ロアルドロスに転生した話   作:黒木箱 末宝

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誤字脱字報告ありがとうございます!
沢山の評価とお気に入り登録、感想やここすきありがとうございます!

お陰様で日間ランキングの1位に乗りました!
物凄く嬉しいです! ありがとうございます!

……それはそれとして、主人公が人を殺し始めたらめちゃくちゃ評価とお気に入り登録がブワーッて増えて、しかもここすきがとあるシーンに集中していました。やっぱ好きなんすねぇ!

あと、全話で描写の不足がありました。
密猟者と戦ってる時間帯は【夜】です! よろしくお願いします!


密猟者で無双した話

「ガアアアアアッ!」

「へへへ──へぇ?」

 

 突然、何の前兆もなく起きたロアルドロスが、ピッチャーの下半身に食らいつきやがった。

 

「──ッぎゃあああああああ!!?」

「ッ!? ピッチャー!!」

「こいつ……起きてやがったのか!!」

 

 ピッチャーの叫び声が辺りに響き渡った。

 驚き焦るブラコニーだが、それも無理は無い。

 

 分かるぜ、俺も同じ気分だ。何せ、今回使った麻酔ガスは麻痺袋と睡眠袋の混合毒だ。あのリオレウスでさえ数呼吸で2~3日は眠りっぱなしだった劇物。これのお陰でここまで団をデカく出来た。それ程までに強力な、ピッチャー手製の最高の一品だ。

 

 それが、たかがデカいだけのロアルドロスに効かないわけが無い。……そのはずだった……。それが──

 

「何で効いて無いんだッ……!」

「クソッ……賢いとは聞いたが、ここまでとはッ!」

 

 図体の割に臆病なブラコニーが、焦ったようにガンランスを抜き守りの姿勢を取る。

 そうだ、ボーッとしてる場合じゃねぇ! 俺も大剣を抜いてロアルドロスを警戒する。なんとかしてピッチャーを助けてやらねえと。

 

 その時だった。ボギリと硬い物が砕ける鈍い音が()()()()()()()()。そして俺達の眼の前に、ピッチャーの上半身がドチャリと落ちて来た。

 

「リー……ダー……」

「ッ!? ピッチャー、お前……」

 

 眼の前にあるピッチャーの上半身。痩せっぽちな身体の何処に入ってたんだか、血がとめどなく溢れ出て、小さな池をつくっていた。

 

 ああ、なに寝てんだよピッチャー。今回の作戦ではお前、手製のガスで獲物全部掻っ攫って孤島を空っぽにしてやるって……そう息巻いてたじゃないか。

 

 ロアルドロスがピッチャーの下半身を吐き出す。

 おい、そんな遠くに吐き出すんじゃねぇよ。治すのが遅れるじゃねぇか……ッ!

 

「ッリーダー、指示を!」

 

 ブラコニーの声に正気を取り戻す。そうだ、ボーッとしてる場合じゃねぇ! 今はロアルドロスを何とかしねぇと。

 

「──ッすまねぇブラコニー……作戦失敗! 生け捕りは止めだ! 討伐する──」

 

 そうして武器を構えた俺達を挑発するように、ロアルドロスがピッチャーの上半身に前脚を乗せ、ゆっくりと力を入れ始めた。

 

「──おい、おいおいおい! そりゃ幾ら何でもあんまりだろ!」

「……ピッチャー……ッ!」

「リー……ダー……リー……ダァギャ──!?」

「──ああ、ピッチャー……」

 

 ボキボキと肋が砕けていき、ピッチャーは頭を残して染みに成ってしまった。

 ……ピッチャーが死んだ。惨たらしく死んじまった。

 

「あ、ヒィッ!?」

 

 足元まで転がって来たピッチャーの頭。ガスマスクのゴーグルの内側が真っ赤に濡れており、もう何時も浮かべている薄汚ぇ笑みさえ分からなくなっちまった。

 

「スゥ──……ッグオオオオオオオオオオオアアアアアアッ!!!」

 

