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モガの森の朝。日課の水を浴びをして帰ると、砂浜のあちこちから「ピー!」と元気な声が響いていた。
……え? え、え、え──まさかッ!?
急いで静かに走ると、海岸の砂浜、そのあちこちから小さなルドロスが這い上がって来ていた。
おいおいおいおいまじかよ、えーっと俺何すんだっけ!? エサ獲ってくる?!
慌てた様子でルドロスに聞くと、水をくれと言われた。水なら大量にあるので、取り敢えず水を飲ませることにした。
明確な指示を出されて落ち着いた俺は、少し煩いくらいに聞こえる赤ちゃんルドロス達の声に驚いていた。
元気な子が生まれたかーとか考えればいいんだろうけど……数がなぁ……。孵ったのは最初のハーレムの卵だから……これがあと3回来るのか……無理では?
見渡す限りの砂浜、そのあちこちから虫のように這い出るルドロスの赤ちゃん達。
ウミネコの様にピィーピィーと泣き喚く喧しい赤ちゃん達に、取り敢えず俺は余計な事を考えるのは止め、水を与える事にした。
そうして、大繁殖したセミの止まる木の様な気分を味わっていると、数匹のルドロス達から訴えが届いた。
どうやら赤ちゃん達のご飯が少し足りないらしい。
……まじで!?
そんなこんなで付近のアプトノスやエピオス狩りを終え、大型モンスターの狩りを考えたある日、孤島にガノトトスが襲来した。
……ガノトトスか……魚だし、良いかもしれん。
魚の弱点はある程度知っているので、密猟者から奪った大剣を手に狩ろうとしたその時、なんとそこにハンターちゃんが現れたのだ。
よう、ハンターちゃん。ボルボロスの上位シリーズ? 似合ってるね!
「うわっ……!」
「あれ全部赤ちゃんっチャ!?」
「多すぎるンバ!」
夥しい数のルドロスの赤ちゃんにドン引きし、俺を睨むハンターちゃん。そっと目を逸らす。
俺も分かっちゃいるんだよ、ヤバいことくらい……。
……でもね、赤ちゃんは殺せんのよ。例えモンスターでも。
だからさ、
……できれば俺の目と耳が届かない所で。助けに行けないような状況の時に!
そう視線を向ければ、ハンターちゃんは溜め息を吐いた後に頷いた。
「……覚悟しといてね」
そう呟いて、ハンターちゃんは狩りを始めた。
ターゲットはガノトトスのようで、釣りカエルで釣り上げるつもりのようだ。
……なんとなく邪魔しちゃいけない気がしたので、皆に静かにする様言って伏せてみる。
「……」
じっと見られて落ち着かない様子のハンターちゃん。しかし、釣りのタイミングは見逃さなかった。
「ッキュィィ!?」
「ぬッ……ぐぐぐッ!」
急に引っ張られて驚いただろう、ガノトトスが自ら陸に飛び上がって来た。
しかし、咄嗟の事だったためか着地に失敗。ビタンビタンと跳ねている。
良いぞー! 頑張れハンターちゃん!
上位のボルボロス製ランスで攻撃し始めたハンターちゃんを応援する。
え、戦えって? でもあれはハンターちゃんの獲物だし、縄張り争いなら順番がなぁ?
「~~~キュイィィ!!」
「フッ──マズッ!?」
そうして眺めていたその時だった。ガノトトスの水流ブレスが、此方に向かって放たれそうになっていたのだ。
それはハンターちゃんを狙ったものだったが、直前で避けたが故の流れ弾だ。
それだけならいいんだが、着弾予想地点にはハンターちゃんの戦いを観戦していた赤ちゃんルドロス達がいるのだ。
……このまま巻き添えで淘汰しとくか……いや、無理だな。
見捨てようと考えていたが、俺の身体は既に動いていた。
それは俺だけじゃない、母親であるルドロス達が子供達を、勇敢な赤ちゃんルドロス達が兄弟姉妹を守ろうと動いていたのだ。
遠くを見れば、何故かハンターちゃんまで助けに来ようとしている。それで良いのかハンター。
……これはもう仕方無いと言うやつだ。
ルドロス達が助けに動いているし、何より群れのボスとして……このルドロス達の旦那であり、親として! このまま子供達やルドロス達を見殺しにはできんッ!!
本能に任せるがままに全力で動き、理性に従い骨の大剣を指に引っ掛ける。
そして、俺自身の意思で大剣とこの身を盾として、水流ブレスを防ぎ切った。
……ようチビ共、無事か?
