ロアルドロスに転生した話   作:黒木箱 末宝

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アンケートの結果や感想から汲み取ると「リメイクは作者の自由にやっていいけど、エタルのはやめてね?」と解釈しました。
なのでこのまま行きます。


決着の話

 痛ってぇ~⋯⋯まじか、結構本気でぶつかりに行ってるのに、全部対応されてる。流石は主人公達だ、ものが違う。

 

 攻撃の痛みを受け冷静になった俺は、近接攻撃の後に発生する隙をカバーするかのように、攻撃の後にも攻撃を重ねて放つ様になった。

 

 例えばこんなふうに──なぁ!!

 

 右前脚を庇いながら、ハンター達を轢き潰す様にローリングで突撃。

 難無く避けられるが、攻撃後の隙を狙うため駆け出したハンター達を薙ぎ払う様、水流ブレスを放った。

 モガのハンターが構える盾に隠れそびれたチャチャとカヤンバは薙ぎ払われ、ユクモ組はタイミングを読んでジャンプして避けた。

 

「チャバ~!?」

「ギニャ~!?」

「ぐうっ⋯⋯隙が少なくなった、攻め辛い!」

「うわっと!? でも、確実に効いてる!」

「ブレスが厄介ですニャ」

「ブーメランでブレスを牽制してみるニャ。シチベエ」

「おうニャ」

 

 此方に向かって駆けて来るモガのハンターを援護する様に、ゴエモンとシチベエが迎撃のブレスを放とうとする俺の顔に向かってブーメランを投げる。

 

 ぬぅ⋯⋯手練のアイルーがこんなにも厄介とは!

 

 頭上と傷のある前脚側、それぞれ別方向から顔へと飛来するブーメラン。

 モガのハンターへとブレスを放てば、ブーメランは目や鼻先へ当たる角度だ。しかも同時に撃ち落とせないよう、真上と右からいやらしい放物線を描いて来ている。

 

 だが、俺なら撃ち落とせる。

 

 傷のない前脚を踏み込み僅かに後退する。既に投げられているブーメランは、俺の頭があった場所へとそのまま飛んでくる。

 そこでブーメランが直線上に来た瞬間、俺は水流ブレスを放ち、ブーメランを粉砕した。

 

 これで厄介な攻撃は無くなった⋯⋯ナニィーッ!?

 

 砕け散るブーメランを見てほくそ笑む。

 だがしかし、眼前に散る水飛沫とブーメランの破片から、太刀の切っ先が飛び出して来た。

 

 しまった、ブーメランに集中し過ぎたか。だが──

 

 

 

「やってやったニャ」

「一泡吹かせたニャ」

 

 これまでの戦いで何度もブーメランを撃ち落とされたゴエモンとシチベエからすれば、大水獣が顔への攻撃を嫌がり、ブーメランを必ず迎撃すると読んでいた。

 何ならブーメランが砕かれる事さえ織り込み済みである。そうすれば、己等の主の刃が──嵐龍を撃ち倒した刃が、大水獣へと叩き付けられるからだ。

 

ガウァ(甘いわ)ッ!!」

「ぐっ!?」

「「ニャンと!?」」

 

 大水獣は、眼前に迫る太刀の切っ先に食らいつくことで刃を止めたのだ。

 ガキン! と金属同士が激しくぶつかる様な音が辺りに響き渡る。その音を耳にしたオトモ達は、まさかの事態に焦りだした。

 

 しかし、ユクモのハンターに焦りは無い。飛び出した勢いを利用し、太刀を軸に前転。大水獣の顔を足場に太刀を引き抜いた。

 

 古い神官の衣装であるその装備は、太刀を肩に乗せ構える姿に加え、ユクモのハンターの“絶対に勝つ”という覇気の籠もった姿も合わさり、大水獣の目には、ユクモのハンターが白い武者の姿に映った。

 このままでは致命の一撃を受けてしまう。そう直感で察した大水獣は、思わずユクモのハンターを上空へと跳ね上げた。跳ね上げてしまった。

 

「今ニャ!」

「こっちを見るニャ~!」

 

 太刀を構え、大弓の如く体を引き絞るユクモのハンター。それをピンチか、それともチャンスと見たのか。ゴエモンとシチベエは武器を手に大水獣へと駆けるのだった。

 

 

 

