賢者の孫は探求を   作:半目真鱈

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第二話 拠点を構える

あれから数年もの時間が経過した。俺は既に11才となり。溢れ出る好奇心のままに魔術の探求をしていた。そんな折、一つの問題が発生した。それは、兄さんに魔術の事がバレそうだという事だ。

 

「やっぱり研究に専念できる場所が欲しいな」

 

今は荒野でひっそりとしている研究だが、何れは大規模な物になるであろうことは察せられる。そして、その為に必要なピースは既にで揃っていた。

 

「兄さんが作り出した魔法ゲート…それは私に一筋の可能性を齎した」

 

兄さんの理論はこうだ。紙を折り曲げる事で瞬間移動をするという魔法…これを魔術で再現する事は不可能だった。何せこれはイメージを基にしたモノだ。理論を構築する事で作り出す魔術でそんな真似は出来ん。

 

だったらどうするか?答えは一つだ。完成するまでトライ&エラーを繰り返すだけだ。その為にも俺は…一人荒野で魔術の実験をしていた。

 

「第百五十次、異空間干渉実験開始」

 

これまでの理論では先行きが不透明であり、いずれも失敗に終わったが、今度の理論は違う。元々あると仮定した異空間…それに干渉する実験だ。これが成功すれば私の理論の完成だ。

 

「成功だ…やったぞ。私の理論が正しかったのだ。」

 

新たなる空間…虚数空間と銘打ったそこには、何も無くて人間が暮らしていける最低限度の全てが無かった。と言うよりも距離・時間。それら全てがごちゃ混ぜの正にカオスと表現するのが正しいであろう空間だ。

 

「何が成功なんじゃ?」

「爺ちゃんか…バレちゃったかぁ。」

 

俺の後ろに立っていたのは爺ちゃんだった。何時もののほほんとした感じとは打って変わって。その瞳は険しいモノだった。恐らく孫が何らかの実験をしているのを察知したんだろう。

 

「これは…」

「言いたく無かったら言わんでえぇ。じゃがのぉ…わしらは何時までも見守っているからのぉ」

 

俺は後ろを向いて一人泣いた。それはなぜ出てきたのかは分からなかった。だが、俺にも人間としての感情が有るのだと言う事を知れた。

 

「こんなにメソメソしていても実験の邪魔だな。取り合えず暫くは虚数空間に生活拠点を作るのが先決だな。まぁ…魔術を行使すれば大丈夫だろ。」

 

あの魔術発見の日より更に遡り。俺が魔法と言うモノに触れた瞬間から行ってきた魔力制御の訓練…それを考えれば。この空間に生活スペースを作る事など朝飯前と言う他ない。

 

それから拠点を構えるにもかなりの苦労を擁した。何せあっちの世界で暫く過ごしてから息が続かなかったのだ。それに対する対策、重力と言うモノの制御、空間にアンカーを固定すると言った地味な作業。

 

「それらを繰り返して発明したのがこれだ。いやぁ…達成感が違うな。…それじゃあ頼むぞ。分身よ」

「分かりました」

 

この拠点を構えるに当たって、どうしても人手が足りなくなった。それに対処するために新たに生み出した魔術が分身だ。最近は分身に生活を任せて俺は一人で拠点に籠っているのがざらだ。

 

 

 

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