ギャルゲーの世界にモブとして転生したけど、メインヒロインルート潰さないと俺は死ぬらしい。 作:サラダよりは肉が好き
またラブコメです。
ギャグ強め。よろしければどうぞ。
※追記
前作「とある男子高校生のラブコメ観察」が
書籍化決定いたしました。詳細は後日より。
皆様がこの小説を読んでくださったおかげです。ありがとうございます!
恋愛シミュレーションゲーム。学園、ファンタジー、はたまた世紀末……。舞台は様々だが、要するに恋愛というものを疑似的に体験するゲームだ。
一般的には、大筋となるストーリーの中で攻略対象となるキャラクターと関係性を深め、その後はそのキャラクターがメインとなるストーリー……通称、ルートに突入し、個別のストーリーに思いを馳せる……。
……細かいことを言えば、同じキャラクターでも色々ルートがあったり、イベントCGを全部回収するためにわざとバッドエンド踏んだり、ルートが無いキャラを好きになったが故に実装するように運営にひたすらアンケートを送ったり……まぁそれはいい。
前置きが長くなったが、恋愛シュミュレーションゲーム……一般的には、ギャルゲーと呼ばれるゲームには、メインルートというのが存在する。複数居るヒロインの中でも、ゲーム本編と大きく関わっている主役的ポジション、メインヒロインのルートだ。
「うおおおおおお!!!!!」
私立桃色学園。中高一貫で、尚且つ男女比が1:3と中々の男の夢が詰まっている感じの学園。俺こと影谷信人は、その廊下を全力で走っている。
「間に合え……!間に合え……!」
階段を駆け上がりながら、今までの人生を思い返す。……どうして、俺は自分の教室への道を全力で駆け抜けようとしているのか……。別に、やりたくてやっている訳じゃない……だが……!
「だ、らっしゃあああああい!!!!!!」
教室の横開きの扉に手をかけ、全力でブチ開ける。ドゴオオオオオオン!!!バカみたいな轟音と共に……
「その話……俺も一枚かませてもらおうか!!!!」
「「影谷君!?」
いい雰囲気の男女の間に、全力で無粋な割り込みを、するしかない……するしかないんだ……!!!!(泣)
☆
唐突だが、俺がどうしてこんな無粋なことをしているのかと言えば……俺が死ぬ前の話をする必要がある……え?興味ない?いや聞いていけ。
生前、それなりの難関大学に合格した俺は、入学前までの空いた期間……ギャルゲーの攻略を行っていた。
いわゆるオタクで、友達もインドア派がほとんどだった俺は独り寂しく積みギャルゲーを消化していた訳だ。
そして、トイレに行くために立ち上がった瞬間……
ツルッ(足を滑らせる音)
ガッ!(頭をテーブルの角に殴打する音)
(死)
……いうな。面白味もない間抜けな死に方だなんて……!!!
ともかく、そうして目覚めると……!名前も無きモブ、影谷信人として攻略していたギャルゲー世界に転生してしまっていた……!
転生させた神とやらが言うには……
『この世界、メインヒロインルートに突入すると滅びるから全力で阻止してね。成功したらちゃんと生き返らせてやるから……』
「……なんでそんなことになってんの?」
『ちょっと世界の調整ミスしちゃって……』
「アンタの尻拭い!?」
『生き返らせるのは本当だから、大丈夫だって!ギャルゲー好きな君ならできるできる!……メインヒロインルート自体はもう終わってるんでしょ?』
「まぁそうだけど……」
『よーしよし。ルートが確定する夏祭りまでが勝負だから!じゃあね!!!時々様子見に来るから!!』
「ちょ!?色々わかんないんだけど!?」
色々細かいやり取りはあったが、大体こんな感じだ……。そうして、俺は俺の記憶を頼りに全力でメインヒロインルートを阻止することになったのだった……。
☆
「影谷君……空に向かってどうしてガッツポーズしているのかしら……」
「たまに変だよね、彼……」
うるせぇ誰のせいだと思ってんだ。……ゴホン。こうして俺はまず「ドキ!?GWに二人きりの勉強会!?」フラグをへし折った訳だ。冒頭の教室のシーンは、メインヒロインが主人公をドキドキしながら勉強会に誘う……というベタなイベントなのだが……このイベントは、阻止しないとやばい。
