モブ主人公(矛盾)成長日記 作:みに
きっかけはただの好奇心だった。
おしゃべりが大好きな私と、いつも静かに本を読んでるその子は別世界の住人だった。お話するどころか関わったことすら無かったんだよね。お互いに興味なんて微塵も無かったし。
トリニティは初等部、中等部、高等部があって、大きな問題を起こさない限りそのまま進学していく。私は初等部からトリニティだったから、中等部の始めから沢山友達が居たし、気になる子にはすぐに話しかけてた。
だからもしあの時私が話しかけなければ、卒業まで赤の他人だったのかも。話しかけたんだけどね?
その日はたまたま早めに起きて、友達が寝坊してて、何となく1人で登校した。
早朝の学校なんて初めてで、足早に教室まで歩いて来て、そういえば教室の鍵って空いてるんだっけ。なんて、確認するために扉を引いた。
そしたらあの子が居た。静まり返った教室に1人、まっさらな机でぼーっとしていた。私が入ってきた事にすら気づいていないみたいだった。静かにした方がいい事は、ナギちゃんに言われなくてもわかった。
早く来たのは失敗だったな〜なんて、スマホを取り出そうとした時、風が吹いて、前髪がなびいて……私は初めてあの子の目を見た。
変な目だった。
思っていることどころか、何を見ているのかすら分からなかった。私の周りにそんな目をする人がいなかったからかな、ほん一瞬見えたそれが、何だかむずむずして……だから話しかけた。
「ね、1位なんて凄いね!」
「え……えっと、僕ですか?」
「え?うん。今回のテスト、1位だったでしょ?」
キョロキョロと周りを見渡した後、恐る恐る自分を指さすその子。この教室には2人しかいないのにね。
話しかけられるとは思わなかったって感じかな?わかりやすいな〜。
「そ、そうですけど」
「うん、だから凄いね〜って」
「は、はい。有難うございます……?」
ぷるぷると今にも震えだしそう。褒めている筈なのにちっちゃくなっていく様子が面白くて、何も言わずに見つめてみる。
「……えっと……何か御用でしょうか?」
「え、何で?」
「え……?その、用事があったから話しかけて来たんじゃ無いんですか?」
口をもにょもにょさせる事すこし、控えめにされた質問に思わず質問で返す。
ふーん、なるほど。そう思ったんだ?
「用事が無かったら話しかけちゃいけないの?」
「えと……その、そう意味で言ったんじゃなくて、そんな事は……」
「まあ用事はあるんだけどね……聞きたい?」
「え、えっと、聞きたい……?それは、その、どういう……?」
我ながら意地悪だなあと思う。だって用事なんて無いんだもん。気まぐれで話しかけただけだから、喋る事が用事みたいな?だからこうやって話してるだけで満足なんだけどね。
「じゃあさ、お願いを言ったら付き合ってくれる?」
「えっと……内容次第、ですかね?」
「そこは付き合うって言うところでしょ」
「で、でも……無理な事は無理というか、僕のできる事なんてほとんど無いというか」
私だったら軽く受け流すだろう言葉達。それを1個1個拾って反応を返してくれるのが面白くて、つい言葉を濁してしまう。
すっかり何か頼む空気になっちゃったけど、私はこの子と話せればいいし……うーん、するとしたら簡単なお願いからだよね。ちょっとやりすぎちゃったかなと思うし、これ以上ちっちゃくなってお話できなくなると困るから。
簡単なお願い、そうだなぁ……
「じゃあさーーー
ご高覧頂きありがとうございます。
ご要望で小説形式を望む声が多かったので筆をとってみました。
キリがいい所で区切ったら想像以上に短くなってしまったのは内緒。