とある世界の片隅、今日も銃声と砲撃の爆音が響き渡る。世界の果てにしてはまだ暖かいが、春にしてはまだまだ寒い。日本より少し北にあって、小さな町があっただろうその場所は、穴だらけの廃墟になっている
今はは国と国のエゴぶつかり合いの最前線になって数ヶ月。そこを取っても何の意味があると嘆きたくなるが、現地の人達には故郷だ。
「焼きが回ったな」
傭兵仲間の自称フランス人「ラクス」と元日本人「増田」二人で辛うじて砲撃に耐えてる民家に逃げこんだ。
「止血するぞ」
「無駄だ。それよりタバコ一本とRPG」
ラクスの右脚は数分前の前大戦時に使われていた戦車を無理矢理現代改修して、今流行りのドローンを偵察を使った攻撃で吹き飛んだ。
「撃てないだろ」
「上半身の感覚はある。一矢悔いる事はできるさあと」
最後のタバコをラクスの口に捩じ込む。
「あと?」
「弾あとどれぐらいある?」
「AKもう無いな。どこの死体か分からない奴からもらったベレッタ、9ミリ八発」
「俺の銃と弾持ってけ、もう要らん」
「有り難くもらうが、戦車の随伴兵見ただろ?俺1人じゃ無理だ」
ラクスを民家に転がっていた椅子に座らせ、テーブルを目の前に置き、コンクリと、丸太等置きRPGの支えを作る。
「火!」
「あるわけないだろ」
「何だよ。ドローンうるさいな、最後ぐらい話させてくれよ」
張り付いてるドローンが倒す予定の仲間を集めてくる。
「長くない!増田!!ここから3キロ南にある廃墟の地下を探れ、そこの面白いものがある。そこ行けば助かるかも」
この状況でニコリと笑うラクス。
「気でも狂ったか」
「とっくにな」
「行けお前なら使える」
何の話しをしてるのか分からないが、 この状況をなんとかできるのなら何でも良い。増田はロケランをラスクの肩にかける。
「幸運を」
軽く頷くラスクを後に廃墟を飛び出した同時に背後に砲撃音と同時に爆発音と破片が飛び散る。ぐっと爆風で宙を舞うが上手く地面に両手から着地、転がる。
崩れ落ちる廃墟を見て、一矢報いる事は出来なかったとすぐに思ったが、感傷に浸る場合では無い。
「俺で最後か」
20人近くいた傭兵仲間はもう俺しか居ない。今回の北の戦争に受けてヤキが回った。敵の物量にいくら精鋭だらけでも耐えきれなかった。
空から羽の音。ベレッタを向ける爆弾持ちなら一か八かやるしか無い。
走りながら右片手持ちから両手に構え、空を見るが、カメラだけだった。
その瞬間、空間に衝撃波を感じた。
ドン!! 左手前に砲弾が落ちる。直撃は避けられたが、爆風で飛ばすには充分すぎる。前のめりに前屈しながら後ろに飛ばされる。口に鉄の味がする。
一瞬気を失ってだのだろう、地面に叩きつけられた感じがしない、視線は歪むが転がりながら手から離れた銃を拾い、増田に近づく敵に一発放つ。
胸に直撃させるが、アーマ装備してる以上9ミリ弾じゃ耐えられる。が、反撃の能力があると分かると散り散りに分散する。
その隙を逃さず重い足を動かし、目的の廃墟に潜り込む。
「地下ってどこから入るだよ」
爆撃や砲撃で屋根は完全崩れ、地下に繋がる場所が分からない。いつ追撃の砲弾が来るか分からない中思い当たる場所の瓦礫を退かす。
何を言ってるのか分からないが敵の攻撃する命令が聞こえる。
「砲撃出来ないのか?」
チャンスとは思わない。軽くフル武装している10人以上に包囲されてる
カチンとグレネードが投げ込まれる音する。すかさず残ったコンクリの壁を背後にして耳を両手で塞ぐ。
手から響く爆発音。壁越しからの衝撃。
直撃を避けと確信した同時に、窓に見えた影にパン!と発砲、首当たってようで、声にならない叫びを放ちながらこちらに倒れてきた。
「悪いがもらうぞ」
死体かAKを剥ぎ取った瞬間敵の後続が窓からAKを乱射してきた。
増田は死体を持ち上げて、弾を避け、外に投げ出す。想定外の反撃に避けらずに直撃する。
奪い取った銃の弾を抜き、暴発を防ぎ、連射から3点バースト切り換える。
窓に3発打ち、背中を向け、グレネードが炸裂した方を向いた。
「あった!」
破片を良い感じに吹き飛ばしてくれて、地下に繋がる梯子が見えた。
梯子に手を伸ばした同時に背中に衝撃が、別方向から突入してきた敵に1発もらったが、すかさず3発撃ち反撃、アーマに2発首1発くらいゆっくりと崩れ落ちる。