このゲーム……メインヒロインの好感度の上がり方が異常なのだ。普通にこのゲームをプレイしていると、どう転んでもメインヒロインルートに突入する。別のルートに突入するには、日常パートで別のヒロイン候補と接点を作る必要があるのだが……現在5月上旬。現時点では、他に接点を作ることは難しい……故に、妨害に走ることが最も効率的なのだ。
ここで、まずはメインとなるキャラクターの紹介をしておこう。
緋色 悠。今作の主人公である。身長は175cm。黒髪を自然に伸ばした優男だ。……正直見た目的な特徴はあんまりない。ギャルゲーの主人公だから当然と言えば当然だ。だが、困っている人を放っておけない優しい男子……というメジャー設定は押さえている。顔も普通に整っている。
広井芽衣。今作のメインヒロインである。身長163cm。スリ―サイズは上から88-57-89。黒髪ロングな清楚的大和撫子である。才色兼備な学園のマドンナ的なポジションだ。色々と複雑な過去があったりなかったりする定番のヒロインである。
そしてこのゲームは現代が舞台な恋愛シュミュレーションだ。特別な力やファンタジーな存在が……まったくいないわけではないけど……。
まぁそんなわけで俺はこの世界のモブ、影谷信人として生き……主人公がメインヒロインルートに入らないように恋路の邪魔をするハメになってしまったのである。
という訳で到着した広井宅。本来ならば、緋色と広井が二人きりで模試対策の勉強会があり、広井の過去のほのめかしとラッキースケベイベントがあったりするのだが……そんなことはさせてはならないと飛び込んで行くのはこのルートブロッカーこと影谷信人が割り込んだという訳さ☆。……精神的に割と辛い……。
「ここが広井さんの家……女の子の家なんて初めてきたから、何か緊張するな……」
「そんな大げさね……ただ勉強するだけじゃない」
「じゃあどうする?格ゲーする?パーティゲームでもいいけど」
「「勉強は!?」」
真面目ちゃんたちめ……勉強会とか言って、本当に勉強会する高校生がどこに居る……。というか、二人でわからないところを教え合うという物理的距離の近さが、精神的距離の近さへと繋がってしまう……。なら、最初から楽しかった思い出だけを残すようにミスリードするしかない!
「ところで広井。よく男子二人を家に呼ぶことを親が許可したな」
「え、えぇ……一応、上の階に姉がいるわ……。それにちゃんと信頼して呼んでいるのよ?」
「広井さんにそう言われると、なんだか照れるな……」
「よしテレビにゲーム機繋がったな」
「聞いておいて無視なの……!?」
原作では、急遽広井姉は仕事で呼び出されてしまうのだが……どうやら、家に来るのが男子二人ということで広井姉も家に残れるように頑張ったみたいだ。……俺が原作にない動きをすると、当然だが他の人々や出来事も結構変わってしまうらしい。
入学からの一か月で色々試した結果、物語の大筋こそ変わらないが……イベントに登場する人物が増減したりは余裕で起こりうる。意外と気を付けないといけないポイントかもしれないな……。
「まぁ待て。勉強は俺が後で纏めて面倒を見てやる」
「その自信は一体どこから湧いてくるんだろう……」
そりゃ少し前まで受験生だったのだ。今は高2だけど。私立桃色学園はそこそこレベルが高いが……俺もそこそこの難関大学を合格した身だ。高2の5月くらいの進行度なら、問題ないない。模試でも…まぁ何とかなるだろうと信じよう。
「せっかくの高2のゴールデンウイーク……遊ばないと青春の損だろうが。あ、これポテチとコーラね。あとクッキーもあるよ」
「遊ぶことしか考えてないわね……」
ただルートを無茶苦茶にすればいい、というものではない。例えば急にここで俺が裸踊りとか始めればぶち壊れ派するだろうが、正直そんな度胸ない。つまりは、いい雰囲気にさえしなければいいのだ。友達と遊んだゴールデンウィーク……そういう話で何事も無く終わらせるのだ……!
べ、別に友達との遊び方がゲームしかしらないとか、そんな事じゃないんだからね!
「しゃーねぇなぁ……模試の練習問題を寄越しな。実力を見せてやるぜ……」
「……いいわね、せっかくだからみんなでやりましょう。」
「広井さん意外と好戦的だ……」
「ここまで自身満々なのよ?影谷君、今まで愉快な人としか思っていなかったし、いい機会だわ」
仕方ない。ここでしっかりと俺ができる奴だと示してやろうじゃないか……!転生チート(違う)、舐めるなよーーーーッ!
