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夕日を眺めていると、何やら巨大な気配を感知した。
弱っていても尚大きく感じるこの気配は、おそらくナバルデウスのものだろう。
「オオオオオオ──ン……!」
直後、前世で聞き慣れた咆哮が孤島に轟いた。
表でナバルデウスの声が聞こえたってことは……ハンターちゃんはやり遂げたようだな。
「ピー!?」「アオッ!?」
巨大な気配と咆哮に当てられて騒ぐルドロス達。
それを落ち着かせながら、俺は物語に区切りが付いたと感じた。
はいはい、これが古龍の声だよー。でもハンターちゃんが奴を撃退……あー、縄張り争いに勝ったからもう地鳴りは起きないよー。
そうルドロス達に伝えると、脅威が去ったことを理解したのか喜び始めた。
さて、ナバルデウスも撃退されたし、これでモガの森も大人しくなるだろう。
モンスターハンター
この時俺は、そう言ってこの世界を楽観視していた。
ナバルデウスが撃退されて暫く、何やら不穏な雰囲気が出始めたモガの森に、俺は見回りを積極的にする様になった。
普段のモガの森ならこう、休日に感じる緩めの雰囲気だったんだ。戦いがあっても縄張り争いだし、命までは取り合わない。
だが今じゃあ、事故か事件でもあったのかって位に周辺の空気がピリついている。
そうして警戒しつつ5番エリアに到着。
すると、珍しくジャギィノスが巣から出て来ていた。
ほーん、何かあったんかな……ん? ジャギィノス?
それを見て、俺は何やら違和感を感じた。
ナバルデウスの後で……ジャギィノスがいて……うーん、何か引っかかってるんだよな~……。
するとそこに、ジャギィノスを狩猟しに来たのか、ハンターちゃんがチャチャと
ハンターちゃんの攻撃でジャギィノス達が沈黙して行く。
ようハンターちゃん。おつかれ。
ゆっくりと近くと、ハンターちゃんは少し警戒した様子で剥ぎ取りをし始めた。
「……ロアルドロス……」
「相変わらずデカいっチャ」
「ンバァ!?」
慣れた様子のチャチャに、カヤンバ。
……カヤンバ!?
俺を見て驚くカヤンバ。カヤンバを見て驚く俺。
その衝撃で栓が外れたのか、俺は漸く違和感の正体に気付いた。
俺は自身が転生した世界がモンスターハンター3だと思っていたが、実際に転生した世界はモンスターハンター3Gだったのだ!
この世界が3G!? ……待ってくれよ、じゃあこの先でこのモガの森は──ッ!!
後々訪れるカオスを思い出す度に、俺は正気度がコリコリと削られていくのを感じる。
ダイスを振らねばッ!?石ころダイス──チェック。
ひっくり返した石の裏からモガサワガニが逃げて行く……こんな事をした所で、俺の未来は変わらない。
その事に気付いた俺は、見事に錯乱。発狂した。
う、うわーーーー!!
怯えた様子のハンターちゃんを他所に2番エリアへと駆け出す。取り敢えず滝を浴びよう。それで落ち着くはずだ。
……別にカヤンバがいても3Gが確定した訳では無いのでは?
俺は訝しんだ。
そもそもこの世界は現実だ。カヤンバくらい、何かしらの要因で存在し、合流したとしても何ら不思議ではない。
アオアシラを引っ叩き奪った魚を食べながら、俺は現実逃避しながら誰かしらへの言い訳を考えていた。
まだこの世界が3Gと決まったわけではないと。
……なーんだ、焦って損したぜ。
そうして不安を他所に退かしたものの、依然としてモガの森から不穏な気配は消えない。
……警戒を続けるか。
それはそれとして、ハンターちゃん狩ったおこぼれをツマミにしようと5番エリアに入った、その時だった。
『ゴオオオオオオオオオオ!!!!』
ッ!? こ、この声はッ!!
身の毛もよだつ咆哮が、モガの森全域に轟いた。
それは一度聞いたら忘れられない咆哮だった。
“ゴオオ!”だか“ボオオ!”だか判断出来ないくらいに、音割れした低音域の咆哮。
耳にしたら死を錯覚する程の殺意。
そして“このままじゃ食われて死ぬ!”と本能が警鐘を鳴らす存在。
──イビルジョー……!!
恐暴竜イビルジョーがモガの森に出現したのだ。
ッやはりこの世界は……いや、イビルジョーはトライ産モンスターだし、別に居ても……あ!?
