次回で結城友奈の章最終話となります。
そして!最終話のあとがきにて重大なお知らせがあります!
最後までよろしくお願いします!
──僕がまだ小さかった時、両親が死んだ
あとで姉さんから聞いたのは、事故だったそうだ。
それからの姉さんは──まるで人が変わったようだった
いつも笑顔で優しい姉さんからは、笑顔を見ることが少なくなっていた
完全に見なくなったわけじゃなかったけど、僕は不安で押しつぶされそうだった
元々父さん達の仕事の手伝いをしてたらしく、父さん達が死んでからは特に忙しそうにしていた
今思えば、大赦としての仕事だったのだろう……。
記憶がある僕には何も知らされてなかったから、知る由もなかった。
ただ忙しくて、家に居ないことが多い姉さんの姿しか知らなかった。
そして僕は──気づいた時には病院のベッドの上だった
姉さんが言うには、僕は事故によってここ2年の記憶を失っているという事だった。
そして、今の家に引っ越し、讃州中学へと入学した。
それが、勇者部の皆との出会いだった
◆◇
私にはここ2年の記憶が無かった
医者が言うには、事故でここ2年の記憶と足の機能を失われてしまったらしい
記憶が戻ることは無かったけれど、その2年もしっかり生きてたと母は言ってくれた
車椅子での生活にも慣れた頃──仕事の都合で引越しが決まった
当時は住み慣れたここを離れるなんてって思ったけど今にして思えば、これも大赦が手を回していた。
友奈ちゃんや優樹君と出会えた事に、この時は神樹様に感謝していた。
勇者部の活動に心を躍らせていた。
そして私たちは──本当の勇者になった
◆◇
勇者としてのお役目を果たし、12体のバーテックスを倒してきた。しかしその後に待っていたのは──体の欠損だった。最初は大赦の言う通り、そのうち治るだろうと思っていた。しかし──その考えは、乃木園子と三ノ輪銀と出会い変わった。
──勇者は死ぬことはない。
それを聞いた私は一つの推測をし、それを実行に移した。
死ぬことはない──否、死なせてもらえないという推測だった。
その為に私は、何度も自殺を試みた。
割腹を始めとし、首吊り、飛び降り、一酸化炭素中毒、溺死、服毒と試したがどれも精霊によって阻まれた。
端末の電源を落としても、充電が切れていても……どんな事をしても精霊は必ず介入した。
これが勇者への緊急安全装置なら良かった──けれどそれは違った。
優樹君と共に乃木園子達の所へ話を聞きに行った。そして壁の向こうの真相を教えてもらった。
それを確かめる為に、私は壁まで来た。
そして──壁の向こうの景色を見た。
いや、見てしまったのだ。
──壁の向こうは地獄そのものだった。
──宇宙規模の結界に覆われた私たちの世界
──世界の成り立ちは、西暦の時代に天の神が遣わしたバーテックスによって人類のほとんどが滅ぼされた。しかし、人類に味方してくれた神様達の集合体によって、人類は守られた。
これが神世紀の成り立ちであり、壁の向こうの真実だった。
壁の向こうでは──私たちが倒したはずのバーテックスが復活していた……またアイツらが襲撃して、私たちが体の機能を失いながら迎撃する……また皆があんな事になるのか……
そんなのダメ……絶対に防がなくてはならない!
私は考えた。そして──1つの答えに辿り着いた
◆◇
「……きくん!優樹君!」
「ッ…‼︎」
「友奈……っ!夏凛!」
どうやら意識が飛んでたらしい……。
夏凛も気絶してるみたいだが……
「友奈……変身が……」
僕と友奈と夏凛の変身が解除されていた……そうだ!
