ギャルゲーの世界にモブとして転生したけど、メインヒロインルート潰さないと俺は死ぬらしい。   作:サラダよりは肉が好き

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前半解説。後半決着。

お手すきの際にどうぞ


そして、オーバーラップ文庫様より、7月刊として書籍化される
拙作「とある男子高校生のラブコメ観察日記」もどうぞよろしくお願いいたします。
ラブコメシチュエーションを観察する、変な男子高校生の日記です。
Web版と書籍版では、若干設定や内容が異なりますが、パワーアップとボリュームアップの結果です。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
Web版→https://syosetu.org/novel/299644/

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後日談 色々気になるので、一番事実を知って居そうな人を問い詰めるらしい。

「というわけで、あの後世界に何が起こったのかとか、どうして皆があの世界の記憶を持っているのかとか気になるからお前を呼び出したわけだが……」

 

「うん、やっぱり君行動力の塊だよね。……まぁ、人選は間違ってないけどさ」

 

 ある日大学にて、広井や緋色などの、ゲーム世界(便宜上そう呼ぶことにした)の皆と合流できた。正確には、ゲーム世界の記憶を持ったこちらの世界の人間ではあるのだが。

 俺にとっては喜ばしいことであるし、改めて友人になれたことは好ましいことだと思う。思うのだが……そもそも謎が多すぎる。

 ゲーム世界はどうなったのかとか、どうしてゲーム世界の記憶を持っているのかとか……一度疑問が浮かんでしまうと、どうしても考えてしまう。

 そこで少し時間が経った今、ゲーム世界において俺の魂の宿り先であり、ある意味一番謎を秘めている“影谷信人”の記憶を持っている奴に話を聞くことにした。学食の片隅で。

 

「そうだ、お前のことどう呼んだらいい?」

 

「うーん……馴染み深いだろうし、信人とかでいいよ。影谷は、君があの世界で一番呼ばれていただろうし」

 

「じゃあ信人。……そもそも、あの世界って何だったんだ?」

 

 色々話は聞いたが、結局はっきりした定義みたいなことは無かった気がするしな。しっかり聞くことにしよう。

 

「そうだねぇ……あの世界は、とあるギャルゲーほぼそのまんまの世界……ただし、ゲームではなく、現実。ギャルゲーのイベントみたいなぶっ飛んだことは起こるけど、色んな人々が普通に生活する世界だよ」

 

「神の野郎がそんなこと言ってたな……俺たちがここに居る世界とはまた違う現実だって……」

 

「そうそう。で、ゲーム世界はこの世界のギャルゲーに強く影響を受けていたんだ。だから、シナリオが無理矢理書き換わったことによって、ゲーム世界にも影響が出てしまった」

 

「書き換わる前のシナリオは、“影谷信人を主人公としたシナリオ”だったのが、“緋色悠を主人公としたシナリオ”に変更されたんだよな」

 

「うん。ゲームとしてほぼ完成しようとした時に、シナリオがいきなり書き換わってしまったものだから……世界の方が、耐えられなくなってしまってね。この世界のギャルゲーとしては問題なかったんだけど……ゲーム世界の方はそれに強く影響を受けてしまって、酷く不安定になってしまったんだ」

 

「……そして、それを何とかするために呼ばれたのが俺ってことか」

 

 テーブルの角の頭をぶつけて死んでしまった俺は、ゲーム世界に影谷信人として転生することになる。

 

「そうそう。天使が友人キャラ“天月茜”としてゲーム世界に降臨し、世界の均衡を保つための楔として機能していたんだけど……時間稼ぎにしかならない。そこで神は、世界を存続させるために、ギャルゲーとしてのゲーム世界を知っていて、尚且つ連れて来ても問題無い人間を引っ張って来た。それが君だ」

 

「そういえばそこも聞きたかったんだよ。連れて来ても問題無いってどういうことだ?」

 

「そうだねぇ……ショックを受けないで聞いて欲しいんだけど、君はゲーム世界だと死んでいたんだよ」

 

「!?」

 

「ゲーム世界の人物は、ある意味こっちの世界の人物とリンクしているんだ。別世界の自分……みたいな。全員じゃないけどね。主要人物とか、特別繋がりが強い人限定だけど」

 

「……わかりやすく言うと?」

 

「例えば、この世界に田中さんという人物が居るとする。そして、ゲーム世界にも田中さんという人物が存在するんだ。見た目や性格は若干異なるけどね」

 

