バンビーズみんなのバスターでバインバインしたかっただけなのに   作:カナダ次元

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これは『家族』の物語。


未知なる世界への鍵を回せ/知らざる世界への影を殺せ

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開け

 

開け

 

未知なる世界への鍵を回せ

 

 

閉ざせ

 

閉ざせ

 

知らざる世界への影を殺せ

 

 

 

 

 

BLEACH56巻「KILL THE SHADOW」

巻頭ポエムより

(表紙:ユノワール・シュリーレーランズ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、これでおぬしの言い分は全部論破された」

「他に何か言いたいことはあるかの?」

 

「うっ、ううううう・・・・・・!」

 

「なに、正直に申せばいいのじゃ。悪いようにはせん」

「儂はおぬしの口から真実を語ってほしいだけなのじゃよ」

「そもそも3歳児がそれほど口達者なだけでも存分に怪しいのじゃぞ?」

 

「・・・・・・しんじてもらえないかも、ですけど」

 

「構わぬ」

 

「・・・わたしは、みらいからやってきたんです」

 

「―――――そうか」

 

 やはりそうかと、それは石田宗弦が彼女に対して抱いてた疑惑が確信に変わった瞬間だった。

 

 かつて、石田宗弦はとある力を持っていた。

 

 『知識(ザ・ノーレッジ)

 

 知りたいものの答えが何でも返ってくる、いわば彼らの「王」がかつて持っていたとされた『全知全能(ジ・オールマイティ)』に限りなく似ているようで遠い所にある力。

 

 それを手に入れた時、学者であった彼にとってそれは世の中の全てが色あせてしまった瞬間でもあった。

 

 なので手放す事は惜しいとは思わなかった。それが彼の追放へと繋がると知りながらも。かつての友と離別してしまうと知りながらも。いずれ、それが彼自身の死へと導くと知りながらも。

 

 『知識(ザ・ノーレッジ)』は、それをすべて知り得てしまうのだ。

 

「おぬしは―――」

「・・・・・・・・・いや、止そう。これ以上は無粋じゃて」

「苦労、したんじゃのう・・・・・・」

 

 石田宗弦に『知識(ザ・ノーレッジ)』の力はすでに無い。

 

 しかしかつての保持者であった影響か、その残り香ぐらいの力を未だに持ってしまってはいる。なので目の前の「彼女」がどういう存在か、一目見ただけで解ってしまった。

 

 器は未熟だ。

 

 だがその奥深くに眠る、その幼き身に宿ってしまった果てしなき深淵。

 

 それは『知識(ザ・ノーレッジ)』を所持していた石田宗弦をもってしても、考えていた計画を変更せざるを得ないほどの力だった。導かねばならない。それが彼女を目にした石田宗弦の新たなる使命となった。

 

 本来、すべてを知り得てしまった彼に残された使命はただ一つ。

 

 滅却師の魂を正しい循環へと戻し、永遠に続く千年血戦を終わらせる事。

 

 そしてそのためには彼の「王」に死んでもらい、世界の「王」となってもらうしかなかった。

 

 その目的の為に自身の身を捧げるのは苦では無い。

 

 だが、この目の前にいる「彼女」は―――

 

「儂から滅却師の(わざ)を学びたいとな?」

「よろしい。儂に教えられるだけ、おぬしに教えよう」

 

 その目的の為に。

 

 ―――世界を、捧げてしまったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(カガ)ゲヨ』

 

(ギン)紋章(モンショウ)灰色(ハイイロ)草原(ソウゲン)

 

(ヒカリ)(ウズ)モレタ円環(エンカン)(ミチ)

 

瑪瑙(メノウ)眼球(ガンキュウ)黄金(オウゴン)(シタ)

 

頭蓋(ズガイ)(サカズキ)・アドナイェウスノ(ヒツギ)

 

(ササ)ゲタモノハ、(ワタシ)世界(セカイ)

 

 

 

 

 

黒崎遊子、「聖別」の詠唱より

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは私にとって、まさに悪夢だった。

 

 この一歩下がったような、まるで背後霊になったみたいな視点。前回こうなった時はあまりにも必死で気付かなかったが、今みたいな冷静かつ絶望に近い恐怖状態に陥った私は周りの世界がいつもよりハッキリと見えるような錯覚に陥った。テレビゲームでFPSを遊んでいる時の三人称視点というのが一番近い感じだろうか。ただしその画面中央にいるキャラクターの操作権が私にないだけで。

 

 必死に叫ぼうとする私。しかし私の体は変わらず無言で、一歩一歩と霊王が封印された水晶の前へと歩いて行く。

 

 そして私の歩みを止める者は誰もいなかった。まるで予定調和だったように、だれもかれも――バンビーズのみんなさえも――私の歩みを黙って見てるだけだった。

 

 なぜ誰も私を止めない!なぜ誰も何も言わない!なぜ私の体が動かせない!?

 

 なぜ何故ナゼ!

 

 そしてその願いがようやく届いた時、その私じゃない私の歩みを止めたのは陛下だった。

 

「ユノワール・シュリーレーランズ」

 

 陛下!この際あんたでもいい!お願い!この私じゃない私を止めて!

 

「本当にやるつもりか」

 

 え?

 

「本当に、お前は霊王を殺し」

「お前が霊王になるつもりなのか」

 

 ・・・・・・?