「東郷さん…!」
風先輩の暴走を止めた後、突如全員のスマホからアラームが響き渡った。
『特別警報発令』
今まで聞いたことのない警報と共に樹海化が始まった。
全ての敵は倒したはずなのに樹海化が始まった。
そして敵の近くに東郷さんがいる事が判明し、僕は樹ちゃんに風先輩をお願いして、僕と友奈と夏凛の3人が東郷さんの元に向かった。
そうして向かった先にあったのは、見たことのない無数の敵と壁を破壊した東郷さんだったのだ。
そして東郷さんを追って僕たちは壁の外に出た。
そして地獄のような光景を目にしたのだった。
辺りは滅び赤く染まっている世界
東郷さんが言うには、壁の中以外は滅んでいること、バーテックスは無数に襲来し続けることだった。
僕が東郷さんと聞いた世界の真実は本当だった……。
聞いた時は全く信じられなかったが、これを見たら信じるしかなくなっていた。
東郷さんは皆を苦しませない為に世界を終わらせるという選択肢を選んだ。
東郷さんは──みんなが傷つき苦しむ姿をこれ以上見たくないと泣いていた……。
そして僕たちは、復活したバーテックスの攻撃によって気絶していたのだった。
「友奈…」
「ねえ、優樹君……東郷さん、泣いてた……ずっと悩んで苦しむ東郷さんを私見てきたのに……一番の親友なのに……」
「ああ……僕も見てきたさ……。大切な友達が傷つくのは耐えられないさ」
「とにかく、アレを止めないと」
「う、うん…」
僕と友奈は勇者システムをタップした──しかし
「あれ……そんな……変身できない……」
「友奈⁉︎」
僕は変身したが、友奈はできなかった。何故かと思い端末を確認すると、友奈の精神状態が安定してないと表示されていた。
友奈……いや、いくら友奈だってこんな事になったらこうなってしまうのも無理はない。僕だってこうなっていたかもしれなかった……。
だけど……
『生きるのを諦めるな』
この言葉がずっと頭の中を回っていた。
そして記憶の片隅にあった僕という人間の在り方を思い出した。
それは幼少の頃の記憶
『僕の大切な人を守る為に僕は頑張る』
これを言ったのは確か──父さん達を失った後の事だった。
この時は姉さんを守るという意味だったのだろうけど
いつの間にか忘れてしまっていた記憶だった
でも今は……勇者部のみんなを守る為に──身命を賭して行く所存だ。
「なんで…どうして私だけ変身できないの……⁉︎」
「うっ……うぅ……わ、私……友達失格だ……」
「友奈」
僕が友奈に言葉をかけようとした刹那──サツキの花が咲いた
「……夏凛ちゃん……」
「夏凛、大丈夫かい?」
「ええ……それより……友達に合格も失格も無いっての」
「でも……」
「あんた、東郷の事で自分を責めてるでしょ」
「夏凛…」
「まったく……友奈らしいというか……」
「ねえ…あんたはどうしたい?東郷のこと」
「……止めたいよ……この世界が壊れたら、みんなと一緒にいられなくなる……東郷さんと一緒にいられなくなる」
「でも……今の私じゃ……」
友奈は泣いていた。僕は……大切な親友が泣いてるのを見るのは耐えられなかった。
「優樹」
「何?」
「アンタはどうしたい?」
夏凛は僕に質問を投げかけた。──だけど、その答えは決まっている。
「東郷さんを止める。東郷さんは親友であり、大切な人だから」
自分で言って何だが……大切な人──か。僕にとっての東郷さんは──
「そう…。友奈……私、もう『大赦』の勇者として戦うのはやめるわ」
「は……?」
それを聞いた僕が声を漏らした
「え……?」
友奈も……。
「これからは勇者部の一員として戦う……」
「私たちの勇者部を壊させたりしない」
「友奈の泣き顔……見たくないから」
勇者部の一員として──か。夏凛……君はもう──
「行くわよ優樹!」
「行こう夏凛!」
武器を構え、ほぼ同時に飛び出した
◆◇
「!」
樹が無数に現れる敵をワイヤーで倒している。
あたしは……
樹……どうして……そこまで
『本当はお姉ちゃんの隣を歩いていけるようになりたかった』
あたしは、樹の言葉を思い出した
「隣どころか…」
いつのまにか、前に立っているじゃない
「!?」
樹!
