追放されて簡単に魔王を倒して勇者となった少女の自分探し 作:くまたいよう
【勇者】
イメージとしては、仲間達と共に世界征服を企む悪の魔王を倒す選ばれし者とやらだな、私の生まれた世界でも【つい三年前】迄はそんなだったと思う。
「一人で食べるにしては多いが、干したりして保存したのも旨いのだ」
私は標高二千台程度な高さの山岳地帯に設けられた屋敷の庭園において、簡素な絹のエプロン姿で庭の朝露に濡れた完熟トマトを直接もいで口にしていた。趣味だが中々オツではないかと思う。我ながら上出来で頬が内部からとろけ落ちそうだよ、元々トマトはこういった乾燥した地域が原産だから大当たり!野生のまであるくらいだしね。
私の名は【レイハ】一応は女勇者だ。元勇者とやらだがな・・・・今年、十七になる。
しかし、我ながら目立つ外見だ。ストレートな金髪で目は右が赤で左が碧のオッドアイとやらで身長が百九十を越えているのだ。その割には筋肉とかは別に目立たんから便利な身体だ。身長さえなければ普通の街娘として幻術魔法無しで生活していたかもな。しかし、二十歳を超えても身長は伸びるらしいし、その内に二メートル越えるか?
で、そんな大女が何をしているかと言うと?
【三年前に魔王をぶち殺した功績で与えられた屋敷を使って気ままな一人暮らし】
こう見えて、悠々自適とやらだ。趣味が料理か家庭菜園しかなかった身として好ましい日々として過ごしていたある日。
「お願いであります!我等の話を・・・・」
「帰れ」
私は屋敷の玄関前で、アポ無しに訪ねて来た五十名を風属性魔力で弾き飛ばした。死んでも構わん程度で生きてるからには相応のを選んどるな。
「私を追放したのは貴様等だろう」
そう、嘗ては十三になった私は家や国の風習と時勢で無理矢理騎士団とやらに入れられたのだが・・・・女騎士ではなく慰安婦でも集めたつもりだったようだな、発育良かった私はそういうのを強要されたとこを幻惑魔法でやり過ごした。その翌日、騎士団の大半は【痔】になっていた。
追放された私は気ままに旅をしていたら、今度は魔王軍がちょっかい出して来たから手当たり次第に一人で皆殺しにして直接来た魔王の首を取ったのだ。途中から勇者呼ばわりされてたが・・・・そんな経緯だから、この世界の勇者の従来のイメージは完全に終わった。
この屋敷と金は功績に比して二束三文らしいが、私には贅沢だ。
「じ、事情だけでも・・・・」
「良いだろう、但し無駄無くな」
ましつこいのも困るから聞いたら、新たな魔王や勢力が来て世界がまた危機に晒されてとやららしいな、だが?
「ならば、尚更に貴様等だけで何とかするのだな・・・・【世界への思い】とやらで」
「ぐっ、まだ根に持って」
「当たり前だ。根に持ってるからこうしているのだ」
私は親指と人差し指を何度か軽く輪にした。金でも要求すると思って気を抜いた奴等の顎が次々と粉砕される音が響いた。念動力とやらで連中の顎を摘み潰してるのだがこの程度で無様な事だよ、それは魔王軍相手にしていた時からだがな。
前の魔王軍を各地で始末する途中、私は自分が世界の勇者だの煽てられて周りと協力するようにだの持ち掛けられたが便乗したいだけの連中だと見て取れた。だから私は騙されたフリして共闘した連中に適当に力の差を見せて足手纏い呼ばわりして追い返したら国に残った親類や顔見知りを人質にまでする有り様だった。まあ、私も?
【やると思ったから、人質解放の条件に?取って置いた魔王の首を突き付けてやったんだが】
これが、私の魔王討伐の全容だ。生まれつき強大過ぎる力とやらの使い方にしては上等なハズだがね。
「そうそう、それから攻められている原因を調べるのだな。案外、キッカケになったのは【人間】だったのではないか?」
表情からして当たりか、私一人で片付けた分の弊害だな。持て余した武力やらを敵意の無い魔族とかにぶつけてたら猛反撃受けたな、やれやれだ。
「では、チャンスをやろう。この場で私に一太刀でも喰らわせられたら言う通りにしてやる」
激昂する側と止める側にわかれて、何名かが来たが、振り下ろして来た剣を手刀で切り裂いたらビビッているなあ・・・・他愛も無い。面倒だから先程より強力な風属性魔力をぶつけてみたら吹き飛んだり腕を真空波で切り裂かれたりだな、手加減も大変だよとして逃げ出した連中を見送ったと思ったら?
「おや、一名残ったようだが・・・・まだ粘るのかな?」
「あ、あの・・・・私に貴女の、何でも良いから力を伝授して欲しいです」
小柄な女魔導師のようだが、何か幼くすらあるな。フードの下から見えたのは水色っぽいショートヘアにした痩せた顔だが・・・・?
「何だお前・・・・【両眼が無い】じゃないか」
「はい、私の眼は【魔眼の類いなようで、抉られて売られました】・・・・その日から二年、回復とかの便利な魔法使える私は連中の便利要員としてこき使われる日々・・・・」
「ふ~ん・・・・」
何となく意図や他が理解出来た。これは面白い事になるかもね。
「じゃあ、約束をしな・・・・私がお前の身柄預かるから、その代わりに・・・・【私のものになりなさい】・・・・って、何だよ?」
「指切り・・・・約束の時はこうする」
指切りげんま~・・・・嘘付いたら針を千本飲~ます・・・・って、何か調子狂うね・・・・まあ、とにかくお風呂でも入れてやるとして屋敷内に招いた。
勇者って何だろね(棒読み)
一応、十七だからタイトル通り主人公は【少女】です。