ロアルドロスに転生した話   作:黒木箱 末宝

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何時も通りランキングを見てたらこの作品が日刊ランキング83位にあってビビりました。
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この世界がMH3じゃないと気付いた話

 夕日を眺めていると、何やら巨大な気配を感知した。

 弱っていても尚大きく感じるこの気配は、おそらくナバルデウスのものだろう。

 

「オオオオオオ──ン……!」

 

 直後、前世で聞き慣れた咆哮が孤島に轟いた。

 

 表でナバルデウスの声が聞こえたってことは……ハンターちゃんはやり遂げたようだな。

 

「ピー!?」「アオッ!?」

 

 巨大な気配と咆哮に当てられて騒ぐルドロス達。

 それを落ち着かせながら、俺は物語に区切りが付いたと感じた。

 

 はいはい、これが古龍の声だよー。でもハンターちゃんが奴を撃退……あー、縄張り争いに勝ったからもう地鳴りは起きないよー。

 

 そうルドロス達に伝えると、脅威が去ったことを理解したのか喜び始めた。

 

 さて、ナバルデウスも撃退されたし、これでモガの森も大人しくなるだろう。

 

 モンスターハンター3(トライ)、完!

 

 この時俺は、そう言ってこの世界を楽観視していた。

 

 

 

 ナバルデウスが撃退されて暫く、何やら不穏な雰囲気が出始めたモガの森に、俺は見回りを積極的にする様になった。

 

 普段のモガの森ならこう、休日に感じる緩めの雰囲気だったんだ。戦いがあっても縄張り争いだし、命までは取り合わない。

 だが今じゃあ、事故か事件でもあったのかって位に周辺の空気がピリついている。

 

 そうして警戒しつつ5番エリアに到着。

 すると、珍しくジャギィノスが巣から出て来ていた。

 

 ほーん、何かあったんかな……ん? ジャギィノス?

 

 それを見て、俺は何やら違和感を感じた。

 

 ナバルデウスの後で……ジャギィノスがいて……うーん、何か引っかかってるんだよな~……。

 

 するとそこに、ジャギィノスを狩猟しに来たのか、ハンターちゃんがチャチャと()()()()()()()()やって来た。

 ハンターちゃんの攻撃でジャギィノス達が沈黙して行く。

 

 ようハンターちゃん。おつかれ。

 

 ゆっくりと近くと、ハンターちゃんは少し警戒した様子で剥ぎ取りをし始めた。

 

「……ロアルドロス……」

「相変わらずデカいっチャ」

「ンバァ!?」

 

 慣れた様子のチャチャに、カヤンバ。

 

 ……カヤンバ!?

 

 俺を見て驚くカヤンバ。カヤンバを見て驚く俺。

 その衝撃で栓が外れたのか、俺は漸く違和感の正体に気付いた。

 

 俺は自身が転生した世界がモンスターハンター3だと思っていたが、実際に転生した世界はモンスターハンター3Gだったのだ!

 

 この世界が3G!? ……待ってくれよ、じゃあこの先でこのモガの森は──ッ!!

 

 後々訪れるカオスを思い出す度に、俺は正気度がコリコリと削られていくのを感じる。

 

 ダイスを振らねばッ!?石ころダイス──チェック。

 ひっくり返した石の裏からモガサワガニが逃げて行く……こんな事をした所で、俺の未来は変わらない。

 

 その事に気付いた俺は、見事に錯乱。発狂した。

 

 う、うわーーーー!!

 

 怯えた様子のハンターちゃんを他所に2番エリアへと駆け出す。取り敢えず滝を浴びよう。それで落ち着くはずだ。

 

 

 

 ……別にカヤンバがいても3Gが確定した訳では無いのでは?

 

 俺は訝しんだ。

 そもそもこの世界は現実だ。カヤンバくらい、何かしらの要因で存在し、合流したとしても何ら不思議ではない。

 

 アオアシラを引っ叩き奪った魚を食べながら、俺は現実逃避しながら誰かしらへの言い訳を考えていた。

 

 まだこの世界が3Gと決まったわけではないと。

 

 ……なーんだ、焦って損したぜ。

 

 そうして不安を他所に退かしたものの、依然としてモガの森から不穏な気配は消えない。

 

 ……警戒を続けるか。

 

 それはそれとして、ハンターちゃん狩ったおこぼれをツマミにしようと5番エリアに入った、その時だった。

 

『ゴオオオオオオオオオオ!!!!』

 

 ッ!? こ、この声はッ!!

 

 身の毛もよだつ咆哮が、モガの森全域に轟いた。

 

 それは一度聞いたら忘れられない咆哮だった。

 

 “ゴオオ!”だか“ボオオ!”だか判断出来ないくらいに、音割れした低音域の咆哮。

 

 耳にしたら死を錯覚する程の殺意。

 

 そして“このままじゃ食われて死ぬ!”と本能が警鐘を鳴らす存在。

 

 ──イビルジョー……!!

 

 恐暴竜イビルジョーがモガの森に出現したのだ。

 

  ッやはりこの世界は……いや、イビルジョーはトライ産モンスターだし、別に居ても……あ!?

