ロアルドロスに転生した話   作:黒木箱 末宝

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短時間で閲覧数とお気に入りが増えたので驚いて書いちゃいました。


縄張りを勝ち取った話

 孤島に到着した俺は、まず先に周囲の確認をした。

 だってそうだろ? 今は誰も居ないとは言え、ここも誰かの縄張りかもしれない。

 

 ……誰もいない? おかしいな、普通ならルドロスやエピオスぐらいいてもいいはずなんだが。

 

 エリア10の地上に飛び上がって上陸する。そうして周りを見ても、ルドロスやロアルドロスの足跡が見つからなかった。

 

 ……ん? この大きな這いずり跡にこの爪痕……ああ、成る程。そりゃエピオスもルドロスもいないわけだ。

 

 MH3では存在しなかった痕跡システム。だがここは現実。ゲームにはなかった生き物の気配が、自然に色濃く存在している。

 そして俺が見付けた痕跡は、この孤島に奴がいることを教えてくれた。

 

 ……見に行くか。

 

 そうして俺は、痕跡を追って今一番の脅威を確認しに行くのだった。

 

 

 

「ギャーオッ!」「ギャー!」

 

 海岸から進み、広場に到着。そしてそこには案の定奴がいた。

 

 海竜ラギアクルス。

 

 そいつはジャギィに吠えられて昼寝を邪魔されたからか、苛立った様子で吼えた。

 

 やっぱいたかラギアクルス。……てことは……いた、ハンターと……チャチャ。

 

 見覚えのある状況に孤島のキャンプから通ずる道を見れば、そこにはボルボロスの武器と防具を装備したハンターと、そのハンターのオトモである奇面族の子供がいた。

 

 へー、女ハンターか。しかもランス。良いよなランス。俺もトライでランスに嵌まった口だもん。チャチャは……チャチャだな。

 

 そうして眺めていると、ハンターは抜刀し、チャチャは勇敢にラギアクルスへと挑みかかった。

 

 ハンターとチャチャとラギアクルスの戦いを9番エリアの通路からコッソリ眺めていると、俺の頭にある考えが浮かんだ。

 

 このままハンターやチャチャと共闘してラギアクルスを追い出すor討伐すれば、名実共に孤島の海側は俺の縄張りになるのでは?

 

 こうしちゃいられねえ! おーいハンターちゃーん! チャチャーー! 俺も混ぜてくれーー!! おおっどっせぇーーいッ!!

 

 狂走エキスの恩恵にあやかり、地を駆けるコモドドラゴンの様に走ってラギアクルスへと全力のタックルをブチかます。

 

「ッ!?」

「ンバッ!?」

「ゴアッ!?」

 

 驚くハンターとチャチャ。吹っ飛ぶラギアクルス。突然現れてラギアクルスをふっ飛ばした俺を、ハンターとチャチャは呆然と見上げていた。

 

 ……うーん、何だろうなぁ……走ってる時に感じたけどさ、()()()()()()()()()()()()

 

 気を取り直し真横でランスを構え警戒するハンターと、その後ろに隠れるチャチャを放置して、俺は改めてラギアクルスを見た。……うーん……やっぱちっちゃいな。もしかして最小金冠か? タックルする前に見たけど、妙に頭の位置も低かったし……まあいいや。

 

 背殻と肩が地面に変なはまり方したのか、ラギアクルスはダウンしたように腹を見せて藻掻いている。隙だらけのその胸に張り手を放つと、なかなか良い手応えが帰ってきた。

 

 うーん、あれだな。このラギアクルスならハンターやチャチャも居るしいけるわ。

 

 ある意味慢心した状態で、俺は起き上がったラギアクルスに敵対の咆哮を放った。

 

 

 

「グオオオオッ!」

「グッ……! やあッ!」

「ヂャバー!?」

 

 ラギアクルスの突進をローリングで避ける。俺の背後で警戒していたハンターに迫るが、ガードが間に合い、即座に隙だらけのラギアクルスに突進していった。チャチャはダメだった。

 

 それにしても攻めっ気のある良いハンターだ。声も良い。

 

 ハンターに続いて俺もラギアクルスに突進をする。攻撃の瞬間、ハンターが攻撃を止めてサイドステップで距離を取った。やっぱ出来るな、このハンター。まだ村クエ下位の真ん中らへんなのに。

 

 怒りに咆哮を放つラギアクルス。

 

 隙だらけのその口に、俺は水ブレスをぶち込んだ。

 

「ゴボオッ!?」

 

 急に口内に飛び込んだ水が変な所に入ったのだろう。ラギアクルスは異物を吐き出すべく噎せ返った。

 

 ほら今だぞハンター、チャンスを利用しなきゃ。

 

 ハンターをチラ見すると、それが分かっていたのか突撃を開始していた。ハンターのランスが下がっていたラギアクルスの頭を突く。

 

「グオオオオッ!?」

 

 痛みに怯むラギアクルスに俺は巨体をぶつけて隙を延長。ハンターの攻撃を誘ってヒットアンドウェイを繰り返す。

 

