ギャルゲーの世界にモブとして転生したけど、メインヒロインルート潰さないと俺は死ぬらしい。 作:サラダよりは肉が好き
作者にゴールデンウイークはありません。
ゴールデンウイークの皆様はお暇なときに小説をお楽しみください。
そして、なんと……前作「とある男子高校生のラブコメ観察日記」が書籍化することになりました!
詳しい情報を出せるのはちょっと先ですが
これを機に前作もよろしくお願いします!
というわけで、今日から二週間程は体育祭の準備期間である。ゲーム的に言うのならば……サブヒロイン天童沙良の好感度荒稼ぎポイントなのだ!
この体育祭期間の間にどれだけ天童の好感度を稼げるかが肝である。もう語るべくも無いだろうが、このゲーム……放っておくとメインヒロインである広井の好感度が爆上がりしてしまう。
そして、天童ルートへと突入するにはこの体育祭期間で一定以上の好感度を稼いでおくことが必須条件ッ!これ以降、天童の好感度を稼ぐイベントは激減してしまう……広井の好感度を上げず、そして天童の好感度を爆上げする……これが、俺が生き残るための最初の、大きなチャンスイベントッ!
故に、この期間は緋色と天童をなるべく二人きりにする必要がある……が、中々これが難しい。
ゲーム内において、天童が登場するイベントを選択する必要もあり……狙って天童を攻略するように動く必要があるのだ。
そこで、俺が動くッ!幸いなことに、広井、金城、天童、緋色、俺は同じ赤組だ。とりあえず、緋色が天童へ向かう選択肢を選ばせ続けなければならない。さぁ、俺が生き残るための(ついでにこの世界の命運)戦いが、今始まるッ!
「ねぇ、どうして空に向かって拳突きあげてんの?」
うるせぇ誰のせいだと思ってんだ。……第一関門として、現在俺に付きまとっている天童を緋色になすりつけなければならない。本当にどうしてこうなっちまったんだろうな(前話参照)。現在、授業内で体育祭の練習となっている。ここでまずイベントがあるのだ。
題して、「ドキ!?競い愛大作戦!」である。
この期間では、もちろん体育祭練習をする。リレー練習、二人三脚、大縄跳びなどなど……緋色と天童が共に練習するシーンが多く存在する。その中で、天童が緋色の運動能力を認めて行き、緋色も天童に少しずつ惹かれるというのがゲームの流れである。
「という訳で今から緋色と天童には勝負をしてもらいます」
「どうして急に僕が出て来るのさ影谷君……」
「そうだよ!ボクが勝負したいの影谷君なんだけど!」
「黙らっしゃい!そう簡単に俺に挑戦できると思ってるのか!」
「あなたは一体何者なのよ……」
「秘密諜報機関のエージェントらしいですから~」
広井と金城もまぁ好きにいってくれちゃっている。お前らにも無関係な話じゃないんだぞ……なんたって緋色と広井が恋すると世界が滅びるんだからな!!!!!というか金城はいつのネタ引っ張って来てんだよ……。
「……というわけで、我が赤組のトップ戦力、クソボケイケメン緋色君と爽やか系ストーカーの天童さんのガチンコ勝負を行います!さぁ張った張った!」
「賭け事にまで発展させるのは良くないよ影谷君!?」
周りを煽ることにより、逃げられなくするための戦略である。二人で体育祭練習をさせる状況を作れば、後はイベントの通り動いてくれるはずだ……ククク……!全てはこの影谷の掌の上よ……!
☆
結論から言えば、俺の作戦は上手いように運んでいた。緋色と天童は、お互いの身体能力を活かして練習も絶好調だ。
ここ数日の練習を眺めていると、100メートル走などの個人技では競いあい、大縄跳びなどの団体種目では共に皆をい鼓舞し……ゲーム内のイベントで見た光景が散見できた。この二人の仲は、着実に近づいていると言っていいだろう。
では、この状況がひっくり返えってしまうとすれば何か?それは言うまでも無く、運命力の権化、メインヒロインである広井の介入である。
この世界では、人の好感度に関わるイベントはどんな形であれ発生する。体育祭練習というシュチュエーションの中で、緋色と天童のイベントが発生させて続けることに成功している。
警戒するべきは、緋色と天童、広井が三人になった場合、緋色は広井と仲良くなる選択肢を選ぶことだ。再三言っているが、このゲーム、広井の好感度の上がり方はやばすぎる。
というわけで、広井そのものを遠ざけてしまえば、ゲーム内のイベントは自然に発生させつつ、広井ルートを妨害できるという訳である。我ながら完璧だ……と思っていたのだが
「……どうして倉庫に閉じ込められちゃったんだろうなぁ」
「仕方ないじゃない……外から鍵を閉められてしまったのだから」
「なんだかワクワクしますね~」
ど う し て こ う な っ た
まぁ……体育教師に倉庫に備品を取りに行くように頼まれて、一人だけなら大変だろうと近くに居た広井と金城が手伝いを申し出て、備品を探しているうちに何者かに外から鍵をかけられてしまったのである。
色々と気になることはあるがまずは……
「誰かァアアアアアア助けてぇえええええええええ!!!!!!!!!」
「きゃっ……急に大声出さないでくれる!?」
「びっくりしましたね~」
だって!一刻も早く脱出しないとこの状況に俺が耐えられない!誰もが羨む美少女二人と倉庫で閉じ込められただと!?こんなの、ラブコメの世界じゃないとありえない!ラブコメの世界じゃねぇかここ!!!