☆
「なぜだ…………」 影谷信人、100点中97点
「本当に頭良かったんだね影谷君……」 緋色悠 100点中90点
「でも……私の勝ちよ」 広井芽衣 100点中99点
受験生チートが……敗北した……!?……冷静に考えたら、俺が受験生だったのは一か月も前だった。全然忘れ始めるわ……。
「まぁいいや。これだけ取れてれば勉強する意味ないんじゃね?」
「それは……いえ、100点じゃないわ。ならやはりしっかりと復習すべきよ。……緋色君。あなたが合っていて、私が間違った問題があるわね。教えてくれないかしら?」
「別にいいけど……真面目だね。広井さん」
「ちょっとまて。その問題俺も合ってたんだが俺が教えても良いぞ」
「イラッとするから遠慮するわ」
「辛辣……ッ!」
失礼な……心当たりしかない……色々と検証するためにウザがらみしまくってたからな……!
「だがしかぁし!そこの問題はこれをこうこうこうすればああなってこうなるのだ!!あっはっは!!!」
「教える前に答えを述べたですって……!?」
「ざまあみろぃ!じゃあゲームすっか……」
「流れるように電源点けたね……もう遊んじゃおっか」
「緋色君まで……」
「なんだかんだで、一緒にこうして遊んだことも、なかったしさ?どうかな?」
「……そこまで言うなら……言っておくけど、私ゲームなんてやったこと無いわよ?」
「そんな古代生物が存在したというのか……!?」
「誰が古代生物よ……」
まぁキャラ情報は前世で履修済みだけどな。……趣味は読書。ジャンルは不問だが……意外と少女漫画とかを読みふける乙女回路を所持している。姉はゲーム好きだが……ゲームに一喜一憂する姿が余りにも激しい姿に何となく苦手意識を覚え、遠ざけていたという。
「じゃあこれでいいか、超乱闘ブレイクファミリーズ」
「あ、これ僕もやってる」
「操作方法から説明お願いするわね……」
ふっ……俺は前世でこの手のゲームでオンラインに潜り、それなりにランク戦をこなして来た者……いい感じに、対戦を盛り上げて、ただの青春の一ページにしてやるぜ……!
☆
「バカな…!?」
「影谷君めっちゃ上手かったけど……広井さん凄いね?本当に初心者?」
「姉がやってる姿は見てたからね……」(ズドーーーーン
「普通に復帰阻止されたんが??????」
この女……できる……最初なんかたどたどしい手つきだった癖に……!次々と技術を吸収しやがった……!というか緋色普通に上手すぎだし、俺もう開始30分で本気だしちゃったよ……結構負けてるし……なんでや……原作でそんな描写なかっただろ……!
くっそ、何か普通に悔しい……取柄と言えば勉強できることとゲームが得意なことくらいだったのに……!
「お前を殺す……!」(カチャカチャカチャカチャ
「指の動きがもうなんか気持ち悪いよ影谷君……」
「……えい」(ズド―――――ン
「超必で普通に返り討ちにされた……!」
というか緋色お前……さっきから絶妙にダメージ受けないように立ちまわりやがって……!
「お前も殺す……!」(カチャカチャカチャカチャ
「わっこっち来た!」(ヒョイ
「あぁぁあああああ!」(ズドーーーーン
「下B攻撃の勢いで自爆してるわね……」
もう俺このゲーム嫌い……!
「まだだ、まだ終わらんよ……!」(カチャカチャカチャカチャ
「もう顔が怖いことになってるよ影谷君……」
「負けて悔しい理屈は理解するけれど、そろそろお昼の時間よ。何か作るけど、リクエストとかあるかしら?」
「えっ?広井さんが作ってくれるの?なんか悪いなぁ……」(カキーン
「会話の合間にバット決められたんだけど……!?」
「僕も手伝うよ。それなりに料理、得意なんだ」
「そう?……じゃあお願いしようかしら」
「え?この数秒で俺の存在無いことにされた?というか勿論俺も手伝うぞ」
「「影谷君はちょっと……」」
そんなに信用ないのか俺……!……無いな。この一か月結構検証の為に無茶したし……いろんな奴に話しかけたり、原作の嫌なイベント潰すために突然ソーラン節踊って見たり……ハハッ、本当に何やってんだ俺(正気に戻る)。
だって仕方ないだろ……!俺も自分の命懸かってんだぞ……!恥も外聞も捨てるってもんだぜ!
