ロアルドロスに転生した話   作:黒木箱 末宝

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【大トロ三昧の話】を含む主人公が物を持つ話を修正しました。


あれがバレた話

「ピー!」「ピュイ!」「ンアー」

 

 そうだよー、そうやって蟹とか貝とか取るんだ。そう、上手上手! お前はサボるな。

 

 太陽の位置にたぶん昼頃。赤ちゃんルドロス達が大きくなってきたので、将来の為に鉤爪や尻尾の出っ張りでの潮干狩りを教えていた。それにプラスして、掘り出した貝とか蟹で狩りの練習をさせている。

 サボりの一匹を除いてどんどん上達して行く。これで大きくなっても飢え死はしないだろう。

 

 ん? あ、まてまてまて! それは食べちゃダメだから!

 

「ピー?」「ピュイ~?」

 

 赤ちゃんルドロスが毒のある蟹を食べようとしてたので止める。噛み付く既の所で止めることが出来たが、赤ちゃんルドロス達は何故止められたか分かっていないようだ。

 毒と言っても伝わらない様なので、食べると死ぬと教える。

 

「ピッ!?」「ピュイッ!?」「……オーウ」

 

 それで伝わったらしく、赤ちゃんルドロス達は毒蟹から離れた。

 ……ふと、俺はロアルドロス亜種を思い出した。もし俺の考えが間違っていなければ、これでこの子は亜種にならないだろう。

 

 

 

 翌日。何時も通り魚釣りをしに来た村の子供を眺めていると、何やら子供達が慌てだした。そんな子供が三人で竿を引っ張っているので、それ程の大物でも釣れたのかと思って静観していたら、なんとチャナガブルを釣り上げたのだ。

 

 ……これは見逃せないな。やたらとルドロス達が減ってると思ったら……コイツが居たからか。いなくなったルドロス達は皆好奇心の強い奴等だった。だから何かあったと思ったが……どうりでねぇ。

 

「ガァッ!?」

「フン……オウ!」

「あ、ありがとう!」

 

 釣り上げられてビタンビタンと暴れるチャナガブルの頭を思い切り踏みつける。その隙に逃げるよう子供達に一鳴きすれば、賢い子供達はちゃんと指示に従い逃げ出した。

 

 ……さて、お前もたらふく食ったんだろ? なら今度はこっちの番だ。悪く思うなよ。

 

 

 

 チャナガブルの解体に苦労しつつ、ルドロス達に胃袋を見せないよう遠くへ投げ飛ばす。困惑するルドロス達に汚ねぇゲロが入ってたと言えば、関心は切身の方へと流れた様子。

 

 ……分かっちゃいたが、やっぱキツイな……。

 

 まあ、今は食事だ。チャナガブルの元ネタ的に美味いのは間違いない。それはある意味救いだろう。

 

 ……ん? どうしたお前達、口に合わなかったか?

 

「……オウ」「ピャーン」「ピィー!」

 

 ルドロス達の食いが悪いなと思って聞いたら、ガノトトスの方が美味しかったと言ってくる。……解るよ、こいつ生だとこう……あれだもんな。

 

 そしてその日の夜。またガノトトスが食べたいねーなんてルドロス達と話していると、なんとそこへガノトトスが襲来した。途端、俺を応援しだすルドロス達。

 

 そうして前と同じ方法でガノトトスを狩ると、俺達の晩御飯はパーティーになった。

 

 ……こいつもルドロス達を食ってたのか……ハァー……。

 

 

 

 度重なる自然淘汰に納得しつつ、それはそれとして気分は下がる日々。だが、孤島やモガの森の夜は今日も大盛況だ。

 エサが豊富だとどこから察知したのか、見慣れぬモンスターも続々とやって来ている。落ち込んでる暇がありゃしない。

 

 溜め息を吐きつつ、目の前から転がって来た赤い玉──ラングロトラに向かって水ブレスを放つ。

 

「ギョアッ!?」

 

