安芸優樹は勇者である   作:三奈木イヴ

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久々に余裕を持って執筆出来ました。
期限に追われない執筆って楽しいですね。


姉と弟

目を覚ますと、不思議な空間に立っていた。

 

──知らない空間だ。ここは一体…………まさか

 

「──俺は……死んだのか……?」

 

一体なんで──いや、思い出した。

 

「俺は……姉ちゃんに……」

 

俺はあの時、姉ちゃんに腕を斬られたんだ。そしてそのまま意識を失ったって訳か……。

意識を失う直前、若葉の声が聞こえたが……姉ちゃんは無事だろうか。

 

『郡千景なら無事だよ。』

 

突如、頭の中に声が響いた。

 

「誰だ!?」

 

一体どこから……? 辺りを見渡してみるものの、広がるのは空間だけだ。

 

『誰だとはひどい。何度かお話ししたというのに』

 

「話だと……?」

 

頭に響き続ける不思議な声に聞き覚えは無い。

 

『……まあ、話したというよりは、勝手に()()()という方が正しいか』

 

「見せたって──まさか!」

 

俺の予想が合ってれば……この声の正体は──

 

『其の通り。僕は君に夢という形で確定した未来を見せてあげたんだ。まあ、人類の呼び方で言うのなら──()()って言えば良いのかな?』

 

「神樹……」

 

大社や若葉達が神樹様と呼んでた存在がここに……

 

「本当に神樹ってなら答えられるよな?少し前に杏達が死んだのは決まってた事なのか?」

 

『そうだよ』

 

そう答えた声のトーンは変わっていなかった。

 

『僕に出来るのは確定した未来を見せる事。少なくともこの時代はもう変えようがない』

 

そのまま神樹は語り出した。

 

『僕はいわゆる複数の神の集合体だ。僕以外にも沢山の神が宿っている』

 

『そして僕の役目は、巫女に神託と称してこれから起こる事を少しだけ見せる事なんだ』

 

「それが……神託の真実か。だったら聞きたいんだが、なぜ俺なんだ……いや、聞き方が悪かったな。なぜ巫女でも勇者でもない俺にあんな風に未来を見せたんだ!」

 

未来だと確信してもきっと変えられなかった。それなら最初から知らない方が良かった…………。

 

『……君だからだよ』

 

「は……?」

 

俺は、この自称神の言葉の意味がわからなかった。

 

『自称って失礼だね。まぁいいや。さっきも言ったけど、僕は本来確定した未来を見せる程度の事しかできないんだ。だけどね』

 

自称神は一呼吸置いて語り出した。

 

『僕が知ってる世界では、君は居なかったはずなんだよ』

 

「どういう事だ……」

 

『簡単に言うとね、君はイレギュラーってやつさ』

 

「イレギュラー……」

 

『そう。本来なら郡千景に弟なんて存在は居なかったし、君が腕を失った出来事は乃木若葉が割り込む事で起こらないはずだったんだよ。でも、それが一部変わった』

 

「俺が腕を落とされた事か」

 

『そうゆう事』

 

俺の行動は無駄だったのか……?

いや……例え若葉が割り込むとしても、あれは姉ちゃんを止められなかった俺の罪だ……。

 

『君は健気だね』

 

『ただ郡千景を守りたいという一心からあそこまで行動できるんだからね』

 

まるで全部知っていると言いたげな口ぶりだった。

見透かされてるようで気持ちが悪い。

 

『見透かすも何も僕には全部見えちゃうんだよね。君が何をしたのか、なんで行動したのか全部』

 

「覗き見野郎が……。」

 

せめてもの悪態をついた。

 

『言い得て妙だね。まあ話はそこそこにして──本題に入ろうか』

 

「ッ……!!」

 

声色が変わった。今まではおちゃらけたような話し方だったが、口調は変わらずだが、声のトーンはさっきよりも下がっていた。

 

『君がここに来たのは、僕が呼んだからだ。タイミングとしてもちょうど良かったしね』

 

「呼んだ……それにタイミングだと?」

 

どういう意味だ……

 

『言葉の通りさ。普段、神託を降ろす時は巫女が僕達のところへやってくるんだが、君は特殊だからね。直接呼ばせてもらったんだ』

 