 上空では太陽を背にしたユクモのハンターが、太刀を引き絞り一直線に落ちて来る。

 そして前からは、真上を向く事で剥き出しになった喉元を狙ってオトモアイルー達が来る。

 

 アイルーが邪魔だな。離脱させるか。

 

 俺は全身の筋肉に力を入れて水袋を圧縮する。望むものは、高威力高反動の鉄砲水。

 

 俺の体から鳴るミシミシと軋む音に反応し、オトモアイルー達が加速するがもう遅い。

 

 限界まで口を開け、上空へと向けて放たれた水の柱と見紛う水流ブレス。

 それはユクモのハンターを掠め、強力な反動により徐々に倒れてゆく。

 

「避け──ギニャッ!?」

「シチベエ! ッニャギャ~!?」

 

 極太の水流ブレスが叩き付けられる。水の大質量にシチベエが押し流され、更に反動でV字に切り返した水流ブレスにゴエモンが撃ち飛ばされる。

 

 何やら謝罪を呟き潜るオトモアイルー達を尻目に、俺は反動で持ち上がった体を立たせ、両後ろ脚と尻尾の三点で体を支える。そして上空で姿勢を立て直したユクモのハンターへと、一直線にブレスを向けた。

 

 この高さから落ちれば助かるまい。勝ちはほぼ確定、ならばこのままブレスで死なない高さの段差に流して──おおっ!?

 

 ブレスが直撃し、上空で水が弾ける。しかしその直後、ブレスの側面を駆け下りる様に、ユクモのハンターが回転しながら落ちて来たではないか!

 

 まさか太刀をブレスに突き立てる事で加速し、回転と落下の運動エネルギーを利用して強力な一撃を叩き込むつもりか!?

 一瞬駆け抜けたおかしな考えだったが、モンスターの動体視力によって見えたユクモのハンターの瞳は燃えていた。

 

 ⋯⋯ちくしょう、ブレスの反動で動けないってのにさぁ、ワクワクさせてくれるじゃないか!

 

 今のユクモのハンターには途方も無い力が加わっている。太刀から伝わるブレスの衝撃に、回転による遠心力。並のハンターなら四肢がバラバラに砕けているだろう。

 そして太刀にしがみつく様な姿勢で何とかなっているようだが、このままではどこから着地するか分からない。

 頭から落ちれば当然なことに命は無くなる。

 背中や腰を強打すれば、ハンターとしての未来が潰える。

 手足のどれかで強引に着地したとして、後遺症無く済むかも分からないし、モンスター()の前で無防備を晒す事になる。

 

 滝を駆け下りるかの如く回るユクモのハンターは、そのまま太刀を振るい攻撃して来た。しかし、見えている上に不安定な状況で放たれた一閃は容易く避ける事が出来た。

 

 そしてユクモのハンターは地面へと到達する。だが距離を確認していたのか、完璧な姿勢で着地する。しかし、勢いが付き過ぎていたようだ。

 接地した衝撃を吸収しきれずに、両足が強制的に畳まれていく。まるで割座の様な姿勢になったユクモのハンターは、叩きつけられた反動さえ利用して首を狙った一撃を放った。

 

「ッ──ハアアアアアアアアアア!!!」

「ガアアアアアアア!!!」

 

 しかし、それも見えていた。着地して尚輝く戦意の有る目を見て、必ず何か仕掛けてくると感じたからだ。

 

 鋭い一撃が振り切られるその前に、太刀の腹を上から殴りつける。

 殴り付けられた太刀は軌道を落とし、勢い余って地面へと刃を埋めてしまった。

 

「なっ──ぐぅッ!?」

 

 あらゆる力の乗った全力の一撃、その方向が無理矢理変えられた所為か、ユクモのハンターの右肩から異音が聞こえた。

 ダラリと垂れる腕を引き必死にはめようとする動きを見るに、どうやら肩が外れた様だ。

 

 ⋯⋯これは終わりだな。よし、介錯して(一乙させて)やろう。

 

 必死に藻掻くユクモのハンターを狙い、ブレスをチャージ。絶対絶命の状況の中、それでも彼女は牙を剥きながら俺を睨み付けている。

 

 そんな時だった。「踏ん張れ!」というモガのハンターの声が聞こえたのだ。

 

「──来いッ!」

 

