安芸優樹は勇者である   作:三奈木イヴ

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【第二章】郡景義は勇者でない 最終話
景義の選択と安芸優樹に繋がるバトン


また会う日を楽しみに

「若葉いるか?」

 

「あ、ああ……いるぞ」

 

放課後、俺は道場を訪れていた。

いつもなら稽古の為なのだが、今日は違う。

 

「悪いな、せっかくの鍛錬の時間に」

 

「い、いや……構わない……でも珍しいな、景義が私に用事があるのも」

 

「確かに……言われてみればそうだな」

 

今思えば俺が関わってきたのは、主に姉ちゃんに友奈、それからおっさんと鷲尾先生だったもんな……あとひなた。

 

若葉や球子に杏は関わっていない訳では無かったが、なんだかんだ一緒にいる事は少なかった。

 

「それで、どうしたんだ?大事な話と言っていたが」

 

ああ、そうだった。

 

「話すと長くなるんだが、良いか?」

 

そう伝えながら俺は床に座った。

 

「……ああ、どれだけでも付き合おう」

 

若葉も同様に腰を下ろした。

 

「俺さ、ひなたと同じような事が出来てたんだ」

 

「それは……どういう事だ?」

 

「俺は、巫女のように神の声が聞けたんだよ」

 

今はもう聞けないがな。

 

「つまり、神樹様からの御神託という事か……!?」

 

「そう。まあ、俺の場合は夢という形でな」

 

「夢だから忘れてしまう事もあったけどな……だが今思えば、あれは勇者たちが死んだ時を見せられていたんだ……。」

 

「そうか……。」

 

早くその事に気づいていれば……みんなは死んでいなかったかもしれない……。

 

「それで……な、この前俺が入院してた時があったろ?」

 

「……そうだな。あの時お前たちを病院に運んだのは私なんだからな?」

 

「そういや、おっさんがそんな事言ってたな。その節は助かった」

 

あの時、若葉が来なかったら、そのまま出血多量で死んでいたな……。

 

「気にするな、私はただやるべき事をしただけだ」

 

「……話を戻すか。そんでまあ、俺が病院でくたばってる時に声が聞こえたんだ」

 

「声?」

 

若葉の疑問に俺は頷きを返した。

 

「その声は自分を神樹と名乗っていてな、いろいろ聞かせてもらったんだ」

 

「なんと……神樹様が……!?」

 

「ああ。そして()()()()()()()()を降ろした。」

 

「……!」

 

念のため辺りを見渡し、俺たち以外に誰の気配も感じない事を確認して神託の内容を告げた。

 

「…………『遠い未来の為に書籍を遺し、乃木若葉と花本美佳にそれを託す』だそうだ。」

 

「私に……だと……?」

 

若葉は驚きからか、声が震えていた。

 

「そうだ……。俺も聞いた時は自分の耳を疑ったさ」

 

「……ちょっと待て、花本美佳という名前には聞き覚えがある。確か、千景を導いた巫女の名前だろう?」

 

おっと、若葉はひなた以外の巫女とそこまで関わっていないから知らないと思ってたが、名前は知ってたのか。

 

「そうだな、あの日──お前らが勇者の武器を手にした日に姉ちゃんを見つけたのが花本と俺だ」

 

「景義も……なのか」

 

若葉は信じられないと言いたげだったが、まあそうなるか。初めて視えた時は俺も驚いたしな。

 

「俺が視えたのは夢という形で出てくる未来だけじゃなく、地震が収まった後に姉ちゃんの居場所と花本の名前が視えたんだよ」

 

「なんと……それは初耳だ。だがそれではまるで巫女のようだな」

 

「俺も同じ事を考えたよ。でも、微妙に違う」

 

俺の事がひなたにバレた時は焦ったなぁ……。今となっては大社にも知られてるっぽいし

 

「その話題を出すという事は…………景義、まさかお前──」

 

若葉の言葉を手で遮りながら、俺はこれからする事を報告した。

 

「花本に会ってくる」

 

「……その体で?」

 

「そのつもりだ」

 

今の俺は片腕しか無い。だがそれがなんだ?確かにバランスは取りにくいし不便なことも沢山あるさ。でもこの腕は俺が為すべき事を為せなかった代償だ。今更どうだって良い

 

「場所はわかるのか?」

 

