話をしよう。
あれは今から36万。いや、つい最近のk……やめやめ。ネタに走ってる場合じゃないし。
そもそもそんな仰々しいことじゃないしね。
『いま”死ね”って言ったよな!!』
『言葉狩りの〇ロさんはお帰りになってください』
どっかからの何かにツッコミを入れる。
え~と?あ、そうそう。
改めて人ってどれくらい平等になれば満足するんだろうね?
そんなことを朝の陽ざしが差す道を歩きながら考える。
フェミニストとかがいう男女平等とか、障がい者を障害者と呼ぶなとか。
何年たっても聞くようなことばっか、同じことばかり言っている。
大前提からそんなものは無理だと思うし、十人十色って知ってる?みんな違ってみんないいって知ってる?
話がそれたね。まぁ、結論として言うならばさ、
人は生まれた時点で平等ではなく、その時点で何かしらの差はある。
って僕は考えるんだよね。
「ふあぁぁぁぁ……早く出過ぎたよね。誰もいないし」
僕はあくびをしながら誰もいない道を歩く。朝が早い父上の家を出る時間に合わせて車で近くまで送ってもらったのはいいけど…。
「ま、いっか。それにしても」
一度足を止め、正面にある門の奥にある建物を見る。
国が運営する、人工島に作られた高度教育高等学校。進学率、就職率ともに100%と異例の高さを持っており、入学した後は敷地内から出ることはできず、外部との連絡すらも卒業するまで不可になる。という超名門校に僕は今日から入学する。
申し遅れたね、僕は
一応男だけど、中性的な顔に加えて、細身の体。挙句の果てに渡された制服はスカートとブラウス。
学校に連絡してみたら『間違って送っちゃった☆』とのこと。〇すぞー!
一応向こうで制服は買えるらしいから、必要なら買うとよいとのこと。僕じゃなかったら社会的死亡なんですが?
というわけで、完全に見た目女の子の状態で登校する男の娘が完成しました。どうしてこうなった?
「まぁいいや。気楽に頑張ろ。父上も母上も退屈しないだろうって言ってたし」
この学校出身の両親からのお墨付きもあって、割とワクワクしている自分に驚く。
これから起きるだろう非日常な毎日になるだろう学校生活に少しだけ心を躍らせながら門をくぐった。
周りには誰もいない学校までの道。張り出されているクラス分けの表を見る。
Åいない、Bもなし、Cにもいない。Dは……あった
「Dクラスか……澪はCみたいだったけど。何とかなるよね」
呟いた声は誰にも聞かれず、教室までの道を歩いた。
「誰もいないよね。当然のはずだけど」
誰かに見られているような感覚が学校に入ってから消えない。
教室に入った瞬間に視線の数が4つに増えた。
周りを見渡すと、天井にカメラがついているのを確認できた。
「……。少し見て回ろうかな」
僕はカバンを置き、お気に入りのペンと新しいメモ帳を持って教室を出た。
誰もいない廊下に僕の歩く音だけが響く。
窓の外を見ると新入生と思わしき人たちが歩いているのが見える。
廊下にも異様なくらいにたくさんある。
……特別等のほうには外から見た感じあまりなさそうだけど。
そろそろ戻らないとね。
たぶん、教室には何人かいるだろうからね。
持ってきたノートを閉じて教室に向かう。
教室のドアを開けるといくつかのグループが出来るくらいになっていて、時計を見ると始業の20分くらい前を針は差していた。
どうやら学校探検は長くしすぎていたらしい。
鞄の置いておいた自分の席に座り周囲を見渡す。念のため中身を確認したがとられている様子はなかった。
人当たりがよさそうな雰囲気を出している男子に、背の高く鏡を見て髪を整えている体つきの良い男子。金髪のギャルのような女子に、茶髪に会話の中にいる女子。目立っているのはここくらいかな?
ほかにも、赤髪でガラの悪そうな男子に、誰とも混ざらず一人でいる女子。その子に話しかけて、毒を吐かれている見たことのある彼。……ボクのこと覚えているのかな?
