テラ生まれの狼系シリオンがインターノットで配信者になる話   作:MINTO_GUM

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 生存航路やっておりました……アイリーニ、罪な女……
 この後はゼンゼロの予告番組をみます。雅を引かねば……

 誤字報告、評価、感想ありがとうございます!完全に趣味に走っていますが今後ともお付き合いいただけますと幸いです。


ZZ-03 初仕事

a.m11:00 天気:快晴

新エリー都 ヤヌス区 六分街 Random Play

 

 

 

 

 ──Hodophilax、本名を『■■■』と言う一人の少女がこの地に降り立ってから半年。彼女はこの六分街イチのビデオ屋であるRandom Playでタダ働きをしていた。

 なぜタダ働きなのかと言うと、それは彼女を利用しようとして保護者となった邪兎屋の『ニコ・デマラ』のお財布事情にある。

 

 戸籍が無いだけならまだ良かったものの、彼女が生まれ育った大地”テラ”の特徴でもある源石(オリジニウム)と、それを使った科学技術”アーツ”。

 彼女がもたらした情報はこの世界を容易くひっくり返してしまうだろう。それを考慮すれば、事情を知る裏の世界の人達が保護する方が安全と言うのは最もな意見だった。

 

 『と言うことで、この子は私が預かるわ』

 『それに関しては異論は無いよ。だけど……君の今の経済状況でみんなを養えるのかい?』

 『うぐっ……』

 

 そうして提案されたのがパエトーン側で衣食住を保証する代わりに邪兎屋がこれまで貯めてきた借金を含めて邪兎屋としての彼女をビデオ屋で雇う、というものだった。

 当然、そこでのバイト代は邪兎屋の借金返済に充てられるので収入はゼロ、実質のタダ働きということになる。

 

 『ちょっと待って……いくらなんでもタダ働きは良くないわ。子供が親の手伝いをしてるってわけじゃないんだから……』

 『それもそうだね……ん?そういえば君、歳はいくつだい?』

 『?テラ歴で1082年生まれなので……今年で17歳ですね』

 

 その時、そこに居た全員が目を疑ったのは言うまでもないだろう。同い年のエリートオペレーター(上司)やCEOの下で働いていた彼女にとって17歳がまだ学生の年齢であるという感覚は無かった。

 これにより彼女のタダ働きは確固たるものとなり、彼女は”お小遣い制”というまるで学生のような扱いを受け、更には実際に学校に通わされることになるのだった。

 

 「まさか、私が学校に通うなんて──」

 「学校、行ったことがないの?」

 

 客が居ない店内で頬杖を付いていた少女に声を掛けたのは邪兎屋の従業員『アンビー・デマラ』。雇用契約上は少女の上司に当たる人物になる。

 アンビーの質問に少女はうーんと記憶を遡るように声を上げた。

 

 「……学校には通ったことは無いかな。診療所で育ったし」

 「診療所?って事は生まれつき……」

 「え?あぁ違う違う、両親が医者だったの。まぁ鉱石病(オリパシー)患者の診療所って意味では間違ってないけど」

 

 そう、彼女は源石と共に源石による災いの種もこの世界に持ち込んできてしまった。それが鉱石病(オリパシー)と言う不治の病である。

 

 「患者の身内の間でトラブルがあってね、隔離が間に合わずに拡散しちゃった源石を吸い込んだの」

 「それで……?」

 「……あんまり気分のいい話じゃないよ?」

 

 あまり話したくないのか少女は困った様子でアンビーに声を掛ける。しかしアンビーは首を横に振ってからジッと少女の目を見て続きを促した。

 

 「大丈夫、私は貴方の話を聞きたい」

 「……じゃあ、少しだけ」

 

 そうして口を開きかけた時、入口の扉が開き、ドアベルがカランカランと心地よい音を響かせた。

 入ってきたのは黒スーツに紫のシャツ、緑のネクタイと帽子と言った少し怪しい雰囲気の男だった。

 会話を断ち切って「いらっしゃいませー」と声をあげる少女を見て、男は「ほう……」と短く呟いた。

 

 「……店長さんたちは居るかい?」

 「今は出かけていますね、何かご入用ですか?」

 「いやなに、少し頼みたいことが……おや、君は確か……」

 「邪兎屋のアンビーよ、羊飼いさん」

 

 羊飼いと呼ばれた男は一瞬ハッとなり周囲を見渡すが直ぐに何か納得したような顔でアンビーと少女を見据えた。

 

 「なるほど、では君が邪兎屋の新入りということだね?」

 「そうよ、名前は多恵。”私の後輩”」

 

 何故か胸を張って少女を紹介するアンビーに多恵と呼ばれた少女はジト目を向けるが直ぐに羊飼いに向き直って自己紹介をする。

 ちなみにこの”多恵”と言う名前はアンビーが極東風の映画から取ったものらしい。

 

 「……尾鷲多恵です、邪兎屋に入る前は製薬会社でトランスポーターをしていました」

 「”羊飼い”と呼んでくれ、しかし製薬会社の運び屋(トランスポーター)とは、なかなか面白い所に居たようだね」

 

