安芸優樹は勇者である   作:三奈木イヴ

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安芸優樹は勇者である 今回から結城友奈の章に入っていきます。私の苦手な戦闘描写を上手く書けるか……。


【第一章】結城友奈の章
青春の喜び


『昔々──あるところに勇者がいました』

 

『勇者は人々に嫌がらせをする魔王を説得するために旅を続けています』

 

『そして、勇者はついに魔王のいる城へ辿り着いたのです!』

 

『遂にここまで辿り着いたぞ魔王!もう悪い事はやめるんだ!』

 

『何を言う!我を怖がり、悪者扱いしたのは村人たちの方ではないか!』

 

『だからといって嫌がらせは良くない!話し合えばわかるよ!』

 

『話し合いだと? 話し合えば、また悪者にされる!』

 

『そんな事は無い!君を悪者になんか……しない!』

 

バン!

 

「え……?って、あぶなっ……!」

 

咄嗟の反応だったが、かろうじて子供たちの前に台が倒れるという事態は回避する事ができた。

 

「ごめん優樹君…‼︎」

 

「大丈夫、倒れてないからセーフだよ…」

 

友奈が小声で謝り僕も小声でフォローした。えっと……この後は──

 

「友奈、次……次のセリフ…!」

 

「えっ──勇者パーンチ!!」

 

「え!?ちょっ、今、話し合おうって──」

 

「い、言っても聞かないから!」

 

「台本通りなら聞くよ…!」

 

マズイな…収集付かなくなるぞ……あっ、そうだ

 

「樹ちゃん音楽!」

 

「うぇっ!?」

 

ごめんね樹ちゃん──って、魔王のテーマ⁉︎ あー!!もう乗るしかないか!!

 

『ふははは!!貴様にこの魔王が倒せるものか!!』

 

『くっ……このままじゃ……』

 

「大変!このままじゃ勇者が負けちゃう!みんな!一緒に勇者を応援しよう!」

 

『がんばれ!がんばれ!』

 

小さな日本国旗を振る東郷さんの声に合わせて、子供たちが勇者を応援する。そんじゃ……

 

『グァァッ!みんなの声援が、我の力を弱らせるぅ……』

 

『今だ!勇者パ─ンチ!』

 

「痛っだ!!」

 

東郷さんのおかげでなんとか立て直すことに成功した──と思うと同時に勇者の必殺が僕の右手に飛んできた。すっごく痛い……けど顔に出すな……我慢だ……。

 

「──というわけで、みんなの力で魔王は改心し祖国は守られました」

 

「みんなのおかげだよ!

 

『バンザーイ!バンザーイ!』

 

こうして無事、勇者と魔王の劇は終了した。いやぁ…一時はどうなる事かと思ったなぁ……。

 

こんな感じで校外活動に青春を燃やしている僕たち

 

この舞台の台本担当の3年生で部長の犬吠埼風先輩

そんな風先輩が大好きな妹で僕たちの後輩の樹ちゃん

そして同級生で友達の結城友奈と東郷美森さん

 

僕たちはみんなのためになる事を勇んで実施するクラブ──そう、勇者部だ!

 

◆◇

 

「起立、礼」

 

「神樹様に拝」

 

「さよなら」

 

「友奈、今度の校外試合助っ人お願い」

 

「OK!」

 

「安芸、今度助っ人良いか?」

 

「この筋肉にお任せあれ」

 

「ありがとうな安芸──それにしてもお前、デカくなったなぁ……」

 

「そう?やったね」

 

「じゃあ、部活頑張ってな〜」

 

「何かあったら勇者部をよろしくね」

 

「友奈、東郷さん部活行こう」

 

◆◇

 

「こんにちは 友奈、東郷入りまーす」

 

「ちょっと遅れて優樹も入りまーす」

 

「お疲れー」

 

「お疲れ様です」

 

「いやー風先輩、昨日の人形劇大成功でしたね」

 

「結構ギリギリだったわよ……」

 

「友奈ちゃんのアドリブのおかげで盛り上がりましたね」

 

「あれは無茶苦茶と言うんだ」

 

風先輩のツッコミはごもっともである。台が倒れそうになった時はちょっと焦ったしね…。

 

