ギャルゲーの世界にモブとして転生したけど、メインヒロインルート潰さないと俺は死ぬらしい。 作:サラダよりは肉が好き
勢いのまま投稿していきます( ˘ω˘ )
体育祭。現実では、大体春か秋くらいに開催されるイベントだ。ラブコメ的には、スポーツキャラが登場したり活躍する場が多い。
もちろん、このギャルゲー世界でも例外ではない。体育祭関連では、サブヒロインの一人が登場する。一
体育祭の期間は、このサブヒロインを中心に話が繰り広げられるのだが……もちろん問題は山積みである。
金城が介入する分にはまだ良いのだが……我らがメインヒロインである広井は相変わらず警戒対象なのだ。
体育祭の練習中、緋色と広井が二人三脚で転んだ拍子に抱き合う形になってしまったり、緋色がうっかり広井の着替えを覗いてしまったりなど……ケッ!要所要所でこんなことが発生するので気が抜けない。
というわけで、色々と策謀を巡らせなければならない。そのためには、体育祭前に発生する、サブヒロインと緋色とのファーストコンタクトの成功が最重要事項……!
「うおおおおおおおおお!!!!」
「あはは!まてまてー!」
俺はいま、スポーツ系サブヒロインこと天童沙良に追いかけまわされている……ように動いている。これも作戦の一環なのだ!
「どうして逃げるんだよもー!ボクに用があるんじゃないの!?」
うるせぇ誰のせいだと思ってんだ!まぁ10割がた俺が悪いがな!
さかのぼること10分ほど前。俺は緋色と天童のファーストコンタクトイベント「ドキ!?曲がり角でごっつんこ!」を成功させるために行動していた。
このイベントは、緋色が登校している途中に天童が曲がり角から走り出してきて、ごっつんこしてしまうというベタもベタベタなイベントである。正直俺が介入しなくても勝手に進行するイベント……に見えるのだが、そうじゃない、なぜかそうじゃないんだよ……!
この時点で、メインヒロインである広井の好感度が一定以上の場合……緋色と広井は一緒に行動してしまうのである……!
その場合、どんな選択肢を選んでも、緋色に対する天童の好感度の上昇が発生しない!
広井の好感度がどうなっているかは、ゲームであればシステム上確かめることは簡単だったのだが、現実ではそうはいかない。確実にこのイベントを緋色に回収させるためにも!俺は失敗するわけにはいかないのだ!
作戦はこうだ。緋色が広井と合流する前に天童をぶつける!以上!
とてもシンプルだが、この作戦を実行するための下準備にそれはもう大ッ変に苦労した!
緋色と広井が合流するタイミングはお互いの通学路が重なった時であるため、それより前の曲がり角をリサーチ。登校し始めた天童に俺が声をかけ「用があるんだけど……その前に俺と勝負だ!学校に先に着いたほうが勝ちな!」と言い逃げしてレースを開始。天童は陸上部であり、自身の足に絶対の自信があるため、この手の誘いに乗ることはわかっていた!
そして、単純な足の速さではもちろん敵わないので、近道や裏道を通り、曲がり角へとたどり着くルートを計算し、天童に勝てるようになるタイムを出せるまでひたすら練習……長かった。本当に長かった……!
後は目的地まで天童を誘導するだけ……なのだが
「つかまえー……たっ!」
「アブねぇ緊急回避ッ!」スポッ
「制服の上着を脱いで避けた!?」
想定していたより天童が速い……!このままでは服脱皮式回避術もすぐに使用不可(全裸)になってしまう……間に合え、間に合え……!
「よしここだ!うおおおおおおおおお!!!!!」
「曲がり角の先から聞き覚えのある声が……」
「まぁてぇえええええええ!!!」
行くぞ、ラストスパートだ……!
