壁画殺人事件(まあ死んでないが)から数十分後。
みんなで仲良く、りんご焼きをもきゅもきゅしながら話をしていた。特に塔上さんは、気に入ってくれたみたいで、リスみたいに頬を膨らませるほど詰め込んで食べていた。オカ研に来ていたソーナ会長も黙々と、だがとても美味しそうにして食べていた。そんなふたりを特に微笑ましく見ていたのは、内緒ではあったが。
その後は、疑問を持っていたリアス先輩たちの橘への質問攻めタイムとなっていた。橘は最初は真面目に答えていたが後半は面倒にになっていったのか、返しもテキトーだった。一部を見るとこんな感じだ。
Q⇒A
どこに行ってたのか⇒N県の実家に
どうして何も言わなかったのか⇒忘れてました。
↓
↓
↓
↓
何しに行ったの?⇒ヒ・ミ・ツ!
あなたは本当は何者?⇒通りすがりの仮面○イダーでs。
その返答を侮辱ととったのか壁画くん…もとい、復活した匙が大声を張り上げた。
「ふざけるのもいい加減にしろ!」
匙はまわりが呆れているのにも気付かず、会長が諌めるにも関わらず止まらなかった。
まぁ橘がふざけていないかと問われるならば、ほぼ全員が否と答えるだろうが。
「お前が誰だか知らないけどな、人のくせに、悪魔の、それも俺らみたいに神器持ちには勝てないんだからな。いくらお前が剣道が強かろうとな。」
いかにもプライドの高そうな物言いである。
だが彼は、橘がここにいる意味を、頭に血が上りすぎて気付けてはいなかった。
人間だとしても、眷属程度には、見込まれる実力のある人間でなければ、ここには呼ばれすらしないということに。
まぁ、リアス達は知らないことなのだが、橘も神器持ちではあり、祖母の地獄の特訓により身体能力も飛躍的に上がっていたのだが。
橘は、そんな口上を聞いても、我関せずといったように、朱乃先輩のいれた紅茶を飲みつつ、スルーして窓際へいってしまった。
その態度がきっかけだった。
「このヤロウがぁぁぁぁー。」
と彼は勢いをつけなぐりかかった。
その思いは、ほぼ壁にされた事の私怨であり、
彼の拳は、人ならば当たれば、当然あっけなく骨が折れていただろう。当たれば、である。
しかしその匙を見ていた橘が、
「おや、こんなところにハムスターが。」
と言いつつ、しゃがんだ為、拳は空を切り、橘の背中に寄りかかる形になってしまった。
そこを立ち上がられ、偶然にも開いていた(開けられた)窓から放り出される形となった。
生徒会のメンバーがそんな匙を回収に行くことになったため、その場はやっとお開きになった。
回収された匙は全身水たまりに転がり込み、泥まみれだったそうだ。
リアスside
なんだかちょっとした挨拶のつもりがかなりの騒ぎになってしまったわね。彼のことも戻ってきたら紹介するつもりだったのだけれど、いきなり飛び込んでくるとは思わなかったわ。
急に恭弥がきたと思えば、ソーナのところの新人と揉めるし、まああれは、彼が悪いんでしょうけど。
そのあとやっと、真面目に恭弥にこの間の疑問を聞くことができたわ。どうやら実家が神社でその方面の文献を読んだことがあって知ったようね。悪魔についての文献は珍しくはないけど、眷属についても書いてあるなんて、人間にしては、随分詳しく調べられたものね。
行動は置いておくにしてもやっぱり、さっきの身のこなしや反応速度。眷属として身近に置いておきたいわね。眷属を集めるにしても、やっぱり強く才能のある子でなければね。
でもわたしには、もうあまり時間がないのに…どうすれば…。
(次の日)
「なぁ、恭弥。実は話したい事があるんだ…。…」
イッセーが滅多に見せない真剣な顔で俺に小声で話しかけてきた。
「どうした?」
怪訝そうに俺が聞くと、
「昨日の夜、部長が夜這いに来たんだ。」
「………わりぃ。俺がいくらお前が変態だからって、止めるのに殴りすぎちまったよな。」
「いや至って正常だからな。イイから聞けよ…」
とうとうイッセーが妄想をこじらせたと思ってしまった。
「最近、部長の様子がおかしいんだ。部活にしても、なにか物憂げだしよ…聞いてみても話をそらされてばかりで。」
「ふーん。」
一応昨日のことで朝、菓子折りをソーナ会長に持っていた時に、言ってた事が原因かもな。
「おまっ。ふーんって……」
「じゃあ俺も、今日部室に行った時にそれとなくきいてみるわ。眷属じゃない分、話してくれるかもだし。」
その前に放課後に生徒会室に呼ばれてるんだけどな。なんでも、ソーナ会長が自分の眷属を紹介したいらしい。昨日はその時まだいなかったし。
「少し、遅れるけどね。」
「ああ、なんか用事でもあんのか?」
「ちょち、生徒会長からデートのお誘いをね。」
「はあ!」
イッセーが飛びかかって来たのでワンパン入れておく。
イッセーが地面に蹲りながら俺を睨む。
「羨ましいのか?」
「あたりまえだ‼あんな美人とデートだと!俺だって部長としたいわ。このイケメンやろーが!」
「あはは、それより後ろ見たら?」
イッセーの後ろではアーシアが涙目でイッセーを睨んでいた。
てか同じクラスになってたんだな。俺昨日まで休んでたからな~。
「イッセーさん……」
「あ、アーシア⁈どうした⁈」
アーシア苦労しそうだね。これだから鈍感系は。
そのあと聞きつけた松田と元浜が襲いかかってきたのをなぎ払ったのは、余談だ。
放課後、生徒会室でひと波乱あったのだが、ここでは割愛する。
閑話休題(それはさておき)
おれは、イッセーに言われたとおり部室に向かうことにした。
なんか匙アンチみたいなことになってますが、この時はまだ成長してないので、これから彼は頑張るのです。(多分)