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「こ、これって……」
モガのハンターは、足元へと落ちて来た血濡れの黄色い厚鱗を手に取った。
それは飛来した方向から見ても、間違い無く大水獣の鱗だ。
本来なら大水獣を大きく傷付けた成果のハズの血濡れの鱗だが、モガのハンターはそれを見て焦りのような感覚に襲われていた。
明確に言語化するならば“友がやらかした時の気不味さ”だろうか。
モガのハンターは隙だらけの大水獣を攻撃するとか、ユクモのハンターと合流するとかするとかの考えが浮かぶが、どうにも今の大水獣に近付きたいとは思えなかった。
そして当のユクモのハンターは、太刀を振り切った姿勢から動けないでいた。
ピチャピチャと音を立て、大水獣が傷を舐めている。
たったそれだけの、手負いの獣が傷の手当てにやる行動。
だというのに、ユクモのハンターは足元から駆け上がる寒気に襲われていた。
(傷を舐めて止血を試みている……目の前に
正気を疑い大水獣の目を見る。すると、噴火寸前の火口の様に滾る竜眼と視線がぶつかり、ユクモのハンターはバチリと弾ける鮮烈な火花を幻視した。
「ッ~~~~!?!?」
飛び跳ねる鼓動。それに突き飛ばされる様にユクモのハンターは大水獣から離れ、モガのハンターと合流する。
「うわ──大丈夫?」
「……私が、モンスターから逃げた……?」
モガのハンターは自身が一瞬見せた“面倒な奴が来た”という反応を誤魔化そうとする。しかし、ユクモのハンターは傷付いた己の矜持に呆然としていたため気付かなかった。
しかし、それも致し方無いだろう。ユクモのハンターがこれまで対峙した存在は強敵とは言え、その意思は自然の域を出ないものだった。
そしてそれは、かの嵐龍に於いても変わらなかった。
だが二人は、大水獣から自然の産物ではない、どこか歪な雰囲気を感じ取っていた。
「「⋯⋯」」
「ちゃ~⋯⋯」
「ンバー⋯⋯」
「⋯⋯行けるかニャ、ゴエモン」
「⋯⋯無理だにゃ」
隙だらけの筈な大水獣の後ろ姿を眺めることしかできず、困惑する一同。
その時ふと、ハンター達は孤島が静寂に支配されていることに気が付いた。
風は止み、さざ波の音のみが辺りに響き渡る。
そして、大地が僅かに揺れていた。
「何で、こんなに⋯⋯」
「⋯⋯古龍が来た時に似て──ッ!?」
楽しい戦いの最中、不躾にも大地を揺らす
そしてその顔には、今まで見せていた“遊び”が欠片も見えなくなっていた。
だがその表情も一瞬で収まり、大水獣は目を細めて口を閉じると、ハンター達に回復するよう促してくる。
実際、ユクモのハンターは変則的かつ無理矢理な抜刀による一撃を放った為、左手の親指の爪は割れ骨にもヒビが入っていた。
万全でないのはモガのハンターとて同じであり、不気味だが大水獣の提案的な仕草は渡りに船であった。
「何が目的か知らないけど、今のうちに⋯⋯はい、こんがり肉」
「なんかヤバいっちゃ⋯⋯!」
「ラストディナーになりそうっンバ⋯⋯!」
「イテテ⋯⋯瓶開け辛⋯⋯」
「開けたげるから貸すニャ」
「指一本でようやく傷一つ⋯⋯割に合わんニャ~」
それぞれが大水獣を警戒しつつ、回復薬を飲んだり武器を研いだりする。
その間、大水獣は爪を地面に打ち付けていた。最初にハンター達は、それを大水獣の挑発だと考えた。
徐々に爪の叩く音が速くなる。それに煽られ焦りが生まれたことで、ハンター達はその考えが間違いだと理解する。
何と、大水獣の全身の筋肉が隆起し、そこから湯気が立ち昇り始めたのだ。
ハンター達は大水獣と言う特異なモンスターと接触しているが故か、ギルドの研究員と話す機会が多くあった。そして、そこで得た知識が、今の大水獣を見て当て嵌まるモンスターの名を羅列してくる。
恐暴竜イビルジョー。
激昂ラージャン。
鏖魔ディアブロス。
怒りなどの条件を満たす事で、筋肉が隆起したり、蒸気を立ち昇らせる程に強化されるモンスターだ。
それらのモンスターが、今の大水獣が見せる特徴と合致してしまった。
それに加えて、大水獣が細めていた目と閉じていた口が徐々にだが開きはじめたのだ。どうやら大水獣は挑発しているのではなく、己の本能を──今すぐ飛び掛かり喰らいつきたいと言う衝動をひたすらに我慢していたようだ。
しかし、その我慢も限界の様子。
「本気だね、あいつ⋯⋯」
「フフフ、怖い⋯⋯でも、ワクワクする!」
