fate/extra melt blossom   作:もっこもこの埃

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求められるもの

 

六日目

 

残るモラトリアムも僅か、

明日の決戦に向け少しでもやれる事をやらなければ。

 

そう言えば言峰神父の言っていた売店はどうなっているのだろうか、見に行ってみるとしよう。

 

 

★★★★

 

教会へと向かうと、

その外観には似つかわしくない売店が開かれていた、

ショーケースまで設置して、ここまでするか…

 

「これはこれは、いらっしゃいませ。

おめでとう、君は記念すべきお客様第一号だ。

もっとも、特に景品はないが」

 

言峰は普段とは違う妙なテンションでこちらを迎える。

 

「第一号?昨日からやってたんじゃ?」

 

なのにまだ、誰も利用していないというのだろうか

 

「…常識的に考えて、教会で売店をやっていると思うかね?」

 

自分で開いておいて何を言っているのだろうかこの神父は

 

「まぁ、なんにせよせっかく来たのだ、心ゆくまでショッピングを楽しみたまえ」

 

そう言われて並んでいる品物を見てみると、

食品や雑貨類が並んでいた地下の売店と違い、回復アイテムや何かの水晶玉などが並んでいる。

…いや、なんで体操服なんて置いてるんだ

 

「む?あぁ、それは礼装と言ってコードキャストが組み込まれていて魔力を流すだけで簡易術式を発動できる。

一度製作してしまえば何度でも使えるが、再使用には多少のクールタイムがある」

 

そうなのか…いや、でも

 

「体操服が?」

 

「そんな事を私に言われても困る」

 

そうか…でも、これは自分にとって必須品だろう。

記憶が戻っていない以上、魔術の知識がなくサーヴァントへの支援がろくに出来ない自分でもこれがあればある程度の魔術が使用出来るわけだ

なにか…便利そうな物はないだろうか

 

「…このマフラーも礼装なのか?」

 

ふと目についた赤色のマフラーを指さす

 

「ん?あぁ、それは鳳凰のマフラーと言って回復術式が組み込まれている。と言っても効果は僅かなものだが」

 

回復術式…

多少値ははるがこれにするとしよう

 

「じゃあこのマフラーを」

 

「…温めますか?」

 

…は?

なにを言ってるんだこの神父

 

「…いや、ただの冗談だ。

そう真に受けられても困るのだが」

 

あまりにも自然に言ってみせるので本気なのかと思ったが冗談だったらしい

微妙な空気に耐えられずそそくさと代金を払い、その場を後にする

 

「またのお越しを」

 

そんな言峰の声を背に、教会の扉を開き外へ出る

 

★★★★

 

言峰神父の開いた売店で買い物を済ませ、

アリーナへと足を運ぶと、扉の前で慎二とライダーが何やら言い争っている。

 

「また金を払えって言うのかよ!」

 

「最初に言ったはずだろぉ?

アタシは雇われ海賊、働かせたいならせいぜい金を積みなってさぁ」

 

「っ!…ああ、もう!この強欲女っ!分かったよ。

アリーナにハッキングして財宝を配置するから、ちょっと待ってろ」

 

そんなやり取りの後、慎二達はアリーナへと入っていった

 

「サーヴァントのくせに金を要求するわけ?

はっ、海賊らしい品性の欠けらも無い英霊ね。

でも、ちょうどいいわ。昨日の借りを返すとしましょうか。白野、根こそぎ奪うわよ!」

 

このままアリーナへ入れば当然慎二達と鉢合わせる形になるわけだがメルトリリスはやる気のようだ

財宝を奪う事でライダーのやる気を削ぐことが出来れば勝ちに繋がるかもしれない、やるだけやってみるとしよう。

 

慎二の後を追ってアリーナへと入る

 

★★★★

 

アリーナを進んだ先、

少し開けた場所に慎二の姿が見えた。

慎二の視線の先、そこには一つのアイテムフォルダが、

あれが、先程慎二が言っていた財宝だろうか

なら…

 

<メルト>

 

<任せなさい!>

 

「ブリゼ、エトワール」

 

メルトリリスが放った斬撃は、

ちょうど慎二の立っていた空間を切り裂く。

すんでのところでライダーによって助けられた慎二がこちらに気づき声を上げる

 

「な、岸波っ!?おまえ…なんでっ!」

 

「そんなもの決まってるじゃない、あんたが用意した宝は全て頂くわ!!」

 

自分の代わりにメルトリリスがそう答え、滑走し始める。

三度目の慎二との戦闘、一度目は圧倒された、二度目はあと一歩届かなかった、今回は…

 

「あははっ!こんなもの?宝探しでお疲れなの…かしらっ!!」

 

ライダーはメルトリリスの一撃を防ぐが大きく後退する。

どうも、ライダーの様子がおかしい

 

「…まいったねぇ」

 

「ライダーっ!!なにやってんだよおまえっ!!手を抜いてるんじゃないだろうな!」

 

慎二の叫ぶ声が響く、

やはりライダーはあまりやる気じゃないらしい

 

「あぁ?…手抜きしてないかって?そりゃあしてるに決まってんだろ。さっきも言ったがアタシは海賊、まともに金が貰えないんじゃ仕事なんて出来やしないさ」

 

「だから今こうしてその報酬を取りに来てるんだろうが!」

 

慎二とライダーが言い争い始める

 

「だいたい金を出すのは主人の役目だろう?

