担い手さんがいく!   作:ラスキル

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一番悩むのは主人公の戦闘スタイル。うーむ。


第六話 変なやつ

「汝が持ってくる果実は・・・もぐっ・・・美味いな」

 

「本当?嬉しいな、わざわざ獲りに行った甲斐があったよ」

 

彼が持ってきた果実を頬張る。これがなんとも美味なもので、一口頬張るたびに甘い果汁が溢れ出し喉を潤す。そしてまた一口、また一口と果実に手が伸びる。思わず、顔が綻びそうになるがそれを見られるのは少し癪なのでついそっぽを向いてしまう。

 

「ふふっ」

 

「・・・なんだ」

 

「いいえ、なんでも」

 

「むぅ(もぐもぐ)」

 

本当に変な奴だ。

 

◇◇◇

 

 

『よかったら一緒に食べませんか? これ、凄く甘いんだ』

 

『いらぬ』

 

出会ったその数日後、彼は何度も私の元を訪れた。この国を去れと言い聞かせたのにも関わらず、何度も何度もしつこく。それを嗜め、時には武力行使で思い知らせる。それでも訪れる彼に呆れ果てる、それが日常となっていった。

 

『今日はブドウを持ってきたんだ、よかったら』

 

『いらん、去れ』

 

『え”』

 

次の日も

 

『今日はザクロを』

 

『...(無言で矢を放つ)』

 

『なんでぇ?!』

 

そのまた次の日も

 

『あれ?居ないのかな・・・』

 

『・・・(木の影に隠れている)」

 

『また明日来るね』

 

『(何なのだ、いったい)』

 

性懲りもなく私のもとを訪れてくる。それが何日続いたのだろうか。そんなある日のこと、こちらもいい加減、我慢の限界がきた。

 

『今日はね、林檎を貰っ『ええい、寄越せ!』え、あ』

 

一度、食ってやれば満足するだろう。それに、林檎など等に食べ飽きている、こんなくだらないもの。

そう考え、少々乱暴に口に入れる。

 

『もぐっ——————こ、これは!』

 

口いっぱいに広がる甘美な味わい。噛めば噛むほど溢れてくる甘み。何なのだこれは、私が今まで食べた林檎は腐ってでもいたのか?一口食べるたびに身震いするほどの快感が全身を駆け巡る。噛むたびに溢れる果汁はとにかく甘い!思わずほっぺたが落ちそうになる。

口に運ぶ手が止まらない、あっという間に一つを平らげてしまう。思わずもう一つ食べようと手が伸びてしまうが、ふと視線に気づいた。

青年がにやにやと私を見ている。

 

『・・・なんだ』

 

『いえいえ、気に入って貰ったみたいで。もしよかったら、一緒に食べても?』

 

『・・・好きにしろ』

 

林檎につられたとか、断じてそういうわけではない、決して。

彼はどこか嬉しそうに私の隣に座って話し始める。気に食わないが、私は果実に齧り付く。

 

『森にいる動物たちが美味しい果実が実っている場所を教えてくれるんだ。どうかな?味は格別だろう?』

 

『モグモグモグモグ...(林檎を食べるのに夢中)』

 

『え、もしかして聞いてない?』

 

何か言ってるような気もするが、今は林檎を齧るのに夢中になってしまう。

そういえば、と青年の方に視線を向ける。名前をまだ聞いていなかった。あちらは知っていて、こちらが知らないのは不公平だろう。

 

『汝、名はなんという?』

 

『名前、なまえ・・・そうだな・・・

 

 わたしの名は———メラニオス。うん、メラニオスだ』

 

 

その日から、彼が何か持ってくるたびに、共に食事をするようになった。始めは彼の話をただ聞いていることが多かったが、次第に私からも話題を振ることが増えていった。所詮たわいのない会話だ。だが、それが心地よい。

 

「どうしてこの国に来た?」

 

「ん?・・・さあ、なんでだっけ」

 

「おい、考えなしにも程があるだろう。汝はもう少しこう、頭を働かせた方が」

 

「あははっ、そうだね。

 この国に来たのは偶々なんだ。一晩もすれば去る予定だった。ここは居心地も悪いしね」

 

「ならば、なぜ?」

 

「最初に言っただろう?噂に聞いた君を一目見たかった」

 

彼はグイッと体をこちらに近づける。

ち、近い!

思わず顔を背ける。しかし、彼はクスリと笑って言葉を続ける。

 

「そして想像以上だった。君は強く美しくそして可憐だ。うん、君という女性に会えただけでこの国に来た甲斐はあった」

 

「〜〜〜〜!!」

 

鼓動が痛みを感じる程早まる。なんなのだろうこの痛みは。

今までだってこんなこと、こんな想いを抱くことなかったのに。

 

「あれ?顔が林檎のように赤い、熱でもあるのk、———ひでぶっ!?」

 

「っ・・・ふんっ」

 

それはそれは見事な肘打ちだった。

 

◇◇◇

 

つまらないことで騒いだり、軽口を叩きあったり。...まぁ、さっきのように少々勢いづいてしまうこともあったが。イタズラ遊びのような児戯、でも私にとっては、怒りながらも嬉しく、嫌がりながらも楽しいひとときだった。

思えば、あの船に乗るまで私は、誰かと親しく会話を交わした記憶があまりない。まして、男に挑まれ競争し勝利する。———そんな日々の繰り返しに、誰かと触れ合う機会など皆無だった。

だからこそ、なのだろうか。彼と出会ってからというもの、自分以外の誰かと会話することがこんなにも心地良いということが、新鮮な驚きだった。

 

一度、遠目にメラニオスを見たことがある。見ただけではあるが商人や群がる女性に対しては完璧に気取っていたが、私にだけは子供のような茶目っ気と明るさをさらけ出してくれている。勝手な自惚れかもしれないが、それが私には他の人とは違う、上手く言い表せないが・・・きっとそれは に似た感情を持ってくれている所作のようにも思えて。

 

「ん?どうしたのそんなに見てきて」

 

「べ、別に。相も変わらず間抜け面だと感心してただけだ」

 

「え゛・・・」

 

 ...嬉しかった。

 




中性的な見た目は好きなのだが、どうやって生かしたものか。。。
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