 

 何を、言っているの?

 

 何を―――

 

「・・・・・・貴方(アナタ)()わかっていたのですか(ワカッテイタノデスカ)?」

 

 ――――!!!???

 

 闇ユノワールが、喋った!?

 

 それも前の暴走状態とは違って、ちゃんとした理性をもって陛下へ答えているだと!?

 

「ユノワール・シュリーレーランズ・・・いや、()()()()

霊王宮(ココ)へと昇る前に言った筈だ」

「永劫の(わか)れになるぞ、とな」

 

「・・・・・・・・・」

 

「だがそうだな、私も正直に言おう。最初は疑惑のみだった」

「確信に変わったのはついさっき」

「私がペルニダを手放した直後、力の9年が終わり、私の『全知全能(ジ・オールマイティ)』が戻った時だ」

「すべてを視た」

「世界が辿るべきだった、()()()()()をな」

 

 なっ・・・・・・!?

 

「・・・・・・・・・予想(ヨソウ)()してました(シテマシタ)

だけどそれでも(ダゲドソレデモ)(ワタシ)が止まる(ガトマル)理由(リユウ)にはなりません(ニハナリマセン)

 

「だろうな」

「今更歩みを止めるには、支払った犠牲があまりにも大きすぎるからな」

 

「・・・・・・・・・」

 

「お前はお前にとって、この未知なる世界への鍵を回す為に」

「お前は私達の知らざる世界の、その影にいたるまで――」

 

「すべてを、殺し尽くしたのだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

「瀞霊廷には・・・いえ。尸魂界には、禁術と言うモノがあります」

「数が膨大なので禁術それぞれの個別の解説は省略しますが、禁術というものは大別すれば二種類あります」

「ひとつめは威力がありすぎて禁術となったもの。あまりにも威力が強力すぎて下手すると尸魂界そのものを破壊しかねないからッス」

「そうっスね、黒崎サンにわかりやすく説明するのならば・・・藍染が自らの十刃(エスバーダ)に課した縛りに似ているってトコですかね?」

 

「・・・!」

「もしかして、ウルキオラが前に言ってたアレの事か!」

 

「ええ」

「一定以上の実力を持った十刃(エスバーダ)は藍染によって王虚の閃光(グラン・レイ・セロ)と刀剣解放が禁じられました。特に第4(クアトロ)以上の最上級大虚(ヴァストローデ)がそれをやると彼らの拠点だった虚夜宮(ラス・ノーチェス)をカンタンに破壊してしまいますからね。これらがひとつめの禁術と同格視されるものです」

「ですが今回重要となるのはそのふたつめ」

「世界を改変するがゆえに禁術となったものッス」

 

「世界を・・・改変・・・?」

 

「難しかったですかね、黒崎サン?」

「でも身近な例がお傍にいますよ?ねぇ、井上サン?」

 

「えっ?あ、あたしですか?」

 

「井上サンの盾舜六花ですよ」

 

「!!」

 

「そう。アナタのその拒絶する力。まさに禁術に分類されるチカラッス」

 

「・・・あたしのチカラが・・・禁術・・・!?」

 

「あ、あくまで分類されるってだけでイキナリお縄頂戴!って事になるわけじゃないッスからね?無造作につかいまくっちゃダメってなだけで!ちゃんと許可をもらっていれば大丈夫ッスよ!」

 

「・・・あたし、許可、もらったかなぁ・・・?」

 

「いや、いまさらすぎない?ソレ」

「織姫さんが心配することじゃないでしょ」

 

「ううっ。心配かけちゃってごめんね夏梨ちゃん」

 

「べべべ、別に一兄の彼女なんか心配してねーし!!」

 

「ん?彼女がなんだって?」

 

「・・・・・・そういうところやぞ一兄」

 

「一護・・・今のはお前が悪い」

 

「な、なんだよチャドまで!?だから一体なんの話だよ!?」

 

「えーっと、お話に戻ってイイッスか?」

 

「アッハイ」

 

「で、禁術に関してですが、禁術それぞれに罪の度合いと言うモノが設定されています」

「ようするに使ってしまったらどれ程の罪になるか、って話ですね」

「井上サンの盾舜六花をまた例えに出しますが、井上サンの場合だとせいぜい厳重注意って所ッスかね」

 

「えっ、なんかおもってたよりしょぼい・・・」

 

「しょぼいって・・・相変わらずの感性だね織姫さん」

 

「まあ井上サンの場合はその回復力が評価されてるってのと、その本質がまだ理解されてないって所が大きいッスからねぇ・・・」

「まあようするにバレなきゃいいんですよ、バレなきゃ!そう!このアタシみたいに!」

「うおっほん。とまあ、このような軽い罪のものもあれば―――」

 

「・・・・・・使ったら一発アウトの奴もある、と」

 

「ご名答ッス夏梨サン」

 

「それが遊子姉と何の関係あるの?」

 

「今回の話の肝となるのは二つの禁術ッス。どちらもふたつめに分類される奴ですね」

「その禁術とは・・・・・・」

 

「・・・・・・(ゴクリ)」

 

「"時間停止"と"空間転移"ッス」

 

「・・・あれ?でもなんかそれって・・・」

 

「感想をどうぞ?黒崎サン」

 