「ゲームの設定によくありそうな奴だな……」

 

「うん。で基本的にその状態になるとどちらかが死んだらどっちかが死ぬんだけど……君はこっちの世界で死んだだろ?アレは、ゲーム世界における君と言う存在がシナリオの変更によって……その、キャラクターが消されたから起こったことなんだよね」

 

「あのマヌケな死って理屈あったのかよ……あれ?でも俺の世界ではゲーム発売していたし、俺はそれを普通にプレイしてたぞ?」

 

「ゲーム世界が不安定だったからね……時間のラグがあったらしいよ」

 

 つまり俺は時間差爆弾で殺されたようなものだということらしい。……こっわ。

 

「この世界での魂が消え去る前に、神は君の魂をゲーム世界に引き寄せ……シナリオ変更によって不安定だった影谷信人に宿した。……これが、君がこの世界に来た真相だね。因みに今君が生きているのは、世界が安定してシナリオが整えられ……ゲーム世界における君に相当する人物が復活したからだ」

 

「なるほどなぁ……んで、俺は、世界の崩壊を防ぐためにメインヒロインルートを妨害するハメになったってことね…………って、俺本当に巻き込まれただけ?」

 

「そうなるね……なんかごめん」

 

「本当に大変だったんだぞ!!!!急に自分の命懸かるし世界がどうのとかいわれるしもううわあああああああ……ふぅ」

 

「急に落ち着かないでよ……」

 

 一旦互いに飲み物を飲み、落ち着く。……今思えば、かなり壮大なことに巻き込まれたものだ。

 

 

「……後知りたいこととかってある?」

 

「知りたいというか、最初の質問に戻るんだけどさ……なんでお前達、ゲーム世界の記憶持ってるの?」

 

「それに関しては私が説明します~」

 

 そう声をかけてきたのは……ゲーム世界で俺とある意味激しい戦いを繰り広げた、金城・アレクサンドラ・ネヴィラ……の記憶を持っている女性だ。

 

「二人きりで何を密談しているのかと思えば……ネタ晴らしみたいなことしてたんですね~」

 

「そうなんだよ。……僕にも、説明する義務があるかと思ってね」

 

 流れるように信人の横に座る女性……あれ、これってもしかして。

 

「……つかぬことをお聞きしますが、お二人はその……」

 

「急に敬語にならないでよ……まぁ、うん。僕と彼女は付き合ってるよ」

 

「この世界では元々カップルなんですよ~。急に別の記憶が想起された時は……やっぱり運命だったんだなって思って少しだけ嬉しくなりました~♪」

 

「リア充が……!!!!」

 

 俺は告白の返事すら聞けないまま帰って来たんだぞ……!クソォ!

 

「そして、どうして記憶の共有が起こったか、についてですが~……これに関しては、ゲーム世界の私たちが、どうして書き換わる前のシナリオの記憶を持っていたか、というところから説明します~」

 

「……はい」

 

「まず、ゲーム世界で前のシナリオの記憶を持っていたのは、私こと金城、天童さん、そして道標さんになります~」

 

「それはなんとなく察していたけど……これもどうしてだ?」

 

「前のシナリオの記憶を取り戻すには、精神的な衝撃が条件らしいんです~。私の場合は……影谷信人君に恋をしたことで、条件を満たしました」

 

「……恋?」

 

「はい~。私が記憶を取り戻したタイミングは、影谷君とショッピングモールに遊びに行ってから少ししてからですね~」

 

「……恋?」

 

「何を繰り返してるのさ……まぁ、端的に言って……ゲーム世界のネヴィラさんは、君に恋をしたんだよ」

 

「!?!?!?!?」

 

そんなことになってたの!?!?惚れられるようなこと一切してないよ!?!?!?

 

「ゲーム世界の私は刺激に飢えていたので……刺激的なな行動をするあなたが気になったみたいですね~。といっても、すぐに前のシナリオの記憶を思い出したのでその恋心は消え去ったんですけど~……ごめんなさい、浮気……みたいになってしまいますね……」

 

「気にしていないといえば嘘になるけど……大丈夫。君はこうして僕の横に居てくれるじゃないか」

 

「……はい♪」

 

「はい二人だけの世界形成すんな!泣くぞ!みっともなく叫んで泣くぞ!!!!」

 

「泣かれたら面倒なので説明を続けますね~。同じように記憶を取り戻したのは、天童さんと道標さんですね……端的に言えば、この二人もあなたに恋をしていたんですよ~。それを自覚した衝撃で、前のシナリオの記憶を思い出したみたいですね~」