 

 イビルジョーの存在に焦る。しかしそれだけなら、トライ産モンスターだし出て来ても不思議じゃない。

 

 だがナバルデウス撃退後のクエストで、尚且つハンターちゃんがジャギィノスを狩猟していた事を思い出した俺は、前世のトラウマクエストを思い出して再発狂。

 

 それは【ジャギィノスの群れを狩れ】という、上位の村クエストの慣らしとして受けるであろう()()()()()()

 ハンターがジャギノスを狩り、やがて到着した6番エリアでヤツに遭遇する。ある種のお披露目クエストだ。

 

 ……ん、6番エリア?

 

 そのクエストでは、巣に迷い込んだアプトノスを狩ろうとドスジャギィが吠え、それを上から現れたイビルジョーに殺され食われるシーンがある。

 

 そして、今のモガの森にいるドスジャギィはあいつだ。

 部下に煽られ、致し方無くではあるものの巨大な俺に挑みかかる、勇敢なドスジャギィ。

 

 ……ああ……さらば、勇敢なるドスジャギィ。お前の事はたぶん忘れないよ。

 

 俺に何度も挑みかかった勇敢なドスジャギィに黙祷を捧げつつ、それはそれとして退避を始める。

 

 何せこの隣のエリアでは、あのイビルジョーが暴れているのだ。

 

 ほら、今でもドシンドシンと重い足音が聞こえてきて──は?

 

 6番エリアに顔を向けつつ後退る。背中を向ける事を本能が拒否したからだが、俺も間違いじゃないと思う。

 

 何せ、ハンターちゃんがイビルジョーを連れて5番エリアに現れたからだ。

 

 うわあああああ生イビルジョーだあああああ!!?

 

  そのまま後退しつつ回り道で帰ろうとしたが、無理だった。

 

「ッごめん!」

「すまんっチャ!」

「ソーリー!」

 

 ハンターちゃん達が俺の影に身を隠したからだ。

 

「…………」

 

 イビルジョーと目が合う。どうやら逃げられないらしい。

 

 ……よう、イビルジョー……ドスジャギィは美味かったか?

 

 俺の精一杯の啖呵に対し、イビルジョーは咆哮で返すのだった。

 

 

 

「ガアア!!」

 

 ダアァッ!? いきなり噛み付いて来んじゃねぇ!!

 

 イビルジョーの噛みつきを飛んで避ける。その結果、おれはそのまま乗り状態に移行してしまった。

 

「ゴオオオッ!!」

 

 暴れんなよ! 暴れんなよ……! 落ちたら死ぬだろうが!!

 

 やたらヌメヌメしたキショい皮に爪を立て、必死になってしがみつく。

 

 そう言えば素材の説明にもぬめりがあるとかあったな。こんな感じか、キッショ!

 

 しがみつく腕に噛み付こうとするイビルジョーの目に水ブレスを吐きつつ、何とか現状を打開できないか考える。

 すると、ハンターちゃんと目が合った。

 

 ハンターちゃん助けて!!

 

 そう叫んでハンターちゃんに助けをもとめるが、声はロアルドロス。伝わる気がしない。

 すると、何やら伝わったらしく、ハンターちゃんは頷くと「待ってて!」と言って何処かへと行ってしまった。

 

 ……このまま耐えろってか!? ……やってやろうじゃねぇかコノヤロー!!

 

 そんなこんなで怒りとかパニックとか、久し振りに感じた死の恐怖にブチギレた俺は、戦いで鍛えられ潮干狩りで磨かれた鉤爪をめり込ませ、イビルジョーの背中に食らいつく。

 

 このままテメェ(イビルジョー)の筋肉が裂けるか、俺の鉤爪が割れるかもげるか、持久&耐久戦(チキンレース)だッ!!

 

 

 

「ゴオオオオ!!」

 

 当然、イビルジョーもそのままではいられない。

 何とか俺を振り落とそうと暴れ始める。

 

 先ずは噛みつき引きずり降ろそうとする。

 しかし、それに俺は水ブレスを吐きかけたり、逆に鼻先を齧り取ろうと噛み付いてやる。

 

「ガアアアアア!!」

 

 噛みつきが効かないと分かると、イビルジョーは俺を押し潰そうと岩壁に体当たりする。

 

 それを爪を抜いて避けた俺は、今度はイビルジョーの尻尾に取り付いた。

 

「オオオオオオ!!」

 

 突然重量バランスが崩れて尻もちをつくイビルジョー。

 

 そりゃそうだ。俺は普通のロアルドロスより倍以上にデカくて、しかも滝を浴びてたっぷり水を補給してきたからその分重いッ!

 

 脚をピンと前に伸ばして尻もちをつく、そんな経験が今までなかったであろうイビルジョーは、立ちたくても立てない現状に焦ってもがいている。

 

 へへへ、すまんなイビルジョー……俺が生き残るために、今後の一生を苦しんで生きてくれ。

 

 俺は隙だらけのイビルジョーの腰部分、鱗も皮も筋肉も少ない腰骨の関節目掛け、鉤爪を振り下ろした。




アンケートの回答ありがとうございます。
修正する必要が無いと言う回答がダントツで多かったので、このまま行かせていただきます。


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