運命の物語   作:しろい凛キチ

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第1話

『あのクソ親父ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!』

 

開口一番、俺はそんな怒鳴り声とともに、親父からの手紙を破いていた。

 

 

「和人へ

オッス、元気にしてっか~?

まぁ俺の方はボチボチってとこだ(9`・ω・)9

え?食生活は大丈夫かって?

にんじんとか野菜ちゃんと食べてるから大丈夫だ

運にも恵まれて今は成功の連続だ

めでたいね~(○ゝω・)σ○o。ネ兄。o○

いやほんとに

たのむからもっと成功をって感じww

久美子にもよろしく頼むよヨロ人・ω・*)(*・ω・人デス

すまんな、今のことに一区切りついたら帰るよ

 

P.S.

お前宛てに荷物送っといたから大事にしろよ~」

 

 

『ったく、あの親父はホントに何がしたいんだ……そういや、俺宛てに荷物送ったとか書いてあったけど、どんなモノ送ってくる気なんだ?』

 

そんなことを思ってると足元に転送用魔法陣が現れ、段ボールが送られてきた。

 

『結構でかいな。いったい何が入ってるんだ?』

 

 

『え"?!?!』

 

俺は箱を開けた瞬間、固まってしまった。中に入ってたのはなんと、女の子だったのだ。

 

『あのクソ親父ぃぃぃ、なんつうもん押し付けてんだ!!!』

 

そんな時、俺の大声に驚いたのか、眠っていた?女の子が起き泣き始めてしまった。

 

『ここは……ふぇ…どこぉ……ひっく…えぐっ………しんいちぃ…どこぉ………』

 

『うわっ、なんつう魔力だ…ちょ、おま……泣くなよ。な?…って、え?今慎一って言ったか?』

 

俺が尋ねると女の子は僅かに泣き止み、こくっと頷いてくれた。

 

『俺は護導和人、慎一は俺の親父だ。なんで親父のこと呼んだのかは知らねぇが、とりあえず泣き止め、な?』

 

数分後、女の子はようやく泣き止み、強力な魔力の流れも落ち着いた頃、

 

『それで、おまえは誰なんだ?どこ出身だ?』

 

『私は…被験体 μ-501。博士に作られた』

 

『被験体?それに博士ってもしかして親父のことか?』

 

ん、と女の子は頷く。俺はだんだん訳が分からなくなってきていた。

 

『ちょっと待て、親父は魔法の研究をしているんじゃなかったのか?』

 

『ん。私はその研究成果』

 

そんなことを話していると、台所の方で爆発音が聞こえた。

 

『な、なんだ。いったい何が起きてるんだ!?』

 

『そこを動くな。おとなしく被験体 μ-501を渡せば命だけは助けてやる』

 

爆煙から出てきたのは、武装した数人の男だった。俺は混乱と恐怖でなされるがまま、女の子が連れて行かれるのを見ているしかなかった。

 

「―――この世で一番の悪とは、人々を救えるだけの力を持ってるのにその力を使わないことだ。和人、お前はそんな男にはなるなよ」

ふいにいつも親父が言っていたことを思い出した。

 

その言葉を思い出した途端、俺はいきなり胸が苦しくなり、床に倒れ気を失った。

 

 

~side襲撃者~

『そこを動くな。おとなしく被験体 μ-501を渡せば命だけは助けてやる』

 

そう言い放つとガキはおとなしくなり、被験体も楽に回収できた。

連れ去ろうとすると、突然ガキが胸を押さえうずくまった。

 

『ガキは構わん。とっとと被験体を連れてくぞ』

 

仲間に支指示をだし、踵を返すと、

 

『ぐわっ』

 

突然、仲間の悲鳴が聞こえてきた。

 

『どうした、さっさと行くぞ』

 

そういって振り向くと、さっきのガキに一人が切り殺されていた。

 

『うああ"あ"あ"あ"あ"あ"!!』

 

『ひっ』

 

仲間はその異様さに恐れをなしたのか、散々に逃げて行った。

 

『お、おい、お前ら』

 

ガキだったモノは完全に理性を失っていて、たとえ魔法があっても勝てる気がしなかった。

 

『ま、待て…待ってくれ……ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ』

 

 

~和人side~

『う……俺は…なにを………ッ!?』

 

俺が気が付いたとき、辺りは血がたくさん広がっていた。

 

『これは…俺がやったのか……』

 

『かずと?』

 

錯乱しかけていた俺を呼び戻してくれたのは、あの女の子だった。

 

『あ、ああ。一体あいつらは何者だったんだ…』

 

『あの人たち、私を狙ってた。博士はそれが分かってたから、私を和人のもとへ送った』

 

『なんで俺だったんだ。親父なら、送る宛は他にもあっただろうに』

 

『和人が強い子だから、って博士は言ってた』

 

俺はしばらく考え込んだ後、答えを出した。

 

『そうだったのか…ならこの場所にはもういられないな』

 

『どっか行くの?』

 

『ああ、旅をしよう。幸い資金なら君が入ってた段ボールにアタッシュケースごと入ってたから、当面は問題ないだろうしね』

 

『ん。分かった』

 

こうして俺は母さんに置手紙を残して旅に出ることとした。

 

『そういえば、旅に出る前に君の名前を決めとかないとね。いつまでも君とか形式番号とかだとあれだし………そうだ、μから捩って美優(みゆう)ってのはどう?』

 

『みゆう?』

 

『うん』

 

女の子は少しの間小声でつぶやき、笑顔で頷いてくれた。

 

『じゃあ、これからよろしくな美優』

 

『うん♪』

 

あの突然の狂乱のことは正直まだ分からなかったが、こうして俺と美優の旅は始まった。

そして、この旅のきっかけとなったあの手紙の意味を知ったのは、まだ先の未来の話だった。

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