ロアルドロスに転生した話   作:黒木箱 末宝

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主人公、ぶっ狩りモードへ移行。


混沌とし始めたモガの森の話

『ギャアアアアア~!!!』

『ハアッ!』

『チャバ~!』

『ンバァー!』

 

 孤島の昼、エリア5番からハンターちゃん達とリオレウスの争う声が聞こえてきた。

 

 お、やってんね~。……ん? チャチャの被ってるあの面……そうか、もうそんなところか。

 

 エリア9番からその様子を覗き見る。すると、ボルボSとボルボロスのランスを装備したハンターちゃんが、リオレウスを狩猟していたのだ。そしてよく見ると、チャチャが何やら変な仮面を被っている。それを見て、俺は村クエの終わりが近い事を察した。

 

 てことは……ああ、憂鬱だ。これからモガの森が一層賑やかになっちまう……ハハッ……急がねばッ!

 

 俺は今後を憂い、この先のフザケた大自然に殺されないために更に自身を鍛え始めた。

 モンスターハンターもそうだが、物事には難易度が存在する。そして、後半に行けば行くほどにその難易度は上がり、対応する存在の危険度も総じて上がって行くのだ。

 

 それだけなら何も関係がないんだが、この世界はモンスターハンターで、しかもここはMH3Gのエリアだ。それに何の関係があるって? それはね、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。……時おりこの世界が現実なのかゲームなのか分からなくなる……嫌んなるね。

 

 このままハンターちゃんがクエストをクリア──村上位クエストのリオレウスを倒せば、必ず今夜くらいには上位クラスの別個体のリオレウスが現れる。それにより、モガの森の縄張り争いが激化することは避けられないだろう。

 

 そんな事を考えながら海に到着。ルドロス達に異常はないか聞き、問題無いと聞いたら直ぐ海に飛び込む。

 そしてエリア11番の水中のド真ん中でとぐろを巻き、ひたすらに水を吸収して水袋の拡大を目指す。感覚的にはもう大水袋を超えているが、それだけじゃ足らないだろう。

 そうして、無理矢理押し広げた水袋の圧迫感に呻きながら、俺はひたすらに強くなるために体を鍛え続けた。

 

 そしてその日の夜。案の定、大陸側から強者の気配を隠さない自信家のリオレウスが現れた。それはまぁ分かっていたんだが、そこで何故かリオレイアとリオレイア亜種の争う声が聞こえて来たんだ。

 ……まさか、強い雄を求めてリオレイア同士が争っている? まさか奴等も繁殖期か? どうでも良いけど夜は静かにしてほしいものだ。

 

 

 

 ある日の昼。海から強い存在感を放ちながら、一匹のラギアクルスが襲来した。結構久し振りに見る強者の感覚に特訓の成果を試せるとウキウキして準備していたのだが、そこにハンターちゃん達も現れた。

 装備も一新して気合が入っている様子。首に見える護石や装備に付けられてる装飾品を見るに、結構本気なのが解る。

 

 ようハンターちゃん、アグナSにアグナコトルのランス? 似合ってるねぇ。俺もMH3の最終装備それだったから分かるよ、ランスはそれになるよな。……それで、今日は何しに?

 

「……リベンジ。今度は一人でやる。邪魔しないで」

 

 俺がそう気楽に話しかけると、ハンターちゃんは海中を指さして答えた。あー……成る程……ちょくちょく乱入してたの結構気にしてたりするのか……悪いね。

 

 ハンターちゃんに了解を伝えるため、俺はその場で前脚を組んで眺める姿勢を取った。それで伝わったらしく、ハンターちゃんは頷いて海中へと飛び込んで行った。

 

 海中に顔を突っ込み、気配を出来るだけ抑えてハンターちゃんの狩りを眺める。そしてその立ち回りでハンターちゃんの成長を見て、強く成ったね~なんてしみじみしつつも、ある疑問が浮かんできた。

 

 ……あれ、無傷で追い詰め始めた……これは……マズイねぇ、俺でも無傷はキツイかもしれん。

 

 それは、今のハンターちゃんの腕前を見て感じた危機感だった。アグナSの攻撃性能に、恐らく護石と装飾品でガード関係も盛っているのだろうから、攻めや守りに隙が少ない。

 普通のモンスターなら、殆ど攻め切れずに削り切られるだろう。現にラギアクルスはもう瀕死になっていた。

 

 そうしてハンターちゃんは、貧血でフラつくラギアクルスのその隙を突いて痺れ罠を仕掛け、捕獲を完了するのだった。

 

 ……俺もうかうかしてられないね……さて、水流ブレスの練習を始めるか。……今より強くなるためには……より食らい、より鍛えるしかない……だからまぁ、仕方無いってことで。

 