 あれから更に鍛え、水ブレスをますます強力に放てるようになった。発射音がガノトトスのそれに近くなり、威力もそれらしくなってきた。

 

 ……いやータマミツネのサイズで水流ブレスが撃てるなら行けるだろうと思ったが……いよいよ完成に至りそうだ。興奮してきたな。

 

 そうしてドスバギィなど厄介なモンスターを相手に水流ブレスの練習をし、そのついでに撃退したり仕留めたりを繰り返した。

 

 それにしてもドスジャギィのやつめ……俺にドスバギィを擦り付けるとは、ますます狡賢くなってるな。まあ、御礼なのかアプトノスくれるから許すけども。

 

 そうしてアプトノスを食べていると、何故かエリア5番にボルボロス亜種が現れた。慣れない環境に移動して来たためか、気が立っている様子。

 

 ちょうど良い、取っ組み合いの練習相手になってもらおう。

 

 

 

「グゥ~~……ギュオオオオッ……」

 

 負け惜しみの様な鳴き声を上げて逃げるボルボロス亜種。

 

 俺の勝ち。……うん、結構デカかったから久し振りに楽しめたな! 良し、このまま他のモンスターと──おおっ!?

 

 テンションが上がり、つい次の相手を求めてしまった。そんな内心で調子に乗ってところに、モガのハンターちゃんとユクモのハンターちゃんが現れた。……何で!?

 

「うわ、大水獣だ」

「興奮してますニャ」

「警戒するニャ」

 

 二度目の遭遇だからか警戒するユクモ一行。うわって何だよ……てか、大水獣?

 

「こんばんは。ん……ああ、大水獣はあんたのこと。ギルドでそう呼ばれてるの」

「渾名付きっチャ」

「スペシャルだンバ!」

 

 首を傾げた俺に、大水獣の意味を教えてくれるモガのハンターちゃん。そんな気楽な雰囲気で警戒する様子の見せないモガの一行……いや、目はちゃんと俺を見ている。舐めてないな、良し!

 

 それにしても……ふーん、大水獣ねぇ。もうちょっとこう……捻りとかない? ……そんなもん? ……にしても、何で二人がここに?

 

 二人を交互に見て首を傾げれば、モガのハンターちゃんが理由を教えてくれた。なんと、ジエン・モーランのクエストで出会い、そこで共通の話題(俺)で盛り上がって意気投合。そしてモガの村で再会し、孤島のクエストついでにモガの森を案内してたんだと。

 

 へー……そういうの良いのか? まあ俺には関係ないしいいか。

 

 一人納得していると、俺とモガのハンターちゃんが会話をしているのを見て、ユクモのハンターちゃんが感心したように言った。

 

「ほんとに賢いねー」

「うん、凄く厄介……あ、そういえば」

「ん? どうしたの?」

「これ、ユクモの文字に似てるの。読める?」

「えーっと、なになに~?」

 

 厄介と言う言葉に理解を示していると、モガのハンターちゃんが前に教えた文字の書き写しをユクモのハンターちゃんに見せた。

 

「……ん? あれ、これひょっとして……ちょっと貸して!」

「ん、何かわかったの?」

 

 すると、ユクモのハンターちゃんが何かに気付いた様子で、モガのハンターちゃんからハンターノートを借りてひっくり返し、内容を読み始めた。……え、読めるの!? マズイッ!!

 

「……うん、読める……読めるよこれ!」

「ッ!? やっぱり、ちゃんとした文字だったんだ……! それで、なんて書いてあるの?」

「ちょっとまっててね──えーっと『みつりょうしゃ に おそわれた。ぜんいん たおした。ギルドナイト に あった。つよそう でした』……これマズイやつじゃん!?」

「密猟者に……ギルドナイト? ……え、倒したって……」

 

 文字が読めることに驚く俺と、ギルドナイトについて知ってしまい慌てるモガとユクモのハンターちゃん。

 モガのハンターちゃんは密猟者を倒したと書いてあるところが気になるようで、恐る恐る俺を見てきた。

 

 ……忘れてないと思うけどさ、俺モンスターなのよね。

 

 牙をチラつかせ鉤爪を動かして見せれば、モガのハンターちゃんも俺という存在を再確認したらしい。俺を見る視線に畏怖が含まれ始めた。そうだ、モンスターとハンターの関係はそれでいい。

 

 そうしてモンスターとハンターのコミュニケーションを取っていると、ユクモのハンターちゃんが次のページを開いた。……次のページ? ……あっ!?