あたしは──樹を守るんだ!
「!」
あたしは樹を襲わんとする白いバーテックスを大剣で切り裂いた。
「間一髪ね。姉として──妹に頼りっぱなしってわけにはいかないわね!」
「……!」
「もう大丈夫よ樹」
「あたしの自慢の妹だわ」
樹はあたしの前を歩いている。だったらあたしは──追いついて隣を歩く!
「さあ、犬吠埼姉妹の女子力!見せてやりましょう!」
あたしは大剣を構え、樹はワイヤーを構えて無数の敵へ向かって行った
◆◇
「再生されたやつらがあふれてきたわね」
「5体か……結構いるね」
眼前に広がる光景──5体のバーテックス──ヴァルゴ、キャンサー、スコーピオン、サジタリウスそしてピスケス……硬いキャンサーは僕が担当させてもらおう。
「まずはコイツら倒して、東郷さん探しに行こう」
「……でも、犠牲無しって訳にはいかないわね」
その通りだ……でも、言葉には出さなかった。
夏凛がやろうとしている事はわかっている
ならば僕もやってやろうじゃないか
「騎士道とは、大切な人のために命をかける事」
何年も前の遠く幼き自分の言葉を復唱した
今思えば、どこでそんな言葉知ったんだろうな…
「──大鎌」
いつもなら大槌にするのだが、ここは大鎌を具現化させるべきだという直感に従った。
「さあさあここからが大見せ場!遠からん者は音にも聞け!近くば寄って目にも見よ!」
「これが讃州中学2年勇者部部員!三好夏凛と!!」
「安芸優樹の!!」
『実力だぁぁぁぁぁ!!!!!』
祝詞を唱え、夏凛はヴァルゴの元へ僕はキャンサーの元へ
──空には二輪の花が咲いた
一つはサツキ──そしてもう一つは……アネモネだ!
「夏凛ちゃん…!優樹君…!」
夏凛の満開は巨大な4本の剣を持つアームと夏凛自身というシンプルでありながら西暦の世では阿修羅と呼ばれた三面六臂の神を彷彿とさせる装備だった。
そして僕は──左腕のオーラが濃くなり、具現化させた大鎌は更に大きなものになっていた。
「勇者部五箇条!挨拶はきちんと!」
夏凛が復活したヴァルゴへと突撃し、4本の剣でその身を切り裂いた!
「行くぞォ!!勇者部五箇条!!なるべく諦めない!!」
大鎌を振り回し、星屑のように湧き出るバーテックス諸共キャンサーを横一文字に真っ二つに切り裂き、おまけだと言わんばかりに斜めに大鎌を振り抜いた。
あと……3体‼︎
次は──サジタリウス!
「くっ……こんな時に散花…⁉︎」
「夏凛!」
スコーピオンに突撃した夏凛の満開が解除されていた
「右腕が……」
夏凛の右腕の機能が失われていた
っ……僕も行かなければ
「邪魔だぁ!!」
サジタリウスの矢が無数に飛び、大鎌でそれを弾くが……全ては無理だった
「こんなもん──っ!」
散花だ…!そして──僕の右目の視界が消えた
「クソッ…!大槌!」
次は大槌を具現化し、サジタリウスに殴りかかった!
攻撃を受け反撃し、サジタリウスを少しでも削る!
そして視界は無いが右目に宿り続ける花を咲かせた!
「勇者部五箇条!よく寝て!よく食べる!」
巨大化した大槌でサジタリウスを地面へ叩き落とした。
そしてそのまま追撃して大槌でバーテックスを叩き潰した!
あと2体!
「優樹!……私もこんなとこでくたばれるか!!」
夏凛の叫びと共に、サツキの花が咲いた
「勇者部五箇条!悩んだら相談!」
4本の剣は──スコーピオンを真っ二つにした
あと……1体だ!!
「夏凛!!」
「ええ──ッ…!」
散花…!
「ハッ…!?」
しかも両足──夏凛はそのまま墜落した……!