這いながら梯子に手を伸ばし、穴に落下する。銃傷と全身に衝撃と各所に強烈な痛み。
死を感じながら這う。暗い地下道を這う。痛みを感じながら這う。
「お久しぶりです増田様、おや?全身お怪我されてますね。緊急転送準備開始します。今しばらくお待ち下さい」
自動で電気入った。光が地下道を照らしたら今まで見た事のない機械があった。
血が肺に入り、吐血したり話せないが何やらこの機械は増田の事知ってるようだ
お前は誰だと言いたかった。
「緊急転送準備完了!増田様またお会いしましょう205069番時空へ」
機械が言った言葉を聞き終える前に意識を失った。
「•••••!?」
城自体に振動が響く。
「こんな時になんなの?」
地下に侵入した何かを感じる。転送魔法を封じる結界は展開してるが、突破された。
自身のが持つ固有魔法の氷結を常に展開出来るようにして、ランタンを地下に進む階段を降りる。
『落下物』と書いてある部屋に入る。
「!?」
知る限り三、四十年動いてない他の世界に繋げる装置が動いている上に、人が倒れていて周りに大量の血溜まりが出来てる。
「この装置を介してこの世界に来た人初めて・・・じゃない今治療を」
「うっ?ここは?」
地獄にはキレイすぎるし、天国にしては現実見を感じる。
「動かないで、今貴方大怪我してる。少しでも体勢変えたら出血で死ぬわよ」
見かけない服装、増田はいつ欧米辺りに連れてこられたと思った。
「ダアッリア北領地、首都ダルチ・・・一応政治置いてある場所」
聞いた事ない場所だったが、ここも争いがある世界だとすぐに分かる。
「内戦してるのか」
「初めてこの世界に来た割にはよく分かるわね」
「一応傭兵なんで、匂いでわかる」
「あらそう。人がたまに空から降ってくる時あるけど、血まみれで直接くるとは」
「で、政治置いてある場所にしては静かすぎだが?なんでだ?」
「つい先日両親の国王が戦死、代理になって私が全員首都から退去命令。既に対抗力は残ってません」
国の滅ぶ寸前の場所に来た。何故ここに?
「併合されるの俺がいた場所じゃよくあった事だ。元の国なるなら良いじゃないか」
「非帝国派と親帝国派とで分断戦争中で、私達の方が非帝国派なので仲が悪いからちょっと」
族国あるある内戦で頭が痛い。よく分からん世界に飛ばされた割には増田がいた世界と大差は無いようだ。
「この世界の武器は何だ?」
「魔法と矢と剣とか」
中世の戦いに妙なもんが混ざった感じか。
「いくら払える?」
「えっ?」
「金とか他に差し出せるものがあれば戦ってやる。ないなら別にいいんだけど」
傭兵家業やってる以上、稼ぎ場がありゃどこでも行く。例え別の世界でもあっても。
「おかしな人。大抵の人は帰らせてくれって喚くんだけどね」
「半分死んでるような生き方してるのでな。今更どこだろ関係ない。で?何にかある?」
「領土全部でどう?」
「勝てないと見込んでデカく来たな。少し時間稼ぎぐらいタダでやってやる。まあ見てな」
先まで身体動かないかったが魔法とい奴か分からないがおかげで動ける。
「馬が下に居るわ、何するか分からないけど」
「馬?良かった。俺が理解出来ない乗り物じゃなくて」
どうも魔法と中世の世界観以外は増田がいた世界と対して変わらないと思った。
石階段をかけ下り、馬小屋の前にたどり着く。
「馬借りるぞ、で?名前は」
「エリノア」
「増田敏明。マスダトシアキ」
「増田頼みます」
「この街に居座ってる連中を城に集めろ、全員でこの街を捨てる」
「え?」
「勝ちたいなら捨てろ。拠点の場所を変えるだけだ」
「分かったわ」
エノリアの了承を得て、増田は馬に跨り攻め込んでる敵の拠点にめがけて駆け出す。
一見中世の外観で観光地でも迷い込んだと思ったが、空を見上げると月の大きさが増田が居た地球から見た大きさが違う。
「やっぱここは俺の世界とは違うだな」
急に現実離れした世界に身を置いた状況で頭が混乱するが、今は前線を何とかする事だ。
言われた場所にたどり着く、首都から馬で走って30分の所にある草原に野営を見つける。テント20、中央に焚き火。馬10匹外に繋がれている
見たところ大規模には見えない。勝ちを見込んだ先見隊と見る。
「なら大将首を頂く」