 ユクモのハンターはそれに応え、左手を柱に背を丸める。

 その姿は、まるで王に頭を垂れ許しを請う騎士の様に見えた。

 だがしかし、此方を見つめるユクモのハンターの目だけが、“してやったり”と言外にかたっている。

 そして来た。モガのハンターがランスを構え突進し、ユクモのハンターの背を足場にして駆け上がると、俺の顔面目掛けて突きを放ったのだ。

 

 加速の乗った一撃。俺はブレスを放つつもりでいたので避けられない。矛先は俺の目に向かって来る。

 

 その時だった。踏ん張っていた右前脚が痛み、力が抜けたのだ。すると重心が僅かに右にズレたことで顔が逸れ、目を穿つ一撃は左の頬に傷を付けるに終わった。

 

 だが戦いは続いている。空中で無防備に体を晒したモガのハンターに、ブレスを放つ為開けていた口で迎え食らいつくと、そのまま地面へと叩き付ける。

 

「拘束された!? ナイフ──抜けない!」

「くっ離しなさい! ──あ、ごめん!」

 

 牙を避ける為に構えたランスと盾に挟まれたモガのハンターが、拘束から抜け出すため蹴ってくる。

 仲間を助けようと剥ぎ取りナイフを投げるユクモのハンターだが、当たる瞬間にモガのハンターを盾にしたら援護に躊躇が生まれた。

 オトモアイルー達は未だに回復中。チャチャとカヤンバは駆け寄って来るが⋯⋯間に合いそうにない。

 

 問題ないと判断し、俺はチャージしていたブレスを放つ──

 

「コブンを離すっチャ~!!」

「ゴアッ!?」

 

 何とブレスを放つその瞬間、間に合う筈がないチャチャが顔面に取り付いて来た。

 チャチャを振り落とすため頭を振りながら、まだ来ていないカヤンバを探す。すると、俺に向かって飛んでくるカヤンバと、何かを投げ飛ばした姿勢のユクモのハンターが。

 

「エントリーっンバ!!」

「ガアアッ!」

 

 顔面に勢い良くぶつかって来た衝撃に、思わずモガのハンターを落としてしまう。だが今は仕方が無いと割り切り、二匹の奇面族を振り落とさんと頭を振ったり手で払おうとする。

 

「いいよチャチャ、カヤンバ!」

「目だ! 目を狙え~! 」

ガアア(うるせぇ)!」

「「ぎゃあ!?」」

 

 喧しいガヤの聞こえた方角に水ブレスを吐きつつ、未だにポカポカと殴り続ける奇面族を落としにかかる。

 そして、漸くチャチャ達を振り落とすが、そこには回復を終えたハンター達が立っていた。

 

 ⋯⋯これだからハンターってのは。相手にするとこうも厄介なんだな。どうするかなぁ~⋯⋯あ、そうだ。

 

 トドメを刺さなければ何度も立ち上がるハンターという存在。それならば一撃で倒れる程の一撃を放てば良いと考えた俺は、水の残量を確認すると行けると判断し、水流ジェットとジャンプを組み合わせて崖上へと登る。

 

「⋯⋯逃げた?」

「いや、何か既視感が⋯⋯アマツマガツチ──ヤバい! 退避!」

「え──ッ!!?」

 

 崖上で超高圧水流レーザーを溜め始めた俺に何かを重ねるユクモのハンター。ヤバいと感じ、即座に武器を収めて走り出すと同時に、大地を抉りながら超高圧水流レーザーブレスがハンター達を追いかける。

 

「よし、避けた! ──ああっ!?」

 

 大地を抉りながらユクモのハンターへと迫るブレス。それを避けて一安心するその足元で、圧縮された水が出口を求めて亀裂から噴き出す。

 その噴水に跳ね上げられたユクモのハンターを逃す理由もなく、俺はブレスの向きを変え、その無防備な背中を撃ち抜いた。

 

「クソッ⋯⋯チャチャ、カヤンバ、後はよろしく!」

「⋯⋯ごめん」

「⋯⋯アイルビーバックっンバ!」

 

 落ちて来るユクモのハンターを受け止めたモガのハンターは、チャチャとカヤンバにユクモのハンターを任せ逃げるよう指示を出す。

 そして盾を構えると、逃げるチャチャ達を守る様に立ち塞がるのだった。




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