ギャルゲーの世界にモブとして転生したけど、メインヒロインルート潰さないと俺は死ぬらしい。 作:サラダよりは肉が好き
リアルが落ち着いたので、ぼちぼち更新したい(願望)
色々急展開ですが、勢いのまま書いているのでご容赦。
そして、とうとう発表された
拙作「とある男子高校生のラブコメ観察日記」が、オーバーラップ文庫様より書籍化となります!
7月刊です!!!!!
そちらもよろしくお願いいたします。
書籍版は内容や設定が異なり、ボリュームアップでパワーアップしていますが、雰囲気は全く変わりません!Web版もどうぞ!
Web版→https://syosetu.org/novel/299644/
『や!元気してるぅ?』
「とりあえず死ねェ!!!!!」
『開幕顔面キックはちょっとやめてくrグボォ!!!』
……えーっと、俺はどうしたんだったか。確か、誕生日パーティーを開いてもらった帰り道、緋色に変な誤解をされて……結局誤解を解くことができないまま帰宅したんだったかな……。
『ちょっと!心の中であらすじおさらいしてないでさ!神のこと気にかけてくれて良くない!?というか不敬!開幕キックは不敬!』
「うるせぇ誰のせいだと思ってんだ!お前のせいで色々大変なんだよこっちはァ!」
……どうやら、ここは夢の中的な感じっぽいな。そして、目の前にいるいかにも神っぽい白いローブを来た金髪ホストみたいな見た目をした奴こそ、俺をギャルゲー世界に放り込んだ元凶、自称神だ。
『自称じゃなくて、か・み。ちゃんと偉いんだぞこれでも』
「これでも、ってことは自分でもらしくない自覚あるんじゃねぇかよ……」
って、そんなことはどうでも良い。問題は、どうして神がコンタクトを取って来たのかということだ。俺をこの世界に転生させてから一切音沙汰がなかったのに、どうして今更?
『それはねぇ……ちょーっと説明不足がありすぎたから、その埋め合わせというかなんというか……』
「あ゛?」
『怖い怖い!悪かったよぉ……転生させたときは色々忙しくてさぁ……』
怒りをすべてぶちまけていたら話が進まなそうなので、一旦腹の底に沈めることにする。本当にどの面下げて現れやがったんだよコイツ。
『えっと、君が色々勘違いしていることを含めてね、簡単に現状について説明しようかと思って』
「そういうチュートリアルは最初にやれよ……!それに勘違いだと……?」
『悪かったって言ってるだろぉもぅ……そ、勘違い。君さぁ……ゲーム知識を元にして、ルート妨害頑張ってるみたいだけど……』
「だから何だよ、それを期待して俺を転生させたんじゃないのか?」
それはそうなんだけどぉ……と、歯切れが悪くもじもじし始めるアホ神。言いたいことがあるならハッキリ言ったらどうだ……?
『……結論から言って、あそこはゲームの世界だけど、正確には“ゲームに似た別の平行世界”……簡単に言えば、一種の現実だ』
「……」
……まぁ、その可能性は考えていた。まんまゲームの通りなら、それこそ会話ウィンドウとか好感度メーターとか、そういうゲームチックな仕様が使えてもよさそうなものだし、ゲームで描写されていない日常も存在しないはずだ。何より、ネームドやモブを含め、あまりにもリアルすぎた。現実の人間といって差し支えないくらいに……いや、現実の人間だったのだが。
『もちろん、ゲームに似た世界だから同じようなイベントは起こるよ。かなりの精度でね。……だけど、それは絶対じゃない。君が介入したことによって、変わったイベントも複数存在する。よっぽどの介入具合じゃないと変わらないんだけどさぁ……割と滅茶苦茶してるしね、君』
「仕方ねぇだろ、自然な方法なんて考えてられるかよ。自分の命懸かってんだぞ」
『まぁねぇ……。だから、もうちょっとそこのところを前提に行動しないと、足元を掬われるよ。人間関係は、ゲームのように単純に管理できるものじゃないからね』
「それもこれも全部お前の説明不足とかのせいだけどな……!」
『はっはっは。でね、ここからが問題な部分なんだけど』
「問題とかあんのかよ、本当に最初に説明して欲しかったモンだな……!」
『……影谷信人。君が転生したキャラクターについてだ』
「あん……?」
☆
朝、何事も無く準備をして登校する。転生前も高校生だったのだ。世界が変わったからといって、その習慣が抜けるわけじゃない。珍しく、天童も俺の所へは来なかった。
昨日……神に言われたことは、衝撃的なことだった。怒りからなにから霧散して、そのことを考えてしまうくらいに。
影谷信人……俺が転生したこの肉体は、一応の設定がある程度のモブキャラ……その設定というのも、一人暮らしであり、影の薄さから気配を読み取ることが出来ない、モブ中のモブ……ということと、ゲームの開発陣がボツにした何かがある、ということくらいだ。
影の薄さに関しては、俺が余りにも出しゃばった行動をしたことによって無いものとなっている。
だが……神から聞いた事実を考慮すると、色々と合点がいくこともあったりなかったりしたのだ。
いつものように授業を終えて、帰路……へ着くのではなく、学校の屋上へと、足を運ぶ。屋上に着いてから十数分。待ち合わせをした人物が、屋上へと現れた。
「お待たせしました~……影谷君♪……いいえ、神の手先、と言った方がいいでしょうか?」
「金城……」