 

「……それは、なんか……うん。告白まで、されたしな」

 

「君の方がリア充じゃないか。爆発しておく?」

 

「……ぐぅの音も出ません」

 

 ………………あの、その理屈でいくと……その。

 

「因みに広井さんは……私が観測した範囲では記憶を取り戻していませんでした~」

 

「わかってるよ!わかってるんだよ畜生!……グスッ」

 

「よしよし……まぁ、仕方ないことだとも思うけどね」

 

「それはそうですね~。彼女は元々人付き合いも少なかったですし、仮に恋をしたとしても、それを恋と自覚することができたのかどうか……」

 

「三人の例を見るに、恋をして、自覚することが大事っぽいしね。……だから、そんなに落ち込むことないよ」

 

 そんなこと言われても……かなりショックだ。泣きそうだが……仕方ないことなのだろうか……。

 

「話を先に進めます~。この世界とゲーム世界の繋がりは深くて……世界を創り変える直前、神と天使と悪魔はひとつの細工をしました~」

 

「……細工?」

 

「この世界でシナリオが書き換わり、ゲーム世界のシナリオが書き換わったというなら……ゲーム世界から、この世界になんらかの作用をもたらすことも出来る、と考えたんですね~」

 

 ……まぁ、俺が生き返っているのもそういう理由だろう。

 

「まずは世界を創り変え、ゲーム世界のあなたを復活。その作用によって、こっちの世界のあなたも生き返りました」

 

「それに関しては本当に感謝しかないんだよな……死んでた筈なのに、生き返ったんだし」

 

「そして……もうひとつ。恐らく、あなたへのお礼として……ゲーム世界のキャラクターの記憶を、こちらの世界の対応する人物に想起させること」

 

「……神たちの仕業だったわけか」

 

 ……それに関しては、本当に感謝したい。こっちの世界に戻ってから……心に穴が開いたかのようだった。それほどまでに、ゲーム世界での日々は俺にとって大切なものだったのだ。

 

「みんな夢として、ゲーム世界の記憶を想起したみたいだね。……そのくらいしかできなかったみたいだけど、でも……こうして運命的に僕たちは揃った……会えてよかったよ。本当に」

 

 

「大体話したと思うけど……」

 

「……そうだな。細かい部分で聞きたいことはあるけど……今はいいや」

 

 立ち上がり、窓の外を見る。……偶然、ゲーム世界で広井だった女性を見つけた。

 彼女は、ゲーム世界で天童だった人と、道標だった人と一緒に歩いていた。

 ……時々、思う。俺はゲーム世界で広井のことを好きになった。それは彼女の見た目であたり、人柄であったり、過ごした時間であったり……様々な要因が混じった先に芽生えた感情なんだと思う。

 ……そして、この気持ちはこの世界でも変わらない。姿が変わっても、俺はどうしても彼女が好きで仕方ない。

 だが、この感情が不純なもののような気がして……結局、俺はあの時の告白の返事を聞けていないし、聞いていない。……だって、広井と彼女は同一人物ではないのだから。

 

「……色んな想いはあるだろうけどね、彼女は……君を待っているんだよ」

 

「……」

 

「彼女から君に何も言わないのは、きっと彼女も同じ葛藤を抱えているからさ」

 

「……」

 

「……私も、ゲーム世界で記憶を取り戻した時は随分と悩みました。……それでも、やっぱり彼が好きな気持ちは嘘じゃなかったから」

 

「……」

 

「行っておいで。……この世界では、君は間違いなく主人公だよ」

 

 気が付けば、その場から駆け出していた。色んな想いが溢れて、訳が分からなくなっている。暴走している自覚もある。それでも、それでも……俺は、俺の心にこれ以上嘘はつけない。

 

「待ってくれるかい?“影谷”君」

 

 外へ出て、走っている俺の前に立ちはだかるのは……ゲーム世界で、緋色悠にあたる人物。

 真剣な表情で、俺を見据えている。……そうだ。緋色も、広井に恋をしていた。

 俺と同じように、下手すると、俺よりも前に。

 

「……違うとわかっているが、敢えて言うぜ。どけよ、“緋色”」

 

「……そうだね、だって、僕にはもう君を止める資格はないから」

 

「それって、どういうッ!“?」

 

 俺が問う前に……頬の衝撃と共に、俺の視界がブレた。痛みが、殴られたのだという自覚を促す。

 

