fate/extra melt blossom 作:もっこもこの埃
五回戦 七日目 決戦当日
[アサシン:李書文]
長きに渡る中国拳法史においても有数の拳法家。
戦いを楽しみ、他者の命を奪うことに抵抗のない冷酷な人物ではあるが話の通じない殺人者ではない。
なお、もっとも実力を発揮できるのはランサーでの召喚時である。
七日目…
いつも通りの言峰の通告を受けて、
マイルームで情報を整理する。
アサシンについてはある程度知ることが出来た、
それに凛のおかげで厄介な圏境を破ることも出来た。
けれど、色々と思うことはある…
とはいえ、考えていても仕方がない事だ。
★★★★
なにをしよう、というわけでもなくなんとなく気分転換がてらマイルームを出ると、どういう訳かちょうどよくやってきた言峰に話しかけられる。
「うん?ああ…ちょうどいい、君に話があってな。
いやまったく、都合よく出てきてくれて助かる」
「…なんなんだ、決戦の時間が早まったとか?」
自分を探していたようだが、
この男の用事なんて聖杯戦争のなにかか、もしくは…
ろくでもないことな気がする。
「そう警戒するな。君にとっても素晴らしい話だぞ。
喜びたまえ、長らく準備していた私の夢がようやく実現したのだ」
そう高らかに宣言する言峰に若干引きつつも口を開こうとすると、制止される。
「なに…みなまで言うな。
まずは購買…校舎地下に行き、その目で確かめるといい。それで全てが理解るだろう」
そんな事を一方的に告げると、言峰はさっさと立ち去ってしまう。
「はぁ…?」
「ほっときなさい、どうせろくでもないことよ」
メルトリリスはそう言うが…
やはり、気になってしまう。
まだ時間はあるし見に行ってみてもいいかもしれない。
★★★★
校舎地下の購買、
あまり乗り気じゃないメルトリリスを連れて訪れると、言われた通りすぐにソレがなんなのか理解できた。
というか流石に場所を取りすぎじゃないだろうか?
アレなら当然、誰でも分かるだろう。
若干邪魔そうにしつつも気になる様子でチラチラと見ている購買の店員を横目にソレを購入して席に着く。
「貴方…本気?
どう見ても人が食べるものじゃないわよ…ソレ。
なんなら毒よ毒…まぁ、私が言うのもなんだけど」
目の前に置かれたソレを見ながらメルトリリスが顔を引き攣らせている。
まぁ、確かにやたら赤いが…
「いや、でも食べたら意外と…」
そう、ソレは真っ赤な麻婆豆腐だった。
しばらくの間目の前の麻婆豆腐とにらめっこした末、
恐る恐るすくい上げて口に運ぶ。
一瞬、体に電流が走ったような感覚をおぼえた…が、
「っ!?…これは」
「白野?ちょっと!大丈夫なの?」
心配そうなメルトリリスを横目に、食べ進める。
これは…美味しい!
とても辛いがしかし…
「うん、すごく美味しいよ!メルトも食べる?」
「は?…いや…っ〜!あーもうっ!ずるいわよ…それ」
ほんの一瞬だが凄まじい葛藤の末、メルトリリスは差し出した麻婆豆腐を口にする。
すると、
「……………………」
「……?メルト?」
しばらくの硬直…
そして突然、爆発でもしたかのように跳ねると、妙な軌道を描きながら何処かへと走っていってしまう。
「ちょっ……メルト!?」
一体どうしたというのだろうか。
困惑しつつも一応追いかけようと席を立とうとすると、
ちょうど入れ替わるように凛が階段を降りてくる。
「あーいたいた。
ていうかどうしたの?アレは」
「いや、それが」
「って、なんてもの食べてるのよアンタ…」
こちらに来るなり凛は可哀想なものを見るかのような目を向けてくる。
適当に状況を説明すると、呆れたようにため息をついて向かいの席に腰を下ろす。
「はぁ…むしろなんでアンタは平然と食べれてるのよソレ。明らかに食べ物じゃないようなダメージ数値設定されてるけど?」
そうなのか…
いや、でも本当に美味しいのだ。
「そうだ!凛も食べ」
「食べないわよ。
そんなことよりなにか作戦は考えた?」
言い終わる前に断られた上に話題まで変えられてしまった。
…ホントに美味しいのに
「いや、特には…
とりあえずアサシンの宝具には気をつけるつもりだけど」
「そうね…でも、もっと別の問題があるわ」
そう言うと、凛は何やら複数の宝石をテーブルに広げる。
「と、言うわけでコレ。
適当な魔術を組んだアイテム…それからあなた自身にもいくつかプロテクトを仕込んでおくから、ちょっとじっとしてて」
こちらに身を乗り出して手をかざし何やらブツブツと唱え始める。
「よし、これでとりあえずオッケーね」
