『あのクソ親父ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!』
開口一番、俺はそんな怒鳴り声とともに、親父からの手紙を破いていた。
「和人へ
オッス、元気にしてっか~?
まぁ俺の方はボチボチってとこだ(9`・ω・)9
え?食生活は大丈夫かって?
にんじんとか野菜ちゃんと食べてるから大丈夫だ
運にも恵まれて今は成功の連続だ
めでたいね~(○ゝω・)σ○o。ネ兄。o○
いやほんとに
たのむからもっと成功をって感じww
久美子にもよろしく頼むよヨロ人・ω・*)(*・ω・人デス
すまんな、今のことに一区切りついたら帰るよ
P.S.
お前宛てに荷物送っといたから大事にしろよ~」
『ったく、あの親父はホントに何がしたいんだ……そういや、俺宛てに荷物送ったとか書いてあったけど、どんなモノ送ってくる気なんだ?』
そんなことを思ってると足元に転送用魔法陣が現れ、段ボールが送られてきた。
『結構でかいな。いったい何が入ってるんだ?』
『え"?!?!』
俺は箱を開けた瞬間、固まってしまった。中に入ってたのはなんと、女の子だったのだ。
『あのクソ親父ぃぃぃ、なんつうもん押し付けてんだ!!!』
そんな時、俺の大声に驚いたのか、眠っていた?女の子が起き泣き始めてしまった。
『ここは……ふぇ…どこぉ……ひっく…えぐっ………しんいちぃ…どこぉ………』
『うわっ、なんつう魔力だ…ちょ、おま……泣くなよ。な?…って、え?今慎一って言ったか?』
俺が尋ねると女の子は僅かに泣き止み、こくっと頷いてくれた。
『俺は護導和人、慎一は俺の親父だ。なんで親父のこと呼んだのかは知らねぇが、とりあえず泣き止め、な?』
数分後、女の子はようやく泣き止み、強力な魔力の流れも落ち着いた頃、
『それで、おまえは誰なんだ?どこ出身だ?』
『私は…被験体 μ-501。博士に作られた』
『被験体?それに博士ってもしかして親父のことか?』
ん、と女の子は頷く。俺はだんだん訳が分からなくなってきていた。
『ちょっと待て、親父は魔法の研究をしているんじゃなかったのか?』
『ん。私はその研究成果』
そんなことを話していると、台所の方で爆発音が聞こえた。
『な、なんだ。いったい何が起きてるんだ!?』
『そこを動くな。おとなしく被験体 μ-501を渡せば命だけは助けてやる』
爆煙から出てきたのは、武装した数人の男だった。俺は混乱と恐怖でなされるがまま、女の子が連れて行かれるのを見ているしかなかった。
「―――この世で一番の悪とは、人々を救えるだけの力を持ってるのにその力を使わないことだ。和人、お前はそんな男にはなるなよ」
ふいにいつも親父が言っていたことを思い出した。
その言葉を思い出した途端、俺はいきなり胸が苦しくなり、床に倒れ気を失った。
~side襲撃者~
『そこを動くな。おとなしく被験体 μ-501を渡せば命だけは助けてやる』
そう言い放つとガキはおとなしくなり、被験体も楽に回収できた。
連れ去ろうとすると、突然ガキが胸を押さえうずくまった。
『ガキは構わん。とっとと被験体を連れてくぞ』
仲間に支指示をだし、踵を返すと、
『ぐわっ』
突然、仲間の悲鳴が聞こえてきた。
『どうした、さっさと行くぞ』
そういって振り向くと、さっきのガキに一人が切り殺されていた。
『うああ"あ"あ"あ"あ"あ"!!』
『ひっ』
仲間はその異様さに恐れをなしたのか、散々に逃げて行った。
『お、おい、お前ら』
ガキだったモノは完全に理性を失っていて、たとえ魔法があっても勝てる気がしなかった。
『ま、待て…待ってくれ……ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ』
~和人side~
『う……俺は…なにを………ッ!?』
俺が気が付いたとき、辺りは血がたくさん広がっていた。
『これは…俺がやったのか……』
『かずと?』
錯乱しかけていた俺を呼び戻してくれたのは、あの女の子だった。
『あ、ああ。一体あいつらは何者だったんだ…』
『あの人たち、私を狙ってた。博士はそれが分かってたから、私を和人のもとへ送った』
『なんで俺だったんだ。親父なら、送る宛は他にもあっただろうに』
『和人が強い子だから、って博士は言ってた』
俺はしばらく考え込んだ後、答えを出した。
『そうだったのか…ならこの場所にはもういられないな』
『どっか行くの?』
『ああ、旅をしよう。幸い資金なら君が入ってた段ボールにアタッシュケースごと入ってたから、当面は問題ないだろうしね』
『ん。分かった』
こうして俺は母さんに置手紙を残して旅に出ることとした。
『そういえば、旅に出る前に君の名前を決めとかないとね。いつまでも君とか形式番号とかだとあれだし………そうだ、μから捩って
『みゆう?』
『うん』
女の子は少しの間小声でつぶやき、笑顔で頷いてくれた。
『じゃあ、これからよろしくな美優』
『うん♪』
あの突然の狂乱のことは正直まだ分からなかったが、こうして俺と美優の旅は始まった。
そして、この旅のきっかけとなったあの手紙の意味を知ったのは、まだ先の未来の話だった。