評価とお気に入り登録、感想とここすきをありがとうございます。
リオレウス亜種の登場により、雄を巡る争いに終止符がついた火竜の夫婦達の喧騒を楽しみながら、今日も今日とて夜の見回りをしている。
悪臭吹き出すウラガンキン亜種に刃が立たず、その臭いに鳴き叫ぶナルガクルガ。
そして、その騒ぎにキレたディアブロス亜種による突き上げをくらい、面白い格好で空を舞う二匹の大型モンスター。
そんな三匹の共倒れを願いつつ、漁夫の利を狙う俺。
……うん、今日もモガの森は
ディアブロス亜種によってボコボコにされているナルガクルガとウラガンキン亜種を見捨て、俺は巣へと戻った。
あのモンスター達がモガの森に現れたということは、近い内に区切りとなるクエストが始まると言う事。
それに備え、俺は英気を養おうとしているのだ。
翌日の昼。強くなりたいと訴えるルドロス達を連れて、俺はエリア7番に来ていた。
「ピィー……」「ピュイー……」「ウオッ!?」
初めて目にする光景に、ルドロス達は──一匹を除いて──好奇心を刺激されていた。
……お前は何してんだ? ふむ、茸を食べた? それマヒダケだぞ。
将来が心配になる間抜けなルドロスを咥えて運びながら、それぞれの気になる物を見せたり説明したりする。
それを遠巻きにジャギィが警戒している。
三匹体制で見回りをしているようで、その中から一匹が巣へと走って行った。恐らくあのドスジャギィに報告へ向かったのだろう。
ジャギィ達を目で追っていると、海側から何やら気配を感じたので海を見る。すると、白いラギアクルス──白海竜ラギアクルス亜種が泳いで来るのが見えた。
此処にラギアクルス亜種が現れたと言う事は、ついに村クエストに終わりが近付いてきたと言う事。現に、真剣な表情のハンターちゃん達も現れた。
「ッ……何で此処に……?」
ハンターちゃんの問い掛けに答える間もなく、俺はルドロス達を海側へと投げた。
「ピィー!?」「ヒィ~!?」「ウオーッ!?」
ハンターちゃんを睨み付けていたルドロスと入れ替えに、ラギアクルス亜種がさっきまでルドロス達がいた場所に降りてくる。
あのままハンターちゃんに対応してたら、どうでもいい所で子供達が死ぬ所だった。流石にもう減らす必要はないだろう。
「グルルルル……」
ラギアクルス亜種と
生息域がズレているとは言え、海に来ないわけではない。その時にルドロス達が害されないとは限らないので、ここでハンターちゃんの糧になってもらう。
「グルル……グオオッ──ガアッ!?」
口に電気を溜めて噛み付こうとしていたので、その前に顎をぶん殴った。
タイミングが噛み合いクリーンヒットした全力のビンタによって、ラギアクルス亜種は転倒する。
これでよし。じゃあねハンターちゃん、クエスト頑張ってね。
ハンターちゃんに背を海へと向かおうとしたその時だった。
「待って! ──危ないッ!」
警告に従い、横に転がって回避。
すると、さっきまで俺がいた場所に電気ブレスが着弾した。
「グルル……グオオオオオオオオ!!」
ぶん殴られたのが相当癪に障った様で、ラギアクルス亜種は俺を見逃す気が無い様子。怒りながらも冷静に睨み付けて来る。
これは仕方ないな。そんな訳で、久し振りの共闘といこうじゃないか。
「……遠慮しないから」
そう伝える様に隣に並べば、ハンターちゃんは渋々ながら了承してくれた。
しかし、ハンターちゃんの言う『遠慮しない』とはどう言う意味なのだろうか?
まあいいや、よろしくな!
「フン!」
「グオオッ!?」
「オアアアッ!?」
開戦の合図は、ハンターちゃんの投げた閃光玉だった。
遠慮しないってそう言う意味かよ!
■
「ハアアッ!」
閃光玉によって視界を防いでいるうちに、私は蒼火竜のランス──ブルーテイルを構えて突撃する。
このまま行けば白海竜の胸にランスが突き刺さり、大ダメージを与えられる。だが、そんな甘い考えが簡単に通るわけもなかった。
なんと白海竜は、私の足音に向けて頭を盾にするかのように差し込んで来たのだ。
「な──ッ硬い!?」
ガギン! という鈍い音を立て攻撃が弾かれる。通常種なら鱗の一枚ぐらいは持っていける威力のはずが、焦げ跡が少しついただけで終わってしまった。
「グオオッ!」
「マズッ!」
「「危ないっチャ/ンバ!」」
突進を弾かれて姿勢を崩した私に、白海竜が当てずっぽうで噛み付こうとしてくる。
ガードが間に合わない。チャチャやカヤンバも遠く、援護が間に合わない。
衝撃に備えようと体に力を入れた──その瞬間、白海竜の脇腹に大水獣の水流ブレスが直撃した。
「グオオンッ!?」
「ハァ!」
「ガアッ!」
不意に柔らかい部分へ攻撃を受けて怯む白海竜。
その隙を逃さず、私は今度こそランスを突き立てた。
「オウッ!」
「ん、ごめん……」
閃光玉の効果が切れたのか、大水獣が私を睨みながら吠えてきた。助けられた事もあり、素直に謝罪する。
謝意が伝わったのか、大水獣は白海竜へと向き直る。どうやら白海竜も閃光玉の効果が切れたようだ。
大水獣の隣に立ち、どう行動するか確認する。だけど、そんな私の思考を気にもとめず、大水獣は白海竜の顔目掛けて水流ブレスを放ったのだ。
「グオッガアアアアッ!?」
痛みに身を捩る白海竜。よく見ると、水流ブレスは常に目を狙って放たれていた。
(こいつ……攻撃に迷いが無いッ!?)
