安芸優樹は勇者である   作:三奈木イヴ

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文章が下手でも毎週投稿出来てることを誇っても良いと思うのです。
月1投稿から週一投稿に変える修行は順調だと思っています。
第二章はもうすぐ終わります。


ひとときの幸せ

×月×日 勇者達の戦いが激化しているらしい。

 

この先は書くことができなかった……。もしもこれを見返すことがあれば、思い出してしまうから。

俺の脳裏には昨日の出来事が浮かんだ。

 

「若葉……友奈は……?」

 

友奈が重症を負った。その知らせを聞いたのは、ひなたからの電話だった。

 

『友奈さんが先の戦闘で重症を負いました』

 

俺は血の気が引いた。報せを聞いた時の俺は神に祈った後だったからだ。どうすれば大切なものを守れるのかと。未だに答えの出ない事を聞き続けた。だが声は聞こえなかった。

 

「……すまない」

 

「これが……あなたの引き起こした結果よ」

 

「っ……!」

 

「姉ちゃん……」

 

先の戦闘で負傷したのは友奈だけでなかった。

俺とひなた以外の全員が何かしらの怪我を負っていた。

 

「……私の無策と突出が原因だ……」

 

「違う……!あなたはやっぱりわかっていない!」

 

「一番の理由は……あなたが復讐の為だけに戦っているからよ!」

 

姉ちゃんの怒号が室内に響き渡った。

 

復讐……か。怒りに身を任せて戦いに臨んでこうなったって事か……。だが、俺には責める資格はない。かつて姉ちゃんを守る為に村の連中を闇討ちした時が正にそうだったから。勇者でない俺が、若葉を責める事なんて出来ない……。

 

◆◇

 

「……姉ちゃん、起きてる?」

 

「景義……どうしたの?」

 

寮へ帰ってきた後、俺は姉ちゃんの部屋を訪ねていた。

 

「怪我は……大丈夫か?」

 

「ええ。でもしばらくは戦えないわ」

 

姉ちゃんが不満そうにそう言った。

 

「……姉ちゃんは頑張ったよ」

 

「えっ……?」

 

「いや、なんでもないよ」

 

……無力な俺には何が出来るのだろうか。

ただ祈るだけじゃなくて、姉ちゃんやみんなの為に俺に出来る事を探すんだ。

 

「友奈は……きっと戻ってくるよな」

 

友奈が居ないだけで、こんなにも不安になってしまう。

 

「もちろんよ……。高嶋さんは……すぐに戻ってくるわ」

 

「……そう、だな」

 

そうだ……友奈は絶対に戻ってくる。だってアイツは強いから……きっと……きっと大丈夫だ。

 

◆◇

 

それから暫くは回復に努めた。

怪我がなく動ける二人──ひなたは一度大社に戻り、俺は友奈の見舞いだ。

 

「──若葉」

 

「景義……」

 

先客がいたようだ。

 

「友奈は?」

 

「……」

 

若葉は無言で首を横に振った。そうか……まだ目覚めないか。

 

「景義」

 

「なんだ」

 

「私はどうすれば良いのだ……」

 

「……は?」

 

「……先日の病院での事をひなたに相談したんだ。だが、答えは自分で出すしか無いと言われたんだ……。」

 

「……俺もひなたと同意見だ。それについて俺から言えることはない」

 

「か、景義まで……」

 

コイツは何も見えてない。他者の事も、自分自身の事も……ただバーテックスに復讐するという目的に囚われている。

 

「……ひなたはお前のことを信じて言ってくれたんだろう。若葉なら答えを出せるって」

 

「ああ……確かにひなたに言われたが……」

 

「ひなたが言ったんなら大丈夫だろ。そんじゃ俺は帰る」

 

「あっ、おい……!」

 

若葉ならきっと大丈夫だろう……ひなたの言うとおり、自分で答えを見つけられるはずだ。

 

◆◇

 

「景義!どこ行ってたんだ!」

 

「トイレだよ。何かあった?」

 

「杏と若葉が深刻そうな雰囲気をして学校を出て行った。後をつけるぞ」

 

「なんでだよ」

 

「殴り合うかもしれないだろ!?」

 

「アイツ等がするわけねえだろ。若葉はまだしも杏だぞ?」

 

杏は荒事が苦手だから流石に無いだろうとは思う。

 

「ぐぅ……それでもわからないだろ!念のためってやつだ!それに千景も一緒に来るぞ!」

 

「な、なんで私が……」

 

「よっしゃ行くぞ」

 

俺は手のひらを返した。姉ちゃんも来るなら話は別だ。杏と若葉が何をするのか知らないが俺は構わない。久しぶりの姉ちゃんとの外出だ。

 

◆◇

 

「……どう見ても喧嘩しそうな雰囲気じゃなさそうだぞ?」

 

「そうだな……」

 

「あれ、姉ちゃんは?」

 

「っ……」

 

後ろを見てみると、電柱の影に姉ちゃんが隠れていた。

猫かな……?