 狩猟完了の信号弾を放ち上がってくるハンターちゃんを眺めながら、俺は今後一切のモンスター達に対する遠慮を辞めると決めるのだった。

 

 

 

 そしてある日のこと。孤島に揃って現れたラギアクルスとガノトトスを食べていると、何やらエリア5番から聞き覚えのある咆哮が聞こえてきた。ディアブロスが現れたようだ。

 

 ちょうど良いところに来た! いやー取っ組み合いの訓練にボルボロス達じゃ物足りなくなってきたんだ。

 

 ルドロス達に残りを食べても良いと許可を出す。そして俺は腹ごなしも兼ねて、ディアブロスに縄張り争いを仕掛けに行くことにした。

 

「ッギャアアァァァァアァァァァァ!!!」

 

 軽くランニング感覚で走りながらエリア5番に到着。

 するとそこには、ボルボロスを踏み付け、その亜種を角に突き刺し掲げて叫ぶ、巨大なディアブロスがいた。俺の方がデカいとはいえ、中々のサイズだ。

 

 それがよぉ……お前、折角の俺の遊び相手を……何も殺す事は──いや良いか。俺もお前を殺すし。

 

 自分の存在をアピールする様にバシャリバシャリと音を立て、ゆっくりとディアブロスに近付いていく。

 

「グルルル……? ッグアアアア!」

 

 その音でようやく気付いたようだ。ディアブロスは俺に威嚇すると、頭を振りかぶり角に刺さっていたボルボロス亜種を投げつけて来た。

 

 ハッ! そんな見え透いた攻撃──ナニィィィィ!?

 

 投げつけられたボルボロス亜種を飛んで避けると、なんとその向こうからディアブロスが突進して来ていた。死体を使った目眩ましと突進の合わせ技……こいつ、出来るッ!!

 

 だが俺もただではやられない。既にチャージを済ませていた攻撃を放つべく、着地と同時にディアブロスに向けて全力の水流ブレスを放つ!

 

「グッ──アオオッ!?」

 

 水流ブレスはディアブロスの突進を止め、角を撫でる。

 そして、たったその一撃でディアブロスの片角を切り落としてしまった。真正面からの高水圧と、突然軽くなった頭部にバランスを崩し、ディアブロスは転んでしまう。

 

 ──あ、ええ……? これだけで!?

 

 しかし、俺は水流ブレスのあまりの威力にドン引きし、その隙を見逃した。その間にディアブロスが立ち上がる。

 

「オオッ! ……ウオオ? ──ッギャアアアアア!?!?」

 

 しかし妙に軽くなった自身の頭や、俺が見つめる先に落ちていた自分のものらしき角を見て、ディアブロスは混乱と怒りに叫びだした。

 

「グルルル……ッギャアアァァァァアァァァァ!!!」

 

 退化した火炎袋から黒煙が漏れ出す。角を振りながら叫びだし、半円を描いて俺を睨む。怒り状態のディアブロスは、完全に俺を殺しに来るようだ。

 

 上等! その方がやり甲斐があるぜ!

 

 勢いをつけて突進して来たディアブロス。その牙に注意しつつ、俺は残りの角を脇にはさみ、頭角に掌底モドキをぶつけて受け止めた。

 

 グググッ……退化しかけの後ろ脚と尻尾じゃキツイな……だが止めたぞ!!

 

「グルルル……オオオオッ!!」

 

 ディアブロスも更に踏み込み、牙を突き刺そうとしてくる。

 お前が突進に(こだわ)るなら、俺にも考えがあるぜ!

 

 ディアブロスの角を放さないよう確りと抱え込み、掌底モドキをぶつけた前脚でディアブロスの頭殻──あの襟巻きの様な部分を掴み爪を食い込ませる。

 

 いくぞディアブロス! オリャー!!

 

「オオオアッ!?」

 

 頭殻を引っ張り、角に体重を掛けて押し込む。そしてその勢いを利用して、お得意の回転を加える! そうして俺は、ディアブロスの頭で偶然にも帯取返(おびとりがえし)の様な技を放ったのだ!

 

「グッ……ガアアア──ッ!?」

 

 突進の力を下方にずらされ、首を支点に強制でんぐり返しをする様に倒れるディアブロス。そして負けじと抵抗して首に力を入れた──それが不味かった。

 

 ディアブロスの首から、バキッ! という異音が鳴り響いたのだ。

 

 途端、力を失った体がくの字に畳まれたディアブロス。その状態で頭を押し潰され、更に投げられた事で状態は悪化。ディアブロスは即死した。

 

 どうだディアブロス! ……ディアブロス? ……し、死んでるっ!?

 

 こうして俺は事故の様な勝ち方でディアブロスを仕留めるのだった。

 ……目的が目的なので、殺されたボルボロスとその亜種、殺したディアブロスは頑張って持ち帰り、その殆どを食べきるのだった。




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