「俺がヒナの兄で、」「僕がお姉ちゃんの弟。」 作:Raitoning storm
ハルト、見てごらん黄色バーだよ。
「ごめーん!待たせちゃった?」
「い、いえ。私も今来たところです…」
キヴォトスのとある大通り、その途中でハルトは便利屋の社員、ハルカと合流していた。
「ほんとにごめんね。昨日の業務が長引いちゃって…せっかく便利屋の仕事の合間に来てくれたのに」
「ど、どうかお気になさらないでください」
「そう?じゃあ早く行こ!今日はたくさん行きたいところあるんだ!」
「は、はい…(手…)」
ハルトは意識する様子もなく、ハルカの手を掴んで目的地へと向かう。
一方…
「…なんで手を掴んでるのかしら」
「さ、さあ?」
ヒナとカイトはハルトの追跡をしていた。
「羨ましい…私なんて3ヶ月と15日は手を握ってないのに…!」
「…手を握るのと掴むのは別問題なんじゃないか?」
「同じようなものよ。それこそ同世代の男女がそんなことをすれば…!」
(帰りたい…)
カイトはヒナに強制的に連れられた。
「見てカイト、あんな晴れやかな顔をしたハルト見たことある?しかもその顔が向けられている相手が私たちじゃないなんて…ゔっ」
(別にいいんじゃないかな…ハルトもそういうお年頃なんだし。)
もっとも二人がそういう関係にあるという保証はどこにもないのだが。
さらに一方、
「き、距離が近すぎないかしら!?」
「えー?学生なんてそんなもんじゃない?」
「…まあ、普通の男女の距離感ではないことは確かだよね。」
便利屋もまた、ハルカを物陰から見守っていた。
「でも相手はハルト君だよー?心配しなくても大丈夫だって。」
「ハルカの様子が昨日からおかしかったのはムツキも気づいてるでしょう!?」
「最近も植木鉢を見ながら顔がにやけてること多かったしね…」
そう。彼女らが来たのは理由がある。
「とにかく!社長として社員の様子がおかしいのは放っておけないわ!今日は一日かけて理由を突き止めるわよ!」
「おー」
「姉として弟の恋路は見守らないと…!」
(放っておけばいいのに)
(…ていうか)
(便利屋いるんだよなぁ…)
(風紀委員長いるけどね…)
「ハルカさんは何か欲しいものあるの?」
「は、はい…家にいる子たちに新しい植木鉢を買ってあげようかな…と」
「いいねー。僕も家にお花あるから買ってこうかなー。」
あいも変わらず仲良くショッピングモールを歩いている二人。
「そうだ!もし嫌じゃなかったらでいいんだけどさ!お互いに相手の鉢を決めない?」
「え?」
「思い入れもできるからきっと楽しいかなって思ったんだけど…ダメかな?」
そう言ってハルトは悲しそうな目でハルカを見つめる。
「は、はい!決めます!」
「ほんと!?ありがとうー!じゃあ僕こっちの方見てくるね!」
一方後ろの方では、
「ギリキリギリ」
悔しさを噛み締めるヒナの姿があった。
「ヒ、ヒナ?落ち着いて?」
「大丈夫よカイト、私は至って冷静よ」
「…ハルト、結構強引なところあるんだね。」
「ナイスだわハルト…!ハルカは気が弱いから多少強引にいかないと」
「ああ見えて結構スパダリだしねー」
「ハルカさーん、決まりましたか?」
「は、はい…一応。」
「じゃあせーので見せよ!せーの!」
ハルトが渡したのは焦茶色の鉢に紫の花をあしらったもの。
ハルカが渡したのはシンプルに赤茶色の鉢。
「…」
「ど、どうでしたか…もしかしてお気に召しませんでしたか…?すみませんすみません…!」
「ううん。」
そう言うとハルトは心底嬉しそうな顔で、
「とっても嬉しいよ…ありがとう」
と、袋をギュッと抱きしめながら言った。
「そ、そうでしたか…?ならよかったです…」
「うん!お姉ちゃん以外の異性の人からプレゼントってもらったことないからすごく嬉しい!ハルカさんこそ気に入ってくれた?」