独り言を呟いて残弾数発のベレッタのチャンバーを引き、腹とズボンの間に隠し、テントの集まりに向かって馬で走る。
見張りと思う入り口らしき兵が増田を見て何かを構えようとするが、すぐに手を上げて。
「投降を伝える特使だ。首都を引き渡す。ここの代表と話したい」
無茶振り上等。はなっから話し合い等なれない状態だ。
「特使だ?特使等出せるだけの余裕があるとは思えないが」
「すまないが君とは話しにならない代表と話したい」
「だと!」
挑発してわざと騒ぎを起こす。見張りは腰にある剣の鞘を握るが。
「止めろ!何の騒ぎだ」
鞘を握ったまま見張りの兵は後ろを振り返る。
「丁度良かった貴方に会いたかったです」
馬から降りて、見張りの兵を振り切り油断してる良い感じに太ってる男で無駄に装飾してる奴に近づく。
「ここの代表ですか?」
ニコニコ笑いながら言う。
「そうだ」
目線を逸らさず腹に手を伸ばす。
「全指揮権あります?」
「ああそうだ」
腹に隠してベレッタを右手から持ち、構え、至近戦の型で引き金を引く。パンと乾いた音が鳴同時にマズルフラッシュ、代表とやらの腹に穴を開ける。
あーと声にならない叫びを上げながら崩れ落ちる
「ここまで上手く行くとは」
「貴様!!」
見張り兵が走ってくるが、パンと素早く照準を合わせ撃つ。
前のめりに倒れる。騒ぎを聞きつけワラワラとテントから集まる。
「多勢に無勢とはこの事だな。蜂の巣突いたな」
馬に跨り、その場を離れる。弓を放つ音がするが夜の闇が援護してくれて逃れる。
この場は凌げたが、コレで本隊がくる。どれだけ時間稼げるか分からないが、しばらく混乱が続いて欲しいものだ。
その願いも虚しく追跡されてる感じはするが、一人でどうにもならない。
「せめて連射系の奴があればな」
嘆いても仕方ない。助けてもらった恩義に時間稼ぎをしたものの、追撃が来れば意味がない。
首都に戻り、城を目指す。剣でもあれば多少はマシだ。近接武器はゴンバットナイフしか無い。ナイフのリーチじゃ勝ち目がない。
出発した馬置き場に辿りつき、馬を隠し、先ほど降りてきた石階段を更に地下へ降りる。
1番下に着いた目の前に「落し物」と書いてある部屋に入り、周りを見渡す。
「ここに俺は飛ばさたのだな?何か使える物は無いか?」
木箱、木箱、木箱。周りは木箱だらけ。奥行きが分からないぐらい広い空間に木箱が所狭しに置かれてる。
目の前の木箱を乱雑に開けるが、子供向けの人形が入ってる。ハズレ。また別の木箱を開ける。布切れの山。ハズレ。
ダンダンと階段を駆け降りる音がする。次に近い木箱を開けた。
「木刀!当たりだ」
「いたぞ!」
使えそうな木箱を見つけた同時に追ってが突撃してきたが、唯一のゴンバットナイフを投げ1番先頭の腹に突き立て、倒し、木刀を両手で握り、二人目の剣をかわし、突きで喉元を一撃二人目を戦闘不能にし、更に3人目にホルスターから右手ベレッタを抜き取り、左手に木刀を握り直し、片手撃ちで一発放ち、3人目を撃ち倒す。
「引け!」
判断が良い奴が居る。追っては階段を登って行く。安堵してる場合じゃない。スライドが伸びったベレッタ見て、もう遠距離武器は手元に無い状態。
「他に使えるものは」
ベレッタを投げ捨て、別の木箱を開ける
バラバラになったAK47と装填済みの7.62×39m弾4丁のマガジンがあった。
「組み立てれば2丁分になるか、コレはデカい」
増田は丁重に部品をかき集め、適度に落ちてた布袋に入れ。この場を離れる。
まだまだ探したかったが、更なる追撃を考えるならこれ以上は無理だ。エノレアに居座ってる奴らを探せてる以上、彼女の身も危ない。
階段を駆け上がり、庭に人影がない事を確認して、隠していた馬に跨りエノレアを探す。
幸い追撃はこの街から居なくなったようだ。探して回る気配がない。
「増田!こっち」
隠れていそうな場所を見て回ると二頭の馬に繋がれてる馬車にの近くにエノレアがいた。
「無事だったのね。死んだと思った」
「城は陥落した。武器手にしたから逃げらながら戦える」
荷台に2人の少女と黒いフードで顔隠してるが体格的に成人した女性と老夫婦と、負傷した戦士2名。右腕骨折と、意識はあるが重体。計6人。
「エノレア様最後の確認終わりました」