「いや、なんかケイゴがゲームのハナシしてる時とかさ」

「結構よく出て来るワードだから、てっきりありふれたものかと・・・」

 

「とんでもございません。どちらも特第一級に分類される禁術」

「使ったら問答無用で強制捕縛。刑罰は軽くても第三地下監獄である衆合(しゅごう)に永久投獄です」

「実際テッサイさんはその判決を言い渡されましたからね?」

 

「えっ・・・・・・!?」

 

「今は藍染の件もあってお目こぼしされてますが、テッサイさんはかつての大鬼道長。ゆえに()()()()()済んだのです」

「なんせこの二つの禁術。一つ一つはその便利性ゆえに本来ならばもっと下級に分類されるはずだったのが、もし二つを組み合わせる事が出来てしまったらとある術が生み出されてしまう事がわかってしまった」

「それこそが"時間逆行"」

「世界の崩壊を確実に引き起こしてしまう、全禁術中最凶最悪に分類される禁術です」

 

「世界の・・・崩壊だって?」

 

「そうです」

「まずは"時間停止"に関して軽く説明しましょうか」

「時間というのは川の流れに似てるって例え、聞いたことありませんか?」

 

「あっ、なんかそれっぽいのどっかで聞いたことがある!」

 

「それは重畳」

「時間は川の流れのように、一点から一点へと流れていく」

「"時間停止"という術はその川の中に四角いバリケードみたいなものを張ってそのバリケードの中にいる事、ってな感じの理解が出来ればOKッス」

「そして"空間転移"」

「これはそうっスね・・・紙の一部をハサミで切ってその切り取った部分を同じ紙の別の部分に貼り付けるってカンジで」

「その二つを組み合わせた"時間逆行"」

「川の中のバリケードを切り取り、川のもっと上流へと強制的に移動させる術と考えれば分かりやすいっスかね?」

 

「・・・・・・なあ、もしかして」

 

「そうです、黒崎サン」

「その術が遊子サンに使()()()()

「あくまでユーハバッハを裏切ってくれた彼女らの談によりますが、状況証拠からアタシは真実だと見ています」

 

「あれ?使われた?」

「なんか話の流れからてっきり遊子姉がその術を使った張本人かと・・・って、ちょっとまって」

「それって遊子姉は未来から来た遊子姉ってコト!?」

 

「夏梨サン。たしかにそれは事実ですが、重要なのは彼女が未来から来たことでは無いんです」

 

「え?」

 

「重要なのは、彼女が未来から()()()()()()と言う事」

 

「どういうことだ?」

 

「ちょっとばかし話は変わりますけど、黒崎サン」

「"王鍵"」

 

「!!」

 

「アナタはそれがどうやって創られるかをご存じで?」

 

「あ?あー、なんだったっけ・・・」

 

「・・・・・・・・・あたし、覚えてます」

 

「井上?」

 

「"王鍵"の創生(そうせい)に必要なのは・・・十万の魂魄と・・・半径一里に及ぶ重霊地・・・」

「・・・・・・そうですよね、浦原さん?」

 

「あっ・・・!」

 

「―――そうです」

「禁術にはこのように犠牲を支払って行使される術が数多くあります」

「腕一本犠牲にする一刀火葬から、数多くの魂魄と霊地を必要とする"王鍵"の創生(そうせい)

「"時間逆行"が全禁術中最凶最悪とされる由縁はその犠牲の量。そしてその割の合わなさです」

 

「割が合わない?」

「こういう言い方は好かないが、過去をやり直せるのなら犠牲なんて幾らでも払ってでもやりたい奴がいるんじゃないのか?」

 

「いい所をついてきますね茶渡サン」

「そう、そこなんですよ」

「"時間逆行"がなぜ割に合わないのか。それはその術を使った本人が過去へと至れない事」

「この術はあくまで他人に、それもたった一人にしか使えない術なんです」

 

「・・・・・・!それは、確かに割に合わないな」

 

「あと一応習得難易度自体も一つのハードルですね」

「アタシが知る限りでは使える可能性を持つ人物は二人しかいません」

「一人は先ほど話に上がったテッサイさん。彼は瀞霊廷で唯一公式に"時間停止"と"空間転移"を習得した鬼道のエキスパートです。ただし彼は"時間逆行"を実行するための必要霊力が足りてません。なので彼が遊子サンに術を掛けた可能性はかなり低いでしょう」

 

「ってコトはそのもう一人が遊子姉にその術を掛けたってワケ?」

 

「アタシはそう見てます」

 

「誰よ、ソレ?」

 

「・・・・・・前置きになりますが、あくまで可能性ですからね?確定してる情報ではありません。真実を知るためには遊子サン本人に聞いてみるしかないでしょう」

 

「もったいぶってないで早く言いなさい」

 

「・・・・・・・・・・・・」

「――――――藍染、惣右介ッス」

 

「えっ・・・?」

 

「!!!」

 

「そしてこれも大変言いにくい事なんですが・・・」

「"時間逆行"は他人にしか掛ける事が出来ない術ですが、それを行使するためには"掛けられた側"の同意も必要です」

「つまり未来の遊子サンは藍染と協力関係になり過去へと渡って来た事だけではなく」

「その支払ってしまった犠牲をも許容した、という事になります」

 

「――――なんで、遊子姉は、そんな・・・・・・」

 

