ギャルゲーの世界にモブとして転生したけど、メインヒロインルート潰さないと俺は死ぬらしい。   作:サラダよりは肉が好き

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書けたので連日投稿です。

ラブコメもっと流行れ。


第3話 フラグイベントを誘導しようとするとあんまり上手くいかないらしい。

 ショッピングモールの騒動から数日後の休日。とうとうこの日がやって来た。そう……このゲームの主人公緋色悠と、このゲームのヒロインの一人、ネヴィラ・アレクサンドラ・金城のデートイベントの日である……!

 このゲーム、カレンダー上の月日がキチンと表示されるタイプのゲームなのだ。そのため、脳内で覚えている限りのイベントを自宅のカレンダーに記載している俺に死角はない。気持ち悪い?オタクなら嗜みだろうが!

 今回のイベント名は、「ドキドキ!?お人よし同士の人助けデート!?」である。街中で緋色と金城が偶然出会い、様々な厄介事を二人で解決していくというイベントだ。

 しかしこのイベント、致命的な点が一つある。……プレイヤー(緋色)が外出する選択肢を選ばないとそもそも発生しないのだ……!

 だがそこはギャルゲーオタクの俺。緋色が確実に外出するように予め細工をしておいたのだ!まぁ普通に遊ぼうと連絡を入れただけなのだが。

 同様に金城にも連絡を入れ、最初の人助けイベントが起こる場所を集合するように仕向けた。後は俺がブッチすれば完璧である……!

 ガバガバ計画に思えるかもしれないが、俺はこの作戦が9割以上の確率で成功することを確信している。

 なぜならば!この世界には“修正力”というものが働いているからだ!俺は今まで、緋色と広井がくっつかないようにありとあらゆる細工を施していたが……どうしても回避できないイベントがいくつか存在した。それこそ!ストーリー上で発生するメインイベントなのだ!

 ここで言うメインイベントとは、ヒロインたちの好感度に直結するイベント群の事を指す。それ以外の……例えば、ルートが発生しないキャラクターとのイベントなどはフラグをへし折ることで消滅させることができる。これは、緋色と同じクラスで、気軽に緋色に絡んでくる元気系女子である天月茜さんで実証済みだ。なんかごめん天月さん。

 だが、物事に絶対はあり得ない。だから俺は、少しばかり離れたところで彼等を監視することにした。したのだが……。

 

「あの……何で広井がここにいるの?」

 

「それはこちらの台詞なのだけれど……どうしてあなたがここにいるのよ影谷君」

 

 尾行途中の書店でメインヒロインと邂逅しちゃった☆

 なんでだよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!

 

「俺は……ほら、あれだ。買い物だよ買い物」

 

 ちなみに緋色と金城は、手が届かない小学生の代わりに本を取ってあげているところだったりする。ゲームの描写だと、金城が手を目一杯伸ばしているところがイベントCGとなっており、何がとは言わないがとても強調されている絵が拝めるのだ!それどころじゃないけどな!!!

 

「私も、新しい参考書を買いに来ただけなのだけれど……あなたのそれはとても買い物をする人の雰囲気じゃないわ。棚の後ろに隠れてこそこそ何を見ていたのかしら?」

 

 頼むからごまかされておいてくれェ!仕方ない!かくなる上は

 

パシッ(広井の手を取る音)

 

「え?」(困惑する広井)

 

ダッ!!!!(広井の手を取り急速にその場から離れるところ。)

 

「ちょっと!?」

 

 急いでその場から離脱じゃい!!!あっはっは!この後の言い訳なーんも考えてないや!

 

 

「……で、どういう事情があって、どういう申し開きがあるのかしら影谷君?」

 

「えっと……あの……その……」

 

「いつもあんな奇人変人のテンションなのに急にどうしたのよ……!」

 

 元々インドア派陰キャオタクに臨機応変な対応力とかは無い、無いんだよ……! 

 勢いで出てきたは良いが……冷静に考えてみれば……みれば……!

 

「……俺、女の子の手を握ってる…!」

 

「今更!?というより私も恥ずかしいから手を離してもらえるかしら……!」

 

 すぐに手を離し距離を取る。……よくよく考えてみれば、二次元の中の存在のはずの広井が、今俺の目の前に三次元で存在してるんだよな……俺が二次元世界に来たんだけども。

 だが、どんなにキョどっていても俺があの二人を監視していたことは……というより、あの二人が近くに居たということを広井に知られる訳には行かない……!なんの偶然が怒ってあのデートイベントに割って入るかなんてわからない……!

 考えろ、考えろ……!この状況を打開する神の一手を……!何か、何か使える情報は持ってないか……!広井の公式設定とかになにか……!………そうだ!!!!!!

 

「………足元にゴ○ブリを見つけて、どうしたらいいかわからなくて」

 

「!?………そ、それは助かったわ影谷君……ありがとう……!」

 

 セーーーーーフ!!!!公式設定で、広井が虫苦手なの思い出してセーーーーーフ!!!!

 広井は極度の虫嫌い…それも、G先輩が大の苦手で、見るだけで気を失いそうになるレベルだった……!もっとも、ふらついて倒れそうなところを緋色に受けとけ止められるというイベントがあったりするのだが……今は、セーーーーーフ!!!!!

 

「でも、どうしましょう。目当ての参考書があったのに……」

 

 このまま、なんとか自然な流れでこの場から広井を離脱させよう!……ひらめいた!

 

「……詫びになるかはわからんが、参考書がそれなりにある本屋知ってるぞ。良ければ教えるけども」

 

 妨害に何か使えないかと思って、この周辺を徹底的に調査しておいて良かった……!さぁ参考書を探しに俺の前から消え去るのだ!

