ロアルドロスに転生した話   作:黒木箱 末宝

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今回はキリが良いので短めです。


ラギアクルスの番とやり合った話

 ざけんなコラー!!! 番で来てんじゃねーぞコラー!!

 

「ゴアアアアア!!」

「グオオオオッ!!」

 

 喧しい!! 二匹で鳴かんでも分かっとるわボケェ!

 

 孤島のエリア11番。岩の下の水中マップで、そろそろ奴が来る頃だと様子を見に来た俺は、小さいラギアクルスと大きいラギアクルスの番に襲われていた。

 額の傷跡や胸元の傷を見るに、小さい方のラギアクルスは前に撃退したラギアクルスで間違いないだろう。

 

 だがもう片方が分からない。小さいラギアクルスとのコンビネーションや、攻撃を受けた時の心配する素振りを見るに、奴等は番で間違いなさそうだが……。

 

 ……ラギアクルスは雌の方がデカいのか? おねショタか、イイね! あ、イヤな図星だった? ごめんね~~?

 

「ゴアアアアッ!」

 

 俺の舐め腐った考えが伝わったのか、小さいラギアクルスがバカにするな言っているかの様に叫び、バカ正直に突撃してくる。

 

 いや~バカにはしてないよ? ただ、強い雌を連れてきて復讐なんて可愛らしいでちゅね~? って思っただけさ。あってる?

 

 そう言いながら笑顔を浮かべて舌を出し、小さいラギアクルスを引っ掻いたり噛みついたり、尻尾で引っ叩いたりしていると、遂に小さいラギアクルスが怒りモードに移行した。

 

「ゴオオオオオォオ!!!」

 

 音で怯んでる内に後から不意打ちだろ? 見えてるよ!

 

 小さいラギアクルスが叫んだ瞬間、俺は横にローリングして大きいラギアクルスの突進を回避した。

 勢いを殺し切れずぶつかるラギアクルス達。それを見て、俺はこの縄張り争いが何とかなりそうだと、余裕から少し気を抜いた。

 

 それを舐められてると感じたのか、二匹のラギアクルスは揃って突進して来たのだった。

 

 

 

「ゴアアアアア!」

「ギャオオオオオオ!」

 

 突進してくる二匹のラギアクルス。それをひらりと避け、上手く誘導してラギアクルス同士をぶつけ合わせる。

 

 うん、コイツらなんか賢くないな。種族的な余裕なのかプライドなのか、突進しかしてこないし。電気は溜まってるはずなんだが……何かあるな?

 

 お互いに距離を取り仕切り直す。あまりにも攻撃が当てられず、一方的に弄ばれているのに怒ったのか咆哮放つ大きなラギアクルス。

 

「グオオオオン!?」

「ブフッ──オオオオオオ!!」

 

 真横で叫ばれて怯む小さいラギアクルスに笑いそうになったが、俺も大声を出して音波をぶつけて対消滅させる。流石に水中だと煩いからね。

 

 そうしてラギアクルスと睨みあっていると、10番エリアからハンターとチャチャが現れた。

 

 よお、ハンターちゃん。ルドロス達に言いつけたから襲われてないと思うが、行き掛けに狩ったりしてないよな?

 

 ハンターちゃん側から流れる海流を嗅いでみる。だがハンターちゃんの体臭と汗の臭い、それとチャチャの臭いしか感じない。

 血の臭いがしないということは、ルドロス達は無事なようだ。

 

 へへっ、うちのルドロス達の方が賢いみたいだな。

 

 そう鼻で笑ってやれば、ラギアクルス達は更に激昂する。

 

 おう、思う存分に怒れ。もしお前達が体力を無駄に消耗し続けるだけのアホだったなら──それがお前達の敗北の合図だ。

 

 こうして、ラギアクルス×2VSロアルドロス(俺)VSハンターちゃん&チャチャの三つ巴の戦いが始まった。

 

 

 

 ■

 

 

 

「ラギアクルスがここに向かっている? それも……二匹……?」

 

 リオレイアを狩猟した後に休息を取っていた私の耳に、拠点の外から気になる騒めきが届いた。

 