「夏凛…!大丈夫か!」
僕は夏凛に安否を聞いた──しかし
「優樹!!私は良い!だから行って!そいつを倒せ!!」
──ッ……!
2回目の散花……いや、累計5回目か……。左腕がやられた──けど!
「片腕でも振れるんだよ!!」
僕は大槌をピスケスにぶつけた!伊達に鍛えてないんだ!筋肉を舐めるな!!
左目だけだと死角が出来るから大変だけど…!それでも…!僕はコイツを倒して!東郷さんを止める!
「勇者部五箇条!!成せば大抵!!」
これで最後だ──僕は右腕だけで大槌を振りかぶった
「なんとかな──る!!」
ズドン!という大きな音と共に、ピスケスバーテックスを地面に叩きつけた
「どうだ!これが勇者部の力!!」
復活したバーテックスを倒したけど……そうだ夏凛!
僕は夏凛が落ちたところまで走った
「友奈、夏凛!」
そこには友奈もいた。
「優樹君…!」
「グッ…‼︎」
なんだ…⁉︎ 急に息が…‼︎
「優樹君⁉︎」
「優樹‼︎」
「ハッ…!ハァっ……ハァっ……!」
そうか……これは──
「──心臓…持ってかれたみたい…」
肺だけでなく心臓まで……。だけどまだ大丈夫だ……。
「そんな…!」
「それよりさ…友奈見てた?夏凛の活躍を」
「うんっ…!見てたよ…!でも、優樹君だって…!」
「あはは……誰かを守るために、僕は命をかける覚悟だから……」
「ごめんね友奈……東郷さんの事もあるのに……こんなに悲しませちゃってさ……」
「優樹……あんた」
「夏凛、友奈の事頼んだよ。東郷さんの一番のともだちを」
だから僕は……
「……任されたわ」
「優樹君……」
「それじゃあ、いってくるよ」
僕は飛び出した
東郷さんを止めて助けるために
「優樹君……」
「ねえ、友奈」
「夏凛ちゃん…?」
落ちた時に変身が解除された私は、友奈に抱き抱えられていた……。散花の代償は──右腕と両足 普通なら動くどころの話じゃないけれど、生憎私は勇者だ。体が動かなくても、命さえあれば戦える。そして私は──優樹と友奈がいたから私は勇者部の三好夏凛になれたんだ。
だから──
「言いたかった事があるの……。」
「──ありがとうって」
「……え?」
「私、ずっと勇者になるための訓練を受けてきたの。戦うことが私の存在価値で……私はただの道具だったわ」
そう──私は大赦の道具だった
友奈達がいなかったら──きっとそのままだった
「アンタ達がいれば…きっと東郷の心だって変えられる」
「私…は…」
「結城友奈は東郷の一番のともだちで……安芸優樹は東郷の大切な人なんでしょ」
私は多分、アイツの事が好きだった。最後までわからなかったけれど、アイツは──優樹のやつは多分──
「夏凛ちゃん」
「私、行くよ!」
◆◇
「東郷おおお!!!」
風の大剣による振り下ろしは、東郷の持つ二丁の銃によって受け止められた。
「この光景を見ればわかるはずです」
「これ以上…壁を壊しちゃダメよ!」
「この世界が…大赦のやり方が…勇者という存在がいかに悲惨なものか」
「私たちが救われるにはこれしかないんです」
「それでも……あたしは勇者部部長として!先輩として!アンタを止める!」
東郷を止めるため、二丁の散弾銃を弾いた。しかし東郷にはまだ武器が残されている。
すぐさま二丁拳銃を具現化させ構えた。
「……わかってください」
しかし──弾丸が放たれる事はなかった
「!」
「樹ちゃん…」
樹がワイヤーを駆使して東郷の腕ごと銃を止めたからだった。
「東郷!!歯ぁ食いしばれ!!」
風が大剣の面の部分で東郷を殴り飛ばした。
「ごめん…少しだけ大人しくしてて…」
「…!」
「どうしたの樹」
樹が指差す方を見た──ッ!!