こればっかりはアタシにはどうにも出来ないっつーか。」

 

「僕のせいだって…ああっ、くそ!」

 

/shock(32)

 

言い争っている隙にメルトリリスが攻撃を仕掛けるが慎二のコードキャストによって防がれてしまう

 

「あら、残念。ペラペラと悠長におしゃべりしてるから串刺しにされたいのかと思ったのだけど、違ったのね」

 

「うるさい!…もういい、帰るぞライダーっ!金は後でやるから!」

 

「そうかい。ま、それならアタシも文句は無いさ。アイアイサー、マスター」

 

立ち去っていく慎二とライダー、

追撃しようにもどうやら先程のコードキャストによってメルトリリスの体麻痺していたらしくそのタイミングを逃してしまった

 

/heal(16)

 

慎二が去った後、自分は早速買っておいた礼装を使ってメルトリリスを回復させる。

なるほど、これは確かに便利だ。なんの知識も無い自分でも問題なく使うことが出来る…

しかし、先程の慎二は何かの礼装を使っていた様子はなかった、つまり自身でコードキャストを展開し発動していたわけだ。やはりなんやかんや言いつつ慎二にはしっかりとした魔術師としての経験がある、いかに礼装で補おうとその差は完全には埋まることは無い

今回の戦闘はこちらが優勢だった。しかし、それは向こうの不調あってのもの。

明日の決戦、自分たちは勝てるのだろうか…

 

少しの不安を感じつつアリーナを進み、

マイルームへと帰還する。

 

★★★★

 

「いよいよ明日ね」

 

マイルームに戻り、椅子に座って明日の決戦の事を考え込んでいると、メルトリリスが声をかけてくる

 

「心配する必要は無いわ。貴方にはこの私がついているのだもの、あんなワカメ頭に負けるなんて有り得ないわ」

 

「…ありがとう、メルト」

 

メルトリリスは自分たちの勝利を信じている。

やはり英霊と言うだけあってその在り様は自分とは大違いだ。今もこうしてこちらに気を使って励ましてくれている…

 

ふと、一つの疑問が頭に浮かんだ。

しかし、同時にそれ以上の眠気に襲われたので今日のところは眠るとしよう。

また明日、時間があれば聞いてみるとしよう、

メルトリリスいったいどういった英霊なのだろうか…

 

「あら、もう眠るの?ならゆっくり休みなさい、なんにせよ明日は大変だもの」

 

「あぁ、おやすみ。メルト」

 

布団に入り、目を閉じる

 

★★★★

 

★★★★

 

間桐慎二は苛立っていた。

どこまでも金を要求してくる自身のサーヴァントには勿論、この数日間の内にはっきりとわかる程成長していく対戦相手…岸波白野とそのサーヴァントの実力は確実に自分よりも下だ、それは今も変わらない。ただ…

 

「くそっ!なんでっ…こんな」

 

心の底に湧き出てくる不安と焦燥、それがどうしようもなく慎二の頭をかき乱す。

 

「だいたい、なんなんだよあのサーヴァントっ!

何一つ情報がないってどういう事だよ」

 

この数日間、当然慎二も相手のサーヴァントについて調べていた。しかし、わかったことは何一つ無い

「メルト」と呼ばれていたあのサーヴァント、その名前が嘘の可能性はある、いくら岸波が三流の魔術師だとしても自身のサーヴァントの真名をおいそれと明かすとは思えない。

ただそれでも、戦闘スタイルやあの脚の装具について調べれば何かしらわかるかと思ったが、それらしきものは無かった。唯一わかったのはあのサーヴァントが口にした「ブリゼ、エトワール」それがバレエ用語だということだけ。

岸波が巧く情報を隠蔽してる?

まさか、もし仮にあいつが僕と同じ…本当に仮の話として僕より優れた魔術師だったとしてもここまでなんの痕跡もなく隠すなんて不可能だ。

 

「っ!!…いや、平気さ。気にする事なんて無い」

 

そう、何も気にする事は無い。

得た情報は向こうにアドバンテージがある。けどそれでも、実力差は明白、こっちが上だ。

負ける事は無い、

 

「そうだ…負けるはずないっ…僕が、あんな奴にっ」

 

負けるはずがない…

負けるわけが無い、だって僕は…

だって…そうじゃなきゃ、

僕は…なんの為に

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