「ラストォ……‼︎ ふぅ……」
今日の活動は一旦お休みとなり、家に帰ってきた僕は、とりあえず今日の日課の筋トレを終わらせた。
「アレは……本当に現実だったのか……?」
僕は今日起きた出来事が信じられなかった。
いや、信じるしかないのか……。
確かに僕は、あの場所で戦った
樹海という謎の場所に飛ばされて、理解が追いつかないまま、失うのは嫌だと変身して、風先輩達とバーテックスとかいう化け物と戦った
あの異常な身体能力や、この手に残る大槌や大鎌を握った感触は……夢じゃなかった……。
「お風呂入るか──ん?」
僕の携帯に着信が──東郷さんから?どうしたんだろ……
「もしもし、筋肉ですが」
僕のちょっとした筋肉ジョークだ。
「優樹君……こんな時間にごめんなさい……今、良いかしら?」
「僕は大丈夫だけど、どうしたの?」
電話越しに聞こえる東郷さんの声は、どこか不安そうだった。
「……今日の事で相談したい事があって……」
「僕で良ければ、いくらでも相談に乗るよ」
「ありがとう……」
そう言うと東郷さんは、自分の抱える不安を打ち明けた
先のバーテックスとの戦闘で自分だけ変身が出来なかった事にモヤモヤを感じていたこと
このまま自分だけ変身出来なかったら、勇者部の足手まといになるのではないか──というものだった
「……優樹君はさ、風先輩に勇者部の本当の意味を隠されてた事に対して怒ってないの?」
「んー……驚きはしたけど怒ってはいないかな。東郷さんは?」
樹海で沸き起こった激情は風先輩への怒りなんかじゃなくて、きっとバーテックスに対してだ…。
「……私はね、怒ってるというより……とても怖かった……。あんな怪物と戦って、傷ついて……みんなが死んじゃうかもしれないって思った……」
「東郷さん……」
確かにそうだ……。あのバリアだって、もしかしたら消えてたかもしれない。そうなったら……僕たちは間違いなく死んでいた。
「ごめんね、心配させちゃって」
「僕はさ、こう考えてみたんだ。この適正があったから、僕たちは出会えたんだって──勇者部のみんなと5人揃ってここにいるんだって」
「優樹君……」
「突然戦いに巻き込まれて、僕たちは危険な目に遭ったかもしれない。でも僕は──それ以上にみんなを守りたいって思ったんだ」
「だから…僕は東郷さんが変身出来なかったとしても、足手まといなんて思わない。絶対に守り抜くよ」
「っ……」
「東郷さん?……あれ?東郷さーん?とっ──切られちゃった」
東郷さんのモヤモヤは解消出来たかな……。途中から僕の話しちゃってたけど……
◆◇
「ああ……やってしまったわ……‼︎」
私は電話の向こうで相談に乗ってくれた友達の言葉に、思わず通話を切ってしまった。
「優樹君……」
彼の最後の言葉を思い出すと、何故だろうか……顔が熱くなる……。
「うふふっ……優樹君……」
彼の名前を呟くだけで、胸がいっぱいになった。
この気持ちは──恋っていうのかしら?
今はまだわからないけど……いつかきっとわかる
そんな予感がした
「優樹君……」
◆◇
「へ、へっくしょい‼︎」
汗冷えしたかな……さっさとお風呂入って寝よう
◆◇
「おはよー」
「おはよう優樹君!」
「ゆ、優樹君⁉︎ お、おはよう」
「友奈、東郷さんおはよう」
「優樹君……昨日はありがとう」
「あれぐらいお安いご用だよ。それで、大丈夫だった?」
「ええ、もう大丈夫よ」
「昨日、二人に何かあったの?」
「ああ、実は──」
「隣町で昨日、事故があったじゃない?私近くに居てびっくりしちゃった」
「え?あの2.3人怪我したってやつ?」
「っ……!」
「これが樹海化の影響か……」
「優樹君……世界を救おう……」
「うん……。」
樹海化の影響が出てしまうなら──その前に僕たちで食い止めるんだ。
◆◇
「全員揃ったわね?じゃあ、説明するわ」
放課後、部室に5人が揃ったところで、風先輩が昨日の事と今後について説明すると言い、黒板に何かを書き始めた。
「友奈さん、その子懐いてますね」
「牛鬼っていうんだ!」
「可愛いですね〜」
「ビーフジャーキーが好きなんだよね」
「牛なのにですか⁉︎」
鬼とはいえ、牛にビーフジャーキー……それって共食──イテテッ!
