安芸優樹は勇者である   作:三奈木イヴ

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第4話です なんとか1週間に間に合わせました……。ペース上げなければ……この世界だとまだ小学生の樹ちゃんを出したいと思う今日この頃


初めての依頼

「ごめん東郷さん、もう一度聞いても良いかな?」

 

「うん、私が車椅子なのは、1年前に事故遭ってしまって。それから記憶も一部失っているの」

 

どうやら今の言葉は聞き間違えじゃ無かったらしい。東郷さんの足は事故によるもので、更には記憶を一部失っているらしい……

 

「そういうことだったのか……。友奈は聞いてなかったの?」

 

「う、うん。流石に車椅子の理由を聞くのはね……」

 

「まぁ、それもそうか」

 

流石に親友とはいえ、理由を聞くのも憚れられたか。車椅子の時点で何かしらがあるとは思っていたけど……記憶か。僕と同じだ……

 

「こんな事言っちゃ不謹慎だろうけど、僕と東郷さんの事故は実は一緒だったりしてね」

 

ちょっと雰囲気が重たくなってきたので、せめてもの抵抗をしてみたけど……逆効果だったかな

 

「そう……かしら?」

 

「ごめん、適当言った」

 

「何それ」

 

東郷さんは、うふふと微笑んだ。 最初の印象で苦手意識があったけど、東郷さんはこんな風に笑う人なんだな

 

僕は認識を改めた

 

「そんなわけで今は記憶が無いけど、東郷さんに友奈、改めまして、これからもよろしくお願いします」

 

「ええ、こちらこそ改めてよろしくね。友奈ちゃん、それから……優樹君」

 

「私も改めて、東郷さん、優樹君!私の方こそよろしくお願いします!」

 

「そういえば東郷さん、僕のこと名前で──」

 

「ええ。私たち、まだ出会ったばかりだけど改めてよろしくってことで……私も友奈ちゃんみたいに良いかしら?」

 

「うん、良いよ。えっと東郷さんで良いよね…?」

 

「ええ、友奈ちゃんにカッコいいって言われたこの苗字が好きだから……」

 

「そうですか……」

 

何か不穏なモノを感じた……やっぱり僕、東郷さんの事ちょっと苦手だよ……!姉さん助けて……!

 

「ただいま〜女子力王の帰還よ!」

 

「風先輩おかえりなさい!」

 

「お疲れ様です犬吠埼部長」

 

「おかえりなさい」

 

「なになに?私が席外してる間に三人の友情が深まったか?青春してるわね〜」

 

うん?

 

「犬吠埼部長、見てました?」

 

「んー?何のこと?」

 

そう言う先輩の顔は誤魔化すような笑顔だ。この人、途中から見てたな…?

 

「ちなみにどの辺りから…?」

 

「東郷が安芸を名前で呼んだ辺りから──あっ」

 

あっさり引っかかった。てかやっぱり見られてた……いやまあ、僕としては、見られて困ることでもないけど…

 

「犬吠埼先輩?」

 

「風先輩、帰ってきてたのになんで入ってこなかったんですか?」

 

「あはは、ごめんね二人とも……盗み聞きするつもりは無かったんだけどねぇ……アタシとしては、1年達が青春してるとこに割って入るのもなってね」

 

青春ってなんだろう……?それはそれとして、犬吠埼先輩が持っている沢山の紙はおそらく、勇者部の宣伝ポスターだろう。結構刷ってきたようだ。

 

「いえ、僕は全然」

 

「優樹君が良いのなら私も気にしません」

 

「私もです!」

 

「そういえば先輩、その紙がそうですか?」

 

「ええ。今日の活動は、このポスターを掲示する事よ!先生からも許可は取ってるし、これ貼ってクラスでも宣伝してもらえれば、校内はなんとかなるでしょ」

 

「なるほど……」

 

「では、行きますか」

 

「はーい!」

 

* * *

 

それから数日が経過した。

 

「神樹様に拝」

 

「さよなら」

 

「行こうか」

 

「よう安芸、部活?」

 

「広瀬君!そうだよ」

 

ホームルームを終え、いざ部室へ行こうとすると、この数日で話すようになった、野球部の広瀬君に話しかけられた。

 

「なんだっけ?勇者部……だっけ?」

 

「そう!勇者部だよ」

 

「うん、名前の響きは良いがやっぱり不思議だな」

 

「まあ、最初は僕も思ったけど、もう慣れたよ」

 

まだちゃんとした活動は出来てないけど、きっと居心地の良い場所になる予感がする。何故かはわからないが、そうなる気がした。

 

「じゃあ、俺も行くわ」

 

「頑張って」

 

僕は広瀬君を見送った。それじゃあ今度こそ行こうか

今日は初めての依頼が来たらしい

 

「友奈、東郷さん」

 

「うん!」

 

「ええ!」

 

* * *

 

「結城友奈はいりまーす!」

 

「同じく東郷入ります」

 

「同じく筋肉マン入ります」

 

「はいはーい──ってちょっと待てい!!」

 

友奈と東郷さんに続いて入ると、犬吠埼部長の声が部室にこだました

 

放課後早々に元気だな、流石犬吠埼部長だ。僕も見習わなければ

 

「部長、どうされましたか?」

 

「どうしたじゃないわよ安芸!普通に入ってきなさいよ普通に!」

 

普通に…?何を言ってるんだろう…?

 

「何を言ってるんだろって顔しない!」

 

???