『巫女でもないのに神の声を聞ける者。つまりは君の事だが、今まではあまり干渉出来なかったんだよね。ほら、一時期何も見せなかったことがあったろう?あの時さ』

 

「確かに……それで巫女のように祈っていたがな」

 

『見させてもらったよ。その祈りのおかげでこうして話せてるしね』

 

『祈りもそうだが、君が死にかけていたってのも大きい。意識が無いから呼びやすかったよ』

 

「……なんだと?俺は生きてるのか?」

 

死んだものだと思ってたが……生きていたか。

 

『乃木若葉が君達を病院まで運んだからね』

 

「は……?君達って……姉ちゃんもか!?」

 

『そうだよ、郡千景は錯乱状態にあったからね。今は落ち着いたみたいだけど』

 

俺のせいだ……。姉ちゃんに手を汚させてしまったから……俺がもっと上手くやれば……

 

『それは違うよ。これは決まっていた事だから。だからもう、変えようが無かった。』

 

結局こうなる運命だったってわけか……。クソったれ

 

『それでね、この時代はもう変えようが無いんだけど、今から頑張れば未来は変えられるんだ。とは言っても、君たち人間にとっては()()()()()()()だけどね』

 

「未来を……変える……」

 

『そう。そしてその為に必要なのは、君の存在だ。』

 

「俺の存在が……」

 

『うん。だからね、僕から君に最後の神託さ』

 

「最後……だと?」

 

『もうすぐ戦いが終わるからね。君ももう長くないし』

 

「なんだって……⁉︎」

 

俺が長くない……どういう意味だ?

 

『そのまんまだよ。君の命はもう長くない』

 

「……それも決まった未来だってか?」

 

『ご名答。でも君は未来を変える為に必要なんだよ』

 

「は……? じゃあ、俺が死んだらそんなもん意味ないんじゃないか?」

 

『君の生き死にはそこまで関係無いよ。強いて言えば──伝える事……かな』

 

「伝える事……だと?」

 

俺にはさっぱりだ。

 

『改めて、僕から君へ最後の神託だ』

 

『『遠い未来の為に書籍を遺し、乃木若葉と花本美佳にそれを託す』だよ』

 

「書籍……だと?」

 

まさか……日記か?

 

『日記も大事だけどね、もう一冊だ。大まかで良い、歴史を記すんだ』

 

「歴史?それはいつから?ていうかなんで若葉と花本だけなんだよ?ひなたは?」

 

『始まりはあの忌々しい天の神がバーテックスを人類に(けしか)けたあの日からだよ。そして戦いが終わるまでだ。日記についてはそれも含めて自分の心情とかを遺して欲しいんだ』

 

それを遺して何が起きるのかはわからない。コイツの言う通りにしてもその結果は破滅かもしれない……だが、俺はもう長くないらしいしな。なら、最期くらい誰かを信じてみるのも良いかもしれないな。

 

『ひどいなぁ……僕はそんな悪いヤツじゃないって。それと、乃木若葉達の事だけどね、上里ひなたには絶対に知られてはいけない。もし彼女に知られたら後が面倒なんだ』

 

「後が面倒……?」

 

『上里ひなただけならまだ良かったんだけどね、上里ひなたの子孫が面倒なんだよ。それは未来の事だけど絶対に知られてはいけない。』

 

「わかった。それでこれは記憶に残るのか?」

 

『もちろん。目覚めた後、書籍を遺せないと未来を変えられないからね。僕の知ってる本当の未来になっちゃう』

 

「それは責任重大だ」

 

『じゃあ、頼んだよ。次に会うのは多分君の──』

 

声が徐々に聞こえなくなり、意識が引っ張り上げられる感じがした……。

 

◆◇

 

「……ぅ」

 

「──っ! 景義君!」

 

うっすらと目を見開くと、見知った顔が映った。

 

「……ォ……さん」

 

それは、弥勒のおっさんだった。

 

「景義君、私のことわかりますか?」

 

「ぁ……」

 

掠れた声しか出なかったので、かろうじて動く目で返事をした。多分、伝わったか?