「優樹君は突かれてるね」
「古烏っていうんだ……こうやって時々突かれるけど……」
猫又や大蝦蟇はあまり出てこないのになんで古烏だけ……
「さてと、まずは皆元気で良かった」
「さっそく昨日の事を説明するわ」
「戦い方はアプリに記載されてるから、今は私たちの戦う目的について説明するわね」
そう言って風先輩は、黒板に書かれたナニかを指差した
「──こいつバーテックス」
「人類の天敵で、あっち側から壁を越えて12体攻めて来ることが神樹様のお告げでわかっている」
「それ、ヤツらだったんですね」
「奇抜なデザインですね……」
「それバーテックスなんだ……」
黒板に書かれたナニかは、どうやらバーテックスのようだ。
「目的は、神樹様を破壊して、人類を滅ぼすこと。」
「前にも勇者が居たらしいんだけど、その頃は追い返すので精一杯だったそうだわ」
「そこで、大赦が作ったのは、神樹様の力を借りて勇者に変身するシステム」
「人智を越えた力に対抗するには、こちらも人智を超えた力ってわけね」
「その絵、私たちだったんだ…」
「げ、現代アートってやつだよ!」
友奈、それフォローになってない……
「コホン……ちゅ、注意事項として、樹海が何かしらの原因でダメージを受けると──その分日常に戻った時に、災いとして現れると言われてるわ」
‼︎ 今朝聞いたアレも──
「派手に壊されて大惨事なんて事にならないようアタシ達勇者部が頑張らないと!」
「そのために大赦もサポートで動いてるから」
「……勇者部の面子は、風先輩が意図して集めたんですよね?」
「……そうだよ、適正値の高い人はわかってたから」
「アタシは神樹様を祀る大赦からの指令を受けてるの。この地域担当として」
そういう事……だったのか。
「知らなかったよ……」
「黙っててごめんね」
「敵って次はいつ来るんですか?」
「──明日かもしれないし一週間後かもしれない」
「そう遠くはないはずよ」
「風先輩」
「どしたの優樹?」
これだけは確かめなければならない……
「風先輩は、勇者部が好きですか?」
「え?」
「大赦の命で僕たちを集めて、この部活を立ち上げてから1年ほど活動してきましたが、思い入れはありますか?」
僕はこの場所が好きだ。風先輩が意図して集めた面子だとしても……僕はみんなと出会えた事は奇跡のように思っている
でも……風先輩自身はどう思ってるのだろうか
「……ええ。確かに最初は何も考えてなかったわ。ただ大赦の命令に従っていただけだった。でも、今は違うわ!!」
「アタシにとって……今ではもう、勇者部は大切な場所よ」
「ありがとうございます、風先輩」
「だったら僕は──この大切な場所を守ります」
「優樹…?」
「僕は皆と出会えた事がとても嬉しいんです。この場所が──勇者部が大好きなんです」
だから……絶対にバーテックスなんかに世界を壊させたりしない……。
「優樹君……」
「優樹さん…!わ、私はまだ勇者部に入ったばかりですが、大切な場所だと思ってます!なので……私もお姉ちゃんと一緒に……」
ピロロンピロロン──
「⁉︎」
「樹海化警報⁉︎ 2日連続で⁉︎」
二度目の戦いはすぐに訪れた
◆◇
「3体同時に来たか」
「樹ちゃん、落ち着いて」
「は、はい」
「東郷さん、アイツらやっつけてくるね!」
「ま、待って友奈ちゃん……私も…!」
「東郷さん、大丈夫だよ。昨日も言ったけど、僕が必ず守るから」
「優樹君……」
