皆様はじめまして!
現代社会にてふっつーの漫画が好きな日本人として生きていたはずの※※※※※です!!
今の名前は浅倉義徳。うんまぁどこの人間かはこの際あんま意味ないから伏せるけど符術の名手としてそこそこ有名だったよ。ていうか偽名でも使わないとやってられないくらいドロドロした事情のある出自だよね。いやほんま最悪。
ところで皆様はお元気でしょうか。
俺は中々結構な地獄具合の600年間を過ごしている最中です。
今やっと200年が経過したぐらいかなと。
まず大事なことというかコレから上手く生きて行くための情報共有をしたいわけです。厚かましい者ですがよろしくお願いします。
では現状説明〜
・呪術廻戦の世界に転生した
・でも虎杖とかがいる現代でも呪術全盛の平安でもない室町時代だったよ
・まぁ色々頑張ったけど羂索に見つかった……は嘘だな。見つけさせて呪物になった
・縛り内容は二つ
1、天与呪縛で身体の弱い人間に受肉させること
2、死滅回遊に参加すること
だ!
・俺はあんまし強くないから適当な穴埋めっぽい
術式も呪符使ってできることも中々おもしろいと思うんだけどな……。クソ興味ねぇ〜って顔されたぜ。
・俺は前世で与三輪推しだった。というか直接好きって伝えさせて上げたいんだよな。それ以降上手くいくのかは……正直分からん。
・俺自身も天与呪縛持ち。顔を思い出せない神との縛りも色々あるけど大事なのは原作についての知識は人に話せないってことといくつかの大事な部分の記憶が消されてるってことぐらいだ。
その大事な部分とやらがどれかも分からん。宿儺が倒されて完結するところまでは知ってるけど。全部じゃん。
以上!
さて、ここまでの説明でなんとなく分かると思うけど俺の目的は羂索に呪物化された上でメカ丸こと与幸吉に受肉(共生)して上手く世界にとってのだけでなく推しである与幸吉にとってのハッピーエンドに辿り着くことだ。
そのためにめでたく絶対事項となった、この室町時代から現代までのクソ長いローディング時間はほんっとうに暇な訳だが、しなければならないこと自体は結構ある。
……例えばどうやってメカ丸の身体を治そうかとか。
多分……そう、多分、受肉体の身体乗っ取りで俺の身体を宿した上で精神を残せば天与呪縛のメリットだけを残して肉体を健常なものにできる……と、思いたい。で、その精神を残すってどうやるの?って話。
(まぁこのへんの話は俺があとの四百年で上手くやるしかないからこれを別の未来で読んでいる君等にはなんの関係もない話なんだけどな!長々と書いて悪かった!!!)
多分できる。いやまぁ四百年もあれば普通になんとかなる。
強いて言うなら天与呪縛がどこまで適応されるかが不安な所だが……もしメカ丸に天与呪縛での苦しみに加えて僕という人間との共生の苦しみまで抱えることになるぐらいならばさっさと死のうと思っている。
受肉先から分離って簡単だし。多分皮膚の痛みぐらいは奪って死ねるのではないだろうか。
メカ丸としてもなんか一日ぐらいだけうるさいやつと共生させられたけど次の日起きたらいなかった。まさか夢……?みたいな形ならまぁセーフでしょ。知らんけど。
ちなみに今から回想に入るんだけど、これは羂索との最後のやり取りだ。
アイツは顔をコロコロ変えられる術式を持ってるって話だ。今回はめちゃくちゃ色男だった。しかもなんか貴族の中でもだいぶ格の高い方のやつ。
◆
「やぁ。」
がさり、と額に縫い目がある足利義政と言う名の……現在の幕府の将軍ともあろう人間が茂みをかき分け進んだ先にある小さな小屋を訪ねてきた。
この時代に彼を無視などしようものならば、即刻打ち首になるであろうほどの人物の来訪だが……声をかけられた老人はピクリとも反応せず、小屋の傍にある切り株に座って青く澄み渡る空を眺め続けている。
「………」
「君だろう? この時代を掻き乱したのは」
「………………」
チラリと顔は空へと向けられたまま、酷く濁った目だけで老人は足利義政の方を一瞥した後、その目は虚空へと再び向けられた。
明らかに廃人。この時代……数多の僧侶達が民を、人を“呪った”時代を作り上げた犯人だとするにはあまりにも頼りないその姿に、義政は残念そうにまたハズレかと溜息をついた。
もちろん義政側としてもそんな猟奇的な人物像が想定される経歴の人間に大した期待を持って訪ねてきたわけではないのたが。
