ギャルゲーの世界にモブとして転生したけど、メインヒロインルート潰さないと俺は死ぬらしい。   作:サラダよりは肉が好き

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段々お話がラブコメに戻ってきます。
はてさてどうなることやら。
お手すきの際にどうぞ。

そして、オーバーラップ文庫様より、7月刊として書籍化される
拙作「とある男子高校生のラブコメ観察日記」もどうぞよろしくお願いいたします。
ラブコメシチュエーションを観察する、変な男子高校生の日記です。
Web版と書籍版では、若干設定や内容がことなりますが、パワーアップとボリュームアップの結果です。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
Web版→https://syosetu.org/novel/299644/


第9話 どうやら決意の時がきたらしい。

「あらあら~だめですよ?女の子の下着を覗こうなんて~」

 

「いや……覗くも何も、見せつけるように空から来られても……」

 

『見せつけてねぇっ!……お前、そんな呑気な態度でいいのかよ……オレは悪魔だぜ、悪魔』

 

 色々とオーバフローした頭が、情報の処理を始める。……金城は、メインヒロインルートを成立させることによってこの世界を崩壊させ……“影谷信人”が主人公だった世界を取り戻そうとしているらしい。それが出来るとする根拠が、この悪魔なるミニスカ縞パン女だという。

 

『あん?なんか反応薄っすいなぁオイ。怖がるとかなんかあるだろうが』

 

 翼を広げ、距離を詰めてメンチをきってくる悪魔……悪魔というかチンピラじゃねぇのコレ。

 

「……神に転生させてもらってるんだ。今更こんことで驚きやしねぇよ」

 

 本当のところは、色々ぐっちゃぐちゃな中縞パンで上書きされて色々一周まわっただけだ。……何やってんだろう俺。

 

『はっ!あのホストもどきと一緒にすんなボケ!……怖がって直接世界に干渉しない臆病者とはチゲーんだよ』

 

「……そうかよ。それで、何の根拠で、この世界が崩壊するとその……元のシナリオの世界が戻ってくる確信があるんだよ」

 

『答えてやる義理はねぇぞダボ!』

 

 中指を立てて威嚇してくる……チンピラというか不良というか……悪魔ってこんな感じなんだろうか。

 

「……金城は、こんなチンピラ信じてるっていうのかよ」

 

『誰がチンピラだコラァ!』

 

「……はい。確信を持ってこのチンピラさんのことを信じていますよ~。契約しましたし~」

 

『だから誰がチンピラだ!!!』

 

 ……この悪魔が、本当に俺が想像するような悪魔だとして……そんなものと契約してまで、金城は、俺じゃない本当の“影谷信人”を取り戻そうとしているということになる。

 元のシナリオの記憶があるらしいが……それほどまでに、元の世界の金城は、影谷信人という人物を愛していたということなのだろうか。

 ……だとするならば、肉体を乗っ取ったとも言える俺は、金城にとってさぞかし憎い存在だろう。この場において、異端なのは俺の方なのだから。

 

『だから、とっとと死ぬか消えるか、大人しろって話だ。お前が動けば動くほど、世界は正しいカタチには戻らねぇ……運命に身を任せて、緋色と広井のメインルートを見てるんだな』

 

「……これは、警告ですよ~。今後、妙な動きをするようならば、私達も相応の対応をさせていただきます~」

 

 ……この世界に転生してから、必死だった。ただひたすら足掻き続けた。足搔き続けてわかったことは……普通に勉強して遊んでいる、高校生の日常がそこにあるってことだ。

 緋色は気持ち悪いくらいいい奴だが、はやとちりする癖があったりする男子高校生だっし、広井は完璧に見えるがどこか毒舌だ。天童は運動もできるしコミュ力もあるが、無遠慮……。あと、お人よしだけど抜けている、金城。

 ……必死だった。他の事を考える暇がないくらい……その筈なのに、“楽しかった”。とても。前の世界で、なんとなく生きるより、必死に生きるほうが、楽しかった。

 ……なら、俺の答えはひとつだ。

 

「……る」

 

『あぁん!?』

 

「だが断るッ!!!!!!!!!!」

 

 バァ~ン!!!と、効果音が聞こえてきそうな、渾身のポーズと共に、言い放つ。

 

『……脅しじゃねぇぞ』

 

 悪魔が、片足を軽く上げ一気に屋上の床へ踏みつける。すると、なんということでしょう。ズガァン!!と、とんでもない音とともに、床がバッキバキに砕けているじゃありませんか。

 

「こ、この影谷信人(もどき)が最も好きなことの一つゃ、自分で自分のことをつおいと思ってる奴にNOと断ってやる事でい!」

 

『ところどころ噛み噛みだし足ガクブルじゃねぇかっ!ビビり散らかしてるのにかっこつけんな!』

 

 だって怖いんだもの!そんな光景漫画でしか見ることないですわよ!?

 

「……やはり、あなたは影谷君ではありませんね~。臆病で、愚か」

 

「うるせぇ誰のせいだと思ってんだ!というかふざけんな!!!俺だって命懸かってんの!いーのーち!!!この世界何とかしないと、お前らに殺されなくても死ぬんだよ!一回死んでるけど!だから無理矢理テンション上げてさぁ!白い目で見られようとも見ないフリをして……うわああああああ!!!」

 

『喚きながら床に頭叩きつけてるぞ……悪魔のオレが言うのもなんだが狂ってんだろ……』

 

 狂ってる?そんなもん転生した時から狂ってるに決まってる!当たり前だろそんなの!こちとら序盤からクライマックスなんだよ!後から色んな設定がぽこじゃが出て来たって知ったことか!