 ピッチャーの野郎はこいつの逆鱗を蹴り飛ばしちまったようだ。ロアルドロスが──【大水獣】がトサカを起こし、孤島全体に轟く程の咆哮を放った。

 普通のロアルドロスとは違う、ラギアクルスを彷彿とさせる王者の咆哮だ。こんな状況じゃなけりゃ、恐怖や畏れから跪いていただろうよ。

 

「ッ……クソッタレ!」

 

 悪態を吐いて恐怖心を引き剥がす。顎髭に汗が溜まって不快だが、拭ってる暇なんかない。

 

 耳を塞いでいた手を離し、武器を握り直す。そんな俺達は、いつの間にか荷車で殴り飛ばされていた。

 

(……は?)

「ガハッ!?」

 

 岸壁に叩きつけられ朦朧とする意識の中、俺は見た。

 大水獣の野郎……荷車を武器みたいに振り回してやがるッ!

 

 そのまま大水獣の野郎は荷車を振り回し、俺の部下を、まるで虫けらの様に打ち払っていた。どうやって持ってんだクソッタレッ!?

 

「や、止め──ギャッ!?」

「うわあああ──がはあっ!?」

 

 バチンバチンと殴られ、景気良く飛んでいく部下達。

 当たりどころが悪かったのか、それとも受け身に失敗したのか……部下達の殆どは、ぐったりとした様子で動かなくなっちまった。

 

「クソッタレ……クソッ……クソッ……!」

 

 隣で両腕の折れたブラコニーが悪態をつきながら呻いている。

 

「グルルル……」

 

 それが聞こえたのだろう、大水獣の野郎は荷車を振りかぶり、こっちに向かって投げ付けて来やがった。

 

「ッだああ!」

「あ、リーダ────」

 

 咄嗟に横に飛んで避けた。だが、飛んできた荷車がブラコニーごと粉々に砕け散り、岩壁を血で染めた。

 

 ……チクショウ、ブラコニーがッ……荷車も借り物だってのによぉ……!

 

「ッお前らぁ! 何としてでもこいつを止めろぉ! ガンナーは撃ちまくれ! 簡易大砲も全部使え! 大砲が無くなりゃ砲弾を落としてでもこいつをブチ殺せ! 行くぞおおおお!!!」

「「「「「ッオオオオオオ!!!」」」」」

 

 半ばヤケクソ気味に檄を飛ばす。大水獣の野郎にビビっていた部下達は、自分の役割を思い出したのか動き出した。

 

 崖上からのガンナーの射撃や、使い捨ての簡易大砲の砲弾が降り注ぐ。

 

 簡易大砲──団の火力不足に不安を覚えたブラコニーが設計した、その辺の木材で砲弾を飛ばすだけの使い捨て大砲だ。

 精度はよく無い。だが俺達は、その数を利用して無数の獲物を狩ってきた。今回だってそれで決着が──

 

「ッ、グオオオオ!!」

 

「まッ!?」「何をッ!?」「あ、リーダー!!」

 

 だが大水獣は、その無差別に飛来する砲弾に向かって部下を投げつける事で防ぎやがった。

 

 空中で上がる、湿り気の多い真っ赤な花火。

 

 その()()()()や、中途半端なところで起きた爆発によって、砲弾が次々と連鎖して爆発するか逸れていく。

 

「次弾を──はは、クソが。皆やられてやがる……ッ!」

 

 簡易大砲はまだあるはず。そう考えて次を撃つよう指示をだそうとした。だが、発射位置に射手がいない。恐らく、破片を食らってやられちまったんだろう。

 

「グルルル……」

「は? おい……おいおい……何のつもりだてめぇ……ッ!」

 

 大水獣の野郎、俺の部下に爪を突き刺してボウガンの盾に使ってやがるッ! 部下の体にある弾痕からして間違いない……こいつ、賢いが悪辣が過ぎるッ!

