ロアルドロスに転生した話   作:黒木箱 末宝

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誤字脱字報告ありがとうございます。

今回はグロ描写注意です。


この世界がMH3Gだと確信した話

「ガアアアッ!?」

 

 雄々しさの欠片もない、悲鳴混じりの咆哮。

 途端、力を失った様に垂れ下がり、ピクピクと痙攣するイビルジョーの下半身。

 俺は更に万全を期すため、鉤爪をグリグリと動かし脊髄を断って行く。

 

「ガアアアアアッ!? ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!?」

 

 どうにか俺の行動を止めようと小さな前脚をバタつかせ、首をグリグリと動かすイビルジョー。

 その度に腰に激痛が走る所為か、痛みと怒りのループで発狂しかけている。

 

 鉤爪からも体温の上昇を感じる。

 目の前にある背筋も盛り上がり、赤く浮かび上がってきた。

 

「──コ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛!!!」

 

 怒りの咆哮が轟く。しかし、イビルジョーは動けない。

 

「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!」

 

 イビルジョーが限界いっぱいに首を振り、ブレスをかけてくる。

 

 だが、ロアルドロスに龍属性は効かないんだ。

 

 とは言え高エネルギーには変わりない。ブレスを避けるため、体を反対側に倒す。

 

 するとどうなるか。尻尾を掴みながら倒れる俺にイビルジョーの下半身が引っ張られ、結果的に脊髄を断裂する事が出来たのだ。

 

「キ゛ャ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!?」

 

 ブチブチ、ゴギン!

 

 イビルジョーの腰の筋肉が千切れ、骨が外れた。

 今までで一番悲痛な叫び声を上げ、遂に上半身を伏せてしまった。

 

 その隙にイビルジョーから離れる。

 振り向くと、イビルジョーが涙を流しながら「クウ……クウ……」と泣いていた。

 

 ……前世でさ、俺も腰をやらかした事があるんだ。

 軽く痛めただけで、今までの生活全てが崩れ落ちた様な気分だった。

 何か行動する度に痛みに怯えて、動く事そのものが恐怖に変わったんだ。

 

「……グウウッ……! グオオオオオオ………!!!」

 

 それを俺は、より酷い形であいつに押し付けてしまった。

 

 狩るためでも無く、縄張り争いのためでもなく……。

 ただイビルジョーが怖くて、死にたく無いがために、俺はイビルジョーに中途半端な事をしてしまった。

 

 イビルジョーは小さな前脚を大地に突き立て、元凶の俺目掛けてゆっくりと……ゆっくりと近付いてくる。

 

「グウウ……!!」

 

 その目から龍気が漏れ出始めた。怒りの時とは違う、まるで飢えているかのような──生に渇望した怨霊の様な姿だった。

 

 やがてイビルジョーは、その大顎で大地に食らいつくと、上半身の力だけで微動だにしない下半身を振り上げ、俺目掛けてて──

 

 危ねぇ!!?

 

 咄嗟にローリングして、ハンマーの如く振り下ろされたイビルジョーの下半身を避ける。

 

 こいつ……使い物にならないからってなんて無茶な──

 

 そうして振り向いて見たイビルジョーは、口先を残した全てが龍気に飲み込まれていた。

 

 うわああああああああああ!!? 何だこれ! 何なんだそれはッ!?

 

 垂直に開き迫るイビルジョーの大顎を、無理矢理体を動かして避ける。

 

 そして、必死になって距離を取り、俺は()()を観察する。

 

 口先を除く上半身の全てが龍気で飲み込まれており、その中で真っ赤な目だけが怪しくボンヤリと浮かんでいる。

 動かなくなった下半身を引き摺りながら、短い前脚を大地に突き立て地を這う……それだけなのに、酷く恐怖心を煽る、未知の姿のイビルジョー。

 

 怒り食らうイビルジョーとは違う……仇の魂まで食らわんと這う、怨霊のイビルジョーだ。

 

「ホ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛……!!」

 

 地獄の底から聞こえてくるような悍ましい咆哮を放ちながら、イビルジョーが大地を跳ねて食らいつこうと飛び掛かってくる。

 

 それをローリングで避ける。

 

 すると、イビルジョーは受け身も取れずそのまま地面に叩きつけられた。

 

「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛…………!!」

 

 叩きつけられた衝撃で、無防備な下半身が酷く捻じれ、異音を放つ。その度に、イビルジョーは痛ましい鳴き声で叫ぶ。

 

 見た目の悍ましさに恐怖したが、奴は既に死に体。

 

 見れば、怪しく光る目が弱々しく点滅しており、口先からは空腹状態の時とは違う、血の混じった唾液が止め処なく溢れている。

 