「呪術の才を1ミリも持たない僧侶にどうやって呪いを与えたのか、気になったのだけどね。宛が外れたようだ」
「…………羂索よ」
ポツリと老人が呟き、この時代、この肉体でその名を名乗った記憶はないと羂索と呼ばれた義政が驚いた様な表情を浮かべ……その表情を少し楽しげなものへと変えた。
「ふふ……なんだい?」
「俺を呪物にしに来たのだろう。ここまでの時代の話もある程度は聞いている。コチラの条件を呑めば受け入れよう。無駄な会話をするつもりはない」
「…………友になれそうもなくて残念だよ。で?そっちの条件は?」
顔を歪めた義政と、未だ虚空を見つめる老人。
義政が懐に隠している呪物の気配に近寄ってきた未来では2級に分類される化生が、ガタガタと悪夢でも見たかのように震えた後……突如バシャリと呪力の塊に戻される。
「俺を身体の弱い天与呪縛を持つ人間に受肉させること」
ピン、と老人が指を2本立て、要求を話し始める。
義政は顔を再び顰めた。彼がイカれているのは見れば分かるが、それにしても不気味すぎる。
目的も思考も読めない人間を千年かけようとしている計画に迎えたくないが……ドルヴ・ラクダワラや宿儺、六眼など、似たような事例はいくらでもある。何度目かも分からない溜息をついた後、彼は諦めてもう一つの条件を話すよう促した。
「後は金だ。受肉する時代の金がなければ食っていけない」
義政が目を細める。老人から迸る呪力は誰がどう見ても並のものではない。呪術全盛の平安時代ですら通用するレベルだ。
その鍛え上げられた力があって金に困ることなどないように思えるが……金を必要とする術式でも持ち合わせているのだろうか、と首を傾げた後、了承した。
「…………ふむ。ではコチラの条件は簡単、私が作る死滅回遊に受肉先で参加すること」
「……死滅回遊のルールは伝えられないというのに?」
ずっと虚空を見ていた老人の目が義政の正気を疑うような形で向けられた。お前も金を欲する理由も天与呪縛を欲する理由も話すつもりないだろと喉まで出かけた言葉を飲み込み、義政は肩をすくめた。
「まぁすぐさま死ね、と言った形ではないということを保証するよ」
「……そうか」
相変わらず老人は義政にとって不愉快な目をしていたが、契約は成立した。
しばらく縛りの詳細な取り決めや呪物化の儀式などを行った後、足利義政……いや、羂索は帰路についた。
「ふむ……」
羂索の脳内に、老人の最後の言葉がこびりついている。
「アイツ、言うじゃないか……ふっふふ……」
その後ろ姿は、楽しげなようで、つまらなさそうで、そして悲しそうだった。もしかすると……今は仏のように成ってしまった古き友人のことでも思い出していたのかもしれない。
◆
回想終わり。
いやめちゃくちゃ緊張したよな。手籠めにされないように精一杯俺の考えた厄介そうな老人を演出してみた。わざわざ呪霊まで呼び寄せちゃって。まぁあれぐらいなら羂索でも余裕だろうし対した意味はないだろうが……少しでもメカ丸以外に受肉させられる確立を下げたかった。
こう……面白そうだったら経過を見守るためにこっちの意図に沿ってくれそうだろアレ。だからわざわざ目的を仄めかして詳細を伏せたわけだし。
ちなみに俺こと浅倉義徳は享年78。べつにボケは来なかった。
こんな考え事をどれだけの間していたのだろうか、グチャリと掴まれるような音が呪物の脳部位に響いた。
「ふ~~~〜〜〜〜〜」
いよいよ時は来た。呪物化している間にできそうなことは粗方上手くいった。共生もうまくできるはず。あとは羂索が約束を違わず俺を与幸吉の身体に受肉させてくれることを祈るだけだ。
『さぁて、彼は中々面白そうだった。私の手を離れた混沌になり得る要素の一つだよ』
『ソウカ』
声が聞こえる。
呪いに名を連ねる技術なだけあってか、あまりにも気分の悪い感覚だ。グチュグチュと肉の塊を素手で潰しているときの不快感が全身に表れ、脳部位には受肉先の記憶が流れ込んでくる。
痛み、痒み、不快感、絶望、希望、大切な人への憧憬、届かない光へと手を伸ばし続ける無念。
「っ……!!!!」
あたりは引けたらしいが、余りにも余りな人生だ。
俺なら、俺ならば君の人生を上手く幸せなモノにできるはずだ。産まれてこの方ここまで他人の幸せを願ったことはないと思えるほどの激情の中、俺は改めて地獄のような世界へと今一度生まれ落ちた。