 

「……グルルルアアアッ……!」

 

 しかも既にガンナーを仕留め終わったらしく、大水獣は俺に見せ付ける様にして部下達を叩き付けると、踏み付けて徐々に力を強めていった。

 

「待てよ、待てよ! おい!!」

 

「リーダー……!」「逃げて下さいリーダー……!」

「後は頼みます……リーダ──ギャッ」「バハァッ!?」

 

 大水獣は俺に見せ付ける様に仲間をジワジワと踏み潰されて行い、そして一気にペチャンコにしやがった。グチャリと体の真ん中が、大水獣の前脚の形に寄り固まり、()()を撒き散らした部下だった物。

 

「……」

「あ、ああ」

 

 路肩の小石の様に蹴り捨てられたそれは、貴族が飾る悪趣味なオブジェの様だった。

 ……絶望と怒りに頭がどうにかなっちまいそうだった。だが、天は俺に味方したようで、大水獣の野郎がふらつき始めたんだ。

 

「……オウ……グルルル……」

「……は、ハハッ……ハハハハハハハッ! 馬鹿め! 暴れ過ぎたんだてめぇは! 漸く麻酔ガスが効いてくるとは……クソッ……!」

 

 グチャグチャの感情を抑えつけ、俺は大剣を構え、眠りに落ちた大水獣の野郎の首を叩き斬ろうと──

 

「ッ……! クソッ……情けねぇ……震えてやがんのか、俺は……」

 

 ピッチャーの事がトラウマになってるらしく、武器を持つ手が震え、足元が覚束無い。

 

「……チッ……どうせ依頼は失敗だ……なら、こいつをブッ殺してやる……ッ!! おい、生き残りはどれだけいる!?」

「……ハイ、荷運び隊だけです!」

「……そうか……おい、()()を持って来い!」

「……ッ! ()()ですね、了解しやした!」

 

 復讐も兼ねて、生き残った仲間達を招集する。そして、第二プラン用の違法改造大タル爆弾3Gを持ってこさせた。

 

 大タル爆弾3(トライ)G──それは、ブラコニーとピッチャーの合作した新たな挑戦(トライ)の証。最高最強の大タル爆弾だ。

 

 爆炎袋をしこたま詰め込んだこのタル爆弾は、たった一つで並の鳥竜種を粉微塵に出来る強力な代物。大水獣の捕獲に失敗した時や、逃走の際に使って孤島をふっ飛ばし、その隙に逃げ馳せるための必勝のアイテムだった。

 

 ……このタル爆弾で、自身を脅かす全てを破壊するのがブラコニーの夢だったな……。

 

「持って来やした!」

「御苦労。……良し、全員で大水獣の周りにコイツを設置しろ! 殺されたあいつらへのド派手な手向けだぁ!」

「「「「「「ヘイッ!」」」」」」

 

 そうして、俺達は大水獣の野郎を囲む様にして大タル爆弾3Gを置いた。そしていざ、小タル爆弾で起爆しようとした、その時だった。

 

「……?」

「どうしたんです、リーダー!」

「いや、何か……」

 

 一瞬、見逃しちゃいけない違和感を感じたんだ。ブラコニーの臆病でも伝染ったのかと思った。だがそこで漸く、麻酔ガスが周辺に無いことに気付いた。

 

「ガスが無い──荷車を振って飛ばしたのか! マズイッ! 大水獣(こいつ)は最初、寝たふりをして──ぐあっ!?」

 

 そこで更に、大水獣が寝たふりをすると気付くが既に遅かった。案の定、大水獣の野郎は起きていて、俺は大水獣の飛び上がった際に吹いた強風に煽られ、尻もちを付いちまった。

 

 そして俺は見た。月を背に空を飛ぶ、大水獣の姿を。

 

 大水獣が吐いた水のブレスが月の光を反射し、美しい輝きを放つ──月下の雫が舞い落ちる。

 

「チクショウ……綺麗じゃねぇか……」

 

 そして、その雫が爆弾に落ちて来て────

 

 

 

 その日、モガの村は謎の地震に襲われた。

 

 またしてもナバルデウスが来たのかと慌てる村人達だったが、続く轟音に新たな脅威の出現を感じて慄いたのだった。




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