「……八つ当たりだよ」

 

「……そうかよ」

 

「……ねぇ。影谷君」

 

「……おう」

 

「……ありがとう」

 

「……うるせぇ」

 

 ……緋色は、その場から去っていく。……心優しいあいつが、力という手段を俺に行使した。……ようやく理解できた。あいつは、俺よりも早く立ち直り……己の恋に、決着をつけにいったのだ。……俺も、そうするべきだろう。

 再び走り出す。今思えば普通に連絡を取ればよかったが……そんな手段は、頭から抜け落ちていた。

 そう時間はかからずに、彼女をみつける。……大学の門の前に、誰かを待っているようにそこにいた。その場には、天童の記憶を持つ人と、道標の記憶を持つ人も共にいる。

 

「あ、来た来た!」

 

「……男前になっているね?」

 

「どうしたのよその頬……」

 

「……ちょっとな」

 

 ……少しの沈黙の後、広井の記憶を持つ彼女が、口を開く。

 

「……話、あるんでしょう?」

 

「……あぁ」

 

「……そっかぁ……じゃあ、ボクたちは退散するね?」

 

「……既に振られた後だしね。二人で打ち上げでもしようじゃないか」

 

 二人が、ゆっくりとその場から離れる。……悪いな、二人共。

 

「……少し、歩きましょうか」

 

 そうして、俺と彼女は街道を歩きだす。

 

 

「……なんか、変な感じだな」

 

「……そうね。そういえば、あの時以来かしら。……二人だけで、こうして過ごすのは」

 

 歩きながら、話をする。この世界での自分自身の話とか、ゲーム世界でのこととか。……他愛ない話をする中で、本題を中々切り出すことが出来ない。

 ……どうしようもなく、惹かれてしまう。……見た目や性格が少し変わっていても……俺は、彼女の本質に惹かれている。

……どうなるかは、わからない。だが、これ以上抑えることはできそうになかった。

 

「……俺さ、一つだけ心残りがあるんだ」

 

「……何かしら」

 

「……あの日、あの世界が創り変わる前に……俺はお前に告白をした」

 

「……えぇ」

 

「その後、こうしてまた会うことができて……色々あって、色々考えて、先延ばしにしちまった」

 

「……えぇ」

 

「……それでも、それでもだ。……時間はかかってしまったけど……やっぱりさ」

 

―――――――俺は、お前の事が好きだ。

 

「……」

 

「……」

 

 ……風が木々を揺らす音が、妙に鮮明に耳に入ってくる。それから数秒か、数分か……彼女は、何かを思い出すように目をつぶる。

 目が開かれる頃、彼女は言葉を紡ぎ始めた。

 

「……最初はね、変な人だと思ったわ」

 

「……」

 

「ただうるさくて、やかましくて……苦手に思ったこともある」

 

「……」

 

「でも、なんでも本気で、必死にやる人だと思ったわ。……今思えば、のっぴきならない事情があったのだけれど……」

 

「……まぁ、うん」

 

「デートをした時……本当のあなたに少し触れられた気がして……本当は繊細で、優しい人なんだって感じたの。……でも、どこか焦っていて、苦しそうで」

 

「……」

 

「それから、あなたは変わった。ただ、真剣に人と向き合って……そんな姿を見ているうちに、目が離せなくなって」

 

「……」

 

「……あの日、告白されてから……世界が創り変わるまでの間。知らない記憶が流れてきた。私の知らない私、私の知らないあなた……幸せだったのだろうけれど……」

 

「………………」

 

「……けれど、私は……私が欲しいのは……今の、あなたよ」

 

「—————」

 

「少しだけ騒がしいけれど、誰よりも一生懸命に生きて、私の横で手を取ってくれる……そんな、あなた。別の記憶なんて、関係ないの」

 

「……ッ」

 

「……だから、私からの返事はひとつだけ」

 

 ——————私も、好きです。

 

 

 

~HAPPY END 想いは、それでも世界を超えて~

 




ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
この後日談作成にいたしましては、そういうお声があったこと。
そしてちゃんと主人公の恋愛に決着をつけてあげたいと思ったこと、
あと思いついたので書き上げました(おい)。
勢いとノリで書いた話なので、色々と設定の粗が目立ちましたので
一応の理由付けとかを書いております。
納得できるかはともかくとして、こんな感じのことが起こっていました。

よかったね、主人公……!

これで今度こそ、この作品は終了です!

ご愛読、ありがとうございました!
またいずれ!
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