「みんな喜んでくれたし結果オーライだよ!クヨクヨしててもしょーがない!」

 

「友奈さんは底抜けにポジティブですね」

 

「はいはい、今日のミーティング始めるわよ」

 

そう言って風先輩は黒板に複数枚の子猫の写真を貼り出した。

 

「うわぁ〜かわいい〜」

 

「癒されますね〜」

 

「未解決の依頼がどっしり来たわ」

 

「すごい数だね……」

 

「ということで、今月から飼い主探し強化月間とするわ!」

 

「頑張ります!」

 

「東郷、ホームページの強化は任せたわ!」

 

「携帯からもアクセス出来るようモバイル版も作ります」

 

「そういや優樹、最近優樹のとこに猫が来てるって言ってたわよね?あれからどうしたの?」

 

「飼うって選択肢もあるんですが……そうなるとしても、姉さんに確認するのと、多分外飼いになりますね」

 

ちょっと前から僕の家に一匹の猫が来るようになっていた。最初は近所の人の飼い猫かと思って聞き込みをしてみたが、どこも違うそうなので多分野良猫だろう

 

「まぁ、ウチに入り浸ってる間くらいはお世話したり遊んだりしようかなって思ってます」

 

「終わりました」

 

『早っ!!』

 

猫の事で風先輩と話している間に東郷さんの作業が終わっていた。

 

「おぉ……見やすい」

 

「凄いですね……」

 

「これで携帯からもアクセス出来ます」

 

「でかした東郷!」

 

◆◇

 

「──ところでさ、文化祭の出し物なんだけど」

 

「もうそんな話?」

 

「夏休み入る前にいろいろ決めときたいのよね。やっぱ準備って大事じゃ無い?」

 

「そうですね──やっぱ美味いですね」

 

「優樹君も風先輩も3杯目……」

 

「常に有事に備える事は大切です。」

 

「そうそう、去年はバタバタして出来なかったけど、今年は猫の手が入った事だし」

 

「私!?」

 

かめやでうどんを食べながら、風先輩が樹ちゃんをわしゃわしゃと撫でていた

 

──去年は本当に忙しかったなぁ……。

 

「今年こそはですね!」

 

「せっかくだから一生の思い出に残るものを!」

 

「えっと……私たちの活動をスライドショーにするとか?」

 

「甘い」

 

「ふぇぇ…」

 

風先輩が樹ちゃんの案を一蹴すると同時に、きつねうどんの油揚げを取った。そのスピードは恐ろしく早かった、僕でなきゃ見逃しちゃうね

 

「娯楽性の無いものに大衆は靡かないですね」

 

「うーん、じゃあこれはそれぞれの宿題って事で!」

 

『すみませーんおかわりくださーい』

 

「二人とも4杯目⁉︎」

 

かめやさんのうどん美味しいからつい食べすぎちゃうんだよね

 

◆◇

 

「ん?樹ちゃんからだ」

 

樹『日曜何しますか?』

 

風『ゴロゴロします』

 

友『私も〜』

 

東『トドですか』

 

優『僕は筋トレ』

 

風『マジか』

 

友『休日もトレーニング…⁉︎』

 

樹『ストイックですね』

 

東『優樹君は一体何を目指してるの…?』

 

優『うーん……言われてみるとなんだろう』

 

すっごい言われようだった。筋トレ楽しいじゃないか……。東郷さんも言ってるけど、僕が目指してるのは一体なんなんだろう…?

 

「みゃーん」

 

「おっ、今日も来たんだな、こんにちは」

 

メッセージの返信をしていると、庭先に小さな来客だ

 

「よく僕のとこ来てるけど、帰るウチは無いのかい?」

 

「にゃーお」

 

「うーん……なんて言ってるのかわかんないや」

 

「あっ、そうだそうだ。ちょっと待っててね」

 

今日はまだあげてなかったな

 

「はい、にぼし」

 

「みゃ〜ん」

 

「美味しいか?」

 

「みゃ〜ん」

 

「本当に可愛いなぁ……。そういえば、名前付けてなかったね」

 

僕は直感で思い浮かんだ名前を目の前の白猫に呟いた。

 

「『千景』」

 