「ああ、昨日視えた」

 

「最後の御神託じゃなかったのか」

 

「それは俺が聞きたいくらいだよ。出発は明日、この事は俺が出て行くまで隠して欲しい」

 

できれば誰にも知られたくないが……黙って出て行くとなると結局は発覚するからな。ならせめて情報をある程度止めてもらう方が良いだろう。

 

「随分と早いんだな。だがその前に聞かせろ、何故神樹様は私と花本さんを選んだ?何故ひなたではない?そもそも書籍とはなんの事だ?」

 

若葉が矢継ぎ早しに問いかけてくる。それと同時に詰め寄られてる気がするんだが……

 

「近えよ……説明するから少し離れろ」

 

「……すまない」

 

ったく……どれから話そうか……? 託す対象の件から行くか?

 

「じゃあ最初は、神託の件から答えるか。俺が神託で聞いたのは、ひなただけなら知られても大丈夫らしいんだが、後々──上里の子孫が面倒なんだと。」

 

「ひなただけなら……か。神樹様は何を視たのだろうな……」

 

「さあな……真実は神のみぞ知るってやつだろ」

 

神樹も神の集合体だしな。

 

「なら、ひなたには伏せていた方が良さそうだな」

 

「お前には悪いがそうしてくれ。花本にもそう伝えるつもりだ」

 

「……もしもバレたら後が怖いな」

 

「……違いない、それともう一つ説明することがあったな」

 

「ああ、書籍とはなんの事だ?」

 

次は書籍の件だ。神託では、俺の日記と歴史を書いた書籍を若葉と花本に託すというものだったが、日記はともかく歴史の方はまだ戦いが続いている今はちょっとな

 

「まあ、簡単に言えば俺のその日あった事とか書いた日記とバーテックス襲来の日から始まる大まかな歴史だよ」

 

「時々何かしているなとは思っていたが、そういう事だったのか」

 

「日記はここに来た時点で書き始めていたからな。まあ、一時期紛失していた訳だが」

 

結局、なんで紛失していたんだろうな。失くすようなとこに置いた覚えは無いし、探せるところは全て探したはずなんだが……。

 

……ああ、そうだ。おおまかな歴史を書いた書籍は初めのページは何も書いてなかったな。全てが終わったら書いておくか。あとは……俺の寿命が残り少ない事──はいいか。どうせその時が近づいたら姿を消すつもりだし。

 

「そうだったのか。景義、私はお前の選択を受け入れはするが、一つだけ聞かせてくれ。──ここには戻ってくるのか?」

 

そう問うた若葉の目は逸らす事を許さない、逸らせば斬られかねない程の圧を感じた。

 

「そのつもりだ。花本と話をして、確認すべき事を確認して戻ってくるつもりだよ」

 

ただ若葉以外にこの事を告げる気は無いので戻ってきた後は考慮しない。いろいろとおっかないのが居るけど今は忘れよう……。

 

「わかった。景義、必ず戻って来い」

 

「ああ、頼んだぞ若葉」

 

交渉成立だ。日記はもうそこまで書くスペースが無いから託す準備もしないとだな。それと、あの場所へ向かう準備も。

 

◆◇

 

「……行くか」

 

時刻は朝の5時 こんな時間でもそこそこ明るい。

 

今から出れば始発のバスには間に合うだろう。

目的地は今も視えている。高知にある神社だ。

 

「──いってきます」

 

あとは任せたぞ、若葉

 

◆◇

 

「〜〜〜♪」

 

バスの中で、お気に入りの歌を口ずさんでいた。

今はそんな気分では無いはずなのに……。何故か口ずさむあの歌

 

「まもなく──」

 

っと……到着か

 

この後、たとえ何があったとしても……俺は受け入れる。花本のところには……多分、姉ちゃんが居る。

 

「降ります」

 

ここからは歩きだ。でもそこまで遠い訳じゃない。

 

「成せば大抵なんとなる……ってか」

 

って……くだらない事言ってないで早く行かねえと

 

◆◇

 

「ここか……」

 

目的の場所に足を踏み入れた途端、ずっと見えていた花本の位置が見えなくなった。本当にこれが最後なのだろう。

 

「──誰ッ!?」

 

目的の場所である神社へ足を踏み入れると、落ちていた枝を踏んだらしく、パキッという音が響き渡った。それと同時、警戒するような声が聞こえた。

 