「小さいあいつらの進行が止まってる⁉︎ 一体何が……」
その時──空にアサガオの花が咲いた
その後ろには、かつてあたし達が倒したはずのデカいバーテックスが付いてきた
「なっ……⁉︎」
「二人ともどいてください」
砲台を構えた東郷が言ったがそんな事出来るわけがない
「どくわけ…ないでしょ!」
「……ごめんなさい」
東郷は──神樹様に砲台を発射した
「させない…!」
「っ……」
「ぬあああ!!!きゃあ!」
神樹様が…!
しかしその一撃が神樹様に届くことは無かった
「…勇者の力では神樹本体を傷つけることは出来ないのね」
「……でも」
「コイツを連れていけば──コイツの攻撃ならきっと──神樹を殺せる」
「私を殺したいでしょう?」
私は──目の前の存在に問いかけた
「……さあおいで」
「私を狙いなさい…」
巨大な火球が迫ってくる
これで良いんだ──これで終わる事が──
「やめろおおお!!!」
「パイル──バンカー!!」
巨大な火球は見覚えのある拳によって防がれた。
「すみません風先輩……復活したやつらを倒してたら、少し遅れてしまいました……」
強がってみたけど、はっきり言って僕の体はボロボロだ。
──片肺、記憶、痛覚…それと右目に左腕そして心臓……この戦いだけでこれだ。もしも次に満開したら……残された左目もやられるかもしれないし……足が動かなくなるかもしれない……。
それでも……それでも僕は……!
「優樹……」
「僕が……いや、僕と友奈が勇者部を」
「「東郷さんを守る!」」
丁度いいタイミングで友奈の登場だ。
「優樹君!お待たせ!」
「ナイスタイミングだよ友奈」
「友奈ちゃん…優樹君…」
なんだよこの攻撃……
獅子座による無数の火球には、あの白いやつも混ざってるみたいだ
迎撃は厳しい…けどなんとかしないと
「…東郷、自分への攻撃をかわしながらあのデカいのを護衛してるっていうの…?神樹様に向かわせる為…?」
いけない…!早く封印しなければ!
「ダメよ二人とも」
東郷さんの新たな武器によって攻撃を受けた…なんだアレ、空中にいくつかの物体がレーザーを撃ってくるなんて……対処が難しい…!
「東郷さん!こいつを辿り着かせたら……世界が終わってしまう!」
「そうだよ東郷さん!」
僕と友奈は叫んだ。しかし……
「それでいいの…一緒に消えてしまおう」
東郷さんの返ってきた答えは……消滅を肯定する事だった。
「東郷さん…」
「優樹君ダメ!」
僕が満開を使おうとした刹那、友奈に止められた
「優樹君は何度も満開してるから……これ以上は…!」
だから私が行くと言った友奈は──満開を使用した
「友奈!」
「うおおおお!!!!」
友奈が徐々にレオバーテックスに近づいていく。
「御霊が…!」
そして大きな御霊が露出した
「だめ!」
友奈が御霊を攻撃しようと突っ込んだが……東郷さんに阻まれた。
「何も知らずに暮らしている人たちもいるんだよ⁉︎ 私たちが諦めたらダメだよ…‼︎ だってそれが──」
「勇者だっていうの……?」
「ずっと優樹君のように自分を犠牲にし続けるの⁉︎」
「東郷さん!」
僕は叫んでいた。いや、もしかしたら慟哭かもしれない。いやどっちでも良いな……。
だけどこれだけは言わなくちゃ……
「確かに僕はここに来るまで満開を繰り返して、こうなった。でもね…僕は大切な人を守る為なら例え僕の命だって差し出す覚悟なんだよ…!」
そうでもしなければ僕は…僕の思いを伝えることなんて…夢のまた夢なんだ!