ダダダダッスゥー(曲がり角を強制的に俺が曲がる音
ヒョイガッ!(飛び出して来た俺に驚いて、緋色の足に影谷の足が引っかかる音
ドォン!(追いかけてきた天童が俺と緋色を躱しきれず、結局皆まとめて衝突してしまった音
どうじでだよぉぉぉぉぉぉぉ!俺だけ器用に避けろよスーパー高校生がよぉぉぉぉぉ!!!!ぶつけに行ってたのは俺だけどさぁ!!!!!
不味い、華麗に回避する予定が思ったより体力をつかって回避しそこねちまった……!
「いてて……大丈夫?影谷君と……君は?」
「あたた……大丈夫―……そして捕まえた!」(ドン
「ウッヒョア!?」
立ち上がって逃げようとしたところを、タックルで捕まってしまった……作戦は大失敗……いやまだだ!
「緊急脱出!」スポッ(制服のワイシャツを脱皮して速攻で立ち去る
「あっ!逃げた!まてー!」
「追いかけるのはいいけど、そろそろ学校行かないと遅刻するよ?」
「そうだった!ありがとー!えっと、同じ学校だよね!君は何君?」
よし!!!!いい感じに何かが始まった!広井はいないし、緋色への好感度はきっと上がるだろう!上がれ!!!!!!
何とかなっていることを祈って、俺も時間を置いてから学校に……。
「……制服回収してから行くか」
☆
結局学校へは遅刻し、担任にそれなりに絞られはしたが……ひとまず、緋色と天童を知り合わせることには成功していた。緋色に、あの後何が合ったか聞いてみたが……聞く限りでは、天童の好感度は上昇していると言って差し支えないものだった。やり取りが俺が知っているイベントとほぼ同じだったからな!セーーーーーフ!
俺も色々問い詰められたりした。なんで天童と追いかけっこしてたのか、とか。
「何……風に、なってみたかったのさ」
「いつにもまして何を言っているのかわからないよ影谷君……」
「……この人が変なのは今更よ」
「あらあら~面白そうじゃないですか~今度混ぜてくださいね?」
日頃の行いなのか、これ以上言及されることは無かった。ははは!辛いわ。
ひとまず俺の午前のノルマは達成した……肉体的にも精神的にも疲れたから、この昼休みにはがっつりと寝て……。
「たーのもーーーー!」ガァン!(教室の扉が思いっきり開く音
……知らない。緋色との好感度上昇イベントは放課後だし。俺知らんし。何が起こっても責任とらないし……。
「影谷君って人いますかー!って見つけた!!!!」
「急に教室に入って来てなんだお前は!常識ってもんが無いのか!」
「あなただけには常識を説かれたくないわ影谷君……」
大声で呼ばれたから返事しちゃったじゃないか……!
「ははは……で、天童さん。どうしたの?」
「どうしたもこうしたもないよ緋色君!アタシ、影谷君に追いかけっこで勝てて無いんだよ!?」
……しまった、天童が負けず嫌いであることを失念していた。天童は根っからのスポーツマンで、自分の足に絶対の自信を持っていることは覚えていたが……作戦を思いついた高揚感に身を任せて、天童の本質まで計算に入れていなかった……ッ!
マヌケ……ッあまりにもマヌケ……ッ!俺との勝負がつかないまま終わってしまったために、このような事態になったのか……!
「実質俺の負けみたいなもんだろあんなの。二回も捕まりかけてんだぞ」
「でもでも!捕まえられてないじゃない!結局アタシに何の用があったのか聞けてないし!」
「あぁ……光に、なってみたかったのさ」
「さっきは風って言ってましたね~」
「ともかーく!走る勝負を持ちかけられて、勝負がついていないのは納得できなーい!ので!影谷君!放課後アタシとレース勝負再チャレンジだ!」
「残念!今日は歯医者の予約してるんだなこれが!」
「じゃあ明日の放課後だ!」
「部活があるっていうのにそんな暇はあるのかね陸上エースさんよぉ!ぎゃははははは!!!!」
「くっ!卑怯な……!」
勝ったな……後はこの後の放課後イベントに緋色をポイするだけ……何とかなってしまった。俺、天才すぎかもしれないな……!