「落ち着きなさい影谷君……それだけ大声で呼んだら助けは来るわ」
「そ、そうか、そうだよな……」
「……あ、でも~そろそろグラウンドの方でリレー練習が始まる頃ですよね~?倉庫からはそれなりに離れてますし、声を出しても届かないんじゃ……?」
「へぇぇるるるるるるるぷ!!!!!」
クソッ!何とかして脱出しなけば、ただでさえ無理をしているメンタルが限界に達する?誰もが羨むシュチュエーションだが、俺にとってはそうであってそうではない……単純に免疫が無いんだよォ……!
「というか影谷君。なんでそんなに取り乱しているのよ……どっちかっていえば、取り乱すのは私たちの方じゃないの?」
「キャー♪ですね~♪何をされてしまうんでしょうか~?」
何もしねぇよォ!!!!何かしたら世界が滅びる前に社会的地位が滅びるわ!
……まてよ?考えようによってはチャンスなのでは?金城はともかくとして、広井がここにいる間は緋色は天童と過ごす選択肢を選ぶしかない。そう考えれば、この状況も悪い物じゃないのでは……。
「……?」←首を傾げる超正統派美少女ヒロイン
「どうしたんですか~?」←首を傾げる超正統派?お嬢様系ヒロイン
無理だ!!!!!普段は無茶して奇人変人テンションを保っている俺だが、この状況で長時間は持たない!陰の者の限界がきっとやってくる……!
「少なくとも、先生が来るまではこのままですか~」
「そうね……携帯も置いてきてしまったし……でも、誰かが様子を見に来るでしょう。そうじゃなくても、少なくとも放課後、運動部が部活で使う備品を取りに来るはずよ」
「……今が6限目だから……最長で1時間半と少しくらいか……………」
おおよその時間が分かれば……心理的に耐えられる……いける、いけるぞ……。
「ところで~影谷君に前々から聞きたかったんですけど~」
「な、なんだよ……」
「影谷君って広井さんのこと好きなんですか~?」
「「すっ!?」」
いきなり何を言い出すんだ金城ォ……!
「いやいやいやいや、そ、そんなはずないだろ……!」
「え?だってクラスの人に話を聞いたら~」
クラスメイトAさん
『影谷君、いつも緋色君と広井さんが良い感じになりそうなときに間に割って入ってるよねぇ……』
クラスメイトBさん
『わかる~。……これって、影谷君が広井さんのこと好きだからじゃないの?』
クラスメイトCさん
『緋色×影谷の線も捨てがたい……!』
「って言ってましたよ~?」
最後の奴は一体なんだ……………確かに、今までの行動を考えれば『影谷が広井が好きだから、緋色と広井の間に割って入ろうとしている』と捉えられても仕方がないのかもしれない。しれないが!
「そそそそそそそんなことなななななな」
「小刻みに振動して動揺しすぎよ影谷君!?……まさか、本当に……?」
お、落ち着け……俺が広井に恋愛感情を抱いていないのは事実なんだから、落ち着いて……よ、よし。
「べ、別にそういうんじゃない……たまたまだろ、たまたま……」
「怪しいですね~……」
「……」
やめて広井!「お前マジか……」みたいな視線をこっちに向けないで!
<ん?鍵が……おーい、大丈夫かー?
扉の方から声が聞こえる……!助かった!
「け、結構早く見つけて貰えたいたいね」
「うーん……もうちょっとお話したかったのに~」
俺はごめんだけどな!!!
「で、影谷君は広井さんのこと好きなんですか~?」
「今その話終わったばかりだよね!?そして仮にそうだとして広井の前でする話じゃないよね!?」
「終わってないですよ途中です~」
「あぁもう……!速く倉庫から出るわよ……!」
体育教師が扉を開け、広井は足早に外に出る。俺も後に続こうと急いで出ようとした時、金城が耳元で一言。
「……もう少し、自分に正直になったほうが良いですよ~」
と、それだけを囁いた。
☆
「……」
家……この世界での俺の住まい(マンションの一部屋を神から貰っている)で、金城の言葉の意味を考える。
自分に正直にってどういうことだ……?確かに俺は、生きてこの世界から帰るために多少以上の無理はしている……。だが、俺の一般的な評価としては、「騒がしい変な奴」程度なはずだ……。
付き合いも短い金城が、一体俺の何を知っているっていうんだ……?
「まさか、あのアホ神の関係者……?」
まさかな……。……いや、別世界から来た俺という存在が成り立ってる時点で、その可能性は十分にあるのか……?
『広井さんのこと好きなんですか~?』
……正直なところ、女の子として好きかと言われればそうじゃない。俺はオタクだ。しかもギャルゲーオタクだ。推しキャラは作っても、推しに恋をする程じゃないレベルではあるが。さらに言うなら、広井は別に最推しではない……と言ったら失礼かもしれないが。
……だが、可能性としてだ。広井のルートを阻止して世界が救われるのなら……俺が広井と付き合ってしまえば解決するんじゃないか?
「……ないないないないない」
あんな美少女と俺じゃ釣り合いが取れないし、リアルの恋愛はごめんだ。まったく……金城が変なことを言うから変なことを考えちまったな……。
体育祭関連のイベントはまだある。緋色と天童、ここのルートが確立してしまえば世界は救われ俺も自由の身なのだ、気を引き締めないとな……。
にしても……。
「なんで金城、急にあんなこと聞いて来たんだ……?」