三度目の生は半妖でした   作:大枝豆もやし

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赤子編
新たな生


 

 星空……いや、宇宙が見えた。

 

 どこまでも拡がる宇宙の下に、吹き抜けの神殿がある。

 柱には様々な男神や女神の像が彫られ、俺を囲むかのように点在している。

 

 幻想的で現実離れした状況。

 見たことない場所、だが知っている状況だ。

 キョロキョロと俺は周囲を見渡す。そんな俺に何処からか声を掛けられた。

 

「私たちのミスで貴方は命を亡くしました。お詫びとして貴方を別の世界で命を授けます」

「二次元転生キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」

 

 

 

 

 ………俺は二次元転生の権利を得たのだ!!

 

 

「随分嬉しそうじゃの。お主死んだのじゃぞ」

「別にいいよそんなの! それより転生と特典!」

 

 何処からか、老人の声が聞こえた。

 さっきは女性の声だったのに何で変わったんだ?

 いや、そんなことはどうでもいいか。

 

「早く早く! 来世プリーズ!」

 

 今はより良い転生先をゲットする事だ!

 

 未練とか悔いとかはあるにある。

 けど、そこまで大したものじゃない。

 せいぜい好きなアニメや漫画の最終話が見れなかったとかそんな程度だ。

 

 よく転生モノを否定する際に、家族や友人に未練がないのかってあるが、俺にはそんなものはない。

 というか、実際にそんなこと思える人間って、そんなに多くないんじゃないのか?

 

 家族を本気で大事だって言える奴がどれだけいる?

 大切だと思える友人を持つ奴がどれだけいる?

 本気で好きな恋人を持つ奴がどれだけいる?

 

 もし、本気でそう思えるなら、ソイツは本当に幸せなんだろう。

 転生なんて夢見るわけがない……。

 

 

 ……湿っぽい話はここまでだ。

 

 今は転生する世界について考えよう。

 せっかくのチャンスなのだ。最後まで楽しまなければ損だ。

 

「汝の要望を言え。どんな世界に生まれ、どんな特典が欲しい?」

 

 今度は圧のある男性の声。

 口調も全然違うし、たぶん別人ならぬ別神だろう。……ああ、この声ってあの像から出しているのか。

 じゃあ、ここにある像全部が神ということか?

 

「東方プロジェクトの世界に転生して、最強イケメンの妖怪になりたい!」

 

 やはり東方の世界に行くには力が必要だ。

 あの世界では力が全て。なら最強の生き物に生まれ変わって最初から強い方がいいに決まっている。

 ソレに、どうせ生まれ変わるなら別人に生まれ変わりたい。

 

 俺なんかとは違う奴。

 頭悪くて、不細工で、鈍くさくて、全てが駄目な奴。

 そんな奴とは違う奴に生まれ変わって、今の自分とは違う人生を過ごしたい。

 

「うん、いいよ。じゃあ他に要望はある?」

 

 今度は少女みたいな声で聴いて来た。

 

「あと、全美少女美女キャラとの出会いイベントとフラグイベントと好感度カンストイベント、最後にハーレムエンドも可能にしてくれ」

「いいだろう。貴様は縁を繋いだ女全てを抱き、妻にでも奴隷にでも玩具にでも好きにするといい」

「あと、東方キャラを原作じゃなくて同人誌やエロ画像みたいなムッチムチのエロい魔改造状態にしてくれ!」

「うん、いいよ」

 

 え、マジ?自分でもかなり贅沢だと思ったんだけど……って、ヤッタァァァァァ!!!

 

「マジ!?かなえてくれるの!?」

「ああ、任せろ。………代償はあるがな

 

 やったぜ!東方の同人誌にはよくお世話になったもんだ!

 東方の世界でエロ漫画みたいなハーレム。おいおい、完全にいいとこどりじゃねえか!

 しかも玩具にしてもいいってけっこうこの神もえげつないな!まあそっちの方が俺にとって都合いいからいいけど!

 

「よし、じゃあその条件で俺を転生させてくれ!」

「いいだろう。お前は最強の妖怪の父親と人間の貴族の母親の息子にしてやる。つまり半妖になるが妖怪と人間の尊い血統のハーフだぞ」

 

 よし、いいいぞいいぞ。

 そんだけ優良な遺伝子受け継いだら絶対イケメンで才能豊かな子供に生まれる筈だ。

 両親の家柄もいい。こりゃ絶対甘やかしてもらえるな

 

「よし、ではお前は犬夜叉に転生させてやる」

 

 え?犬夜叉?・・・アイツ結構ハードな人生なんですけど・・・まさかアイツに生まれ変わるの!?

 

「その前に先ずは結界師に生まれ変わらせよう。折角半妖に生まれ変わるのだから、妖怪の力だけじゃなく人間の力も身に着けさせてやろう」

 

 え? 結界師? ……なんか不穏な気配がする。

 

 

「では、望みに相応の試練を与える。貴様は英雄(エインヘリヤル)…最強の妖怪と最高の術師となって敵を全て倒せ」

 

「どう生きるかは貴様次第だ。存分に敵と戦い、存分に女と交わり、存分に己の道を進め」

 

 

 

 

「え……ちょ、え!!?」」

 

 こうして俺は転生した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 身体がだるい。

 全身から力が抜け、感覚が無くなっていく。

 意識にモヤが掛かり、沈むように眠気が襲う。

 

 死。

 俺は今、二度目の死を迎えようとしていた。

 

 あの神の言う通り俺は転生した。

 結界師という漫画に近い世界で、主人公である墨村良守に。

 そこで俺は原作同様に妖から烏森を守り、最後は烏森を封印した。

 

 原作終了後は新生裏会に入社した。

 俺は原作の良守と違ってお菓子作りの趣味はない。

 なんだったら、ヒロインの時姉さんも好きじゃなかった。

 

 良守に転生した俺は、ひたすら力を求めていた。

 もっと強く、もっと早く、もっと巧く。最強の結界師を目指していた。

 

 

 最期は禍津神に挑み、相打ちになった。

 

 

 別に悪いことをしたつもりはない。

 禍津神は文字通り災厄をまき散らす神。

 元は土地神だろうが牙を剥くなら容赦しない。

 

 俺は戦った。

 周囲の制止を振り切って神に挑んだ。

 結果はこの有様。神を倒したが道づれにされてしまった。

 

「(けど、まあいい。………満足だ)」

 

 視界がぼやけ、頭が回らなくなる。

 どうやら、本格的にお迎えが来ているようだ。

 

 眠気に身を委ねて目を瞑る。

 そこで俺の意識は途絶えた。

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