大水獣の容赦無い攻撃に驚く。こいつはこんなに容赦がない攻撃をする奴だっただろうか?
「ッグウオオッ!」
「カアッ! ──ウオッ!?」
大水獣の水流ブレスが止んだ瞬間、白海竜が反撃のブレスを放つ。大水獣はブレスにブレスをぶつけて相殺したが、何とその後にもう一発のブレスが放たれていた。
「ッオウ!」
「ギュイ!?」
「なっ!?」
大水獣は白海竜の電撃ブレスを防ぐため、我関せずとエサを探しに歩いていたオルタロスを捕まえ、投げ付けたのだ。
空中で電撃ブレスに当たり、空中で残骸とモンスターの体液を撒き散らすオルタロス。
その光景を、大水獣は楽しげに眺めていた。
「……おまえ……」
ルドロスの狩猟クエスト──あれを経て以来、大水獣の何かが変わった。それが何か分からないが、確実に大水獣にも影響を与えているんだろう。攻撃の節々に、途轍も無い暴力性が見て取れた。
墓を建てる程に大切にしていたであろう、大水獣の家族であるルドロス達。それらに手を掛けた私と、何故か変わらず接する大水獣。……それが今になって恐ろしく感じた。
現に今も、狩猟に集中せず考え込んでいる私を白海竜の攻撃から守ってくれた。いったいどうして?
「ウオウ!」
「ッごめん!」
大水獣に叱られた気がした。反射的に謝ると、大水獣は怪訝な表情を見せて白海竜に向き直る。
そして、二発目のブレスを放とうとする白海竜の口内にオルタロスを投げ込み、口内で暴れる
「ゴァ!? ゴホッガホッ!?」
不意打ちに虫と胸元へのブレスを喰らった白海竜は、何かしらが気管支に入り込み噎せだした。
「カアッ!」
「グオオオッ!!?」
そして次に放たれた大水獣の水流ブレスによって、白海竜の胸の鱗が削げ落ちた。あらためて見る大水獣の脅威に身が竦む。
「…………ッ」
「ンチャ……」
「ンバー……」
私は大水獣の命を雑に使う戦い方に、つい苦い顔をしてしまった。私達だって同じ事をしていると言うのに。
私達がアイテムとして命を便利に使っている様に、大水獣も側にある全てを武器や道具として使っている。それに何も問題は無い……ないのだけど……。
だがそのやり方が引っ掛かり、嫌悪感が湧いて出てしまった。
そして、そんな私の顔を見て、大水獣から笑みが消えた。
「ッ!?」
大水獣からしたら、少し気にした程度なのだろう。だが私は、大水獣から向けられた僅かな怒りに飲まれ、体が固まってしまった。
そんな私を放置して、大水獣は白海竜に向けて水流ブレスを放った。前脚を狙ったその一撃は爪を破壊し、白海竜を転倒させたのだ。
「オウッ!」
「──ッ、ハァ!」
「チャバー!」
「ンバー!」
そうして出来た隙を前に立ち尽くす私を大水獣が吠えて急かす。それに背を押された私は、余計な考えを捨ててブルーテイルを白海竜の胸の傷へと突き刺した。
「グオオオッ!?」
「……臭い……」
噴き出す血が武器から立ち上る炎に焼かれ、不快な臭いが鼻を掠める。だがそれが、余計な思考を断つのにちょうどよかった。
まともに戦い始めた私を応援するかの様に、大水獣は後に下がり、低威力の水流ブレスを連射して援護をはじめた。だが低威力といっても侮れない。その一発一発が白海竜の行動の開始動作を
お陰で私は戦いやすいのだが、白海竜はそうではないだろう。行動を阻害される度に白海竜の苛立ちが加速しているのが見て取れた。
「オオッ!」
「うわっ!?」
ついに痺れを切らしたのか、私を盾ごと尻尾で弾き飛ばし、大水獣へと蒼雷を纏って突撃する白海竜。
「待って!」
それは何方に向けて言ったのものだったか。白海竜の強力な一撃を向けられた大水獣か。それとも、大水獣に挑むのは無謀だと感じてしまった白海竜か。
「オオオッ!!!」
「ガッ!?」
大水獣は、白海竜の突撃に合わせて両前脚をその頭に叩き付けた。頭を支点に仰け反る白海竜。
大水獣は更に攻撃を続けた。白海竜の頭を持つと、立ち上がり背中から倒れ込んだのだ。
円を描く様に引っ張られた白海竜は、そのまま背中から地面へと叩き付けられた。
「……勝てないな」
白海竜の肋ごと心臓を押し潰し、勝利の咆哮を上げる大水獣を見て、私は大事な何かにヒビが入った気がした。
村クエ完!
後ちょっとで一旦の完結です。
それまでもそれからもよろしくお願いします。