賢者の孫は探求を   作:半目真鱈

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第一話 覚醒

魔法…曰くイメージを明確にすることで発言する力であり、万人に微笑む女神の法とでも言い表せる物だ。だが、私は生まれてこの方それらを全く扱えないでいた。

 

私の祖父マーリン・ウォルフォードが言う「お主はイメージを魔法へと変換する事が苦手のようじゃのう…婆さんの方を極めてみてはどうじゃ?」そう言われた。

 

私の祖母メリダ・ボーウェンが言う「グリムは魔道具を作る才があるね。それを伸ばしてみるかい?」そう言われた。私は無意識にはいと答えた。そこから、私の魔道の道は開かれたのだった。

 

「婆ちゃんに教えてもらった魔道具…文字が多くてあまり込められないしで結構面倒だな。…そうだ、オリジナルの文字を発明したら良いんじゃ?」

 

この発明が分岐点だった。私を魅了する魔術の道への扉が開かれたのはこの瞬間だった。そこからの発展は目覚ましかった。僅か7歳にしてオリジナルの言語の発明…それに伴う効率的な付与魔術。

 

「これじゃない…これじゃ無いんだよ。私のこの文字の限界点はこれじゃない。」

 

私は無意識的に呟いた。それは慟哭のような叫びだった。新たに開発したオリジナルの言語、それの限界点は高々付与魔法の身で終わる物じゃないと、本気で思っていた。

 

「そうだ…空に付与魔術を展開すれば良いんだ。」

 

それから一年の歳月を経て、私は一つの発明をした。それこそが魔術…オリジナルの言語を用いた全く新しい魔法のプロセス…これが、私の新たなる夜明けとなった。

 

「でも勝てない…兄さんには勝てない…。」

 

俺の兄さんシン・ウォルフォードは天才だ。私と同じようにオリジナルの言語を発明して、私以上の効率の付与魔法を編み出し、魔法の腕も天才と来た。その上剣術を教えられ、遠近熟せる兄さんは、文句のつけようがない程の天才だった。

 

「勝ちたい…何か一つでも良い、勝って鼻を明かしたい。」

 

それだけだった。私の胸の内にあるのはその思いだった。それを為したいがために、全てを捧げるのだろう。

 

「魔術式…展開」

 

何もない荒野で俺は呟く。それと共に空に沢山の魔術式が絵を描くように映し出される。

 

「火球」

 

兄さんなら片手で扱えるような魔法だ。いや…恐らくはこの世界に住まう人間の殆どが簡単に扱えるであろう。

 

「でも…これだ。私は飛んだ無能だ。優れた環境に置かれていても。私はこの程度の事しか成し遂げられない。」

 

歪んだ感情で出力されるのは歪んだ魔術だ。魔術程、己の内面を移す鏡の様な性質は無いであろう。

 

「このままじゃダメだ。負けてしまう。いや…負けているのだろう。」

 

だが…負けたくない。勝ちたい。何か一つでも。兄さんに勝ちたい。

 

「そのための魔術だ。何れ…私は兄さんを超える」

 

 

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