ロアルドロスに転生した話   作:黒木箱 末宝

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ロアルドロスの日々の話

 古代鮫狩りを終えて帰るハンターちゃんを見送りつつ、俺にも何かできないかと考える。

 

 ……うん、何も無いわ。

 

 そして、自分に出来ることはないという結論がでた。

 

 先ずこれから起きる事は何か。

 先ずはチャチャの話を信用して調査する。これはまあ、空に飛んでる観測気球がそれらしきものを見ただろうから大丈夫だ。

 

 続いて、ナバルデウスの存在がバレた後。村人の避難? 村に近づいたら避難の内容が変わるだけだ。

 

 じゃあナバルデウスの撃退及び討伐に加わる? 話もできないのにどうやって? できたとしてもやりたくないな。深海怖いし。

 

 なので、俺はハンターちゃんによるナバルデウス撃退を祈りつつ、普通に日々を過ごす事にした。

 

 

 

 さて、普通に日々を過ごすといったが、それもなかなか難しい。

 何せここはモガの森。特定の村クエストをクリアする度に、何故か大型モンスターが現れるようになる魔境だからだ。

 

 まあ、今は大人しいけどな。

 

「……グルルル……」

 

 滝を浴びていると、横から唸り声が聞こえた。

 ああ、この唸り声は知ってるぞ。かなり初期から聞いてたから聞き飽きたまである。

 

 魔境の住人その一、ドスジャギィ。

 エリア2番と5番でたまに会う、この森で巣を構える根性のあるやつだ。

 

 コイツはエリア2番を縄張りとしているらしく、そこで呑気に滝を浴びている俺を追い出そうとタックルしたりして来るんだ。こんなふうに。

 

「ヘェーイ! フッ──ギャオン!?」

 

 全然効かなくてウケる。体格差は何倍だ? 何故挑む!

 ……まぁ、何と無く分かるよ。部下の手前無視出来ないんだろう。縄張りを荒らす余所者を無視してたらボスの名折れだもんな。……部下と外敵の板挟み……群れのボスってのは辛えよなぁ?

 

「グルルル……」

 

 同情した様な目を向ければ、ドスジャギィは頭を下げつつ唸り声を上げた。……大変そうだね君も。

 

「ギャンギャン! ワオン!」

 

 そうして無視していると、たまに調子に乗ったジャギィが噛みついて来たりする。

 

「ッ! ガアア!」

 

 ドスジャギィは止めろと言っているようだ。それはどちらに?

 

「ギュウ? ──ギャワン!?」

 

 まあ、両方だろうな。野生の世界でも舐められたら終わりなので、ケジメとして舐めてかかってきた奴はオヤツに持って帰る。少し癖はあるが中々イケるんだ。

 

「アオォォォォーーーー!!?」

 

 今日も部下を失ったなドスジャギィ……これで何匹目だったか……。ちゃんと部下の教育しとけよ? でないと群れが君だけになってしまう。

 

 ……まあ、それでも構わんのだけど。

 

 

 

「ピュイィ~~ーー!!」

 

 魔境の住人(仮その1)。コイツは他所から来たロアルドロス。

 住んでてつくづく思うのは、孤島が産卵に適した温かい場所だということ。なのでよく同種の雄と縄張り争いや、雌を巡っての争いが起きるんだ。

 

 今回も例によって互いに睨み合い、咆哮をぶつけ合う。先に怯んだ方が負けね。

 

「オオ──「オオオオーー!!!」ビャーン!?」

 

 俺の勝ち。何で負けたかは別に考えなくていいよ。

 

「ッオオオ!」

 

 まだ負けてないとロアルドロスが吠える。気概のあるやつは好きだぜ。お前が雌なら良かったのに。

 

 続いてトサカの数で競う。先にトサカを上げたのは相手のロアルドロスだ。

 

 ……ふむ、ひいふうみいよぉ……そこそこ!

 

 相手のロアルドロスは勝ち誇っている。どうやらトサカの数に自信があるようだ。ほな俺も。

 

 相手によく見えるように少し頭の角度を変えて、眉間に皺を寄せるようにしてニューっとトサカを上げる。

 

「……オゥ……」

 

 悄気(しょげ)ちゃった! 自分では良くわからないが、他ロアルドロスとの縄張り争いでトサカの見せ合いをすると、何故か俺の勝利が確定してしまう。

 鏡なんか無いし、ルドロス達も数なんか数えられないから、未だに俺のトサカの本数が分からないんだよな。

 

「……オゥ……オゥ……!」

 

 お、ナイスガッツ! 相手のロアルドロスはまだやるようだ。相手側についてたルドロス達も応援──あれ、おらん。

 

「ピャ!」「ピィー!」「オゥオゥ」

 

 ……いつの間にか俺の群れに合流してやがる。……まあ、何だ。ドンマイ。

 

「~~オオオオオオ!!」

 

 相手のロアルドロスがやけくそで突進を放って来た! もう止めろ! これ以上お前が傷付く必要は無いッ! 止めるんだ!