……どうしてこの名前を呼んだのかはわからないが──ただの直感だ

 

でも、どうしてだろう──どこか懐かしく感じたのは

 

「ふにゃ〜ん」

 

名前を呟くと、千景はゴロゴロと喉を鳴らしながら僕の足に頭を擦り付けた。

 

「癒されるなぁ〜」

 

甘える千景を撫でながら、僕は写真を撮って勇者部のグループに送った

 

友『ほわぁ〜可愛い〜』

 

風『その子が優樹の言ってた子か〜可愛いじゃん』

 

樹『癒されますね〜』

 

東『友奈ちゃんと同じくらい可愛いわ』

 

友『ふぇっ⁉︎』

 

「東郷さん……でも、ほんっと可愛いなぁ……千景」

 

「にゃ〜ん」

 

◆◇

 

「この3文構成は──」

 

「……国語はやっぱり苦手だなぁ……」

 

今日の授業は国語 僕の苦手教科である。

前のテストギリ補習回避だからね……。

 

「な、なんでもない!」

 

「結城さん、なんでもなくないですよ」

 

「す、すみません…!」

 

授業中、突然友奈が立ち上がり何かを否定した。するの先生がそれを注意してクラスにドッと笑いが起きた──

 

ピロロン──ピロロン──

 

「えっ、私の…⁉︎」

 

「携帯ですか?授業中は電源を切っておきなさい」

 

「は、はい……今すぐに」

 

「あれ?私も?」

 

「僕も…?」

 

突如友奈と東郷さん、それから僕の携帯からアラームが鳴り響いた。 確認すると、そこには『樹海化警報』と表示されていた──⁉︎

 

「え?」

 

「みんな…どうしたの?」

 

「止まっ……てる?」

 

樹海化警報とやらが鳴り止むと、辺りが静かになった。

何があったかと周りを見渡すと、誰も動いていなかった……。

 

「動けるのは……僕と友奈と東郷さんだけ…?」

 

「そ、そうみたいだね」

 

「一体……何が……」

 

「ッ…⁉︎ な、なんだよあの光は──わっ!!」

 

「きゃっ…!」

 

「東郷さん!!」

 

僕たちは謎の光に包まれた──

 

「なんだよ……これ」

 

光が収束すると、辺りに広がっていたのは不思議な光景だった。

 

「樹海……?」

 

「ッ……痛い!東郷さん、優樹君 これ……夢じゃないみたい」

 

何が起きたのかと混乱する僕と東郷さんに友奈が身をもって伝えてくれた。

 

夢じゃないって、それはつまり──

 

「友奈、東郷、優樹!!良かった……みんな携帯を手放してたら見つからなかった…!」

 

「みなさん、無事でしたか!!」

 

風先輩と樹ちゃんも合流した

 

「このアプリに、こんな機能があったんですか」

 

「ええ…こんな事態になった時に、自動で機能するようになってるの」

 

携帯を確認すると、そこには僕たちの名前と、その先に乙女座という名前が表示されている。 先輩に言われてダウンロードしたアプリが、こんな機能を……

 

「風先輩、ここは一体どこなんですか!?」

 

僕は……不安をかき消すために、風先輩に質問した。

 

「みんな……落ち着いて聞いてほしいの」

 

「私は──大赦から派遣された人間なの」

 

「大赦から……」

 

大赦って確か、神樹様を祀ってる組織……だよね……

 

「何故そんな組織から──特別なお役目なんですか?」

 

東郷さんが疑問を呟いた。

 

「樹ちゃんは知っていたの?」

 

「ううん、私も初めて……」

 

友奈の問いに、樹ちゃんが答える。

 

「ごめん……当たらなければ、ずっと黙ってるつもりだったの……。でも、私たちの班が当たった…。讃州中学勇者部が」

 

「あの……班とか当たるとか──」

 

「この世界は、神樹様の結界によって創られた世界なの。この」

 

「結界……じゃあ、悪い場所じゃないんですね」

 

「ええ…でも、神樹様に選ばれた私たちは、敵と戦わなければならない。この世界には、私たちしか存在しない」

 

「選ばれたって……」

 