とは言ったものの……なんだろうこの緊張感は──ッ⁉︎
頭の中に知らない声が浮かんだ
『またね』
それは聞き覚えの無い声──誰なのか全くわからない
「みんな、とりあえず遠くのやつは放っておいて、手前の2体をさっさと封印するわよ!」
「っ!!」
行かなきゃ! でも、なんで1体だけあんな遠くに──
「うわっ‼︎」
「お姉ちゃん!!」
遠くのバーテックス──サジタリウスの矢が風先輩を吹っ飛ばした
「おいおいおい……なんかいっぱい来てますよ!?」
「盾!」
飛んでくる無数の矢に向け、僕は両手のオーラを盾の形をイメージして、飛んでくる無数の光の矢を防ぐ──
「友奈さん、優樹さん!!危ない!!後ろです!!」
「え?」
「へ?」
樹ちゃんの声に後ろを見ると、そこには巨大な尻尾のようなモノが迫って──っ!!
「ぐわっ!!」
「きゃっ!!」
友奈諸共弾き飛ばされた──だが……何かが守ってくれたようだった……
「!」
「友奈さん!優樹さん!」
「きゃ!」
「樹、気をつけて!」
サジタリウスの無数の矢が犬吠埼姉妹へと降り注いだ
「ぐっ……友奈、無事か!?」
「っ……」
「友奈ちゃん!」
そのまま蠍のような敵──スコーピオンが先の鋭い尾を友奈へ目掛け突き刺した。
「友奈!!」
しかしその攻撃は、友奈の精霊である牛鬼によって阻まれている。しかしそのバリアもいつまで持つかわからない。僕も……早く動かなければ……っ!!
「っ!! 盾!!」
友奈を助けようと動こうとした刹那、キャンサーが反射させた矢が僕を襲った。それを僕はもう一度、盾を展開して防いだが……クソッ!これじゃ動けない!! このままじゃ友奈が危ない!
◆◇
「優樹君!!友奈ちゃん!!」
目の前の巨大な怪物達が、皆を傷つけてる
このままじゃ……みんなが……友奈ちゃんが……優樹君が……
『新しいお隣さんだ 歳が同じなら同じ中学だね』
『私は結城友奈 よろしくね!』
『僕は東郷さんが変身出来なかったとしても、足手まといなんて思わない。絶対に守り抜くよ』
「やめろ……友奈ちゃんを……優樹君を……いじめるな!!」
叫んだ刹那、スコーピオンの尾が私に飛んできた。
しかしその攻撃は、精霊によって防がれた。
大切な皆を──勇者部の皆を助けたい!!
「私はいつも友奈ちゃんに守ってもらってた。優樹君が守ると言ってくれた」
「だから私は、勇者になって二人を守る!」
戦う意志を込めて、端末をタップした。
宿ったのは、朝顔の花
「東郷さん…!」
「東郷さん……変身したんだ」
どうしてだろう……変身したら落ち着いた。
武器を持っているから?
◆◇
東郷さんの武器──拳銃の一撃で、スコーピオンの尾が砕かれた
「もう二人に手出しはさせない」
そう言うと同時、東郷さんは二丁の散弾銃に持ち替え撃ちまくった。
「東郷さん、凄いよ!これなら…!」
「友奈、コイツ風先輩達のとこにぶっ飛ばして、まとめて封印しよう」
僕は、イメージを盾から大槌に変えた。
昨日のように、コイツを向こうまでぶっ飛ばすイメージで──振り抜く!!
「友奈どいて!ホール・イン・ワン!!」
そのまま僕は、野球のスイングの要領でバーテックスをぶっ飛ばした──よしよし行ったな
「優樹君…それ野球じゃなくって?」
「細かい事は気にしない……!」
「風先輩!その蠍持ってきましたよ!!」
「えっ!?エビじゃなかったの!?」
友奈…尻尾もあったから多分蠍じゃないのかな…?