「……ォオオ!」「ピィー!」「オウ」
観戦していた三匹の赤ちゃんルドロスが元気に吠える。
見た感じでも無傷だな。よし、そいつら連れて下がっててくれ。
ルドロス達に指示を出し、俺は大剣を咥えてガノトトスへと近付いた。
「……手助けはいらない」
不機嫌な様子で言うハンターちゃん。また手助けされるとでも思ったんだろうが、今回は違う。
そうむくれるなよハンターちゃん。乱入して悪いが、こっちは子供を狙われだ。
……ケジメなんでな……狩らせてもらう。
俺は骨の大剣──リュウノアギトを構えた。
咥えた大剣のバランスを取りながら駆ける。そしてその勢いを利用して、リュウノアギトを両前脚で押さえながらガノトトスの脚に全身を持って叩き込む。
「ギュゥゥ……ッ!」
怯みはしたものの、脚を断つには至らなかった。
整備不良か切れ味不足か……惜しいな。
だがそれでいい。俺はバランスを崩したガノトトスに向かってタックルを放った。
「ギュオオオッ!?」
倒れて跳ねるガノトトス。上に乗って押さえつけようとするも、暴れまくるはヒレのトゲが危ないはで上手くいかない。こいつのヒレには睡眠毒があるからな。食らったらほぼ終わりだ。
「ッハァ!」
俺が離れたタイミングで、隙だらけのガノトトスをハンターちゃんが突きまくる。
「ギュゥ……ウオゥ!」
「グッ!」
反撃に尻尾を振って攻撃するガノトトスだが、殴った脚が痛むのか勢いが落ち、難無くガードされている。
成る程、骨にはダメージがいってるのか。ならやりようはあるな。
もう一度駆け、今度は反対の脚にリュウノアギトを叩き付ける。ガノトトスは避けようとしていたが、痛む脚がその行動を阻害したようだ。
「ギュイイイッ!?」
両脚を強く殴られた事で自重を支えられなくなったのか、ガノトトスが崩れ落ちる様にして腹這いになる。
ほら、チャンスだぞハンターちゃん。
ガノトトスの首を落とすべく立ち上がり、リュウノアギトに体重を掛け、ギロチンの様にして叩き付ける。鱗を数枚割り、肉を打ったが、断つには至らなかった。
だが隙は出来た。ハンターちゃんに目を向ければ、言うまでもなく柔らかい内側を攻撃していた。
そうしてガノトトスを攻撃していると、地上は不利と悟ったのか水中に向かって這いずり出した。
水中……しめた!
リュウノアギトをそのへんに放り投げ、ガノトトスを追って水中へと飛び込む。
すると、先に飛び込んでいたガノトトスと目があった。どうやら誘い込まれたようだ。
だがそれも好都合、ガノトトスの頭を押さえつけると、その耳元で
「ギョワアアアアアッ!?」
驚き水面に飛び上がり、そのまま落ちてくるガノトトス。
荒ぶる波を泳ぎ抜き、その隙だらけの
俺は魚を捌くのは初めてだが、前世でそっち系の動画を見てたので何と無く分かるんだ。
魚の弱点は鰓だ。凄いんだぜ、魚の鰓って肺や静脈見たいな役割なのに剥き出しだからな。
ガノトトスの鰓蓋は鋭いが、俺の鱗のが頑丈のようで。
そのままを奥まで腕を突っ込み、鰓を鉤爪で切った。
「ガアッ……ゴホッ──」
瞬く間に血に染まる海。このまま血抜きも済ませとこう。
そうしてガノトトスの下処理を済ませて上がると、ハンターちゃんが驚いた様子だ見てきた。何だよ。
「……生きてた」
そう言ってホッとした様子で武器を納めるハンターちゃん。
……もしや、あの血溜まりを見て俺がやられたと勘違いしたのか? ……俺の強さをご存知ないッ!?
心外だわ~なんて考えつつ、動かなくなったガノトトスを陸地に引き摺って上がる。
途端、ルドロス達が歓声を上げる。見上げる程の巨大な獲物に歓喜しているようだ。
……てな訳でさ、こいつくれない?
「……はぁ~……良いよ。倒すのが目的だし」
サンキューハンターちゃん! それじゃ御礼に一番美味しい所あげるね。
ガノトトスを横向きに倒し、鉤爪──でやると汚れるな。
放り投げたリュウノアギトを回収し、海水で洗った後にガノトトスを捌き始める。
大剣を咥えて柄を右前脚で引くことでテコの原理を利用する。ガノトトスの尻から刃を入れ、逆包丁──逆大剣? で腹を開いて行く。
腹から出てきた赤ちゃんガノトトスの首を圧し折りルドロス達に与えながら、ガノトトスの──魚の一番美味い場所を鉤爪を使って削いでいく。
よし取れたぞ、ガノトトスの大トロ!
毒見も兼ねて一口食べれば、その旨味に思わず涙を流した。
マグロ……ああ、これはマグロだ……!
……そうだ。俺はこの世界の美味を知るために生きてきたんだ……間違いない!
幼少期の夢を思い出し、未知の旨味との出会いに涙を流す。
この感動を分かち合いたく、流れた
「えっ……分かった……」
俺の顔と大トロを交互に見た後、覚悟を決めた様子で大トロに手を掛けるハンターちゃん。
……あれ、モガの村に魚の生食文化あったっけ?
「あむ──!?!?!?!?」
「……そんなに美味いっチャ? ならオレチャマも──!?!?!?」
「ンバー! ミーも──!?!?!?」
剥ぎ取りナイフで小さく切り出した大トロを食べるハンターちゃん達。その直後、三人して宇宙を見たかの様な表情で固まってしまった。解るよ、人生観変わるよな。
そうしてハンターちゃん用にお頭を切り取り残しながら、俺達はひたすらにガノトトスを食べまくるのだった。
解体中、ガノトトスから大水袋を取り出した。
そしてガノトトスの水流ブレスを思い出したその時、ふと閃いた! このアイデアはこれから先の戦いに
そうして俺は、水流ブレスを使えるようになるために修行を開始するのであった。
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追記︰主人公が大剣を持つところに違和感を持つ人が多かったので、それらしく編集しました。