この世界に来てから感じる激情は一体何故なのだろうか……。少なくとも風先輩が黙っていたからでは無いのだろう……。それだけはなんとなくわかる

 

「来たわね……」

 

風先輩は遠くにいる謎の存在を見ながら説明した。

 

「アレは……バーテックス──世界を殺す人類の敵よ」

 

「殺すって…」

 

「お姉ちゃん、今まで一緒にいたけど初耳だよ……」

 

「今、初めて話したからね」

 

「ヤツらの目的は、人類の恵の存在である神樹様に辿り着いて世界を終わらせる事」

 

「それを防ぐために、大赦は勇者の適正がある者達を集めた」

 

「それで、私たちの適正が最も高かったの」

 

「そんな……あんなのと戦えるわけが……」

 

「戦う意志を見せれば、アプリの機能がアンロックされて、私たちは神樹様の勇者になれる」

 

勇者……勇者部の本当の目的がこれってことか──ッ⁉︎

 

「な、何か来る!」

 

友奈が叫んだ

 

「うわっ!」

 

すると、乙女座と仮称するバーテックスが何かを飛ばし、それが爆発を起こした。

 

「友奈、東郷を連れて逃げて!」

 

「は、はい!」

 

「樹と優樹も!」

 

「風……先輩」

 

「だめ…!お姉ちゃんを残して逃げれないよ!」

 

「何があってもついていくよ……」

 

僕は……怖いのか……?目の前の存在が

 

世界を殺す敵──つまりはこのまま放っておけば全てが終わってしまう。全てを失う──友達も大切な人も何もかも全部……。

 

「いやだ……」

 

「優樹……?」

 

「そんな事絶対にさせません……風先輩、僕も行かせてください!!」

 

大好きな姉さんの為に……大好きな友達の為に……そして──世界の為に僕は……戦う!!

 

「……わかったわ。神樹様が私たちを守られているから大丈夫」

 

「樹、優樹 続いて!」

 

「うん!」

 

「はい!」

 

スマホに解放された機能を──花のマークをタップした。

 

 

──優樹の咲かせた花の名前は、アネモネ

 

──花言葉は『はかない恋』

 

──花を咲かせ、溢れ出る光で優樹を覆った

 

──全身を覆う黒の勇者服に白の羽織を纏い、髪は白く染まり、右眼の瞳には謎のゲージと共にアネモネが宿り、両手両足からはオーラの様なものが揺らめいてる。

 

「これが……勇者……」

 

戦う覚悟を決めたからなのか、変身したら落ち着いた。

 

「優樹さん、かっこいいですね…!」

 

「ありがとう樹ちゃん!……これが、神樹様の守りか」

 

「そう、神樹様に選ばれた私たちだけが起動できるの」

 

風先輩と樹ちゃんも変身を終えると、僕の目の前に何処からともなく烏と黒猫と蝦蟇が現れた。

 

「わっ、なにこれ」

 

「この世界を守ってきた力の精霊よ」

 

「何故、僕は3体も居るんですか…?」

 

「わからないわ!とりあえず行くわよ!戦い方は説明する!」

 

「わっ、ま、待ってよお姉ちゃん!」

 

「っ……」

 

風先輩に続くように僕と樹ちゃん飛び立った──ッ!?

 

なんだ、軽く飛んだだけなのに……速い…⁉︎

 

「わ、わっわっわわっ!!」

 

「コイツの攻撃は精霊が防いでくれる!ただ、あまりにも樹海化が長引くと現実世界に被害が出るから気をつけて!」

 

「はい!」

 

「わ、わかった…!でも……どうやって攻撃すればいいの…⁉︎」

 

「戦う意志を示せば武器が出てくるから!」

 

「こ、こうか…?」

 

僕は目の前の乙女座にどう攻撃するか考えた。

 

何かを飛ばすと爆発する──その前に叩き潰せないか…?