 

若葉達を尾行してみるも、球子の懸念はハズれたみたいだ。むしろ若葉はまるで憑き物が落ちたような顔つきになっていた。

 

『そろそろ丸亀城に戻りますか』

 

『球子辺りが心配してそうだしな』

 

「タマがどうしたって?」

 

「わ!?」

 

えっ、いつの間に……!?

 

杏達が帰ろうと提案していたところに後ろから球子がニョキっと接近していた。

 

「どうしてここに?」

 

「深刻そうなして出て行ったから喧嘩するかと思って付けてきたんだ」

 

「しないよ」

 

「だから言ったろ」

 

「珠子や景義にも心配をかけてしまったんだな」

 

「べ、別にいーよそんなこと」

 

「安心しろ、俺はそこまでだ」

 

「景義!?」

 

若葉のツッコミを俺は無視した。

 

「まぁ、俺や球子のことはさておき、姉ちゃん出てきなよ」

 

「……っ」

 

俺が促すと姉ちゃんは渋々と姿を現してくれた。

 

「千景……」

 

「私は土居さんと景義に無理やり連れてこられただけよ」

 

「姉ちゃん……ソワソワしてたように見えたけど……?」

 

「ソワソワなんてしてないわ」

 

「本当か千景?」

 

球子がニヤついて姉ちゃんにそう言った

 

「ほ、本当よ!」

 

姉ちゃん動揺してる……。

 

「若葉、お前の悩みは大丈夫そうか?」

 

「……そうだな」

 

答えると同時に若葉が頭を下げた。

 

「みんな、すまなかった。過去に囚われ、復讐の怒りに我を忘れて、一人だけで戦っている気になっていた。」

 

「これからはもう、そんな戦いはしない」

 

若葉は頭を上げ、決意を露わにした。

 

「今生きる人々の為に私は戦う」

 

「だからこれからも共に戦ってもらえないか」

 

それが若葉の出した答えか……。ちゃんと答えを見つけられたじゃないか。

 

若葉の決意に杏と球子が賛同した。

 

「もちろん リーダーは若葉さんですから」

 

「当たり前だろ!タマに任せてタマえ!」

 

あとは、姉ちゃんだけだ。

 

「……言葉ではなんとでも言える。だから──」

 

「行動で示して。そばで……見ておくから」

 

姉ちゃん……素直じゃないんだから。

 

「ああ、心しておく」

 

でも、これで勇者達のわだかまりはもう無いだろう。あとは友奈が目覚めてくれれば心配する事なんてほとんど無いんだけどな……。

 

◆◇

 

これは……夢……。今度は何を──

 

『球子……杏……』

 

手を繋ぐ二人の少女

 

『姉ちゃん……!』

 

何かを伝えた少女

 

『友奈……!』

 

そして──姿すらなく、ただ名前を叫ぶ少年と少女……

 

「ハッ!!ハァッ……ハァッ……」

 

な、なんだったんだよ今の夢は……。

いつものように夢を見た。しかし、今回のは胸騒ぎがした。

俺が夢を見る時は、大抵ほとんど忘れるはずなのだが、今回は忘れることができなかった。

 

「何が……あるってんだよ……。」

 

夢の中で見えた光景──全て叫んでいた……。どれだけ祈ってもお告げみたいなものが降りてこないと思ったら夢で見せてきたか……。だが、これも何か起こるってことなんだろうか……。

 

「神は俺に何をさせたいんだ……?」

 

今回のはただ叫んでいるところしか見えなかった……。これから何が起きるのかわからない……。杏と球子、友奈……そして姉ちゃん……。何故勇者達だけでその中でも若葉だけ居なかったのか……。もしかしたら俺やひなたの身にも何か起こるのかもしれないが……ほとんどわからなかった……。

 

「……クソッ、こんなんで俺は姉ちゃんの事を守れるのかよ」

 

いつまでも守られてるだけの俺じゃなくて、あの時みたいに姉ちゃんを守れるのならば……。

 

たとえ愚か者と言われようとも、俺は勇者になりたいと願い続ける。

 

その想いは変わらない

例えこの身が朽ち果てようとも

 




タイトルはひとときの幸せですが、幸せを描写出来てないな。
いや、()()()()()()少なからず幸せな日々を送れていたんです。そして景義は勇者になりたいと願い続けるただの愚か者となりました。

そんなわけで【次回予告】

球子と杏が──
私は、死にたくない
あなた達のせいで……


次回 愚者の言葉
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