 

「……仕方ありません。こうなってしまった以上、全面対決と参りましょう~」

 

 床ヘッドバン(セルフ)を止め、金城へ向く。

 

「……俺を殺さないんだな」

 

「偽物でも、その身体は影谷君のものですから~。……愛する人を傷つけたくはありません」

 

「……なら、決まりだ。俺は全力でメインヒロインルートを妨害する」

 

「私は全力で、緋色君と広井さんをくっつけます~」

 

『……めんどくせ』

 

 ……勝算があるかどうかとか、そんなのはわからない。だが、本格的に手段を選んでいる場合ではなくなった。ルートが確定するまで、約二ヶ月……。

 

「本気の勝負だ、金城と縞パンデビル。俺は全力で他人の恋路を邪魔して見せるッ!!!」

 

「臨むところです~」

 

『誰が縞パンデビルだ殺すぞッ!!』

 

 

「と、いうわけで全面戦争になりました。メンゴ」

 

『あっるぇ~?情報探って来いって言ったのにどうしてそうなってんの?』

 

 その日の夜。夢の中にて神に報告を行った。ちなみにだが、縞パンデビルがぶっ壊した屋上の床は、“そんな出来事はなかったもの”として世界に処理されるらしい。というか、屋上事態が悪魔によって結界が張られていて、誰も認識できなくなっていたそうだ。便利である。

 

「情報だって取って来ただろうが」

 

『あの悪魔ちゃんが縞パンだってこと以外は、有益とはとても……』

 

「それ以外もちゃんと有益だろうが!」

 

『まぁねぇ……話を聞く限り、悪魔ちゃんは、元の世界を戻す手段を知っていて、それを実行するために、金城ちゃんと契約を結んだ……ってところかなぁ、多分』

 

 ……金城は契約、としか言っていなかったが……そういう視点もあるのか。

 

「なんでそう思うんだ?」

 

『悪魔はね、契約ありきの存在なのさ。だから力を引き出すには人間と契約しないと真の力が出せないようになってる。……それに悪魔……あの縞パンデビルちゃんには、元の世界に執着する理由があるしね』

 

「執着する理由……?」

 

『まぁそれはいいや。ともかく、元の影谷信人を取り戻したい金城ちゃんと縞パンデビルちゃんは利害が一致したってところだろうさ……厄介だな。ただでさえ絶望的なルート妨害に、ルート妨害の妨害をするサイドが現れるとは……』

 

 ……悩みは尽きないが、ひとまず、神にいくつか確認しないといけないことがある。

 

「……おい、神」

 

『なんだい?』

 

「……お前は、一体何のために俺を転生させた」

 

『え?世界の崩壊を防ぐために……』

 

 ……違う。本当の目的はそこじゃない。嘘でもないが、本当の理由はそこじゃない気がする。

 

「世界の崩壊を防ぐだけなら、もっと他の方法もあったんじゃないのか?」

 

『ないよ。神も悪魔もそうだけど、基本的に世界に直接の干渉はできないんだ。だから、君というたまたま死んだ魂を、親和性の高い人に植え付けて、転生させた』

 

「“なんで”影谷信人だったんだ」

 

『だから親和性が……』

 

「影谷信人ってのは、元々主人公だったんだろ?……モブに転生しただけだって、何も考えずに過ごしてたが……あんなバックストーリー聞かされて……なにより、金城のあんな哀しそうな顔見ちまったら……親和性とかじゃ納得できねぇよ」

 

……神が、沈黙する。言えないわけでもあるのか、話しづらいだけか。

数秒黙ったあとに、口を開く。

 

『……ごめん。こんなナリと行動だけど、君を巻き込んでしまったことに関しては、本当に申し訳なく思っている。……そして、その理由を今は話せないことも』

 

「……答えられないなら、今は良い。俺を巻き込んだことも、良くないが、今は良い……だが、これだけは答えてくれ」

 

 ……この戦いは、神と悪魔の因縁とか、金城の想いとか、緋色や広井、天童の日常とか……色々なものが懸かった戦いになる。……最初は、俺の命を護る戦いだった。今もそうだ。でも……俺は、画面の向こうの憧れの存在に出会って、話して……友達になって、どうしようもなく“助けたい”って思ってしまった。

 死ぬのは怖いし、友達も失いたくない……なら、今まで以上にガチになるしかないんだ。そのために……俺は、信頼が欲しい。

 

「……メインヒロインルートを妨害すれば、ひとまずは落ち着くんだな?」

 

『……それは、約束する。どんな形でさえ、メインヒロインルートに突入さえしなければ世界の均衡は崩れない』

 

 ……神の言葉が本当かどうかは知らない。だが……真っ直ぐ目を見て言い返したコイツを、俺は信じたい。

 

「……わかった。だけど、干渉できないとはいっても、出来る範囲で俺に協力してくれ」

 

『元々そのつもりで昨日から夢に出て来たのさ。……相談にのったりする程度だけどね』

 

 今まで一人だったから、それだけで、頼もしい。……俺と神、金城と悪魔。やってることは色恋沙汰への介入とか言う無粋極まりないものだが、俺は全力で、メインヒロインルートを妨害する……!

 

 

 翌日。いつもの通り突撃して来た天童を全力で撒きながら、登校する。そして、広井が座る席の前まで来た。

 

「……どうしたのかしら影谷君。昨日から様子がおかしいかと思えば……いつものようなおかしさに戻ってしまったの?」

 

「うるせぇ……なぁ、広井」

 

 ズィッっと、広井に顔を近づける。

 

「な、なによ……?そんなに近くで……?」

 

「……俺と、デートしよう」

 

「……え!?」

 

 えぇぇぇぇぇぇぇ!?と、俺以外の全ての生徒から、驚愕の声があがった。

 




ラブコメになってきました。

ところで天使ってどこいったんでしょうね(おい)
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