「怪しいものじゃない。俺だよ、景義だ」

 

俺は左手を上げて己が無害である事を示した。

 

「──郡様……何故、ここに……⁉︎」

 

花本は驚愕していた。反応を見る限り、ここを知っているのは花本自身と花本をここに送り届けた人物だけなのだろう

 

「神樹に導かれたんだよ。初めて会った時みたいに」

 

「神樹様が……」

 

「──彼岸花か……綺麗だな」

 

境内の一画に咲き誇る無数の赤い彼岸花。そして()()()()()()()のように一輪の白い彼岸花が咲いていた。

 

「花本」

 

「はい」

 

()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

俺は確信を持って尋ねた。

 

「はい……。郡様はこの下で眠られています」

 

一瞬の沈黙の後、花本は応えた。

 

「そうか……姉ちゃんを弔ってくれて、ありがとうな」

 

たとえ家族でなくても、こうしてきちんと弔ってくれる人がここに居たんだ……。これなら姉ちゃんも浮かばれるだろう……。

 

「いえ……私はただ郡様をお慕いしてただけです……。」

 

「それでも……姉ちゃんを想ってくれる人がいる事実が大事なんだよ」

 

俺は……姉ちゃんが眠る場所に手を合わせた。

 

「姉ちゃん……久しぶりだな」

 

俺のせいで……ごめんな。俺ももうすぐそっちに行くから……

 

「あの……郡様──」

 

「景義で良いよ」

 

「っ⁉︎」

 

花本は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていた。

 

「どうした?」

 

「私は……郡様をお慕いしてますが……名前で呼ぶなど不敬ではないでしょうか」

 

「えぇ……」

 

思わず困惑の声が漏れ出た

 

「何言ってんだよ……慕ってるとは言うけどよ、姉ちゃんはまだしも俺はそんな出来た人間じゃないんだよ。だから正直、様を付けられるのもむず痒い。普通に呼び捨てで良いよ」

 

「ですが……」

 

「不敬も何も無いっての。俺は郡千景のたった一人の弟の郡景義だ」

 

「……ッ」

 

「俺はただの景義として花本美佳と話をしにきたんだ」

 

「……話?まさか私を連れ戻そうと大社から説得を命じられたんですか?」

 

おっと、そう来たか。まあ全く違うんだが

 

「違う。そもそも俺は大社が嫌いだ」

 

「ではなぜ……」

 

「言ったろ?ただの景義として話をしに来たって。俺もいろいろあってな……お前に頼みたい事があるんだ」

 

「頼みたい事……ですか?」

 

「ああ……。実はな、神樹から俺に最後の神託が来たんだ」

 

「神託が……」

 

俺は若葉に伝えたように神樹からの言葉を花本に話した。

 

「そういう訳だ」

 

「……右腕を失ったとお聞きしていましたが、そんな事に……」

 

「……こういう事さ。それで頼みたい事、なんだがな……」

 

俺はもう長くないらしいからな……だから──

 

「俺の最期は、ここで迎えたい」

 

そう言って咲き誇る彼岸花を指差した。戦いが終わって若葉達に書籍を託した後、俺は姉ちゃんの元へ行くつもりだ。だから……死に場所はここで良い……否──()()()()()

 

何言ってるんだと思われても仕方がない。断られてもしょうがない。もしもそうなったら、その時は一人孤独で最期を迎えるつもりだ。

 

だが、そんな予想とは裏腹に花本の答えに俺は絶句した。

 

「もちろんです。郡様──いえ、景義様がお望みであるのなら」

 

花本はさも当然のように答えた。

 

「良い……のかよ?だって……ここは」

 

「構いません。だって景義様は……郡千景様のたった一人のご家族なのですから」

 

「花本……」

 

目頭が熱くなった気がしたけど、涙は出なかった。

涙なんて……もうとっくに枯れ果てたから

 

美佳(よしか)とお呼びください」

 

「そうだな……。じゃあ改めて……美佳(よしか)、この日記を託すぞ」

 

事前に用意していた日記を美佳に託した。あとは……もう一冊だ。

 

「はい……確かに託されました」

 

「その日記の処遇は煮るなり焼くなり捨てるなり若葉と相談して好きにしてくれ。もう一冊は書くもん書いて若葉に託すつもりだが、こっちは未来に継承してくれるとありがたい。」