 いやーやっぱゲームとは違うな。ハンターも知らない武器の振り方して攻撃してるし、チャチャも臨機応変に戦ってる。ラギアクルスも妙に動きが遅いが、ゲームでは見たことがない攻撃で俺達を迎撃してくる。良いね、この世界。生きてる感じがすっごくする。

 

 ゲームと現実の齟齬を味わいつつも、その両方の良さを利用して戦う。ラギアクルスのブレスをハンターの後ろに隠れる事でやり過ごし、逆にハンターの危ない所を俺が妨害して助けたりもした。

 

 そうして何度も攻撃を繰り返し、遂にラギアクルスを撃退した。

 

 地を駆ける海に向かって逃げるラギアクルスを眺めつつ、俺は妙に感じた違和感について考えた。

 

 うーん、やっぱ何か変だな。俺が強くなり過ぎたとか? いやそんな……まぁ、いいか。

 

「はぁ……はぁ……」

「ふぅー……ふぅー……」

 

 疲労しているハンターとチャチャを一瞥し、俺はラギアクルスを追いかけた。そして奴が完全にフィールドから出るのを見送ると、縄張り争いに勝利した事を告げる咆哮を放った。

 

 これで憂いはなくなった。今日からここは俺の縄張りだぜぇ! ヒャッホーーー!! よろしくーーーー!!!

 

 

 

 ■

 

 

 

 その日、私は未知に出会った。

 

 

 原因不明の地震に悩まされているというモガの村に派遣された私は、先ず狩猟フィールドである孤島──モガの森に慣れるべく、村の依頼を熟していった。

 

 村長の息子を探し、アプトノスから剥ぎ取った生肉を渡す。

 狩猟の拠点であるキャンプの修理を手伝い、加工屋のお爺さんに勉強を教わり、(モリ)で大きな(マンボウ)を獲った。

 

 そうしている内に準備が整ったのか、村の看板娘であるアイシャが漸く依頼(クエスト)を持ってきた。

 

 そしてモンスターのキモの納品をするクエストで、私は遂にラギアクルスと対峙してしまった。

 

 怖かった。水中に浮かぶ巨体が。赤く光る目が。

 

 そんな私を甚振るように、ラギアクルスは緩慢な動きで私を痛めつけた。這う這うの体で戻った私を、村の人達は優しく慰めてくれた。

 

 それが酷く悔しかった。

 

 それからだった。私はクエストをこなしながら、どうやったら奴に──ラギアクルスに勝てるかを考えた。

 

 用意された初期の武器を手にモガの森や海で試し、そこで私はランスが水中でも有利に戦える事に気付いた。

 

 そして生意気だが頼もしいオトモのチャチャと出会い、大型モンスターを狩猟し、装備を整えた私に、ある依頼が届いた。

 

 ラギアクルスに挑め!

 

 装備も整い、武器も使いこなし、頼もしいオトモを得た私の背を押すかのような名前のクエスト。ラギアクルス撃退依頼。

 

 出来るだけの準備を整えた私は、奴がいるであろう場所に向かった。そしてそこに奴がいた。

 

 余裕があるのか、広いフィールドのど真ん中で眠るラギアクルス。奴はジャギィに起こされ不機嫌に軽く吼えた。

 

「……あいつじゃない……」

 

 奴とは違って小さく見えるラギアクルスは、私を見付けて吼え、襲い掛かってきた。

 

「ゴオオッ!」

「ッ! やあ! はあ!」

「ハイヤァ!」

 

 ラギアクルスの攻撃を防ぎつつ、カウンターで攻撃。そこにチャチャが追撃をいれる。

 

 やっぱりあいつじゃない。それなら……よし、私は戦えている。もう負けない!

 

 そうしてラギアクルスに対峙していると、海側のエリアからバシャバシャと水を跳ねる音が聞こえてきた。

 

 そして現れたそいつは、ラギアクルスに体当たりをして、あろうことかそのまま跳ね飛ばしてしまった。

 

「……ロアル……ドロス」

 

 私の側に立つそいつは、間違いなくロアルドロスだった。だけど普通じゃなかった。

 先ず何より、大き過ぎる。見上げてもなおトサカの見えないロアルドロス。以前に他のロアルドロスを狩猟したが、ここまで大きくはなかった。

 そして獰猛過ぎた。いくら体が大きいからと言っても、ラギアクルスは電気を放つ。弱点属性ではないと言っても、種族的な差は大きいはずで、ロアルドロスに勝ち目は無いはずだ。

 

 しかしそいつは、あろうことかラギアクルスに吼えた。まるで俺の方が強いと言わんばかりに。

 

 それからは不思議の連続だった。ラギアクルスの突進を素早く避けたり、私の攻撃に合わせて隙を作ったり。私を盾に利用したり……私を助けたり。

 

 そして奇妙な共闘の末、ラギアクルスは撃退。不思議なロアルドロスは私達を知性の感じる目で見ると、ラギアクルスを追って海へと進んでいった。

 

「……何て報告しようか……」

「チャチャ……」

 

 新たに湧いた問題に頭を痛めつつ、私は少しスッキリとした気分で村へと帰るのだった。




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