そしてこの筋肉を活かす武器は──

 

「来い!」

 

両手を突き出し、武器をイメージした。

 

「凄いな……」

 

両手のオーラを武器の形に変え現れたのは、所謂大槌と呼ばれる巨大なハンマーだった。

 

「来るなら来い…!」

 

乙女座──ヴァルゴバーテックスから、爆弾が発射された

 

「フンっ!」

 

僕は大槌を振り抜き、迎撃した。

 

「行くぞ!!」

 

僕は大槌を構え、バーテックスへ突撃した

 

◆◇

 

「──本当にここには私たちしか居ないみたい」

 

♪ ♪ ♪

 

「風先輩⁉︎そっちは大丈夫なんですか!」

 

言われた通りに東郷さんを連れて避難して状況を確認していると、着信が──風先輩からの電話だった。

 

『こっちは、樹と優樹と3人でなんとかする!そっちこそ東郷は大丈夫なの⁉︎出来るだけ離れてて‼︎』

 

向こうでは、風先輩達が戦っているんだ……。

 

「ごめんなさい……私……怖くて出来ない」

 

東郷さんは怯えている

 

「そんなことないよ東郷さん‼︎ だれだって怖いよ‼︎ さあ、早く安全な場所に行こ」

 

『友奈、東郷……黙っててごめんね……』

 

「そんな、風先輩が悪いわけじゃありませんよ!」

 

『……2人は必ず私たちが助けるから……』

 

「風先輩が黙っていたのは、私たちの為なんですよね?どうなるかわからないから言えず、一人で抱え込んで」

 

「でもそれって、勇者部らしいじゃないですか!」

 

「だから風先輩は悪く無いです!」

 

『うわぁ!』

 

『お姉ちゃ……きゃっ!』

 

『風先輩!樹ちゃん!……こんのッ……!!』

 

「みんな……」

 

「友奈ちゃん、アイツ……こっちを見てる……にげて……‼︎ 友奈ちゃん、ここにいたら私の巻き添えになっちゃう‼︎ 私を置いて早く逃げて‼︎」

 

目の前の怪物は……私たちを攻撃しようとしている。

 

アイツが風先輩を……樹ちゃんを……優樹君を傷つけた……

 

「早く逃げて‼︎ 友奈ちゃんが死んじゃう‼︎」

 

ここで逃げるなんて……逃げるやつは──勇者じゃない!

 

ドォン!!

 

「きゃっ……!友奈ちゃん!!」

 

私は、怪物の飛ばした攻撃を迎撃する!!

 

「友奈……ちゃん」

 

「嫌なんだ!!」

 

連続して飛んでくる攻撃に回し蹴りを撃ち込む

 

「誰かが傷つくのを──誰かが辛い思いをすることを」

 

「それなら──私が頑張る!」

 

勇者部の活動は──みんなの為になること!!

 

だから私は、勇者部が好きなんだ‼︎

 

だから!!

 

「私は──勇者になる!! うおぉ──!!」

 

飛び上がり、バーテックスに目掛けて、攻撃を放つ

 

「勇者!!パーンチ!!」

 

その一撃は、バーテックスを大きく削り取った。

 

◆◇

 

「凄い……」

 

「友奈…!」

 

「友奈さん凄いパンチ!かっこいい!」

 

「なんだかみなぎって来たよ!」

 

「友奈!あれ見て…!」

 

目の前の光景を見た僕は驚愕した

 

「嘘……治ってる……!?」

 

「バーテックスは通常の攻撃じゃただ回復する。封印の儀っていう特別な手順を踏まないと、絶対に倒すことが出来ない!」

 

「封印の儀……ですか?」

 

「ええ、説明するから避けながら聞いて」

 

「「はい!」」

 

「ええ〜!!ハードだよ〜!!」

 

◆◇

 

「封印するための手順その一」

 

「まず敵を囲む──って危な!」

 

風先輩に教えてもらった手順を復唱しながら敵の攻撃を避けたり大槌で弾きながら手順を実行する。とりあえず位置に着いたな

 

「優樹、オッケーです!」

 

「私もつきました!」

 

「私もだよお姉ちゃん!」

 

『よし!今教えた通りに行くわよ!』

 

「「「了解‼︎」」」

 

「手順そのニ──敵を抑え込む為の祝詞を唱える……えぇ……これ読むの?」

 

「えー、かくりよのおおかみ あわれみたまい」

 

祝詞を唱え始めると各々の精霊が封印の力のようなものを出しながら現出した。

 

「さきみたま くしみたま──」

 