 

「継承ですか?」

 

「そう。もしもこの先、俺みたいなイレギュラーが現れたら、その家に預けてほしい」

 

神樹の言ったように未来を変える事が出来れば、俺は未来を変える奴にそれを託したい。

 

「……わかりました。乃木様には私から伝えておきましょうか?」

 

「いや、それは俺から伝えるつもりだ。美佳と相談して判断してほしいと」

 

「わかりました。では、そのように……。」

 

よし、これで良い。これでもう一冊を託せば……俺の役目は終わりだ。未来へ繋がる──さしずめ俺からの呪いのようなものだ。

 

勇者になる事を願い続けた愚か者からの呪いを……。

 

「美佳」

 

「はい」

 

「最後に俺からお願いだ」

 

未来への継承よりも大事な事……それは────

 

「俺が死んだら、()()()()()()()()()

 

「──っ⁉︎」

 

「『郡景義なんて人間は最初から居なかった』そう伝えてほしい」

 

歴史の書籍には遺すつもりだが……それ以外では俺という存在は無かった事にする。郡千景に弟なんて居なかった。それだけだ。書籍に残すのは……遺書みたいなもんだ。

 

「景義様……貴方は何故、そこまでご自分を犠牲になさるのですか?」

 

自己犠牲……か……。

 

「美佳、俺は……為すべき事を為せなかった愚か者だ。例え己を犠牲にしてでも、大切な存在を守りたかった」

 

でもそうはならなかった。俺が弱いから、俺に力が無かったから……姉ちゃんを止められなかった……姉ちゃんを失った……

 

「姉ちゃんが居ない世界なんて……俺には何の価値も無いんだよ……」

 

「……俺が死んだらそれまでさ。美佳、お前は姉ちゃんの事だけを覚えていろ」

 

「…………はい」

 

これで良いんだ…………未来を変えられるのならば…………。

 

◆◇◆◇◆◇

 

──戦いは終わった。

 

大規模な襲撃をたった二人で撃退し、一人が命を落とした。

もう一人は切り札の代償で消えない大火傷を負ったが、かろうじて生存した。

 

襲撃を乗り越え、神樹様の大規模な結界が構築された。

これにより、バーテックス──それを遣わした天の神に人類は降伏した。だが、人類は負けた訳じゃない。今は休戦しただけだ。いつの日か、必ず世界を取り戻す。

 

そして西暦の時代は終わり、神世紀が始まった。それと同時に大社は神に赦されたという意味を込め、組織の名前を『大赦』と名乗り始めた。そして──巫女達による大赦の簒奪が起こった。

 

きっかけは神に赦しを請う為に奉火祭と呼ばれる儀式を行った事にある。奉火祭によって6人の巫女が炎の中に身を投じた。

 

そして──奉火祭が行われた後、今の大赦では唯一生き残った勇者である乃木若葉を守れないと判断した上里を始めとした巫女達の行動によって大赦は変わった。

 

後のことは乃木家か花本家に聞け。俺は知らん。

まあ、どっかのタイミングで歴史は改竄されるだろうからコイツの存在はヤバいかもしれないな。そうなったらそうなっただ。検閲でもなんでもしやがれってんだ。

 

長くなったが、これで終いだ。最初のページにあるのは俺の遺書……では無いが似たようなものだ。気にするな。

 

あとは頼んだぞ

 

「これでよし……っと。さて、後は若葉に渡せば完了だ」

 

書籍を閉じ、端末を手に取り、若葉に連絡した。

 

『景義か』

 

通話は1コールで繋がった

 

「おう、例のモノ片付いたから後は頼んだぞ」

 

『そうか……遂にこの時が来てしまったか』

 

「場所は前に伝えた通りだからな。ひなたと美佳にもよろしく伝えておいてくれ」

 

『……わかった。景義、体には気をつけるんだぞ』

 

「そっちもな。若葉、あとは頼んだぞ」

 

それだけ伝えて通話を切った。

 

若葉は唯一生き残った勇者として今では象徴のような存在だ。今日はたまたま落ち着いてるが。

 

「それじゃあ、行くか」

 