 

「もういいや……。結城と安芸はそこ座って。今日は勇者部創設してから初めての依頼よ」

 

犬吠埼部長はこめかみを抑えながらそう言った。

 

「おお!遂に!」

 

「この時が来ましたか…!この国を守るお役目を」

 

「部長、初の依頼はどんな事を……」

 

「今から説明するわ。」

 

そう言って、犬吠埼部長は黒板に写真を貼った──って、猫…?可愛いなぁ…

 

「実は、依頼っていうのは、この猫の捜索よ」

 

「可愛いですねぇ」

 

「私は車椅子ですが…友奈ちゃんと協力して必ずや見つけてみせます!」

 

「この筋肉にお任せあれ」

 

初の依頼は行方不明の飼い猫を探す事になった。小柄な黒猫で、クロという名前らしい 首輪は着けてるみたいだがこの辺結構、猫多いから大変だな……。

 

「それじゃあ、早速行きましょう、飼い主の方にはアタシから連絡しておくわ」

 

* * *

 

「どこだーい……」

 

依頼の現場へ行き、犬吠埼部長の案で部長、僕、友奈と東郷さんの三手に別れて探す事になったのだが……いかんせんこの辺りは猫が多い。目的は黒猫ではあるのだが、見つかるのは首輪をしてない野良猫ばかりだ。

 

「確か……青い首輪だよね…?」

 

依頼主である飼い主から伝えられた特徴を反芻しながら、猫の行きそうなところ──路地裏などを探してみるが……あれ?

 

小柄な黒猫で青い首輪──もしかして!

 

「クロちゃんかい?」

 

「ミャー」

 

まるで、そうだと肯定するかの様にチリンと首輪の鈴を鳴らしながら、僕の方へと近づいてきた。

 

「にゃー」

 

「ッ!」

 

クロちゃんを驚かせないように、僕は静かにゆっくりとしゃがみ込むと、クロちゃんがぴょんと、僕の頭に飛び乗った。

 

「ははっ…僕の頭が好きなのか?」

 

「にゃーん」

 

ちょっとした冗談を飛ばしながら、勇者部のグループチャットに報告をする。

 

優樹『クロちゃん見つかりました』

 

僕はとりあえず、事前に決めていた集合場所に向かうとしよう──ってもう返信来た

 

Fu『本当!?保護した!?』

 

優樹『今僕の頭に乗ってます』

 

Fu『じゃあ、そのまま集合場所までよろしくね』

 

東郷『友奈ちゃんにも伝えました。これより集合場所へ向かいます』

 

友奈『東郷さんから聞きました!優樹君の頭見てみたい!』

 

優樹『了解です。今向かってます』

 

友奈の声で驚かなきゃ良いけど…。クロちゃん今は頭の上で眠ってるけど、気をつけていかなきゃな。

 

「頼むから、大人しくしててな〜」

 

「ミャ〜」

 

僕の願いは、デカい欠伸で答えられた

 

* * *

 

「おっ、安芸来たわね」

 

「その子が」

 

「優樹君の頭の上に…!!」

 

友奈が目を輝かせている。これは早く依頼主の元へ行った方が良い気がしてきたな……このままだと、僕の頭ごとわしゃわしゃされかねない……猫が驚くかもしれないしそれだけは回避しなければ……!!

 

「じゃ、じゃあ依頼の猫も見つかりましたし、報告に行きましょう」

 

「そうね、行きましょうか」

 

「はーい!」

 

「ええ」

 

* * *

 

「クロ…!!」

 

「みゃお!」

 

依頼主の家へ向かうと、自分の家へ帰れた喜びからか、クロちゃんが僕の頭から飼い主さんの腕の中へ飛び移った。

 

「この子を見つけてくれて、本当にありがとうございました…!」

 

「いえいえ、このような困りごとを解決するのが、讃州中学勇者部の活動ですから!」

 

「その通りです。部長として、初の依頼を無事に解決出来て良かったです!今後もお困り事があれば、是非勇者部ホームページまで」

 

「ええ、その時はまた、お願いしますね。またウチのクロに会いにきてくださいね」

 

「はい!その時は是非!」

 

「それでは、失礼します」

 

「さようなら!」

 

依頼主の家を後にした。今回、初の依頼ではあったが、無事に見つけることが出来て本当に良かった。これで、勇者部の依頼が増える事になりそうだ。

 

* * *

 

「いやあ、皆、本当にお疲れ様!特に安芸、お手柄だわ」

 

「いえいえ、偶然見つけただけですから」

 

「私達も探してたけど、見つかって本当に良かったですね」

 

「猫を頭に乗せた優樹君はとても可愛かったわ」

 

帰りの道中、犬吠埼部長がオススメのうどん屋を奢ってくれる事になり、今はそこに向かうところだ。どんなとこだろう……。可愛いのは僕じゃなくて猫だ。きっとそうだ…うん。

 

「こうやって今日みたいに依頼を受けて、勇者として頑張るのって気持ちが良いですね」

 

友奈が言う。

 

「そうね友奈ちゃん、これも国防に繋がるわ」

 

東郷さんが

 

「ええ、これからも頑張りましょう!まずは、かめやでうどんを食べて英気を養いましょ!」

 

犬吠埼部長が

 

「いつかこの筋肉を活かせる日を」

 

そして僕が

 

4人の勇者部での活動は、まだ始まったばかりだ。頑張ろう!!

 




次回どうしよう…() 現状は木曜投稿ではありますが、今後ともどうぞよろしくお願いします
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