どうやら俺はアメイジングでデジタルなサーカスに来ちまったらしい 作:黄金アオキ
最近気づいたんですが、投稿が遅くて展開が早くないのはまずいのでは?
俺に力をくれ!ポムニちゃん!
目を覚ますと見慣れない天井がまず見えた。徐々にこれまでのことが思い出されていく
「夢じゃなかったのかよ...」
どうやら摩訶不思議な夢だったというわけではないらしいことが確定した。ここに来てからずっと夢であれと期待したが、いざこれが夢ではないことを実感すると、じわじわと足先から恐怖が這ってくる
「これからどうすればいいんだろ」
膝を抱え込んで、これから先のことを考える。しかし、考えども考えども浮かんで来るのは先の見えない不安だけであった。考えるのをやめ、体をひるがえし部屋を見渡した。
メタリックな壁、タイル張りの床、ボンベ、タンク、クローゼット、巨大なアーケードゲーム機のようなもの、そして、今俺が横になっているカプセル型のベット。総称するとしたらデフォルメされたロボット基地という感じだ
「よいしょっと」
横になった体を起こし、部屋の中を見て回る。部屋の中を色々と物色して、最後に一番気になっていた巨大アーケード機の前に立つ。電源はついておらず、画面は暗いままだ。しかし、薄らとロボットのようなキャラクターがこっちを見ているのに気がついた
「...」
俺が手をあげれば、そいつも同じように手をあげる。俺が表情を変えれば、そいつも同じように表情を変える
「これが俺...」
もっと近づいて見てみる。顔はいわゆるカートゥーンの目と口、鼻は赤くて球形。顔の輪郭はU字形。そして次に目につくのはその特徴的な頭部。平でなにもなく、全体が広がっていて、厚みがある。まるで釘の持ち手のような形状だ。
「これが本当に俺?」
視線を下に向ける。胴体は寸胴。骨盤部分はただの滑らかなお椀型で、それが胴体にくっついている。腕は関節部分が球で、球同士が円柱で繋がっているだけだ。手は白い手袋をはめていて、指を見ると4本しかない。脚も関節部分が球で球同士が円柱で繋がっているだけ。足は滑らかで指がなく、足先になるほど丸っと膨れている
「どことなくちびロボに似てるな」
それからいろいろなポーズをとり、これからの自分の体を隅々まで観察した。そして、観察をしているとある一つだけ重大な事実に気づいてしまうそれは...
「
反射的に本来息子がいるはずのところに手を伸ばす。しかし、あるのはつるんとした股だけであった。今まで一番のショックを受け膝から崩れ落ちる。男としてのアイデンティティを消失してしまったのだ。その衝撃は計り知れない。
「...俺はもう俺じゃないんだな」
このデジタル世界に連れてこられただけだったらまだなんとか耐えられた。でも、連れてこられた上にさらには強制的に去勢されてしまった。もう俺は性欲も快感も得ることのできない体にされてしまったんだ。こんなのあんまりだ。
「神様、なぜこのような試練を私にお与えになるのですか...」
そうしてしばらくち◯この損失に絶望していると、ドアがガチャリと開いた
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今回の新入りはガングルやラガタ、ポムニとは違ったいじり甲斐がありそうな奴だったな。まさかいきなり上から落下してくるなんて、その後のあいつのホットサンドプレートで押し潰したような顔は傑作だったな。今思い出してもあのシワシワ顔は笑えるよ
「さて、新入りなんだからしっかりと僕が歓迎してあげないとねェ」
新入りの部屋の前に着き、事前に拾ってきた鍵を扉の鍵穴に挿して回す。扉が開錠されたことを確認すると、そっと扉を開く。
「どうからかってやろうかなァ」
どんなイタズラをするかを考えながら扉の先を見る。しかし、扉の先にあったのは無様な姿で床に這いつくばっている新入りであった。ドアの開く音に気づいたのか顔をこっちに向けている。その芋虫のような姿に思わず尋ねてしまう
「よく床に這いつくばっているようだけど、君は床の隙間のゴミでも見るのが好きなのかい?」
「... |jtm@. |jtm@. |jtm@. |jtm@....」
返事はない。ただ何かしらのNGワードを吐き続けている。その姿から何かしら落ち込んでいるようだ
「おい、ちゃんと返事をしろよ。こっちはわざわざお前の部屋に出向いてやったんだぞ。そのバカみたいな格好はまさか自分が虫だっていうことをアピールしてるわけじゃないんだろ」
「...確か、ジャックスであってるよな?」
やっと目の焦点がこちら合い言葉を返してくる
「ああ、それで君はいったい何をやってるんだ?」
「俺さっき気づいたんだ。俺は自分の一番大事な物を無くしたってことに。もう見ることも、触れることも、ここでは名前も呼ぶことができない」
顔に影を落とし、声に悲痛を伴いながら喋る。その姿からよほど大事な物を無くしたことが見て取れる。おおよそ自分の名前や記憶のことだろう。からかいに来たのにこの状態じゃ何をやっても壁を相手にしてるようなものだ。その纏う空気感からこっちまで調子を崩してしまいそうになる
「あー、こっちに来た時に名前とか記憶に加えて常識まで置いてきた感じね。悪いことは言わないからとっとと忘れることをオススメするよ」
「そうだよな。いつまでも無いものを追い求めたってしょうがないよな。それにこの辛さは俺以外のみんなも味わってる。俺だけが落ち込んでいられない」
どうやらこいつの中で折り合いがついて納得したらしい。纏っていた重い空気感が離散し、今は正常に戻っている。新入りはムクっと立ち上がるとこちらに近づいてきた
「ありがとよジャックス、おかげで元気が出た!でも、俺はまだ諦めきれない!ジャックス、これから男同士、辛いことがあるかもしれないが、一緒に頑張っていこうや!」
ひとつ分かったことがある。こいつは底知れないバカでポジティブシンキングだ。後、何か盛大に勘違いされている気もする。
「勝手に同じにしないでくれ。少なくとも君と同類にはなりたくないね」
今ここで、ハッキリ突っぱねておかないと何か厄介なことになりそうな気がした。でも、もう手遅れかもしれない
「まあ、そんな固いこと言うなよジャックス。ここでは数少ない同性同士だろ!一緒に男の友情を深め合おうぜ!」
こいつからいわれもない友情が向けられてくる。訳が分からない。少なくともわかるのは何かがものすごく噛み合っていないということだ。もはや否定するほど拗れていっている気がする
「それで、ジャックスは何しに俺の部屋に来たんだ?」
新入りからの質問に好機とばかりに答える
「君の入団祝いにみんなで冒険に行くんだよ。僕はその伝言役兼案内役さ」
当初の来た目的と全く違うが今は調子が狂ってしまっている。ちょっかいを出すのは冒険の最中でもいいだろう。今はこいつに振り回されないようにすることが最優先だ
「僕がわざわざ道案内してやるんだ。感謝しろよ新入り」
そして道案内の道中、新入りからの質問に答えながら、冒険でどんな目に合わせてやるかを考え始める
ジャックスは誓った
また新入りは誓った
3話目で主人公の名前が出ていないという失態、早く名前を決めて冒険に行きたいですな
それともし主人公の姿形が気になる人はみなさんの想像で補完してもらえると幸いです