 軽い握手を交わした後、羊飼いは「それならば」と手にしていた鞄から一つの封筒を多恵の前に差し出した。

 

 「本来はこの店主……パエトーンに持ちかける予定の依頼だったが、受けてみないかい?」

 「……理由をお伺いしても?」

 「一番は君の姿勢だ、まだ学生でもおかしくない身なりでかなりビジネスをしてきたと分かる。それに商いだけでなく、何かしらの危機に対処出来る実力もありそうだ」

 

 そこまで聞いて多恵は書類の方に目を通し始めた。後ろからアンビーもそれを覗き見る。

 

 「……わかりました、ニコに相談してからになりますが……引き受けましょう」

 「多恵……!」

 「大丈夫、報酬も悪くないし……店長さんもここのバイト以外に仕事をしちゃ行けないとは言ってないし」

 

 アンビーの心配を他所に羊飼いと連絡先を交換する多恵の表情はどこか嬉しそうであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 

 

 

 

 「──で、なんでアンビーがここにいるの?」

 「ニコが一人じゃ危険だから付いて行ってって言ってた。私も心配」

 

 依頼実行の日、邪兎屋の社用車が現れアンビーに(半ば無理やり)乗せられた私は一緒に依頼主が指定した場所へと向かっていた。

 

 「ニコとビリーは?」

 「別の仕事」

 

 そう言ったきり喋らなくなったアンビーの横顔は少し強ばっているように見える。確かいつもはビリーが運転してるんだったか……

 

 「──運転、変わろうか?」

 「だめ、多恵はまだ未成年。免許も持ってない」

 「うっ、まぁそうだけどさ……」

 

 勢い良く返され押し黙ってしまう。皆からは”丁寧な運転”だと評判良かったんだけどなぁ。

 

 そうこうしている内に指定された場所に到着する。場所は以下にも高級そうなマンションで依頼主はその最上階に居るらしい。

 

 「アンビーはここで待ってて」

 「どうして?」

 「もし何かあったらニコに伝言しないとでしょ?」

 「……わかった」

 

 むぅ……とした表情でアンビーは車の中へ戻って行った。口数が少ない方ではあるけど特撮オタク(ビリー)銭ゲバ(ニコ)と比べるとかなり話しやすいと言うのがここ半年での印象だった。

 

 

 

 

 エレベーターで何十階と言う階数を上がり最上階へ。廊下の先にあるスーツを着た二人の見張りがいる部屋の前まで来る。

 

 (この感覚も久しぶりだな……)

 「止まれ、要件を聞こう」

 「邪兎屋の尾鷲と言う者です。依頼を受けて来ました」

 

 見張りに羊飼いから貰った書類を差し出して身分を証明する。

 見張りは書類に大して目を通すことなく私を奥の部屋へと通してくれた。その部屋に入るや否やその部屋の主は弱々しくも威厳ある声で私の来訪に反応した。

 

 「……私は”最も優秀なプロキシ”を頼んだはずなんだがね」

 「ご安心を、これでも元いた場所では一番のトランスポーターでしたから」

 

 恐らくは元々書斎だったのだろう、豪華な絵画や高級そうな書斎机は今や部屋の隅に移動されそこにはリクライニング付のベットが置かれこの部屋の主がその老体を落ち着かせるのみとなっていた。

 老人はリクライニングを起こし、その特徴的な耳と瞳をこちらへと向け口を開いた。

 

 「ふん、そんなやつがなぜ邪兎屋なんぞにいるのかは知らんが……まぁいい、私はあれが大事な孫娘に届いてくれればそれで良い」

 

 老人はその目を私から隅に追いやられた書斎机に向ける。その上には一つのアタッシュケースが置かれており厳重にロックされている。これが今回届けるものだろう。

 

 「報酬は既に口座に振り込んである。失敗は許されんぞ?」

 「わかりました。必ず届けます」

 

 直後、地上からなにか爆発音の様な音が聞こえたかと思えば外で見張りをしていた男の一人が部屋に駆け込んできた。

 

 「ボス!奴らです!」

 「意外と早かったな……どうした?顔がひきつってるようだが?」

 「……いえ、前居たところでも何かと面倒事に巻き込まれていましたので」

 

 それはそれで楽しかったのだけど、とは零さずにアタッシュケースを手に取る。中身を確認しないのはある意味癖のようなものだと思って欲しい。

 

 「それでは、私はこれで」

 「うむ、長話をしている暇は無さそうだからな……少し惜しい気もするが」

 

 まるで独り言のように発した言葉にはあえて触れず、私は部屋から出ていき、部屋には見張りの男と老人だけが残った。

 

 「……ボス、あのガキは?」

 「全くの他人だ。ただ、とても他人とは思えんかったがな」

 

 そう言って(ループス)の老主──”ベルナルド”はこれから来るであろう刺客をどうやって歓迎しようか考えるのであった。




アークナイツ用語のざっくり解説とかあとがきに書いてもいいかもしれませんね。みなさんはどう思いますか?
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