そして、このお料理イベントは何とか阻止しないといけない…!二人きりで料理するとか好感度の上がり方マッハだ!
「そういうこと言うならいいもんね、俺が作るからお前らはそこのカウンターで俺が調理してるところ拳加えてみてろよこの野郎」
「そこは指じゃないの影谷君…」
「……不安だわ、キッチン貸すのはいいけど、危ないと思ったらすぐに介入するわよ……?」
見てろよ見てろよ……!
☆
「という訳で出来上がったのがこちら。二度揚げた唐揚げに、シーザーサラダ。あとはだし巻き卵と昆布でだし取った味噌汁ね」
「凄い普通に美味しそうだ……!?」
「手際もとてもいいじゃない……どうして普段からこう真面目にできないのかしら……」
一言多いぞメインヒロインめ。前世では、時間を持てました時に料理に没頭していたのだ。料理をできるようになると、自分の好きなものを好きなだけ作って好きな味ツケとかもできるから結構重宝する。……前世だと食べさせる人オカンしかいなかったけど。
「いただきます……って美味しいよ影谷君!サクサクとした衣に、一口食べるとほのかに広がる醤油ベースの甘味とショウガの風味が合わさってごはんが進むよ!」
「……悔しいけど、お味噌汁も美味しいわ。出汁をとってるのもそうだけど、具に使われている大根も柔らかくてホッとする味ね……」
「因みに唐揚げの味に飽きたらこちらのタレをどうぞ。ニンニク使ってるから苦手だったらいってね」
「「美味しい!」」
これでこの日の記憶は、ゲームを楽しんだことと俺が意外な一面を見せたというイベントで終了!ゲームセット!勝ったな……!
「御馳走様……あ、片づけは僕がやるよ」
「私もやるわ……影谷君は座ってて頂戴。ちょっと疑っちゃったし、作ってくれたんだもの」
なん……だと!?料理を作ったことが仇となったか!?二人で仲睦まじく泡泡で洗いっこだと!?そんな如何わしく好感度が上がるイベントなんて起こさせちゃいけない……!
※違います
「いや俺がやるよ。俺は定期的に皿を洗わないと死んでしまう不治の病にかかってるんだ」
「麦わらかぶってる海賊団の長鼻狙撃手ばりの嘘だよ影谷君!?」
「バカなこと言わないで座ってなさい……本当だとしてもそこで死んでなさい」
「それは辛辣すぎやしねぇか!?」
クソッ!止める術が思いつかない!ここまでか……!
「あっ…ごめん。手が……」
「……べ、別に二人並んで洗い物していればそんなこともあるわよ……終わらせちゃいましょ……あっ……ご、ごめんなさい私も手が……」
黙れ公式バカップル(予定)が!!何初々しい男女の「ご、ごめん手が……」っていうラブコメシュチュやってんだおめぇらは!!!こちとら前世で特にそういうピンク色の想いでのない灰色の高校生活してた陰キャオタク童〇だぞ!当てつけかオオン!?ラブコメ世界の住人かお前らは!!!!ギャルゲ世界の住人だったわ!!!クソが!
これが世界の強制力だというのか……!?確かに、検証していく中で、どんなに無茶苦茶な妨害をしても原作通りに完結するイベントがいくつかあった。
例えば、緋色と広井の出会いのシーンだ。俺はこの世界に来た当初、ルートに突入させなければ良いならこの二人が出会わなければ良いのでは?と考え、校門をくぐる前に緋色に声をかけ、本来なら出会うはずの桜の木の下に行かせないという対策を取った。
桃色学園は中高一貫だが、緋色はとある事情で高校2年からの参戦。転校生というやつだ。広井は中学からの繰り上がりだ。運命の桜の木の下で出会うことによって、二人はロマンティックな邂逅を果たすのが本来の流れだ。
そうして無いコミュ力を振り絞り緋色と友好関係を築き、真っすぐ教室に行こうとしたのだが……緋色が唐突に自転車に引かれ、転校して間もないのに保健室へと行く流れとなってしまい……その保健室というのが桜の木の近くなんだよな。
そうしてなんやかんやあって緋色と広井が邂逅してしまったのだ。せめてもの抵抗としてwith俺をしたわけだが……。
こういう事象がそれなりに確認できた。……このイベントにそれを当てはめるのならば、緋色と広井の距離が近づくという事象が避けられないということになる……不味い、非常に不味い……!