「・・・・・・おそらく、未来の世界で遊子サンに我々が想像できないほどの不幸な出来事が起こってしまったのでしょう。"時間逆行"を使う決断ができてしまうほどに」

「故に彼女は過去(いま)へと舞い戻り、霊王へと成って未来(かこ)の失敗を無かったことにしたいのでしょうね」

「そして未来の我々は、その彼女の阻止に失敗してしまったという事になります」

「スンマセン。我々の責任です」

 

「そんな、それは浦原さんのせいじゃ・・・」

 

「・・・・・・なあ、浦原さん」

 

「ハイ、なんでしょうか黒崎サン」

 

「その術に必要な犠牲って、どんくらいなんだ?」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「浦原さん?」

 

「・・・・・・アタシは既に、言いましたよ」

 

「えっ?」

 

「・・・・・・!!!」

「ま、まさか遊子姉は――――」

 

「ハイ、そのまさかです」

()()()()()()()()()を引き起こしてしまう、全禁術中最凶最悪である"時間逆行"」

「その行使に捧げる必要な犠牲は―――」

 

「逆行した人物以外の、三界の全てです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だからなんだと言うのです(ダカラナンダトイウノデス)

(ワタシ)がこの(ガコノ)程度(テイド)の揺さぶりで(ノユサブリデ)(アキラ)めると(メルト)(オモ)っているのですか(ッテイルノデスカ)?」

 

「いいや。霊王を殺す為にその剣を抜きたければ抜くがいい。お前にならそれは出来よう」

「なぜならばお前の中の滅却師の血は決して霊王の存在を許さない」

「許せぬはずだ」

「許せぬはずだ」

「お前に滅却師の血が流れるのならば、お前は霊王を斬らねばならぬ」

「そして霊王の封印を完全に破るには滅却師、人間、死神、完現術者(フルブリンガー)、虚。すべての力を併せ持つ者が必要だ」

 

「・・・なるほど(ナルホド)

皇帝候補者(コウテイコウホシャ)とは(トハ)そういう(ソウイウ)存在(ソンザイ)だったのですね(ダッタノデスネ)

蒼都(ツァン・トゥ)()部隊(ブタイ)()任務(ニンム)()性質上(セイシツジョウ)虚圏(ウェコムンド)にいる(ニイル)(コト)()(オオ)かった(カッタ)(カレ)()副官(フクカン)である(デアル)キルゲ()能力(ノウリョク)もあって(モアッテ)(ホロウ)()(チカラ)を取り込むことができた(ヲトリコムコトガデキタ)

「ドリスコール()(カレ)()(オモ)()(テキ)としてた(トシテタ)相手(アイテ)()死神(シニガミ)死神(シニガミ)()(チカラ)を得て行った(ヲエテイッタ)

雨竜(ウリュウ)()現世(ゲンセ)最後(サイゴ)()滅却師(クインシー)(ユエ)()人間(ニンゲン)()(チカラ)を持っていた(ヲモッテイタ)

そして(ソシテ)バンビエッタ()完現術者(フルブリンガー)(キズナ)()(アカシ)にと(ニト)使(ツカ)っていた(ッテイタ)アクセサリー()(ツヨ)()(オモ)いを乗せた(イヲノセタ)完現術(フルブリング)()能力(ノウリョク)()宿(ヤド)った(ッタ)

だけどその(ダケドソノ)(スベ)てが(テガ)(ソロ)っていたのは(ッテイタノハ)(ワタシ)だから(ダカラ)(イマ)まで(マデ)見逃(ミノガ)していたのですか(シテイタノデスカ)

 

「確証を持てなかったこともある」

「なにせお前は最後の最後まで死神の力を手にしようとしなかったからな」

 

「・・・・・・・・死神(シニガミ)()(キラ)いですから(イデスカラ)

 

「そうか。私の能力でも見えなかったが、何があったかはあえて聞くまい」

「さて・・・」

「最後の問いだ、黒崎遊子」

「お前は本当にそれでよいのだな?」

 

承知(ショウチ)()(ウエ)です(デス)

 

「ならば世界を滅ぼしてまで貫いたお前の信念」

「今こそ見せて見よ!」

 

 そうやってもう一人の私はゼーレシュナイダーを抜き。

 

 大きく振りかぶり。

 

 力強く、振り下ろす。

 

 こうして私の手によって。

 

 霊王は―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――あれっ?

 

 なにこの真っ白な空間。

 

 一体ここは・・・?

 

『・・・アーア、マサカアソコデチカラツキルトハ』

『シマラナイナァ、ワタシ』

 

 なっ!?あ、あなたはまさか・・・!?

 

『オッ?ワタシノコエガキコエルノ?ダッタラコノママジャシャベリニクイネ。チョットマッテネ、エーット』

『よっし、これで大分マシになったかな?私の声、ちゃんと聞こえる?』

 

 あっはい、お陰様で随分聞き取りやすく――

 

 じゃなくて!

 

 あなたは闇ユノワール!!

 

『違いますけど?』

 

 ズコー

 

 えっ?じゃあ誰・・・?

 

『アッハッハ!グレミィくんがいっつもアナタをからかってる理由、わかった気がするよ!本当に面白いリアクションを返してくれるんだね!!』

 

 わ、私の純情な心が弄ばれた!グスン

 

『うふふ。純情ってタマじゃないくせに』

『だってアナタ、いつもバンビーズのみんなを妄想の中で―――』

 

 ストーーーーップ!そこまでです闇ユノワール!それは流石にライン越えですよ!