騎兵隊の一人が馬を走らせながら合流する。
増田、エノレア、騎兵隊と荷台の人達で計9名。
「戦える奴はいるか?」
3人で守らながら戦うのは無理だ。全員で戦わないと。
「左手が使える。殿なら任せてくれ」
骨折してる兵が言う。
「それで殿しても一瞬で突破される。大人しくしとけ」
唯一の騎兵隊の男が増田に話しかける。
「マスダと言ったな。最近この世界に来たものか?」
「多分一昨日ぐらだ。死に掛けの所助けてもらったから、恩義を果たしてる所だ」
「分かった。お互いに死力を尽くそう」
来訪者に慣れてるのか、理解が早いだけなのか。
「あの・・・私も一応魔法使えます」
黒フードの女性が小さな声で伝えて来た。
「何の魔法だ?」
「黒い曇を出すぐらいなら」
「助かる。俺が言うタイミングで出してくれ」
思わず手を握ってしまった増田。きやぁと小さな声で彼女は叫んだ。
「すまない。この状況で打って付けで嬉しくてな、頼むよ」
「あ、ハイ」
弱々しい返事で不安はあるが、無いよりはマシ。
「名前は?」
「アンドレア。アンドレアアンカーソン」
「アンドレア頼む。出発だ。とりあえず連中の反対方向へ向かう」
増田とエノレアが馬で先行、左右維持、真ん中に馬車を走らせ守る形にして出発する。
身を隠せる場所があれば一度そこでバラバラになった銃を組み立てたいが、それどころじゃない。
数分走った出口に待ち構える相手側の兵が数名いる。矢と剣の編成された部隊、交戦は避けたい。
増田は強行突破と叫けぼうとしたがエネレアが小声だしながら右手の人差し指をうごしたの見た瞬間氷の柱が四本、部隊の周辺に立ち上がり怯ませる。
何も無い場所から氷が現れる。これが魔法?確認する暇なく混乱してる兵を素通りして街を脱する。
「初めて見た。アレが魔法か?」
「多種多様あるわよ。まあ、初めて見た人は貴方と同じ反応する」
仮想から現実になる瞬間はなんとも言えない気分だ。漫画がアニメ見た世界が目の当たりになった。
「あの、私いつ魔法使えば良いですか?」
馬車の荷台からアンドレアが顔を出す。
「まだだ!頭下げてろ」
増田はまだまだこの世界の事は知らないが、やはり便利な物は軍事利用されるのはこの世界でも変わらないと思った。
すぐに石橋を渡り再び草原を走る。後方を向いて追撃を確認するが、今のところ誰も来てない。
「アテはあるのか?」
「半日走れば採掘場があるわ、そこを拠点にする」
岩場で隠れて戦う。現状理に叶っている。そこに辿り着けば何とかなるかもしれないが、それは相手も想定してるだろ。
「増田!追手が来たぞ」
「馬に乗りながら戦えるか?」
「矢が欲しいが剣しかない、増田は?」
腰のベルトの間にある木刀を見せる。
「近接で覚悟を見せるしかない」
「仕方ないな」
エノレアの援護が欲しいが何度も使えないだろう、多分有限。なら消費の少ない騎馬軌道でやるしかない。
増田と騎兵の2人はわざと減速、反転、追ってと向き合う。
少数で挑むとは思って無かったか、相手は追う事に集中する事で綱を完全に掴んでいる。
隙を逃さない突貫する先鋒に狙いを定めて馬を走らせ、2人で相手先頭2人を馬から叩き落とす。
相手後続は仕掛けてきた事に気付き、剣やレイピアみたいな槍状物を構える。
互いに速度を落とさない、増田と騎兵は剣と木刀を自分の顔を近くに構え突き出し、交差。
ガン!と、鈍い音を立てるが両者落馬せずに走り続ける。
相手は増田達に向き直す事なく馬車に向かって行く。分かっていたが、連中の目的はエレノアである。
すぐに反転、追いかけるが、向こうは見向きせずに一気に馬車に向かって距離を詰めて行く。
「氷層高原!」
エレノアの大声と同時に緑に覆われていた草原の葉っぱが凍りつき、追撃していた馬の足を滑らせる。
「空から地に注ぐ太陽の光を妨げ、狙う者の眼をくらませよ!黒い霧!!」
今度は地面からもくもくと、黒い雲が湧き出てくる。
2人の魔法で追撃を行く手を阻む事が出来た。凍った地面に足を掬われたり、霧で前が見えず動けなくなっている。
「このまま採掘場で一気に駆け抜ける!突っ切れ」
増田の号令に従い、全員一直線で草原を駆け抜ける。
増田は人生で初めて魔法と出会った。そして永劫の戦いに身を投じて行く。
落とし物が行き着く果ての世界で。