 

「良かった……。友奈さんだけでなく君まで入院したと聞いた時は寿命が縮みましたよ……」

 

「……」

 

「とりあえず、目覚めたのだから検査がありますね。ナースコールしておくんで私は一度出てきます」

 

そう言っておっさんは出て行った。そして入れ替わるように看護師が入ってきた。検査か……情報の整理をしたいのだが仕方がない。

 

◆◇

 

「やっぱりダメだったか……」

 

さっきより言葉が出るようになった俺は自分の右腕に視線をやった。入院服の袖がダラんと垂れているのを見ると、もう右腕が無いんだって事を嫌でも理解してしまう。

 

結論から言うと、切られた俺の腕は繋げられなかったらしい。俺が意識を失ってすぐ若葉が俺と俺の腕を運んだらしいが、今の病院では失った腕を繋げる余裕も無いそうだ。まあ、こんな時代だからな……。3年以上経ったとはいえ、薬も貴重だろう。

 

そして、姉ちゃんの処遇を弥勒のおっさんから聞かされた。

 

姉ちゃんの処遇は謹慎だそうだ。今は引越し先の丸亀の家に居るらしい。

 

「……俺のせいだ。俺が……姉ちゃんを止められれば……。」

 

たとえ決まっていた未来だとしても……こんなのあんまりだろうが……!

 

「だが……未来を変える……か」

 

もしも今を変えられるのならば……姉ちゃんを止められるはずだ……。だが、それは叶わない事だ。

 

◆◇

 

「──胸騒ぎがする」

 

目覚めてからしばらくリハビリも兼ねて神樹の神託に従って書籍を書いていた時、突然胸騒ぎがした。理由はわからない。

 

外は雨だが、今すぐ行かなければならない気がした。

 

「ただ、どうやって抜け出すかだが……」

 

これでも一応入院中の身だ……。どうにか抜け出せないか……。

 

幸か不幸か外は雨だ。人は殆ど外に出てない。

もしかしたら傷が開くかもしれない。だが……たとえ無駄足になろうともやるしかない。

 

「……行こう、丸亀城へ」

 

俺は……病院を脱走した。

 

◆◇

 

「くっそ……雨酷くないか?」

 

少なくとも病院を出る前より降ってるぞ……

 

ザーッと振り続ける雨の中、歩き続けるも少々キツイ。

 

一応怪我人だしな……しかもリハビリ中の身だ。

 

「傘持ってこれば──いや、無理だな……」

 

傘なんて探してたら脱走なんて出来なかった。何かを得るためには何かを捨てなければならない……だな。

 

「少し急ぐ……か」

 

胸騒ぎが大きくなった気がした俺は歩く速度を上げた。

 

◆◇

 

「頼む……杞憂であってくれ……」

 

もうすぐ到着だが……雨は止まない。

何故か心臓の鼓動がバクバクとうるさく感じる。

 

「千景……!!」

 

「!!」

 

この声は……若葉……⁉︎

姉ちゃんの名前を呼ぶ若葉の声が聞こえたが、その声は穏やかなものでは無かった。

 

俺は無理やり走った。腕が酷く痛むがそんなもん関係ない

 

そして──悲劇を目の当たりにした。

 

「──姉……ちゃん……」

 

そこに居たのは、勇者服を纏った若葉と制服姿で血の海に倒れたいつもの制服姿の姉だった。

 

「姉……ちゃん……?」

 

嘘……だよな?なぁ……?

 

「若……葉」

 

俺は若葉達のところへ寄ろうとしたが、足が進まなかった。

 

「……なあ、嘘って言ってくれよ……」

 

俺の目からは、雫が垂れていた。

 

それは雨なのか……涙なのか……判別がつかない程に溢れ出ていた。

 

「あ……ああ……姉ちゃん…………」

 

「景……義……」

 

「うわあああああああああああああ!!!!!!!!!!」

 

俺は叫んでいた。

その叫びは──慟哭

己の命よりも大切な存在を失った悲しみからだろうか。それとも──

 

「うぅ……あぁ……姉……ちゃん……」

 

なんで……なんでだよ……俺は信じないぞ

 

姉ちゃんが──死ぬなんて……。

 

そんな事……あるはずが無いんだ…………。

 

◆◇

 

──郡千景が死んだのは、私の責任だ……。

 

「私が……もっと強ければ……」

 