 ……そんな姿を晒して尚、諦めて死ぬのでは無く俺を殺そうとするのか。

 

 その痛ましい姿に介錯をしてやりたくなるが、俺には決定打が無いんだ。

 見る限り奴の首は強靭だ。そう簡単に圧し折れはしないだろう。

 ならこの鉤爪でとどめを刺すか? 無理だ。徒に傷付けて苦しめるだけだ。

 

 飛び掛かるイビルジョーを避けながら、何とか奴を苦しみから開放する術を考える。

 

 ……ただの個人的な感傷だが、ここでこいつを残して逃げるのは忍びないんだ。

 

 そうして悩んでいると、ハンターちゃんが戻って来た。

 異様な姿のイビルジョーに一瞬怯みつつも、ハンターちゃんは懐から何かを取り出して、投げる素振りを見せる。

 

「目をつぶって!」

 

 そう言ったハンターちゃんの言葉に、何をするか察して従う。

 すると閃光が瞬き、イビルジョーの視界を一時的に奪ったのだ。

 

「オアアアアア…………!!」

 

「あれは……イビルジョー……?」

「ヤバいっチャ……」

「まさしくデビルっンバ……」

 

 苦しみ藻掻くイビルジョーを見て呆然とするハンターちゃん達。

 

 そこで俺は、ハンターちゃんを見てある作戦を思い付いた。

 

 まあ、作戦なんて上等ではないがな。

 

 俺はハンターちゃんの背負う、ラギアクルスの素材で作られたランスを咥えて取る。

 

「ッ!? ちょっと……!」

 

 ごめんねハンターちゃん。借りて──いや、貰ってくわ。

 

 ランスを取り戻そうとするハンターちゃんを置いて、俺はイビルジョーに向かって走り出す。

 

 ランスを咥えているからバランスが悪いが、それでも不格好ながら前に進めている。

 

「──コ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛…………!!!」

 

 俺の進む音を聞いて、イビルジョーが此方を向く。だが視線の焦点が合っていない。

 

 すまんイビルジョー! 介錯!!

 

 イビルジョーの噛みつきを飛んで避け、その勢いと俺の重量と重力加速度をプラスして、弱点属性のランスをイビルジョーの背中に突き刺した。

 

 

 

 ■

 

 

 

 異形のイビルジョーを仕留めて、何日か経ったある日の夜。

 

 突如として、イビルジョーの咆哮が轟いた。

 

 それだけなら“またイビルジョーか”と流していたが、イビルジョーの咆哮の後に、自身を呼ぶルドロスの悲鳴が聞こえた事で飛び起きた。

 

 ルドロスのピンチか!? 夜はエリア5番(そっち)に行くなって言ったのにッ!

 

 そうしてダバダバとコモドドラゴン走りでエリア5番に行くと、そこにはハンターちゃんと戦うクルペッコと、その亜種がいた。

 

「ッロアルドロス……! ……何だ、あんたか」

「何か焦ってるっチャ」

「落ち込み始めたンバ」

 

 ……何だ、クルペッコとクルペッコ亜種か……脅かしやがって……!

 

 周囲を確認するが、ルドロスもイビルジョーもいない。

 俺を呼ぶルドロスの叫び声も、その後に聞こえたイビルジョーの咆哮も、全部クルペッコ達の仕業だったようだ。

 

 てゆーかさ……クルペッコ亜種が孤島にいるってことはさ……ああ、あはは……この世界3Gで確定だ……はははは……!

 

「ギョワーー!」「ギョワッギョワッ!」

 

 ……じゃかましいわ! このクソ害鳥共が! この場で死ねぇ!!

 

「「ギャバァァアアア!!!?」」

 

 こうしてこの世界がMH3Gと確定した事に落ち込んだ俺は、此方に尻(尻尾)を向けて挑発してハンターちゃんに押し付けようとする害鳥共を、ジャンピングダブルラリアットで叩き潰してシバキ回すのだった。

 

 

 

 叩き潰したクルペッコ達は、ハンターちゃんと折半した後に夜食として頂きました。

 美味しかったです!




オマケのボツネタ。
・イビルジョーにランスを突き刺すが、最後っ屁に自分の全てを燃やし尽くして龍属性のビーム(オストガロアのやつ)を一瞬だけ空に放つ。
・命を燃やし尽くしたのでグズグズに崩れ落ちるイビルジョー。
・そのビームを見たギルドが騒ぎ、強力な龍属性エネルギーを感知して古龍(設定無し)が孤島へと飛来する。

★没理由。
・文字数が好みじゃなくなる。
・付箋としても布石としても利用する気が無く、しかもストーリーが乖離し過ぎる(チートロアルドロスルート)。




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