 

『それもそうだね。気遣いが足りなかったよ、ごめんなさい』

『それじゃあ改めて自己紹介でもしましょうか』

『私は確かにアナタが闇ユノワールと呼ぶ存在だよ』

『だけど私が本当は誰なのか薄々と気付いてるんじゃない?』

 

 ・・・・・・まだ、信じられないんですけど。

 

 あなたは・・・「未来の世界の黒崎遊子」・・・なんですよね?

 

『正解!』

『まあ「違う未来の黒崎遊子」って言った方が多分あってると思うけどね』

『この世界はあまりにも私の居た世界とは違う歴史を辿っちゃってるし』

 

 だとすると、私は一体誰なんでしょう?

 

『うん?どういう質問かな、それは?』

 

 あなたは未来の世界からこの過去の世界へやって来た。と言う事は私が生まれた時からこの身に宿っていたというわけなんですよね?

 

『そうだね』

 

 だったら生まれたばかりの私の意志なんて容易く塗り潰されてしまうはず。だから私はもしかして本当はあなたが隠れ蓑として生み出した仮想人格とかじゃないんですか?仮想人格が表で活動してる間、他の誰にも気づかれずに裏であなたが暗躍するためにとか。

 

『へえ、面白い仮説!やっぱりアナタは頭は回るのね!』

『いいよ、答えてあげる。それは否。アナタは「この世界の黒崎遊子」で間違いない』

 

 えっ?でもそれにしたって私ってなんか余計な記憶が多すぎません?

 

 実際私は私の事をBLEACHという漫画が原作の世界へと転生した異世界人と認識してしまってますし。

 

『そうだね、それ自体は私のせいである事は間違いない』

『世界を移動した際におそらく他の世界や上位世界から色々と余計なものが私に引っ付いてしまったんだろうね。世界の移動なんてだいそれたことをしちゃってるんだもの。まったくの無影響とはいかなかったってわけ』

『なのでアナタがこの世界を「原作」と呼ぶ上位世界からの転生者だって事はあながち間違いでもないのかもね。アナタの知る 「原作」の世界は私の世界ではなかったし』

 

 私って混ぜ物だったんだ・・・

 

『その表現はどうかと思うけど、大体あってるからなんとも言えないね・・・』

 

 ・・・・・・陛下が言ってた、世界を殺したってのは本当の事なんですか?

 

『そうだよ』

『私の世界は"時間逆行"を使ったことにより私が滅ぼした』

『まあ正しく表現するならば藍染が滅ぼしたって事になるんだけど、それに了と返した私も同罪だからね』

 

 へっ?なんでそこでヨン様が出て来るんです?

 

『"時間逆行"は他人にしか使えないから。彼の協力があったからこそ私がこの世界へとやってこれたの』

 

 で、でもあのヨン様ですよ!?

 

 はっ!!

 

 もしかして闇ユノワール、藍染に完全催眠をかけられて操られているんじゃ・・・!

 

『アハハ!本当にアナタは面白い!すぐにそういう説を考え付く事が出来るなんて!』

『でも残念。私には藍染の完全催眠は効かないんだ』

 

 え?それはどうして?

 

『東仙要だったっけ?彼のかつての部下。それと同じ理屈だよ』

『私、彼と会う前から既に目が見えなくなってしまったから』

『死神達に襲われた時にね』

 

 ・・・・・・えっ?

 

 な、なんで死神なんかに襲われて―――

 

『――――私は霊王の妹だから』

 

 ―――――――――!!!???

 

『アナタの知る「原作」と私の世界が辿った歴史はある一点を除いてほぼ一緒だった』

『最後の戦いで、お兄ちゃん達が敗けたその一点以外はね』

 

 !!

 

『だがあの和尚は―――それさえも想定通りだった』

『私はあの戦いの後ユーハバッハがどうなったのかは知らない』

『私が知ってるのは、お兄ちゃんの死体があの和尚によって利用され新たなる霊王へと祭り上げられてしまったって事だけ』

『すべては、死神達の世界を維持する為だけに』

 

 そんな・・・・・

 

『お父さんはあの戦いから帰ってこれなかった』

『私と夏梨ちゃんは現世が一部崩れ去った影響により空座町の消滅に巻き込まれて死んだ』

『私達の魂は尸魂界へと導かれて志波家によって匿われたけど、束の間の平穏だったよ』

『すぐに変化が起きてしまったからね』

 

 変化?

 

『お兄ちゃんが霊王と成ってしまったせいで血縁である私達にも影響が出てしまったんだ』

『それまではほぼ一般人同然の私と夏梨ちゃんが、あっという間に上位の隊長クラスの霊圧を持ててしまうぐらいにはね』

 

 なっ・・・!