そして、全ての準備を終えたハンター達が武器を構えた。その瞬間、大水獣は大地を思い切り両前脚で叩いて立ち上がり、怖気の走る純粋な殺意を溢れさせながら、衝撃波を巻き起こす程の咆哮を放った。
ユクモのハンターは戦慄し、そして同時に闘争心が昂るのを感じた。
目の前のモンスターは、能力で言えば過去に対峙した嵐龍とは比べるまでも無い存在だ。
空を自由に舞うこともなく、嵐を巻き起こすこともない。ただの巨大で賢いだけのロアルドロスだ。⋯⋯そのはずだった。
「最高だよ、君は⋯⋯!」
「あいつ、今まで本気じゃなかった!?」
大水獣の巻き起こす咆哮による衝撃波。それをモガのハンターが構える盾の後ろに隠れる事で凌いだユクモのハンターは耳を塞ぎながら、怒り状態と仮定した今の大水獣を観察する。
まずはその巨躯だ。平均的なロアルドロスの二倍はある身体を立ち上がらせた大水獣は、その油断無き敵意の眼差しを、まるで線で結ばれたかの様にユクモのハンターへと向ける。
そして四肢を大地に下ろした大水獣は、左手前脚を地面に食い込ませて右前脚を振り絞ると、砲弾の様にハンター達へと向かって飛び掛かった。
モガのハンターはその攻撃を相殺すべく前進し、見事に大水獣が全力を出し切る前にぶつかる。しかし、大水獣の重量と勢いに負けてしまい、ダメージは受けなかったものの弾き飛ばされてしまう。
悲鳴を上げるモガのハンターを受け身を取りながら一瞥した大水獣は、自身に傷を付けた脅威であるユクモのハンターへ顔を向けて水流ブレスを放つ。
直線上を薙ぎ払う様に水流ブレスを避けたユクモのハンターは、そのまま大水獣へと駆ける。すると両隣からオトモのゴエモンとシチベエが追い抜き、大水獣へ向けてブーメランを投げる。
「援護するニャ!」
「食らえニャ!」
「グルゥアア!」
顔面へと飛来するブーメランを右前脚で弾き飛ばす大水獣は、そのまま振り切った前脚を引き戻し、ユクモのハンターへと叩きつけようと振り下ろす。
「見切った!」
「ガアアッ!?」
その攻撃に対し、ユクモのハンターは太刀の一撃を以って相殺した。
ユクモのハンターがやった事は、振り下ろされた前脚、その足裏に刃を添えただけ。しかし大水獣の力を利用した一撃は、強靭な皮を切り裂くに至った。
大水獣の足裏から鮮血が滴る。慣れぬ痛みに思わず傷を確認している大水獣へ向かって、モガのハンターが駆ける。
「ッガアァ!」
「ハアア!!」
迎撃に放たれる左前脚による振り払い。それを足場に空へと飛び上がり、渾身の兜割りを叩き付ける。
「──硬いっ!」
しかしその一撃は、体を曲げ密度の増した鬣によって防がれてしまう。
「っ──でも、水は吸った!」
渾身の一撃が鬣の表層を浅く切るだけに終わり驚愕したモガのハンターだが、しかし本来の狙い通り大水獣に水を叩き込む事は成功した。
ユクモのハンターは薙ぎ払うような引っ掻きを後退して避ける。そして一人と一匹は同時に気付いた。
──速度が僅かに遅い!
大水獣は古龍武器の一撃による水量と、それを吸い込む自身の吸水力に驚き。
ユクモのハンターは、漸く見えた勝ち筋に笑みを浮かべる。
再び視線がぶつかり合い、僅かに止まっていた戦いが再び始まろうとした──その時だった。
「隙あり!」
「ギャアアア!?」
大水獣の死角から、モガのハンターが不意の一撃を放ったのだ。
ユクモのハンター側に密度を高めた鬣、その反対は当然伸びて張っているため、攻撃が通り易くなっていたのだ。
ここで漸く、大水獣は一人に注視するという間違いに気付く。
しかし既に遅く、不意撃ちに怯んだ隙にユクモのオトモ達にも鬣への攻撃をゆるしてしまったため体は更に重くなり、筋肉が冷えて行く。
「このまま攻める!」
「おうさ!」
流れは今此方にある。
その流れを掴み続けるため、ハンター達は自身の内から響く警鐘を気に掛けながら、大水獣へと攻撃を続けるのであった。
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弱音言うね⋯⋯ノンプロット見切り発車かつ人生で3作品目の手探りだから疲れてきたぞ。視点とかキャラとかブレブレだし、そもそも書きたい所がxxからだからやる気減って失速しちゃったし。
でもMH3G編の完結させるからエタらないはず。時間かかるけど。
■アンケート
・3DSとMH3G発掘して動いたらリメイク良いっすか?
MH3G編完結後にリメイク書いても⋯⋯
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このまま続けろよ