「は、はい…!一生大切にします…!」
「そう?ありがと!」
「次のとこ行こ!」とハルカの手を引くハルト。それをオドオドしながらもついていくハルカ。
一方物陰では、
「…」
「…大丈夫か?ヒナ」
「すごい…脳破壊をくらったわ」
「次のところはどこですか…?」
「えーっとね、映画館!面白いアクション映画があるって聞いてさ。見てみようと思ったんだけど…いいかな?」
「は、はい!私も見てみたいです…!」
そんなやりとりをしながら券売機の前に来た二人だが…
「…カップルシートしかないなんて」
席が埋まっており、残りの席がカップルシートしかなかったのだ。
(こんなことなら先に予約しておけばよかったのか?いやでもハルカさんが興味なかった可能性もあったし…)
と、自分自身に言い訳をしながら考え込むハルト。
「ハルカさん。悪いけど今日は…」
申し訳ないと思いながら映画の予定をキャンセルしようとするハルトだったが、
「い、いいですよ…?」
「…え?」
「わ、わたしはカップルシートでも、大丈夫です…!」
((近い…))
ハルカの発言によってカップルシートに座ることになった二人。
(肩…触れ合ってる…!ハルトさんに私なんかの肩が…!すみませんすみません…!)
(僕暑苦しくないかな…!?やばい…映画の内容に集中できない…!)
お年頃の二人、こんな距離では平静でいられるはずもなく。
映画館を出たあとも、
「け、けっこう面白かったね」
「は、はい…」
この気まずさはしばらく続いた。
「…もう心配しなくていいんじゃない?相手がハルトだってわかったならもういいでしょ。」
「そ、そうね…」
ほぼ一日尾行を続けた3人。ハルカとハルトはベンチに座り今日のことや最近のことを話している。
「でも結構良さそうな関係だったじゃん!これはこれからが気になるねー!」
「…まあ干渉しすぎない程度にね。社長も風紀委員長の弟なら安心でしょ」
「うん、じゃあ私たちはこのままお暇しましょうか」
そう言ってその場を離れようとする3人だったが、
「あ!アルちゃんあれ見て!」
「ん?」
2人のもとへと振り返ると、
どう見てもキスをしている2人の姿があった。
「…うん。似合ってるよ」
「そ、そうですか…?」
ハルトはハルカの首にネックレスをかけたのちにそう語る。
角度的にキスをしているようにも見えなゲフンゲフン
「でもいいんですか…?私なんかにこんなもの…」
「いいのいいの!僕が渡したくて渡したんだから!それに綺麗だし、悩んで買った甲斐があったよー!」
確かに紫色の装飾を施したネックレスは彼女の雰囲気に合っていると言えるだろう。
「…ハルトさんは」
「ん?」
「ハルトさんは、なんで私にこんなによくしてくれるんですか?私なんて何も取り柄もないのに…ただアル様についていくことしか出来ないのに」
ハルカは深い表情で、自分がいかにダメな人間かを語る。
だがハルトは言う。
「そんなことない。ハルカさんにもちゃんといいところはあるよ」
「そ、そんなこと…」
「ううん。ちゃんとある。周りの人のことを考えてるし、そのことはみんなの役にちゃんと立ってる。」
「もっと自分のことを褒めてあげて?それが出来ないなら僕がたくさん褒めてあげるから。」
ハルトは微笑みながら言う。その言葉には嘘は感じられない。
「あ、ありがとうございます…このお礼は必ず…」
「あ、じゃあさじゃあさ!僕のお願い一つ聞いてよ!」
「な、なんですか…?」
「今度から僕のこと、呼び捨てで呼んで!」
その後しばらく、植木鉢を見ると悶絶するハルカの姿が目撃された…らしい。
アル、ムツキ、カヨコ←キスのことで悶絶してると思っている
ハルカ←あのあとハルトからも呼び捨てで呼ばれたことを思い出して悶絶している
この世界だとハルカがドレス来たときにこのネックレスつけてます。