一方的に話を進められてしまったが…
凛の言う問題が何なのかはなんとなく予想できている。
これまでの話、今ユリウスについて分かっていること…
それを考えると…
「問題は…俺か」
「そういうこと。
あなたも知ってる通り、ユリウスは魔術師であると同時に殺し屋でもある。
それも…認めなくないけど超一流の、ね。
対してあなたは魔術師としては三流以下、戦術眼は優れてるみたいだけど…」
しれっと酷いことを言われた気がする。
まぁ、事実だけど…
「要するにユリウスからすれば、さっさとあなたを片付けてから、マスターのいないサーヴァントを一気に潰すのが手っ取り早いのよ。あいつのサーヴァントもアサシンって言う割には直接戦闘に長けてるみたいだしね。だから…」
「つまり、白野が殺される前に私があのサーヴァントを殺せばいいってわけね」
いつの間にか戻ってきていたメルトリリスが、
凛の言葉に被せるように答える。
そう、そしてメルトリリスがアサシンを倒すまで自分が生き残らなければ行けない。
「ええ、だから…とにかく生き残ることを考えて。
戦おうなんて考えちゃダメよ、いい?」
助言とともにいくつかのアイテムを受け取る。
「ああ…わかってる」
そうして…
残された時間はゆっくりと、確実に進んでいく。
★★★★
気付けば端末に届いた通知を受け、決戦場へと続くエレベーターに乗り込んでいた。
「………」
「…………」
「ふむ…しかし、ムーンセルに隠されるなど一体何をやらかしたのだ?」
長い沈黙、
凍てついたような空気がアサシンによって破られる。
「……別に。
何もしてないわよ…隠したいのは私じゃないでしょうし」
「ほう…共犯だと?……ふむ、お主が、なぁ?」
「…はぁ。無駄口はよせ、アサシン」
「いや、そうは言うがなユリウス。
こうして決戦場に赴くなど今回が初めて、無論これほどの強敵もこやつらが初めて、となれば興味が湧くのも当然。
せっかくの機会、無駄にする訳もあるまい…なぁ?童よ」
ふと、アサシンはこちらへと話を振る。
心を読まれたようでハッとしたが、実際これが最後の時間なのだ。
せっかくの機会だし、ずっと分からなかった疑問を投げてみるとしよう。
「お前は一体なんで戦っているんだ?」
ずっと疑問だった。
レオの話からユリウスが彼を勝たせるために参加しているのは分かる。
しかし、だとするとユリウスはこの先必ず死ぬことになる。
そのことを彼はどう考えているのだろう。
「………仕事だからだ。
レオを勝たせる、それがオレの仕事だ」
「自分が死ぬのに、か?」
「当然だ。
それがオレの役割であり、生きる意味なのだから。
……お前こそどうなんだ?なぜ戦う、なぜ聖杯戦争に参加した?身の程知らずの夢でも抱いたか?
それとも……そこのサーヴァントに、遠坂凛に唆されたか?」
「…俺はただ、俺を信じてくれる人に応えたいだけだ」
「はっ…正気か?
お前も理解しているはずだ、自分が無力だということを。
期待や信頼などに意味は無い、自分勝手な押し付け似すぎん。そう、あの女はいつもそうだ。人間が高尚なものだと勘違いしている。だから、お前のような奴が無駄に命を捨てることになる」
「………」
「前にも言ったが無駄だ。
お前の努力や苦悩も痛みも苦しみも、なんの意味もない。
なにも生み出せない、なにも残せやしない。
人の在り方は…価値は変わらない。
お前はどうやっても」
そんな、呪詛のように紡がれるユリウスの言葉は、
突如響いた甲高い音によって遮られる。
見ると、メルトリリスがその刃を床に突き立てたようだった。
「メルト…」
「なんだかんだ言ってペラペラとよく喋るわね?
今際の際だと悟ったのかしら?
でも、命乞いなら後にしなさい…
そう、負けた後にね。
どうせするなら、みっともなく無様にすることね、そうしたら聞いてあげてもいいわ」
「……ならそうすればいい。
もっとも、そんなものを聞く気は無いが」
割り込んだメルトリリスの挑発に、
静かにそう返したユリウスの言葉と共にエレベーターが僅かに揺れる。
時間だ…
「行くぞアサシン、遊びはなしだ」
「無論。全力で壊すとしよう」
「白野、私を信じなさい。貴方のサーヴァントが何者か、その目に焼き付けてあげる」
「ああ」
開いた扉へとそれぞれが足を進める。
なんだかんだ長く続いた因縁の決着がここで…
ex/recordの追加ルートはなんだと思います?
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