「大人しくしろ!!」

 

祝詞を唱え続けていると、風先輩が叫びながら大剣で地面をぶっ叩いた。

 

「「「えぇ!!それで良いの⁉︎」」」

 

「要は魂こめてりゃ言葉はなんでも良いのよ!」

 

「なるほど……」

 

「早く言ってよぉ……」

 

風先輩の叫びと共に、敵の中から四角錐の物体が出て来た

 

「何か出てきた!」

 

「あれが封印すると出てくる敵の御霊よ!あれを破壊すれば私たちの勝ちよ!」

 

「じゃあ、私が!!食らえぇッ!!」

 

ガンッ!!

 

「かったーーーい!!硬すぎるよコレ!!」

 

まずは一番槍と言わんばかりに友奈の一撃が御霊に放たれたが、硬すぎて傷一つ付かなかった。

 

「友奈!!」

 

「お、お姉ちゃん…なんか数字減ってるよ!」

 

「それアタシ達のパワー残量!封印してるとそれが減っていって、0になると倒せなくなるの!」

 

「つまり?」

 

「コイツが神樹様に辿り着いて、世界が終わるってこと」

 

「なっ…⁉︎ なら、僕が!!友奈どいて!!」

 

「う、うん!!」

 

硬い御霊を砕く物をイメージしろ!!上から振り下ろし、先が鋭利な武器を!!

 

「コイツを…‼︎ 食らえ!!」

 

大槌からイメージを大鎌に変え、御霊に叩き込んだ!

 

「おっ!ヒビが!」

 

「…!枯れてる……」

 

「優樹急いで!長い間封印してると、樹海が枯れて現実世界にも影響が出てしまうわ!」

 

『神樹様……どうかみんなをお守りください……‼︎』

 

「わかりました!!もう一丁!!」

 

飛び上がりトドメの一撃を振り下ろした。

 

その一撃は既にヒビの入った御霊を容易に砕いた

 

「どうだ!!」

 

すると、砕けた御霊と共にヴァルゴバーテックスの姿は崩れ落ち、砂になっていく。

 

「砂に……」

 

「優樹!!」

 

「は……おわっ!!」

 

「やったわね優樹!!ナイス優樹!!」

 

「ふ、風先輩!!恥ずかしいですって!!」

 

敵を倒したことを確認すると、風先輩が飛び込んできた。

 

「凄いよ優樹君!あんな硬いヤツを砕くなんて!」

 

『勝った…良かった…』

 

バーテックスが消え去り、樹海が崩壊を始める──現実世界へ戻っていく……

 

◆◇

 

「あ、あれ?ここ、学校の屋上…?」

 

「みたいだね…」

 

なんで教室じゃなく屋上に…?

 

「神樹様が戻してくださったのよ」

 

「そういえば、東郷さんは──」

 

「東郷さん!」

 

「友奈ちゃん…優樹君…」

 

「怪我は無い?」

 

「ええ…でも、優樹君達は」

 

「僕は大丈夫さ」

 

「私もだよ!もう安全なはず……ですよね?風先輩」

 

誰一人欠ける事無く、無事に戦いを終えることが出来たようだ。

 

「ええ、ほら見て」

 

「今の出来事、みんな気づいてないんだ」

 

「私たちがみんなの日常を守ったって事だからね──ちなみに、時間は普通に動き出すから、今は授業中ね」

 

「えっ、」

 

「まあ、後でフォロー入れてもらうわ」

 

樹海化が始まると時間が止まって……終わると動き出す……か。不思議な空間だね……。

 

「お姉ちゃん……怖かったよ……」

 

「うん、よしよし…よく頑張ったわ…冷蔵庫のプリン、半分食べていいからね」

 

「あれ、元々私のだよ……」

 

私は……何も出来なかった……。恐怖で体が震えて、動けなかった……。




安芸君の勇者としての姿 勇者服はちょっとイメージがわかなかったです。武器は両手のオーラ(Rewriteの天王寺瑚太朗のオーロラみたいな感じ)
花は瞳に宿っていますが、ちゃんと見えてます。ただ満開ゲージが自分では見えないだけです。精霊は、古烏、猫又、大蝦蟇の3体です。
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