 

「……これは?」

「え……あ、それはこいつが……大水獣が書いて直ぐ消したやつ。最後の文字で爪がブレてたから、たぶん禁忌の何かだと思う」

「……禁忌……ねぇ……?」

 

 ちゃんと消したのに書き写してたのかッ! クソ……恐るべし優秀なハンター。

 

 焦る俺に、咎めるような視線を向けるユクモのハンターちゃん。豊満ムチムチナルガS装備でその目を向けないでくれ……興奮しちゃうじゃないかッ……!!

 

「それで……なんて書いてあるか読める?」

 

 あーダメです! 言っちゃダメなやつです! お分かりユクモの、セクハラですわよ!?

 

「……うん、読めるよ。これはね──って言って、男の──の崩した言い方で──」

「え──あ……あれの──え……ッ!?」

 

 ユクモのハンターちゃんが呆れた様子で俺を睨み、モガのハンターちゃんに耳打ちしてネタバラシした。

 

 ……あーあ、まあ良いか。……にしても、()()()()が禁忌ねぇ~……文字数と『ん』と最後のカ行しか合ってねぇじゃん。

 

 そんな若気の至りの下らないセクハラを真面目に考えていたとか信じられなかったが、ユクモのハンターちゃんによって詳細な説明をされ、その度に怒りと恥辱で段々と赤くなって行くモガのハンターちゃんの顔を見るに、相当お冠な様子。

 

「ニシシ……!」

「……ねぇ……あの文字が……その、男の人の……その()()のことって……ホントなの……?」

 

 全ての説明が終わったらしく、ユクモのハンターちゃんはニヤニヤしながら下がる。モガのハンターちゃんはプルプル震えながら俺を睨みつけ、自身の下腹部を指さしながらそう聞いてきた。

 

 ……さて、どう答えるべきか……ストレートで良いか。

 

 俺がモガのハンターちゃんに向かって、舌出してウインクした。可愛い悪戯心さ、許して?

 

「ッ〜〜〜変態ッ! 変態ッ! 変態ッ!!」

「ア゙ア゙ア゙~~~~ッ」

「アッハッハッハッ!!」

「御乱心ですニャ!」

「……これは狩猟じゃないからいいニャ」

「ンチャ?」

「ンバァ?」

 

 許されなかった! モガのハンターちゃんはランスを抜くと、(たてがみ)に向かってそれを振り下ろしたのだ!

 とはいえ理性は働いているらしく、殆ど力は込められていない上にスナップも効いてない。何なら刃も立てていない、軽めの峰打ちだった。本気で刺しに来たら文字通り裸縛りでバトルだったぞ。

 

 ……にしてもこの感覚……なんか懐かしいな。

 ……あれだ、下ネタ言ったら「ちょっと男子!」て言いながら本気目で肩を叩いて来た女子とのあれだ。

 女子側が割と本気なのに、男側に殆どダメージがないとこまでそっくり……これが青春か……。

 

 

 

 そうして気が済むまで俺を叩いたモガのハンターちゃんは、鬣から吹き出た水を被って水やられになりながらも、本来の目的であるユクモのハンターちゃんの案内をしに行った。

 

 尚、ハンターノートに書いてある内容とか、ユクモの文字とは違うのに読める言語とかの問題を抱えきれなくなった二人は、面倒を避ける為に今回の事をなかったことにしたようだ。

 何で知ってるかって? クエスト終わりのハンターちゃん達に愚痴られたんだ。大変だね君たち。




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