 

『そこからの死神達の動きは早かった』

『私達に協力的だったかもしれない死神は戦争でみんな死んでしまったし、元々敗戦の主犯であるお兄ちゃんの妹という事で私達は常に弱い立場に立たされていた』

『なので急激に力をつけてしまった私達を警戒したんでしょうね。彼らは志波家へと大量の暗殺者を仕向けてきた』

『志波家は全滅。生き残ったのは私だけ。夏梨ちゃんに庇われて致命傷からは逃れられたけど、目の傷だけは治らなかったよ』

 

 ・・・・・・もしかして、闇ユノワールの目的って・・・

 

『察しがいいね』

『そう。これは復讐。本当は過去に戻る事は二の次だったんだ』

『私の家族は、私の世界だった』

『だからその家族が居ない世界なんて、私にはもう必要なかった』

『・・・・・・アナタも、私のこの気持ち。わかるでしょう?』

『だってアナタも私だもの』

 

 それは・・・・・・

 

 ・・・・・・・・・・・・

 

 あまりにも壮絶すぎて・・・私には、とても・・・

 

『まあ確かにこの気持ちは経験してみないと理解できないモノなのかもしれないね』

『とまあ、そういうわけで私は世界を殺す為に藍染と手を組んでこの過去の世界へと渡ってきた』

『正直渡った時点で私の目的は達成されたから後はどうでもよかったんだけど、せっかく来たんだし色々やろうとは思ってね』

 

 ・・・その色々が、あなたが霊王になるって事なんですか?

 

『その通り』

『この過去においての私の目的はお兄ちゃんを霊王にさせない事』

『それをなによりも確実にするためには私自身が霊王になればいい。それだけでみんなを救える』

 

 ・・・・・・でもそれって下手するとあなたが経験したことを逆にお兄ちゃん達に押し付けるって事じゃないんですか?

 

 あなたが霊王になってしまえば、あなたの力が増してしまったようにお兄ちゃん達にも影響が出るかもしれない!下手すると同じことの繰り返しが・・・!

 

『・・・そうか、アナタはまだ知らないんだったね』

 

 ??

 

 何のことです?

 

『グレミィくんが言ってたでしょ?アナタのチカラのコト』

 

 !?

 

 何か知ってるんですか?

 

『知ってるも何も・・・私がそのチカラの源泉よ』

『あなたのチカラの正体はとってもシンプル』

『私が捧げた世界、そのすべてだよ』

 

 ・・・えっ、ちょっ、ちょっとまってください。

 

 まさかとは思いますが、あなたが殺した世界はいわば膨大な燃料みたいな状態になっててそれを私が無尽蔵に使える、ってカンジのチカラなんですか?

 

『正解。本当に察しがいいんだね』

 

 いやいやいや!!

 

 そんな巨大な力、持ってたらすぐにバレるでしょうそんなもの!そんなものが私の中にあるはずが―――

 

『ところがそうでもないんだよねー』

『そうだね、今のアナタはいわば容量がダム並みにあるのに排出口は蛇口一本のみみたいな状態。他人からしたらアナタの事は地面からひょっこりと蛇口がひとつ生えてるようにしか見えないわけ』

『それに世界の力というのは本当に膨大なんだ。巨大すぎる霊圧を一般の死神が感じられなくなるように、その量は文字通り桁が・・・いや、次元そのものが違う』

 

 あー、なるほど。それならバレないか。それなら安心―――

 

『もうユーハバッハとか、結構な人数にバレちゃってるけどね』

 

 あばばばばば!!

 

 ちょっと!?闇ユノワールさん!?

 

 そうやって私をすぐ絶望に叩き落すの、やめていただけませんかねぇ!?

 

『現実からすぐ目を逸らしちゃうアナタも大概だと思うけどね?』

 

 うっ。それを突かれると痛い・・・

 

『ともかく、今の私達はその世界の力を持て余している状態。存分に使おうと思ったら体のスペックを上げるしかない。でも正攻法で使うにはそれこそ何千年も修行しなくちゃいけないし、グレミィくんのチカラで強制的にスペックを上げてもらったらある程度は使えるようになるけどそれはあくまで一時的なもの。だからこそ―――』

 

 ―――霊王を殺して、霊王を取りこむ。

 

 霊王そのもののスペックを活かしてそのチカラをフルに使える状態にする、と。

 

『ええ。そうなったらあとはこっちのもの』

『なにせ世界のすべてに等しいほどの力だからね。私達を止める存在なんていなくなる』

『今の霊王みたいに封印なんぞも出来はしないでしょうね』

『仮に私が霊王に成った事で家族に影響が出たとしても、家族に手を出してきた愚か者なんぞ叩き潰せばいいだけだよ』

 

 うわぁ、アグレッシブな王様だぁ・・・

 

『というわけだよ。どう?アナタにとっても悪い話じゃないでしょ?』

『このチカラがあれば現世の家族も、アナタの新しいもう一つの家族であるバンビーズのみんなも救う事なんて簡単にできるよ?』

 

 ・・・・・・なんでそこで私に聞くんですか?体の主導権はあなたにあるんですから、裏ラスボスであるあなたの好きにすればいいんじゃないんですかね?(諦め)

 

『私もそうしたいのは山々なんだけどねー、力尽きちゃったの』

 

 ファッ!?

 

『そもそも私がアナタの体の主導権を握れてないのはアナタが上位世界の記憶を持つ存在だから。私は世界を渡った際に体も捨てるしかなかったから意識だけの存在だし、上位世界の記憶持ちのアナタに対して下位世界出身の私が行使できる力は本当に微々たるもの』

『だからこそ今の今まで私はアナタと喋る事も出来なかったし、体の主導権を握るためには十何年も力を貯めなければならなかった。しかもいざ動かしてみたら予想以上に燃費が悪すぎてすぐにガス欠になっちゃった。ペペの時はあくまで暴走だったので例外』

『この空間から出たら体の主導権はアナタへと戻る』

 

 えっ、本当に!?