「どっちでも良い!!」
「東郷先輩!」
「遠くの敵は私が狙撃します」
「東郷……!戦ってくれるの?」
風先輩の言葉に、東郷さんはコクリと頷いた
「援護は任せてください」
狙撃銃を構えた東郷さんはそのまま狙いを定めた
「頼んだわよ!そんじゃ散開!!」
「不意の攻撃には注意してください」
『はい!!』
「ちょ、アタシの時より返事良くない!?」
多分気のせいです。そんなわけでまずは手前の2体を封印する!!
「アイツが皆を苦しめた……」
「凄い威力……」
東郷さんの狙撃銃による1撃はとてつもない威力だった。
「出ました!」
「こっちも御霊出ました!」
その隙に僕たちはスコーピオンとキャンサーに封印の儀だ
「私行きます!」
「…あれ?」
「僕も…! ん?」
「…この御霊絶妙に避けてる!!」
「友奈、優樹変わって!!」
「点の攻撃を躱わすのなら…! 面の攻撃で!!押し潰す!!」
風先輩の大剣による一撃が御霊を押し潰した
そして、僕たちは気づかなかったが──風先輩の花びらが1枚増えていた
「流石風先輩です!」
「自慢の姉です!」
「次行くわよ!」
「っ!増えてる!」
「どれが本物なの!?」
次の御霊は、分身で本物を絞らせないようだった
「私に任せてください!」
樹ちゃんの武器はワイヤーだ
「数が多いなら──纏めてー!!」
「えーい!」
樹ちゃんが分身ごと御霊をワイヤーで纏めて斬った。
すると御霊は本物だけが残った
「もう一度!!えーーい!!」
これで2体!!
「やった……やったよお姉ちゃん!」
「ナイス樹!!あと1体!!」
ドーン!!
「ッ!!」
「東郷さん凄い……」
「御霊が!!」
東郷さんの一撃により、最後の1体の御霊も露出した──が
「は、速い!!」
「速すぎるよ!」
「私がなんとか…!!」
ドンッ!!
「!?」
「撃ち抜いた!?」
「東郷先輩…!!」
最後のとんでもなく速い御霊は東郷さんが撃ち抜いた。
「状況終了」
「みんな……無事で良かった……」
全てのバーテックスを倒し、樹海化が終わる──
◆◇
「東郷さーん!!とってもカッコよかったよ!!」
「友奈ちゃん……!」
「ありがとう東郷さん、おかげで助かったよ」
「優樹君」
「本当に助かったわ東郷」
「風先輩、覚悟は出来ました。私も勇者として戦います」
「東郷……一緒に、国防に励みましょ」
「国防…!」
「はいっ!」
今回の戦いでまた勇者部は一つになれたと思う。
それと、戦ってる時に気づいた事がある。
僕と東郷さんは精霊が3体だったという事。
理由はわからない。そして、表には出さなかったけど……3体のバーテックスを目にした時、僕はとてつもない恐怖に襲われかけた。
今回は気合いでなんとかなったが、今後どうなってしまうのだろうか……。
そして──僕の体の傷はもしかして──
「優樹君?」
‼︎
「どうしたの友奈?」
「うん、なんか優樹君ボーッとしてたから、どこか痛いのかなって」
「あ、ああごめん。大丈夫だよ」
アレ今何考えてたんだっけ……まぁ良いや。
「優樹君!課題手伝ってぇ……!!」
「それは自分の力で頑張って」
「そんなー」
「友奈ちゃん、勇者も勉強も両立よ」
ついに5人全員が変身した勇者部 次のお役目は遂に彼女が登場 デレると可愛くなるチョロい彼女はどうなるか() 次回 【夏凛、来日】(タイトルは別のものです) さて、この次もサー○ス サービ○!!