 

 しかし、俺の静止も虚しく、ロアルドロスは体積差2.5倍の俺に突進して来た!

 

 その意気やヨシ! 良かろう、受けてやる!!

 

 前脚を張り、後ろ脚を踏ん張って胸を張る。これが俺の、お前の覚悟に対する礼儀だ!

 

「ピャーーン!?」

 

 しかし、俺の胸に突進して来たロアルドロスは、想像通りに跳ね返され、情けない声と姿を晒した。

 

 ……俺はお前の勇気に敬意を表す。故に、お前が立ち去るまでお前を見ないッ!

 

 それが勝負の決着だった。新しいルドロス達はより強い雄である俺の元に来れて喜んでおり、敗北したロアルドロスは静かに海へと消えて行った。

 

 その場に竜の涙()を落して。

 

 

 

 それはそれとして、勝つ度に俺の雌がふえるのは生態系的に少し困りものなので、以降のロアルドロス君達は雌を連れて来ないでほしかったりする。

 

 

 

 

 魔境の住人その2と3。リオレイア&リオレウス。

 同じく立地が良く子育てに向いた孤島に飛来した存在だ。

 

 リオレイア。時折出会うものの、特に縄張りや餌が被っていないので、特に争う事は無い。

 ……というより、いつの間にか互いに不干渉になっていたのだ。

 

 その原因は一つだ。

 

 ある日、エリア11番で泳いでいた俺に、上から叫び声が聞こえた。上を見ると、エリア8番──飛竜種の巣から、まだ子供のリオレイアが羽ばたきながら落ちて来たのだ。

 叫び声の主はリオレイアだった。何とか子供を助けようと、子供から守るために下にいた俺を威嚇したのだろう。

 その時俺は腹が減っていなかったし、必死に叫ぶリオレイアの子供を殺すほど非情でもなかった。

 だから落ちて来た子供のリオレイアを背に乗せ、海岸まで泳いで運んでやったんだ。

 そして、子供のリオレイアを餌だと思って食おうとするルドロス達から守り、リオレイアに子供を返したんだ。

 

 それ以来、リオレイアは俺と敵対しなくなったんだ。

 

 そしてリオレウス。……リオレウスはな、アプトノスを狩って食べてる時にちょっかいを出してきたりする。

 

 なのでわからせた。

 

 叫ぶ瞬間、気道に水ブレスをぶち込んでやったんだ。そしたらそれが原因で呼吸困難になったのがトラウマになったらしく、今でも顔を合わせると苦しそうな顔をして離れて行く。

 

 

 

「ゴアアアアア!!」

 

 魔境の住人(仮その2)ラギアクルス。

 

 ナバルデウスが現れた影響か、またしてもモガの森に現れた。妙に気が立っている様子から、巣を追い出されたのだろう。

 

 古龍に住処を追い出されるとか……ジンオウガとお揃いじゃん。ウケる。

 

 そんな事を考えていたのが隙に見えたのだろう。ラギアクルスは噛み付こうとして来た。

 

 なので、その下顎を殴り、目眩を起こさせた。

 

 ……ボクシングでさ、顎を殴られた選手がズシャッて倒れる所……あれ見たことある? あんな感じでラギアクルスが、プツン──てスイッチが切れた様に倒れたんだ。ウケる。

 

 そこでふと、違和感を感じた俺は考えた。

 

 このタイミングでラギアクルスがモガの森に来るってことは……そうか、ストーリーが進んだのか。

 

 ……何度も自分に“ここは現実だ!”と言い聞かせてはいるが、こうもゲームの時と同じような動きをされると戒めも緩んでしまう。

 

 まぁ、良いか。どうせナバルデウスを撃退するか討伐すればMH3はクリアだ。

 ここは現実だから、古龍の周回とかも無いだろう……ないよな? ……不安になってきたな。お前はどう思う?

 

「ッオオオ……!」

 

 そうラギアクルスに聞いてみたが、ラギアクルスは俺に一吠えして海へと向かって行った。

 

 追い掛けてみたが、ラギアクルスは既に沖に出ていた。どうやら他の場所を探しに向うようだった。




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