 

『うん、本当だよ』

 

 よ、よかったー!だったら状況は滅茶苦茶悪いけど、これでなんとか軌道修正を―――

 

『あ、一応言っておくけどユーハバッハ含む私たちの周りのみんなはアナタこそが未来から渡って来た「黒崎遊子」本人だと思い込んでるからね?』

 

 ・・・・・・・は?

 

 いえ、それはあなたが―――

 

『だってそうでしょ?私達の世界には読心やその類の能力は存在してない。誰も闇ユノワールたる私の事なんて知覚してないよ?』

 

 ・・・いや、それはそうかもしれませんけど―――

 

『それにアナタ、宗弦のお爺さんに対して「みらいからやってきたんです」って言ってたし』

 

 え?

 

 あ。

 

 いやいやいや!!確かにそう言ったけど!!まさかそんな―――

 

『アナタにとっては咄嗟に出た口からの出まかせだったのでしょうけど、彼はアナタのチカラを見抜いていたから当然信じちゃったみたいだよ?ある意味本当の事ではあるのだし』

『当然ユーハバッハも全知全能の能力が戻った際にそれを視たのでしょうね』

『そして私がさっき表に出てた間に色々と喋っちゃったから周りのみんなも全部アナタ自身がやった事だって信じて疑わないでしょうし」

 

 あああああああ!!(絶望)

 

 なんてことをしてくれたんですかああああ!!

 

 どうするんだよコレええええ!?

 

『・・・ご愁傷様?』

 

 他人事だと思いやがってええええ!!

 

 いや私なんだけど!!でも私じゃないのにいいいい!!

 

『ね?だったら開き直って私の作戦でいきましょう?』

『霊王になったらアナタの悩みなんてすべて解決するから!』

 

 いやいやいやいや、なんかお気楽に誘ってるけどさ!コトはそう簡単な事じゃないでしょ!?

 

 陛下の反応を見るに私達は霊王の封印を壊して霊王を殺すのに必要だったから見逃されてただけで、封印を壊した今は陛下の事だし用済みと断じられて処される可能性大じゃね!?

 

『そんなに霊王に成りたくない訳?』

 

 私の中にずっと居たんなら私の考えてる事もずっと分かってたんでしょう!?まともな人なら誰でもあんな目ん玉お化けに成りたくないと思います!!

 

『まあ、アナタがそれほどまでに言うのなら私は別にそれで構わないよ?』

 

 えっ?

 

『意外そうね?でもそう難しい事じゃないよ?』

『私としてもアナタが目指している「原作に限りなく近いハッピーエンド」でも全く問題ないのだから』

『私にとって重要なのは家族が変わりなく無事であること。ユーハバッハが霊王になるエンドでも全然かまわない』

『「原作」と言う希望をアナタに見せてもらったことは、絶望の未来から来た私にとってはものすごい救いだった。これでも私なりにアナタに感謝してるんだよ?』

 

 だったらあの場面で介入してほしくなかったなぁ・・・!

 

『それはそれ、これはこれ。成功率は高い事に越した事は無い』

『それに!今までのアナタのやらかしや今の状況を顧みると、どっちのルートの成功率が高いのか!それは私がこれ以上言わなくても解るよね?』

 

 ・・・・・・・・・。

 

 ・・・・・・一つだけ、答えてくれませんか。

 

『何かな?』

 

 あの日、私がグランド・フィッシャーを前にして動けなくなったのは・・・

 

 あなたのせいなのですか?

 

 私が「見えざる帝国(ヴァンデンライヒ)」へと辿り着けるように。

 

『・・・・・・・・・いいえ。私はなにもしていない』

『言ったでしょう。私の家族は私の世界だった』

『出来うることなら私もあの人を助けたかった』

『でも出来なかった。出来なかったんだよ、ユノワール』

 

 ・・・・・・そう、ですか。

 

 わかりました。私も覚悟を決めましょう。

 

『・・・・・・本当にごめんなさいね』

『本当はアナタの代わりに全部終わらせたかったけど・・・後はアナタに全てを託します』

『どのような結果に終わっても、私はアナタの事を責めないから』

 

 ・・・・・・ありがとうございます。

 

『それじゃあこの空間を解くね。ここは私達の精神世界みたいなものだから外の時間は止まったままのはず』

『ここを出たら霊王の体に出来るだけ素早く触れる事!ユーハバッハの介入を許したらそこで終わると思いなさい』

 

 ううっ、プレッシャーが凄い・・・!

 

『なーに、ちょっとばかし世界を救うだけだよ!世界を殺すよりカンタン、カンタン!』

 

 あなたが言うと一味違いますねぇ!?