 

「あら……なら、お願いしようかしら。行きましょう影谷君」

 

 ……え?

 

 

「本当に色々あるわね……目的の物は見つけたけど、ついつい迷ってしまいそうだわ」

 

「……ソッスカ」

 

 直接案内させられました。どうしてこうなった……!まぁ教えたところでたどり着けるかは別問題と言われればそうだけれども!

 まぁ、結果的にはオーライだ。なぜなら、緋色と金城のイベント進行上のルートに、今いる書店は含まれていないからだ。このまま広井がこの場所に居る限り、緋色と金城のデートイベントは問題無く進行していくだろう。しろ!!!!

 ……その為には、ある程度の時間、広井をこの場所に拘束しておく必要がある訳だが……物理的に拘束なんてもちろんできないし、話をしながら引き延ばすしかないか……仕方ない。少し心苦しいが、少しだけ広井の過去をつつく質問をしよう。

 

「……なぁ広井」

 

「なにかしら影谷君」

 

「……どうして参考書まで買って必死に勉強するんだ?今のお前でも、十分頭いいだろ?」

 

「……」

 

 少しだけ、広井がキョトンとした顔をする。……てっきり、少し曇るかと思っていたが。

 

「……んだよ」

 

「……いえ、何でもないわ。ただ……影谷君からそういうまともな質問が飛んでくることが以外で」

 

「普段の俺どう思われてんの……?」

 

 どう思われてても何も言えない行動ばっかりしてんだけどね!!!!

 

「まぁ、いいわ。……私の両親は、両方とも医者なのよ。……その影響かしらね。私、医学部目指してるのよ」

 

「それで勉強三昧ってか……すげぇな」

 

「……何も、凄くないわ。私は……ただ、反抗期なだけなのかもしれないもの」

 

「反抗期ねぇ……」

 

 そう、この広井という少女。絶賛反抗期真っ最中……とは、語弊を生む表現とはなるが、実際に似たような理由で医学部を目指しているのである。

 彼女の両親は医者で、輝かしい功績を残している。それに娘で憧れる広井が憧れるのは、いわば必然的なことだった。

 しかし、両親は娘の「医者になる」という夢に猛反対。自身が医者になるという危険やリスクを負うことに対して、不安に思ったのだろう。

 これが、広井が中学2年生くらいのころである。今も意固地になって勉強を続け、医学部に行くつもりなのである。

 彼女の両親が猛反対した所以は、その職務の激務さと非常な現実があるからだった。救いたくても、救えない命がある現場へ、“優しすぎる娘”を送り出したくなかったという理由からだった……なんて出来事が、広井ルートに入ると明らかになるのだ。

 そんな重たいヘビーな部分にまで突っ込むつもりは毛頭ないが……広井が会話をまともに続けようとするビジョンが、この話題以外に浮かばなかった。

 ……それに、このバックストーリーを知ってから、広井に言いたい言葉が、プレイヤー時代からあったのだ。

 

「……いいんじゃねぇの別に、反抗期でも」

 

「……そうかしら」

 

「親に反抗する!……普通の事だろ。それにお前はどう思ってんのか知らないけど……どんな時でも全力で取り組む広井の姿に意外と元気づけられてる奴だっている。医学部目指してんのは知らなかったけどな。……まぁ、なんだ。無理せずやれよ」

 

 ……俺だって、元気づけられた一人だ。プレイヤーだった頃、どんな無理難題に遭遇した時でも、広井だけは一貫して解決策を模索していた。……諦めない姿勢は、今だって現在進行形で見習っている。

 

「……影谷君」

 

「なんだよ……」

 

「あなた、まともなことも言えたのね……」

 

 一体全体俺の事を何だと思ってるんだコイツ!奇人変人だわ!否定できねぇわ!!!!!

 

「……でも、そうね。もう少し、根を詰めずにやろうかしら」

 

 ……イベント内でも、広井が過労で倒れてしまったという描写があったりする。しっかり休んで欲しいという気持ちだけは、嘘じゃない。

 

「そうしろそうしろ。適度に気を抜く方がいいって」

 

「じゃあ気晴らしに付き合ってもらえる?」

 

「……は?」

 

「だって、あなた今ヒマそうじゃない……謎に励ましたんだから、責任くらいとってエスコートしてもらわないと困るわ?」

 

 急に何を言い出しやがるメインヒロイン……!誰のせいで俺がこんなに苦労してると思ってるんだよ……!お前と緋色がくっついたら世界滅びて俺も死ぬんだぞ……!

 

「……デートの定番とか知らないぞ俺」

 

「私だって知らないわよ。……そうね、まずは喫茶店にでも入って見ましょうか……」

 

 この後、喫茶店に行き、バッティングセンターに行ったりして時間を潰した。これを機に時々気晴らしが定着すれば良いのだが……。

 ……ん?……そうか。別に緋色だけに目を向ける必要はない。広井が別の男子に現を抜かしても同じ状況そのものは作れるのだ。

 ならば、やることを増やしていこう。……広井にも、新しい相手が居れば宛がう!これにより、どちらかが別ルートに入れば俺の勝ちとなるのだ!はっはっは!……うまくいけばな!さぁ、俺の命の為に踊れ!ラブコメ世界!

 

 なお、この後二人でうろついているところを緋色&金城ペアに見られてたことが発覚して発狂するのは別の話である。チクショァ!!!!!!

 




天月茜(あまつきあかね)……女子友人枠。キャラグラはあるのに攻略ルートが無いタイプのキャラ。男勝りで明るいキャラクター性から実はファンも多い。

また書けたら投稿します。よろしければどうぞ。
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