今あげた人以外にも面白そうな人たちはたくさんいる。
あはっ。退屈しなさそうだね。こんなにもたくさん面白い人たちがいるんだから。
考えるだけで、口角が上がってくる。
あとは、鞄に入っているケースを見る。
もって後1か月くらいかな?父さんにも澪にも迷惑はあまりかけたくないし。
ガララッ、と教室のドアが開きスーツを着た女性の先生が入ってきた来た。教室にいた全員が席に座り、座ったことを確認した先生が口を開く。
「えー。新入生諸君。私はDクラスを担当する事になった茶柱佐枝だ。科目は日本史を担当している。まず、この学校にはクラス替えというものは存在しない。卒業までの3年間、私が担任としてお前たち全員と学ぶことになると思う。よろしく。今から1時間後に入学式が体育館で行われるが、その前にこの学校の特殊なルールに着いて説明する。資料を配布するが、以前入学案内と一緒に配布してある」
そういって茶柱先生は資料を配り始める。確かに家にいたときに確認したものと同じものが配られた。
最後の生徒に行き渡ったのを確認して先生が話し始める。
「今から配る学生カード。それを使うことで、施設を利用したり、売店で商品を購入することもできるクレジットカードのようなものだ。ただし、ポイントを消費するので注意だ。学校内でポイントで買えないものはない。学校の敷地内にあるものなら何でも購入可能だ」
茶柱先生の説明に耳を傾け、サラッとメモを取っていく。なんでも購入可能……ねぇ。
「施設ではこのカードを機械に通すか、提示すれば利用可能だ。使い方はシンプルだから迷うことはないだろう。それから、ポイントは毎月1日に振り込まれることになっている。もうひとつ、お前たちに平等に10万ポイントが支給されているはずだ。なお、1ポイントは1円分の価値がある。それ以上の説明は不要だろう」
毎月1日に振込っと。ん?10万ポイント?つまり10万円ってことだ。高校生が持つにしては多すぎるし、何よりも国が持たないはず。とりあえずはこれで生活基盤を整えろってことかな?
今の言葉にほかの人達は動揺を隠しきれないようでクラスがざわめいている。
「ポイントの支給額が多いことに驚いたか?この学校は実力で生徒を測る。入学を果たしたお前たちにはそれだけの価値と可能性があるということだ。そのポイントは自由に使っていいぞ。入学したことへの評価みたいなものだ。ただ、卒業後にはこのポイントは学校側が回収する事になっているため現金化はできないことになっている。振り込まれた後に、何に使うかはお前たちの自由だ」
実力で生徒を図るってことは成績とかが反映されるってことだよね?あとはそれだけの価値と可能性があると。可能性ということは今後の評価のことを言ってるよね。つまり評価によってもらえるポイントは変化するってことだよね。
「このシステムについて質問のあるやつは手を挙げろ」
先生の言葉に誰も誰も疑問がないのか手を挙げることはしない。
「茶柱先生。質問があります」
「白夢か。なんだ?」
「3つほど質問させてください」
「いいぞ、何の質問だ?」
「1つ目はアルバイトは可能でしょうか?」
「アルバイトは原則不可となっている。次の質問は?」
「2つ目は、寮の光熱費等はこちらが支払うものですか?」
「いや。生活費等に関しては光熱費と水道は払わなくてもよい。最後の質問は?」
ここまでの内容をノートに書き込み、文章として残していく。
「3つ目は、」
僕は一呼吸を置いてから言葉を発した。
「来月に振り込まれるポイントは何ポイントになりますか?」
僕の言葉に周囲から笑い声が生まれる。おかしいな?そんな変なこと言ったかな?
そんな様子をみて茶柱先生は僕の質問に対して少し笑みを浮かべ、
「
と言った。
「「「「え?」」」」
今の言葉でクラスから笑う声はなくなった。
「それで白夢。ほかに質問はあるか?」
「いえ。
「いいぞ、質問ができた場合には職員室まで来い。できるならばまとめてしてくれると助かる。ほかに質問があるやつはいるか?……これでホームルームは終了だ。時間になったら体育館で入学式を行う。くれぐれも遅れないように」
ガラガラ、と。
この後の予定を話した茶柱先生は静かになった教室から居なくなった。