「ほらほらもうそろそろチャイムが鳴るぞぉ~?」
「むぅ……!いつか絶対勝負をつけるからね!」
と、天童は悔しそうな顔で教室を立ち去って行った。へっへっへ、この世界、好感度が絡むイベントはある程度強制発生するのは実証済み……!
放課後イベントの発生場所は学校の玄関。本来なら、天童が、ぶつかってしまった謝罪をするために緋色を待ち伏せているイベントだ。……まぁ、普通にしていれば放っておいても発生はするだろうが、念のため緋色を玄関まで誘導すればチェックメイトだ……!
「またなにか企んでるのか影谷君……」
「これに慣れている自分が恐ろしいわ……」
「良いじゃないですか楽しそうで~私にも聞かせて下さい~」
勝ちを確信してしまったな……放課後を待つのみだ!ははは!
☆
「どうしてこうなっちまったんだ……」
「え?どうかした?」
うるせぇ誰のせいだと思ってんだ!……あれから、放課後イベントは無事に完遂したらしいのだが……次の日以降、俺は何故か天童と毎朝登校することになった……というより、天童が俺を毎回待ち伏せている。
「つーか、なんで毎回俺を待ち伏せてんだよ……」
「えっとね、緋色君が言ってたんだ!“影谷君は口が上手いし、何するかわからない人だ”って」
あの野郎そんなこと言ってやがったのか……俺の方はヒロインたちの好感度を上げるために、緋色のことを持ちあげてるっていうのに……!
「ということなので、再戦できるまで出来るだけ近くに居ることにしました!アタシ天才!」
そんなバカな……!バカの世界チャンピオンかお前ェ……!こちとら普通に健全な男子高校生だぞ!毎朝ヒロインレベルの美少女と登校なんてしてみろ……心が持たない、とても持たない……!
普段は生き残るために、無理やりテンションを上げて現実逃避してる分、日常に介入されるのは非常に不味い……!気まずい……!ひとまずは、会話を、会話を……!
「……どうしてそこまで勝負にこだわる」
「え?だって勝負を持ちかけられたのは久しぶりだったから、嬉しかったから!」
「陸上部なら勝負くらいいくらでもするだろ……」
「んー……そうなんだけどね、皆ボクと勝負するとき、どこか諦めたような雰囲気出してるからさー……なんかつまらなくなっちゃって。戦うならこう、本気でアツい方がいいじゃん?」
……いやまぁ、確かにあの時はかつてないくらい本気だったけども。というかこの世界に来てからずっと本気100%だけども。
「だからね、どんな理由があろうと、本気でもちかけられた走る勝負に関しては受けるし、本気で返さなきゃ!って思ったんだ……それに君なんか面白いし!」
「俺は珍獣か何かかよ……」
……あぁ、思い出して来た。天童沙良は、孤独な少女なのだ。陸上部のエースとして君臨し、大会は総なめ。敵わない同世代はほぼいないと言って差し支えない。彼女は何時だって本気で走るが、周りがついてこれないおかげで退屈な部活動生活を送っていた。
天童ルートを進めると、そこらへんの心理描写が深堀される。その孤独の穴を、緋色が優しく埋めるというのが流れだったか……。
前の世界で生きていた頃、ルートは大体攻略したが……まだ一周しかしてないから詳しい記憶は曖昧になってるな……今度、じっくり思い出しておこう。
「……勝負は暇なときにしてやるから、とりあえず待ち伏せはやめろ」
「じゃあ家まで行くね!」
「どうしてそうなるんだよ!」
ある意味、天童という行動力の塊を近くにおいておけるのは好都合かもしれない。何とかして興味のベクトルを緋色に向けさせなければ……!
更なる作戦を練りながら、学校へと登校する。そして……
イベントの宝庫、体育祭期間が、始まる!
元気系ボクッ子ヒロインっていいよね