「優樹君!私だって大切な友達と大好きな人を守りたいよ!……だけど守れないのなら……勇者になる意味なんて無いの!」
「だから滅びを……死を選ぶっていうの?」
こんな事を聞くのは違うかもしれない……。
東郷さんは僕たちを救いたいという思いで世界を滅ぼそうとしてるんだ……。でもそんなの肯定するわけにはいかない…!たとえ僕のエゴだったとしても……
「そうよ!みんながじっとしててくれれば……何もかも済んでたのに…」
「もう、手遅れだよ」
「手遅れなんかじゃない!バーテックスを倒して、壁はまた直せば良い!」
東郷さんの言葉に友奈が反論した
「そんなことを言ってるんじゃないの」
「戦いは終わらない…私たちの生き地獄は終わらないの…」
「こんな仕組みの言いなりになって生きている事が地獄なんだよ…!」
東郷さんは……泣いていた。ずっと……こうするしかないと泣き続けていた。僕はどうすれば良かった?手を差し伸べれたか?いや、気づく事ができなかった。気づいてたとしても、世界の真実を見て正気を保っていられたか?いや、僕も同じ判断をしていただろう…。
綺麗事しか言えなくても……僕は彼女を止める。
東郷さんを止めて……救ってみせる!
大切な人を──僕が好きになった人を守る為に──
「生きるのを諦めるな!」
気づいたら僕は叫んでいた。その叫びは、今までで最も感情を爆発させた叫びだった
「優樹君…⁉︎」
「この世界が地獄だったとしても…!東郷さんがどれだけ辛くても…!東郷さんの事は……僕が守る!」
「私も同じだよ!辛い時にともだちを守れない私じゃなくて……東郷さんを守れる強い私に…!」
友奈……
「散花を続ければ、いずれ大切な気持ちや想いを忘れてしまう!」
「忘れちゃいけない事を忘れてしまうんだよ⁉︎ それでも良いの⁉︎」
東郷さんの慟哭と共に砲台が放たれた。
「くっ…」
東郷さんの言わんとする事はわかる……。ここにいる中で今、最も近いのは僕だろう……。もう一度満開すれば……僕はどうなってしまうかわからない……。
「それでも…!だとしても僕は…‼︎ 東郷さんの事を──」
「絶対に忘れない!」
「私もだよ!」
「二人ともどうしてそう言えるの」
「僕たちがめちゃくちゃそう思うからだ!!」
過去の記憶を失っても、僕は僕だった。
今度こそ……僕は忘れない…
「私たちも…きっとそう思っていた……」
「今はただ…悲しかったという事しか覚えてない」
「自分の涙の意味がわからないの!」
東郷さんが泣き叫び、四方八方に砲台を撒き散らした。
「嫌だよ…怖いよ…きっと友奈ちゃんも優樹君も…私を忘れてしまう!」
「だから…いっそこんな世界!」
「東郷さん!」
友奈が東郷さんの正面へ突っ込み、拳を構えた。
そして──東郷さんの顔目掛け振り抜いた。
鈍い音を鳴らし、東郷さんの体は崩れ落ちた。
もはや戦意は無いだろう
そうして友奈が、東郷さんを起こし、そのまま抱きしめた。
「優樹君…」
「うん…。」
友奈に促され、僕も東郷さんの元へ
「友奈ちゃん…優樹君…」
僕は残された右手で、東郷さんの右手を握りしめた。
「生きるのを諦めないでくれ…」
「もう離さないから…忘れないから…」
「私もそう…絶対に忘れない」
友奈は東郷さんを抱きしめたまま答えた。
「うそ…」
否定の言葉に、僕たちは否定した。
「うそじゃない」
「うそよ…」
「うそじゃないさ」
「僕たちはずっと側にいる。信じて欲しい…」
友奈も僕も……それに勇者部のみんながいる
東郷さんは一人じゃないんだ…。
「本当に…?ずっと傍にいてくれるの?」
「うん…私も優樹君も一緒だから」
「ああ…」
「そうすれば忘れない」
「う……うぅ……」
東郷さんの目から涙がこぼれ落ちた
「忘れたくないよ…」
「うん…」
「大好きなみんなを忘れたくない…」
「ああ…。僕も同じだ……。」
僕と友奈が肯定すると、東郷さんは一際大きな声で言った。
「私を一人にしないで!!」
それは、記憶を失った少女の慟哭だった…。
「「大丈夫」」
僕と友奈は同時に言った。
君を絶対に一人にしないから……。
◆◇
何か巨大なモノが近づく音がした──
「な、何⁉︎」
その音の正体は何かと辺りを見ると──巨大な火球が神樹様目掛け一直線に進んでいた…!