「若葉ちゃん……そう自分を責めすぎないでください」

 

「わかっている……だが、千景は……」

 

郡千景は私を殺そうとした。

だが、あれは千景の意思では無いはずだ……。あの時の千景は景義の件でも同じような状態だった……。あの怒りの感情は、精霊によるものだ。

 

だが私は止められなかった。千景を死なせてしまった。

 

『──嫌いなのと……同じ……くらい……あなたのことが……好き……だっ……た……』

 

『かげよしを……お……ねが……』

 

私は千景の最期の言葉を思い出した。

 

「……景義」

 

私は景義に恨まれているかもしれない……。だが、それでも構わない。姉の仇と捉えられても……私はお前の選択を尊重する。

 

◆◇

 

「姉ちゃん……!」

 

「俺のせいだ……俺のせいで姉ちゃんは死んだ……!」

 

あの後若葉から話は聞いたが、耳には全く入ってこなかった。

だが、姉ちゃんの葬式の事だけは何故か耳に入ってきた。

姉ちゃんは若葉を殺そうとしたらしい。そして勇者を神聖視する大社は勇者の神聖を汚す事を恐れ、家族に任せるそうだ。ふざけやがって……アイツらがそんな事するわけが無いだろう。大社も……あの村の奴らも……あの両親も……俺がこの手で──

 

「景義君」

 

「……おっさん」

 

「やつれましたね。無理もないですが」

 

「なんだよ……しばらくは人に会いたくないんだけど」

 

姉ちゃんを失って……病院に連れ戻され……今は人と会う気になれなかった。

 

「……お姉さんの事は残念でした。大社としてではなく、ただの弥勒としてお悔やみ申し上げます」

 

そう言いながらおっさんは頭を下げた。

 

「……」

 

「景義君、報告すべき事があるのですが聞きますか?」

 

「聞かない」

 

今は何も聞きたくない。

 

「そうですか……聞きたい時はいつでも呼んでください。私は景義君の顔も見れた事ですし、仕事もあるので帰ります。」

 

「……」

 

「そうだ、帰る前に一つだけ。まあ、おっさんのお節介とでも思ってください。……景義君、どうか生きるのを諦めないでください。もしも君がお姉さんの為に成し遂げたい事があるのなら、たとえその為でも良いので生きてください」

 

「おっさん……」

 

なんで……なんでおっさんはそんな言葉をかけるんだよ……。姉ちゃんを失ってすぐの俺は……いや、あんな状態は思い出したくもない。成し遂げたい事……まさか、気づかれてるのか……?

 

「では、今度こそ失礼します」

 

もう一度頭を下げておっさんは帰って行った。

 

「俺は…………ッ!」

 

溢れ出そうになる感情に身を任せ、手元の書籍を投げようとしたその時、あの時の神託がフラッシュバックした。

 

『君は未来を変える為に必要なんだよ』

 

「……未来か」

 

聞いた時はどういう事かと思った。だが……今となってはもう無用の長物だ。

 

「未来だけじゃない……俺の成し遂げたい事……か」

 

おっさん……俺はね……姉ちゃんの側に居たかったんだ。

あの胸糞悪い村から離れて、一緒に学校へ行って、一緒に飯食って、一緒にゲームをして……姉ちゃんの笑顔を見たかったんだ……。

 

「でも……そうはならなかった。俺は守る事が出来なかった」

 

もしも俺が勇者になって姉ちゃんと肩を並べる事が出来てたら……。

 

「ちくしょう……!」

 

俺は……俺はもう……!

 

◆◇

 

「久しぶり……か」

 

この教室に来るのも

俺は教室の扉に手をかけた

 

「……よう」

 

「景義……!戻ってきてくれたのか」

 

「景義さん」

 

「かげくん!」

 

今日は久しぶりに学校に行った。

教室に入ると、若葉とひなたと友奈が出迎えてくれた。ただそれを見ると、もう姉ちゃんたちが居ないって事を改めて実感させられた……。

 

「……若葉、姉ちゃんを看取ってくれたみたいだな……ありがとう」

 

「いや……私は……」

 

「まあまあ、せっかく景義さんが戻ってきてくれた事ですし、記念に1枚撮りましょう!」

 