 

『アハハハハハ!』

『・・・・・・じゃあね、ユノワール』

『またいつ会えるか分からないし、祈る神なんて私には無いけど―――』

 

『幸運を、祈ります』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私が現実世界へと戻った時、いくつもの出来事が同時に起った。

 

 両断された霊王の体へと手を伸ばす私。

 

 意味深な笑みのみを浮かべ、予想に反して私の行動を止めようとしない陛下。

 

 私の行動に驚き戸惑う親衛隊。

 

 ポケットに手を入れたままじっと私を見つめ続けるグレミィ。

 

 腰の剣に手を伸ばすハッシュヴァルト。

 

 足に力を籠める雨竜。

 

 だけど何より私を驚かせたのは、私が伸ばした手首を掴んでしまったその手だった。

 

「そこまでよ、ユノ」

 

「・・・バンビ・・・ちゃん?」

 

 戸惑う私を無視したバンビエッタは次の行動に移る。

 

「やるわよ、みんな」

 

 彼女の号令と共にバンビーズのみんなが動いた。

 

 リルトットはアスキンへと。

 

 ジゼルはジェラルドへと。

 

 キャンディスはニキータへと。

 

 ミニーニャはリジェへと、まだ動けずにいた親衛隊の前に全員立ちふさがった。

 

 そして。

 

「石田雨竜!アンタがユノの為に此処に居ると言うのならば!今こそそれを証明しなさいっ!!」

 

「バンビエッタ様!?何を・・・ッッ!!」

 

「やれやれ、人使いが荒いな」

「君の相手はこの僕だよ、ユーグラム・ハッシュヴァルト」

 

「よしっ!!ちょっとは見直したわよ石田雨竜!ユノを婚約者呼ばわりした事は一旦保留にしておいてあげる!感謝することね!」

「リル!やってちょうだい!!」

 

「ああ、わかっている」

 

 

 

『舞台に上がれ』

 

氷の王(ニードヘッグ) 鉄の王(ドヴェルグス) 剣の王(フローディ) 炎の王(ナグルファー) 轟の王(ハール)

 

王の舞台(ジェネレイド・ステージ)

 

 

 

 リルトットのその詠唱が完了した瞬間、十人の姿が()()()()()()()()

 

 場に残されたのは私を含めて四人となった。

 

「成程、叫谷を作り出す能力か。考えたな」

「私から親衛隊を分断させるにはこれ以上ない能力だ」

「能力を他人に分け与えることが出来るまでに成長してたとはな。私はお前の事を誇りに思うぞ、バンビエッタ・バスターバイン」

 

「・・・・・・・・・!!」

 

 無言で陛下を睨みつけたバンビエッタは私の手首をさらに強く握り締める。

 

「バ、バンビちゃ――うわっ!?」

 

 なにがなんだかわからなくなってしまった私は彼女を問いただそうとするが、聞き終える前に彼女は私の背後にいつの間にか立っていたグレミィへと私の体を投げ飛ばす。

 

 難なく私をキャッチしたグレミィはバンビエッタへとニヒルな笑みを返す。

 

「おっとっと。これでぼくはお役御免ということかな?」

 

「・・・・・・後は、契約通りに―――」

 

「彼女を死神達の所へと連れていく事。了解したよ」

 

「なにを、なにをいっているの!」

「グレミィ!バンビちゃん!」

「説明を、説明をしてよおおおお!!」

 

「・・・・・・ユノ」

「アンタはアンタの家族の元へと帰りなさい」

 

「えっ・・・・・・」

 

「アンタが霊王になる必要なんてない」

「アタシがこの目の前の男を殺して、アナタの代わりにコイツの亡骸を霊王に仕立てておいてあげる」

 

「ほう、簡単に言ってくれるな?」

 

「・・・・・・死神達にはすでに話を通してあるわ」

「行きなさい、ユノ。アンタは幸せになるべきなのよ」

 

 死神達にすでに話を通してあるだって?

 

 嘘だ!そんなの!

 

 私達はいつもずっと一緒だった!死神達に連絡を取る機会なんて――――

 

 ・・・・・・・!!

 

 まさかまさかまさか!平子を捕虜にしたあの時か!!あの時にすでに――――!!

 

「嫌だッ!!」

 

「・・・!!聞き分けの無い子ね・・・!」

 

「だって、だって、だって!」

「だって!!バンビーズのみんなも!!」

「私の、家族なんだもん!!!」

 

「・・・・・・さっさとつれて行きなさい」

 

「はいよ」

 

「バンビちゃん!!」

 

「ハァ・・・アンタはほんとにもう」

「――――これだけは、言わないつもりだったんだけどね」

 

「えっ・・・・・・?」

 

あの汚物(ペペ)の事もあるし、アンタはこの言葉が実はそんなに好きじゃないって事も知ってる」

「でもごめんなさい。みんなの為にもあえて言わせてもらうわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さようなら、ユノワール」

 

「私達はみんな」

 

「貴女を愛しているわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブツン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あ・・・

 

 

 

 

 ああ・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッッ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『・・・・・・アナタも、私のこの気持ち。わかるでしょう?』

 

『だってアナタも私だもの』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私は闇ユノワールのその言葉を。

 

 張り裂けるぐらいに、理解してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あたしの命も

 

愛みたいに

 

空に飛び散らせてみせる

 

 

 

 

 

BLEACH62巻「MARCHING OUT THE BAMBIES」

巻頭ポエムより

(表紙:バンビエッタ・バスターバイン)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 ご清覧、ありがとうございました。これにて大量の伏線回収を兼ねた今回の説明回は終わりです。お疲れさまでした。

 ようやっとあらすじを回収できました。温度差?うんまあ。

 次回、『G』

 ではまた。
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