どうやら俺はアメイジングでデジタルなサーカスに来ちまったらしい   作:黄金アオキ

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もう朝らしい

 猫のゴロンが新しいサーカス団員として加入してからもうずいぶんと長い年月が経った。

 初めは俺と溝が深かったサーカス団員だが、時間とともにその溝は埋められていった。

 

 ジャックスとは事あるごとに言葉の応酬がたえず、今でもよく殴り合いに発展する。しかし、それは言わば形式的なものであり、ただお互い遠慮なくやり合うのが自然体で心地よいからであった。

 

 ズーブルはどうも未だに俺に対して苦手意識があるようだ。ズーブルにはよく色んなパーツを作ってもらっており、それらのパーツは俺のち◯こ制作に大いに役立ててもらっている。

 

 ラガタとは良いライバル関係で、よく一緒に冒険に行き、勝ち負けを競い合っている。今までの勝敗は87勝90負5分である。最近はラガタ得意のスポーツが続いていて負け越している。

 

 ガングルとはお互いの描いた絵を交換する仲になっていた。ある日、この世界に来て一切発散することのできない性欲を書き殴った絵を渡してしまった。ガングルは潜在的にむっつりスケベであったらしく、その日を境に俺たちはお互いの叡智を共有している。

 

 キンガーとはよくグラウンドで日向ぼっこをしながら中身のない話を永遠にしている。時々、キンガーは鋭く芯をついた話をするのでとても驚かされている。今度は俺の叡智に対する考えを述べて、キンガーの意見も聞いてみたい。

 

 ポムニは一度だけ自室に閉じこもっていたことがあった。その時はみんなで必死に声をかけた。その甲斐あって元気を取り戻し、今では趣味としてこの世界のバグの条件と仕組みについて研究している。現在は物体同士の衝突によるバグについて調べている。

 

 ケインとは冒険について議論をしている。俺のエロ要望を通すためにあらゆる理屈や正当性を用いて議会に要望書を提出するが、取り付く島もなく案は却下されている。

 

 ——そしてゴロンとは奇妙な関係を気づいている。ゴロンとは犬猿の仲であり毎日喧嘩し合っている。喧嘩の後はもちろん互いの顔も見たくないので必ず決別している。しかし、不思議なことにいつのまにか一緒にいる。まるで一緒にいるのが当たり前のように。そして喧嘩を繰り返す。

 

 さらにもう一つゴロンとの奇妙な関係がある。

 

 

「おいゴロン、また扉を開けにいくのか?」

 

 ゴロンは顔をこちらに向け「黙ってついてこいバカ」と言わんばかりに喉を鳴らし俺を睨みつけた。

 

 ゴロンはよく俺にサーカスの全ての扉を開けるさせる。どうやらいづれかの扉がまるでどこかに繋がっていることを期待しているらしい。しかし、毎度扉を開ける旅に出かけてもその扉の先にはいつもと同じ光景があるだけだった。

 

「なあゴロン、また新しくお前の好きな絵を描いてやっからもう帰ろうぜ?」

 

 ゴロンはその体をピクッと止めるもすぐさままた次の扉へ歩き始めた。

 

 ゴロンは俺の描く絵が好きである。大好きであると断言しても良い。加えてその絵は俺の性癖がふんだんに盛り込まれたエロ絵である。

 どうもこの猫は世にも珍しい俺と同じ性癖で興奮する猫であるらしかった。たまたま、ガングルと交換している絵を見られて以来、こいつを手懐けるには猫じゃらしや鞭よりもエロ絵を使うのが正解だと気づいた。

 

 

「ニャアッッッ」

 

 そうなことを考えているとどうやらやっと最後の扉についたらしく、ゴロンは声をあげて俺に早く開けろと足を引っ掻いてきた。

 

「イタッ!もう分かった分かった」

 

 のんびりしてまた引っかかれないようにすぐさま扉の前に行った。目の前の扉を見る。サーカスのどこでもあるような赤い扉で、特に特徴的なところはない。今まで全く同じデザインの扉を何回開けてきたか覚えていないが、おそらく一万回は開けてきているだろう。

 

「それじゃあ、開けるぞ」

 

 ゴロンに声をかけ、ドアノブに手をかける。その時、直感でこの扉は今までの扉と違うことが分かった。ゴロンを見てみるとその顔は今までとは違った感情を覗かせているような気がした。気を取り直して扉に向き直る。

 

 

 そして、扉を開けた。

 

 

 

 ある暗い部屋でパソコンの画面が周辺を照らしている。その光はテーブルの上にあるキーボードやマウス、コーラとポテチ、そして1人の男を照らしていた。

 その静寂中、スマホのアラートが作動した。

 

 ブーブーブーブー

 

「...」

 

 ブーブーブーブー

 

「...」

 

 ブーブーブーブー

 

「...ゔぁ」

 

 ブーブーブーブー

 

「...もう朝か?」

 

男はスマホのアラートを消し、あくびをしながら伸びをした。次いで、その目を開けるとパソコンからのまばゆい光に目を焼かれる。明順応が働き、やっと目が見えるようになり、パソコン画面を見るとVRエロゲーのスタート画面が映し出されていた。

 

「あれ?俺昨日寝落ちしちまったのか?」

 

昨晩のことを思い出そうとしてもなかなか思い出せない。何か途方もないことを忘れてしまっているかのように記憶がぽっかりと空いていた。

 

「ていうか、なんでVRエロゲーつけてんだ?」

 

 男はとてつもなく困惑していた。なぜなら彼にはまだVRエロゲーをするためのVRゴーグルがないためである。いつの日かこのエロゲーをするために購入を検討してはいるがまだ買ってはいない。

 

「まあ、昨日深夜テンションで買っちまったんだろ」

 

 男はそう呟くと、部屋の明かりを付け、パソコンの電源を落とし、会社にいく準備を始めた。

 

準備が整い、出勤時間になったため、家の玄関の扉を開ける。外に出ると玄関前に何やら置配がされていた。

 

「あれ?Amazonなんか頼んでたっけ?」

 

 こうして何事もなく男は日常に戻るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 




急展開ですか、これにて完結となります!今まで見てくださった方ありがとうございました!今後も作品を書いていくのでよろしくお願いします!
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