「え、やだ」

 

俺は即答した。

 

「かげくん昔から写真撮りたがらないよね」

 

「まぁ……好きじゃないんだよ」

 

まだ家族がまともだった頃もそんなに撮ってないからな。

今は俺の存在をあまり記録に残したくないってのもあるがな……。

 

◆◇

 

「中々慣れないもんだな……左で文字を書くというのは」

 

利き手だった右腕はもう無い。だからリハビリで書けるようにした。だが、最低限書けるというだけで元の右手のようにはまだ書く事が出来ない。戦いが終わるまで……か。それと一番最初のページもだな。あれは未来へのメッセージだから……あとどれくらい戦いが続くのかわからないが、とにかく出来るだけ書くしかない。それと……花本の居場所も掴まなければならない。

 

若葉と花本に託せとの事だったからな……。ひなたが言うには花本は姉ちゃんの遺体と共にどこかへ消えたそうだ。俺としてはありがたい話だった。なんせあの両親の事だ、どうせクズだなんだと言って葬儀なんてあげるはずが無い。それなら他の誰かが葬ってくれればそれで良い……。だが、俺はまだ会えていない。花本を見つけたら姉ちゃんに手を合わせるんだ。

 

○月×日 今日は久しぶりに学校に行った。だけどもう、姉ちゃんは居ない。球子と杏も居ない……。なんとも寂しいものだ。

 

「……俺は、あとどれくらいで姉ちゃんのとこへ逝けるんだろうな」

 

今の言葉は若葉に聞かれたら殴られそうだな……あと弥勒のおっさん。

 

病院の件以降、俺はおっさんと会っていない。

顔を見せに行こうかとも思ったが、いかんせん気まずい。

 

「だけど……挨拶くらいはな……」

 

俺もいつまでここに居るかわからない。戦いが終わって少ししたら、ここを去るつもりだ。

 

最期は姉ちゃんの近くで迎えたいからな。多分だが、花本は姉ちゃんの近くにいる。

 

「もう一度だけ居場所が見えればな……」

 

初めて出会った時みたいに、場所がわかれば────っ!?

 

「見えた!?でも、なぜ……!?」

 

もう見えないと思ってたのに……神託とは違うのか……?

 

確かに最後の神託と言われたはずだったが、何故か花本の場所が視えた。

 

「……行くか?」

 

俺の目的の為なら今すぐにでも行くべきだろう……。

だがいざ行くにしても説明が面倒だな……。若葉と花本の間にはひなたが居る。いざ託すにしてもリスキーだ。

 

「だが……ここでやらなかったらもうチャンスは無いかもしれない」

 

ただの直感でしかない。

 

「……行こう」

 

それでも、俺は俺の直感に従う事にした。

そうとなれば……若葉には伝えておかないとな。

 

もしかしたらもう会えないかもしれない。だから……伝えないとな。

 

◆◇

 

「若葉、今良いか?」

 

翌日、俺は教室で若葉に声をかけた。

 

「なんだ景義」

 

「大事な話がある。放課後良いか?」

 

「なんだと?」

 

若葉が怪訝そうな顔で答えた。

 

「景義さんそれはどういう意味でしょうか?私もご一緒させてもらっても?」

 

同時にひなたも入ってきた。俺が出て行く事だけなら構わないが……

 

「いや、すまないが若葉と二人で話がしたい」

 

「なっ⁉︎」

 

「……そうですか。なら私はおじゃま虫ですね」

 

何故か若葉が赤面し、ひなたはニヤニヤしていた。

 

「?? まぁ、そういう事で」

 

ひとまず会話を切り上げた。若葉達の反応はよくわからなかった。




あと2話くらいかと思いましたが、来週の日曜日は8月31日で区切りが良いので終わらせようと思います。

次回 安芸優樹は勇者である【第二章】郡景義は勇者でない 最終話【また会う日を楽しみに】

私の中では執筆に苦労した章でしたが、いざ終わるとなると寂しくもあります。展開はガバですしちょいちょい本編の展開も飛んでますが書きたかった事は書けたと思います。あとは詰め込み過ぎないよう駆け抜けれたらなと思ってます。

ps.景義が美佳の位置を把握したのは神樹のサービスです。
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