戦いが終わってしばらくの間、俺は誰も居なくなった実家で過ごしていた。初めて帰ってきた時は頭を抱えたもんだ。ゴミは捨てられてないわ酒瓶は転がってるわ床に血痕があるわ挙句の果てには姉ちゃんの部屋だったと思わしき部屋もボロボロになってるわだったからな。まあ、どうせ出て行く場所だったからどうでも良かったけど。

書籍は俺の部屋に置いておくと伝えてあるので若葉が回収に来る事になっている。もしひなたに見つかったらその時はしょうがない。若葉がなんとかするだろう。

 

俺は俺の役目を終えた。あとは託すだけだからな。

にしても……

 

「丸亀から高知は遠いな……。仕方ねえけど」

 

これから行く場所は、俺が死に場所にすると決めた神社だ。

土地の所有者である美佳には許可を貰ってるとはいえ、迷惑をかけるが……俺はあの場所で──姉ちゃんの側で最期を迎える。

 

「……ギリギリだな」

 

財布の中もそこまで無い。まあ、途中で歩けばいいか。

 

「美佳、必ず届けてくれよ」

 

この場に居ない美佳に願った。

 

「しかし……短い夢だったな……」

 

姉ちゃん達と過ごせたのは……夢のような時間だった。

俺は、家に背を向けた。

 

「じゃあな」

 

小さく左手を振り、4年以上の時を過ごした丸亀市を後にした。

 

──願わくば、神樹の見た未来とは異なっていることを心の底から祈る

 

◆◇◆◇◆◇

 

「世界を取り戻す……か……」

 

最後のページを読み終え、ふと呟いていた。

バーテックスとの戦いは、こんな昔からあったんだ……。

 

「そういえば最初の勇者って……『乃木若葉』って名前だったけど……やっぱりそういう事だよね?」

 

乃木という名前を聞いてまず最初に浮かんだのは、園子の事だった。2年前……僕と東郷さんと銀と共に戦い、大赦で銀と共に祀られていた少女……。

 

「僕と東郷さんが記憶を失っても、園子と銀は覚えていてくれた……」

 

かつての戦いで失った記憶は取り戻した。それで思い出したけど、この書籍を姉さんに渡したのは花本さんだ。

乃木家と花本家で管理していたのが、いつの間にか花本家に移っていたみたいだ。

 

「花本さん……」

 

父さん達の墓で会った時の僕は花本さんを忘れていた……。

どこかで一度お話ししたいな……。

 

「……そういえば、園子と銀も動けるようになったのか」

 

僕たちの記憶が元通りになったという事は、散花で動けなくなっていた二人の体も元に戻ったという事だ。

 

「2年前か……」

 

あの時の僕たちは……まだ小学生だったのか……。園子と銀それから当時鷲尾家の養子に出ていた東郷さん……あの頃は須美か……それに僕。

 

「あの時の事は、今なら思い出せる」

 

今日の家事は終わっているし、昔の思い出に浸ろうかな……。

僕は椅子に座り、目を閉じてあの時の光景を思い浮かべた。




ここまで読んでくださり本当にありがとうございます
作者の三奈木です。のわゆが好きな方からすれば、この展開の飛び具合はふざけんなと感じられるかと思います。申し訳ありませんでした。
安芸優樹の半分の魂となった景義にスポットを当てた物語を紡ぐつもりで考えさせていただきました。この章では、家族である郡千景を愛してる少年という事で、どうしても球子や杏の影が薄くなったり、元々私が苦手とする戦闘描写が極端に少なかったりと思うところがあると思います。私の自己満足ではありますが、のわゆ時空でやりたい事は出来ました。友奈の死を知った時の景義は描写できませんでしたが……。さて、第二章はここで終わりとなりますが、物語は郡景義の未来であり安芸優樹の過去へ遡ります。

【次章予告】
神世紀298年 神樹の神託により、3人の少女と1人の少年が勇者に選ばれた。本来ならば選ばれないはずだった少年は、大好きな姉の言葉に従い勇者となった。

次回 安芸優樹は勇者である【第三章】安芸優樹の章 其の壱 あきゆうき

僕が死ねば……姉さんが悲しむ

次回更新日は多分9月4日になります。今後の事ではありますが、9月から来年の夏頃までとんでもなく忙しいので、更新が遅れたりそもそも更新出来ない日が出てくるかもしれませんが、週一更新を目安に頑張ります。どんなに遅れても本編は必ず完結させます。
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