イビルジョーの存在に焦る。しかしそれだけなら、トライ産モンスターだし出て来ても不思議じゃない。
だがナバルデウス撃退後のクエストで、尚且つハンターちゃんがジャギィノスを狩猟していた事を思い出した俺は、前世のトラウマクエストを思い出して再発狂。
それは【ジャギィノスの群れを狩れ】という、上位の村クエストの慣らしとして受けるであろう
ハンターがジャギノスを狩り、やがて到着した6番エリアでヤツに遭遇する。ある種のお披露目クエストだ。
……ん、6番エリア?
そのクエストでは、巣に迷い込んだアプトノスを狩ろうとドスジャギィが吠え、それを上から現れたイビルジョーに殺され食われるシーンがある。
そして、今のモガの森にいるドスジャギィはあいつだ。
部下に煽られ、致し方無くではあるものの巨大な俺に挑みかかる、勇敢なドスジャギィ。
……ああ……さらば、勇敢なるドスジャギィ。お前の事はたぶん忘れないよ。
俺に何度も挑みかかった勇敢なドスジャギィに黙祷を捧げつつ、それはそれとして退避を始める。
何せこの隣のエリアでは、あのイビルジョーが暴れているのだ。
ほら、今でもドシンドシンと重い足音が聞こえてきて──は?
6番エリアに顔を向けつつ後退る。背中を向ける事を本能が拒否したからだが、俺も間違いじゃないと思う。
何せ、ハンターちゃんがイビルジョーを連れて5番エリアに現れたからだ。
うわあああああ生イビルジョーだあああああ!!?
そのまま後退しつつ回り道で帰ろうとしたが、無理だった。
「ッごめん!」
「すまんっチャ!」
「ソーリー!」
ハンターちゃん達が俺の影に身を隠したからだ。
「…………」
イビルジョーと目が合う。どうやら逃げられないらしい。
……よう、イビルジョー……ドスジャギィは美味かったか?
俺の精一杯の啖呵に対し、イビルジョーは咆哮で返すのだった。
「ガアア!!」
ダアァッ!? いきなり噛み付いて来んじゃねぇ!!
イビルジョーの噛みつきを飛んで避ける。その結果、おれはそのまま乗り状態に移行してしまった。
「ゴオオオッ!!」
暴れんなよ! 暴れんなよ……! 落ちたら死ぬだろうが!!
やたらヌメヌメしたキショい皮に爪を立て、必死になってしがみつく。
そう言えば素材の説明にもぬめりがあるとかあったな。こんな感じか、キッショ!
しがみつく腕に噛み付こうとするイビルジョーの目に水ブレスを吐きつつ、何とか現状を打開できないか考える。
すると、ハンターちゃんと目が合った。
ハンターちゃん助けて!!
そう叫んでハンターちゃんに助けをもとめるが、声はロアルドロス。伝わる気がしない。
すると、何やら伝わったらしく、ハンターちゃんは頷くと「待ってて!」と言って何処かへと行ってしまった。
……このまま耐えろってか!? ……やってやろうじゃねぇかコノヤロー!!
そんなこんなで怒りとかパニックとか、久し振りに感じた死の恐怖にブチギレた俺は、戦いで鍛えられ潮干狩りで磨かれた鉤爪をめり込ませ、イビルジョーの背中に食らいつく。
このまま
「ゴオオオオ!!」
当然、イビルジョーもそのままではいられない。
何とか俺を振り落とそうと暴れ始める。
先ずは噛みつき引きずり降ろそうとする。
しかし、それに俺は水ブレスを吐きかけたり、逆に鼻先を齧り取ろうと噛み付いてやる。
「ガアアアアア!!」
噛みつきが効かないと分かると、イビルジョーは俺を押し潰そうと岩壁に体当たりする。
それを爪を抜いて避けた俺は、今度はイビルジョーの尻尾に取り付いた。
「オオオオオオ!!」
突然重量バランスが崩れて尻もちをつくイビルジョー。
そりゃそうだ。俺は普通のロアルドロスより倍以上にデカくて、しかも滝を浴びてたっぷり水を補給してきたからその分重いッ!
脚をピンと前に伸ばして尻もちをつく、そんな経験が今までなかったであろうイビルジョーは、立ちたくても立てない現状に焦ってもがいている。
へへへ、すまんなイビルジョー……俺が生き残るために、今後の一生を苦しんで生きてくれ。
俺は隙だらけのイビルジョーの腰部分、鱗も皮も筋肉も少ない腰骨の関節目掛け、鉤爪を振り下ろした。
アンケートの回答ありがとうございます。
修正する必要が無いと言う回答がダントツで多かったので、このまま行かせていただきます。
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