「太陽⁉︎」
「いかん!神樹様が!」
「私…大変なことを…!」
「違う!」
「東郷さんのせいじゃない!あいつを止める!」
東郷さんの言葉を僕と友奈が同時に否定し、東郷さんの方舟によって太陽の元へ急行した
「止まれええええ!!!!!」
僕と友奈と東郷さんの三人がレオバーテックスの放った太陽を押し止めようとする。
しかしその勢いは強く──三人では到底無理だった……
「くっ…止まら…ない」
「絶対…諦め……な……い…⁉︎」
「友奈!」
「友奈ちゃん!」
友奈の満開が解除されてしまった。これでは……いや!まだ僕の満開がある!
「はあ…はあ…こんな…ところで!」
「…⁉︎ あ、足が……⁉︎」
友奈の散花は両足だった
「う、うう…もう…ダメ…!」
「う、おおおお!!!!」
「ハアアア!!!!」
もうダメかと思われたその時──三人の勇者が太陽を押し始めた。
「!」
「ごめん、大事な時に」
「完成型勇者は!こんな事で止まらないのよ!」
「樹ちゃん、風先輩、夏凛ちゃん…私…」
何かを言おうとした東郷さんに、風先輩は笑顔で返した。
「おかえり東郷」
「そんじゃあ、これ押し返しましょうか!」
「そうね!樹!夏凛!優樹!」
「!」
「ええ!」
「はい!」
『満開‼︎』
僕と夏凛と風先輩と樹ちゃんが満開を使用した。
「うおおおおお!!!!!」
「勇者部を!!!舐めるな──!!!」
「ようし!勇者部!!ファイトォォォ!!!」
コイツは僕たちが止めるから、友奈──あとは頼んだよ
◆◇
「はあ……!はぁ……!」
足が動かない……。行かなきゃ……。早く……あいつを止めないと……。動け……。動いて……!
「ぐ…うぅ……!」
「くっ…!うぅ…!はっ…ああ……」
動け……勇者になって……私がみんなを助けるんだ!
「はあ…!うおおおおおお!!!!!!!」
勇者システムが起動し同時に満開を引き起こした!
これなら……行ける!
「私は…!」
「讃州中学勇者部!!」
「行けぇぇぇ!!!」
「友奈!!!」
「!!」
「友奈ちゃん!!」
「行けェ友奈!!」
『勇者!結城友奈!』
友奈の拳が太陽に直撃した。
そこからは良く見えなかった
いや──そもそも急に意識が持ってかれたのだから──わからないという方が正しかったのか
「何…が…」
意識はここで途絶えた。
◆◇
──太陽と共に御霊が爆発し、花が散った
──6人の勇者の変身が解除され、精霊が消えた
「ん……?」
「終わった……の?」
「──!友奈ちゃん⁉︎ 優樹君⁉︎」
二人とも様子が変だ!
「友奈ちゃん!優樹君!」
私の呼びかけも虚しく──樹海化が終わった
シンフォギアの「生きるのを諦めるな」ってセリフが好きです。
クリス推しだけど奏も良いよね……。次回が終わったら結城友奈の章までで出せる範囲の設定集も書こうと思ってます。それと前書きでも書きましたが、次回は重大発表があります。やはり私は戦闘描写が苦手である…。
さて、予告になります。
【最終話予告】
──私たちの戦いは夢物語だったわけじゃない 初めましてだね 俺の名前は── なぜここに…⁉︎ 姉さん…… 生きるのを諦めないでくれ 僕はあなたの事が──
……ただいま
最終話 あなたを信じて待つ