ユリウス達と戦えば間違いなく…

逃げなければ。

だが、どうやって…

 

「まぁいい。今度は確実に首を落とすとしよう」

 

「…ほんっとうに…鬱陶しいっ!!」

 

ユリウスの言葉にメルトリリスが力無く前へ出る。

どうすれば…

 

<白野くん!強制転送するわ!>

 

そんな通信と共に視界が白く染まる。

いつかと同じ酷く気持ちの悪い感覚、

身体が引っ張られる。

 

薄れていく意識の中で、

 

<まずっ記録が…>

 

微かに凛の声が響く。

 

<これって…そう、やっぱりあなたは…>

 

 

★★★★

 

 

五回戦 三日目

 

 

目が覚める。

白い天井…

何度か見た保健室の天井だ。

 

「ああ、やっと起きた?まったく心配したんだから。あなた、あれから一日中寝てたのよ?」

 

身を起こして凛と向かい合う。

ユリウスと遭遇してからずっと意識を失っていたのか…

 

「っ!そういえばパスは機能してるのか?」

 

もしユリウスに妨害されていたら…

 

「それは平気。問題ないわ」

 

そうか、よかった。

それじゃあ次は…

 

「じゃあ、少し目をつぶってて」

 

突然の指示に困惑しつつも大人しく従い目を閉じる。

 

「いいって言うまで絶対開けちゃダメだから、分かった?」

 

頭を縦に振り答えると、

なにやらブツブツと少しの間呟いているかと思えば、

唇に何か柔らかいものが当たる感触がして。

 

「はい。いいわよ、これで準備出来たわ」

 

「…何をしたんだ?」

 

「べ、別になんでもないっ!術式をあなたに渡しただけだから気にしないでっ」

 

??

なにか様子がおかしいような気がするが…

 

「とにかく、準備できたから早くメルトリリスを連れてきて」

 

「他になにか出来ることは?」

 

「ない!ていうか絶対覗くな!」

 

 

★★★★

 

 

メルトリリスを保健室に連れて行ったあと、

凛に保健室を追い出され時間を潰すために図書室に足を運ぶとレオに話しかけられる。

別れを告げに来た、

「あなたでは兄に勝てないから」と。

 

「ユリウスと兄弟なのか?」

 

「ええ、腹違いですが」

 

「こっちも負ける気は無い」

 

「意思だけではどうにもならないことです。

あなたと兄さんの実力差は明確です」

 

たしかにレオの言う通りだ。

けれど、それでも、

 

「やってみなきゃわからない。この世に絶対はないんだから」

 

「…そうですね、たしかに彼とて絶対ではありません。

あなたの言うとおり、もしかすると、ということもあるでしょう。そう天が定めたのなら兄さんは受け入れる他ないですから」

 

まるで憐れむような表情を浮かべそう答えるレオ。

肉親であるのにユリウスの勝敗にそこまで興味はないように思える。

 

「いいのか?ユリウスが負けても」

 

「何か問題でも?彼には彼の、僕には僕の役割があります。もとよりこの戦いに参加した時点で兄さんもいつかは僕に倒されるのですから」

 

それは仕方のない事だ、とそう答える。

それはまるで王として、頂点に立つものとしての絶対的な視点。

 

「冷酷なようですが、運命とはそういうものです。

それでも、その犠牲は決して無駄ではない。完全な世界のための礎になるのですから」

 

それが、レオの考え方…

王として、世界のため…

 

「それでは、また。

あなたと再開できることを楽しみにしておきましょう」

 

 

そうして少しの時間が過ぎた。

そろそろ保健室の様子を見に行ってみようか。

 

 

★★★★

 

 

保健室の前に来ると、

扉の前に桜が立っている。

が、なにか遠い目をしてブツブツ呟いているのでそっとしておこう。

 

「さて」

 

凛には絶対に覗くな、と言われたが…

一瞬の葛藤のすえ扉に手をかける。

しかし、中が確認する前に凛にバレたうえ仕掛けられていたトラップに引っかかって失敗してしまった。

 

仕方ない…

これ以上は本当に殺されかねないので諦めるとしよう。

 

 

そして…

 

 

★★★★

 

 

★★★★

 

 

「はぁ…まったく、覗くなって言ったわよね?」

 

「…はい、すみませんでした」

 

保健室を出ると、

すぐに彼がそばにかけよってくる。

 

「あなたのサーヴァント一体何なのよ…ホント」

 

「甘いのよ、凛。貴女ごときが私をどうこうしようだなんて」

 

白野以外から魔力供給を受けるなんて…

屈辱的だが、自業自得とも言えるから文句は言わない。

 

「?…どうかしたのか?」

 

「なんでもないわ。とにかく、これでひとまず安心ね。私は疲れたし休ませてもらうわ」

 

そう言うと凛はさっさと保健室へ戻っていく。

 

「メルト、大丈夫?」

 

「問題ないわ…」

 

体は回復した、ただそれよりも…

凛が私とのパスを持っていたということはつまり、

…ああ、本当に嫌になる。

肉体的接触なんて表面的な快楽にすぎない、私には必要のないもの。

くだらない、どうでもいいことだと言い聞かせてきたのに、

どうしても私は…

 

「白野」

 

でも、これで終わり。

これで…最後のわがまま

 

「どうかし…っ!?」

 

「手間をかけさせたお礼よ。受け取っておきなさい」

 

赤面で困惑する彼に、精一杯取り繕った表情で答える。

もう時間は無い。

五回戦が終わればBBが動き始める。

そうすればいずれ私の正体も暴かれるでしょう、そうなった時彼がどう反応するのか…

BBならまだ構わない。

あの女も彼を第一に動くはず、だけど…

殺生院キアラ、アレは違う。

アレが何をするつもりにせよ、面倒になる前に不安要素は潰しておかなければ。

大丈夫…なんてことは無い、元に戻るだけなのだから。

そう、元に戻るだけ…

 

 

「待ってくれ、何かあるなら言ってほしい。どうして…いったい君は」

 

「そうね。いい加減話すべきよ」

 

 

剣は剣としていればいい。

なんと思われようが、私は…

貴方を守れさえすればそれで

ex/recordの追加ルートはなんだと思います?

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