 気になってマイハウスから出ると、村長と漁師の人達が険しい表情で話し合っていた。

 

「村長さん、どうかしましたか?」

「おう! 来たか狩人。実はな──」

 

 そうして聞いたのが、撃退したラギアクルスが番を連れて、モガの森に向かっているという情報だった。

 

 漁師が言うには、片方のラギアクルスは顔に傷跡があったらしい。それなら、小さいラギアクルスは私が撃退した個体で間違いがないだろう。……まさか番を連れて戻って来るとは。

 

 ただ、続いて聞いた漁師の話に、私は背筋が冷える感覚を覚えた。

 

 ……ラギアクルスを目撃した漁師をラギアクルス側も視認していたようで、番の大きなラギアクルスが甚振るような表情を浮かべて追い掛けてきたとか。

 

 ……相手を……弱者を甚振るような事をする、身体の大きなラギアクルス……。

 

「ッ!」

 

 初めて出会ったラギアクルスの、あの私を舐め腐った様な顔を思い出した。そんな奴に抵抗すらできず、海の中藻掻き逃げ回るしかできなかったことに恥と怒りが湧いてくる。

 

「あ、ちょっとハンターさん?!」

 

 アイシャの声を背に、私はクエストに出る準備を始めた。ラギアクルスに対して思う事はある。だけど優先すべきは村の安全だ。そのために、私はここに来たのだから。

 

 

 

「……静かだね」

 

 村の皆から激励を受けた私達は、孤島のエリア9番を歩いていた。しかし、そこには何時もいる筈のルドロスやアイルーとメラルーがおらず、波の音と私達の足音だけが静かに響いていた。

 

「なんだかイヤな予感がするっチャ……」

「……そうだね、急ごう」

 

 そうして私達は走り、次のエリアに進んだ。するとそこには、ルドロス達が背を向けて密集していた。

 

「ッこんな時に──え?」

「ルドロスが逃げてくっチャ」

 

 チャチャが言う通りだった。普通なら威嚇してくる筈のルドロス達が、何故か私達を見ると陸地の奥へと集まり始めたのだ。

 

 ……あのロアルドロスがいないことも含めて気になるが、今はラギアクルスだ。

 

 ルドロス達を気にしつつ、私達は海へと飛び込み、ラギアクルスのいるであろうマップへと泳いで行った。

 

 

 

 エリア11番。ターゲットであるラギアクルス達はそこにいた。……何故かあのロアルドロスもいて、更にラギアクルス達と戦っている様だ。

 

(二対一なんて無茶な──はず……なんだけど……)

 

 確かにラギアクルス達は戦っている様子だが、ロアルドロスはどうも真剣にやっているわけではないようだった。

 ラギアクルスの突進を躱し、隙だらけの背中を尻尾で叩いたり、背殻の突起を折ろうと握ったり齧ったりしている。その度にラギアクルスは電撃を放つが、その予兆をロアルドロスは完璧に読んでいるようで、少しもダメージを受けていないようだった

 

 ラギアクルス達の動きや疲労具合を見るに、ロアルドロスはずっと同じ様に奴等を弄んでいたのだろうか。

 

「オウッ?」

(ッ!)

 

 ロアルドロスと目が合った。敵意が無いように見える知的な目、無害な眼差し。……それなのに、私は怒ったラギアクルス達よりもロアルドロスが恐ろしく感じてしまう。

 

(ッ何なの?)

 

 ロアルドロスがニヤリと笑った様に見えた。

 

 するとその直後、ロアルドロスは私達の側に泳いできて、ラギアクルスを挑発し始めたのだ。

 

「オウッwwwオウッwwwピィ~~www」

 

「「ッ……グオオオオオオアアアアッ!!!!」」

 

 ますます激昂するラギアクルス達。すると、突撃して来た小さなラギアクルスをロアルドロスは上手く躱してた上にその背にタックルを放ち、岩壁へと叩きつけてしまう。

 

(凄いッ……私も負けてられないッ! 行くよチャチャ!)

(チャバー!)

 

 私は、ロアルドロスを狙って背中を向ける、隙だらけな大きなラギアクルスにランスを突き立てた。




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