「……ケッ!」
「アニメとか漫画でしかみないやさぐれかただよ影谷君……」
「ホント何なのかしらこの人……変人が過ぎるわ」
おれへの こうかんどが さがった!やめろ傷つくだろ!こちとら無理してテンション上げてお前らの中を引き裂こうとしてるんだぞ!傷ついて当然のことしてるじゃん……。
「さ、さて終わったし勉強しようか!」
「そ、そうね!」
こ、この真面目ちゃんたちが……!
☆
結局、あの後……転んで広井に飛び込むイベントの発生を阻止するために緋色をあらかじめ転ばせて警戒心を抱かせてみたり、逆に広井が転んで緋色に飛び込みそうになったので、緋色を蹴り飛ばして回避させたり、もう何か二人が同時に転んで事故チューしそうになったのを間に挟まって二人からほっぺにちゅーされたりした。微妙な空気になったのでもう二度とあんなイベント起こんないで欲しい。
「ごめんね、駅まで送って貰っちゃって……」
「いいのよ……私も、初めて友達を家に呼んだし、なんだかんだ楽しかったから、この時間が終わるのが惜しいの」
「広井さん……」
「迂闊にそんな言葉を男子に投げかけるな。好きなるぞ。俺が」
「じゃあ死んでくれないかしら……」
「辛辣だ!?」
美少女にそんなこと言われたら、童〇の俺はすぐに落ちてしまう……まぁ広井は最推しでは無かったし、好きになることは無いがな。そもそも面と向かってそんなこと言われたら懐疑が勝つので多分付き合えないけど。女の子こわいよぉ……。
「じゃあ、またね。女の子を一人で帰らせるのは申し訳ないけど……」
「大丈夫よ、母さんがそろそろ帰ってくるもの。一緒に帰るわ」
……とりあえず、ここで広井と緋色を遠ざければ、今日はもう休めるな……って!
「危ねぇっ!!!」
「「!?」」
体の右横から、衝撃。自転車が走って来て俺たちを轢くところだったのを……思わず二人を突き飛ばして庇ってしまった。……超いてぇ…多分折れてはいないけど……。
自転車はそのまま走り去ろうとしたが、たまたま近くに居た警察がすぐに確保していたのがちょっと見えた。
「ってぇ……大丈夫か二人とも………………」
絶句した。二人を急に突き飛ばしたことが悪かったのだろうか。……緋色が広井を庇うように下になり、広井は上から覆いかぶさっていた……そしてあろうことか、緋色の右手が広井のそのデカパイにシュウウウウウウウ!超エキサイティン!してるじゃないか!!!
「ご、ごめんなさい、すぐにどくから……んっ」
「ご、ごめん!僕の方こそ!」
……よくよく考えれば、別に二人を助けなくても片方でも轢かれてくたばってしまえば俺が頑張る必要もなくなっていたのではないだろうか。ルート阻止というか消滅するわけだし……というか人の事無視してラキスケイベント起こってるし……!!!
「………」パンパン(土埃とかを落として立ち上がる音
「ご、ごめんほんとに……あ、影谷君!だ、大丈夫かい!?」
「わ、私たちを庇って………!」
「うん、先に俺を心配するべきだったね。目の前でイチャコラするより俺の安否確認してね。寂しい気持ちになるから……」
「「ご、ごめんなさい……」」
この子達いい子すぎるからこれ以上責めるのが可哀そうになってきたな……。それにしても世界の強制力が強すぎる……これからはイベントフラグも入念にへし折っていかねば。
結局この後、簡単な事情聴取をして、僕に打撲以外の怪我もないのでとりあえずは何事もなく解散した。
……果たして俺は、無事にメインヒロインルートをブロックすることができるのだろうか…。
運命のルート確定の日まで、あと約3ヶ月……。
影谷信人(かげたに のぶと)…本作主人公。家事スキルがあり、少し勉強ができるタイプのオタク。この世界がメインヒロインルートに突入すると何か死ぬらしいので妨害へと走っている。
緋色 悠(ひいろ ゆう)…ギャルゲー世界の主人公。ギャルゲーの主人公にありがちな、自称普通の高校生。実は割となんでもできるので普通の高校生では断じてない。影谷のことは「面白い人」だと思っている
広井 芽衣(ひろい めい)…ギャルゲー世界のメインヒロイン。一昔前のギャルゲーメインヒロインにありがちな黒髪でロングな正統派清楚系ヒロイン。過去にちょっとしたコンプレックスを抱えている。影谷のことは「変だけど悪い人ではない」と思っている。