☆
『影谷信人は、ゲームの製作過程で没にされた……初代主人公だ』
「……何を言ってるのか普通に理解ができないんだが」
『元々、ゲームの主人公は影谷信人になるはずだったってことさ。ごく普通の男子高校生な、一般的な主人公……だが、スポンサーの意向で、設定やキャラデザから根本的に組みなおされて生まれたのが、緋色君。影谷信人というキャラクターは、完成したキャラデザを無駄にしないように、モブキャラとしてゲーム内に配置された』
「……だからなんだってんだよ」
『問題は、主人公の変更に伴ってシナリオも大きく変更になったってこと。元々影谷信人ベースで組まれていたシナリオは全てパー……一から作り直すことになり、出来上がったのが今のゲームだ。……当時のスタッフは優秀だったようで、目立つバグも無かったが……ゲームとあの世界は、強く相互作用してしまった』
「あ?ゲームとあの世界は別だって話をさっきしてたじゃねぇかよ」
『似た世界、とは言ったけど別、とは言ってないよ。……急に運命がねじ曲がった世界は、ある意味でのバグを生み出すことになった。ゲームの方では全く問題無いし、むしろそちらがメインのルートなのだが、この世界だとメインのルートを辿ると、世界が崩壊してしまう』
「……まて、そのメインのルートってのが」
『そう、広井芽衣攻略ルート……この神の、神調整を持ってしても、変化する世界のスピードに追い付かせることはできなかったのさ』
……色々わけわかんないが、つまり。
「メインヒロインルートを攻略しないと世界が滅びるって状況自体は変わらないんだろ?長々と裏側のことを話されても、俺には選択肢ないじゃねぇか」
『それはそうなんだが……世界がバグっているせいで、どうやら君に主人公的な影響力が発生し始めているようなんだ。何が起こるかと言えば……“没になった影谷信人を中心としたストーリー内で起こるイベント”が、起こりはじめるだろう』
「……は?」
『君が所持しているゲームの知識が、全く通用しない事態になりかねない。……困ったことに、その影響かどうかはしらないが、この世界のバグに気が付いている人物が居る。君には、その人物に接触して欲しい。ネヴィラ・アレクサンドラ・金城にね』
「まてまてまてまて!何もかも話についていけない!勝手に説明して話を進めようとするな!」
『おっと時間だ……また明日の夜にでも現れるから、戦果聞かせてよ、じゃあね!』
「ちょっ!」
☆
「……金城、お前、やっぱり何か知ってるのか?」
「知ってる……えぇ、知っていますよ。あなたが知らない影谷信人のことも、全部」
「……」
……どうやら、金城は、俺がおかれている状況も、俺の知らないことも知っているらしい。
「……夢をみるんですよ~」
「……夢?」
「……その中で、私はひとりの男の子を好きになるんです。その男の子は、影が薄くて、冴えない子……だけど、誰かの為に一生懸命になれる素敵な子……。幸せでした。遊園地、海、夏祭り……夢だと思ってました。……それなのに、貴方に出会って、全てが鮮明になってしまいました」
「……」
金城は、哀しそうな顔で俺を見る……いや、多分。俺ではなく、“影谷信人”を見ているんだ。
「……そして、ある時ハッキリと脳裏に浮かび上がったんです。存在するはずのない世界の記憶……それを邪魔する、別の世界の存在……そして、神の存在」
……俺を神の手先、なんて呼んだくらいだ。俺とおなじく、神の存在自体を良く思っていないんだろう。
「……だから、私決めたんです。この世界がおかしいなら、あるべき姿に戻せば良いって……」
「……ということは、俺のあの地獄のルートブロックに協力してくれるってことか?」
金城は、まさか!と高らかに笑いながら否定する。……まぁそうだよな。
「言ったでしょ?あるべき姿に戻す……って、それには、この世界が邪魔なんです。緋色君を中心とした、この世界を壊して……本来あるはずだった、“本当の影谷信人”君が主人公の世界を……」
「い、いや……滅ぶって言ったって、その……あるべきだった世界が戻ってくる保証なんてないだろ」
「……あるんです、あるんですよ。……ねぇ、影谷君……いえ、影谷君の体に入っている誰かさん?」
「………………」
「神様だっているなら……悪魔だって、居ると思いませんか?」
「それって、どういう………」
直後、屋上を照らしていた太陽が、何かに遮られた。
消えたわけじゃない。太陽の光にかぶさるように、羽の生えた何かが、降りて来た。
「……ギャルゲー世界だってのに、なんでそんなのがいるんだよ、ジャンル違いだろうが」
「ふふ、ここはゲームの世界ではなく、現実ですよ~?」
「現実なら尚更居ちゃいけないだろ……!」
背に一対の黒い羽を持ち、紫の長い髪を携え、髪の間から角が生えていたそれは、間違いなく、
「悪魔……」
『……そうだ、オレが……悪魔だ!』
……色々な話を聞きすぎて、頭がオーバーフローしていたんだろう。神が居るのなら、確かに悪魔も居るのだろう。それがなんで金城と居るのか、疑問は尽きない。だが、いっぱいいっぱいな俺は、宙からミニスカートで降りて来た悪魔に対して、とりあえず目に入ったことを正直に話してしまった。
「……悪魔って、縞パンなのか」
『み、見るな馬鹿野郎殺すぞ!!!!』
きな臭いことになってきました。