安芸優樹は勇者である   作:三奈木イヴ

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恋愛成分が不足しています。速筆の修行をして複数の話を並行できるようになりたい…!!


わしおすみ

「さて、洗濯も終わった事だし行こうか」

 

今日は合宿が終わってから初めての日曜日。日課である家事を終え、これから買い物だ。

 

「いってきます」

 

父さんと母さんの仏壇に手を合わせて家を飛び出した。

 

◆◇

 

「この後はどうしようかな……」

 

今日は家事もそこまで無かったのですぐに終わってしまった。買い物が終わったら手持ち無沙汰だ。

 

「まあ……買い物ついでに散歩でも──ん?」

 

電柱のところに見覚えのある女の子が二人……って、何やってるんだ?

 

「なんだか楽しくなってきたよ〜」

 

「シッ……乃木さん見つかるわよ……!」

 

「何やってんの?」

 

「わっ……⁉︎ンッ…!」

 

僕が後ろから声をかけると、声をあげようとした園子の口を須美が手で塞いだ。

 

「あ、安芸くん……!?」

 

「どうも。何してんの……?」

 

正直、今の二人は側から見ればただの不審者だった。

 

「観察よ」

 

「観察……?何を?」

 

「三ノ輪さんよ」

 

「えぇ……」

 

須美の答えに僕はドン引きした。何故……観察、まさかストーカー……?

 

「わっしーわっしー!ミノさん行っちゃうよ?」

 

「ハッ!そうだったわ……!安芸くん、あなたも手伝ってちょうだい!」

 

「え、」

 

断る余裕も無いまま、僕は須美達に連行されていったのだった。

 

◆◇

 

「なんで僕まで……」

 

銀を尾行している目的を聞いてみれば、どうやら毎日遅刻ばかりの銀が普段何をしているのか調べているそうだが……

 

「あっ……あれ見て」

 

「うん?」

 

園子の指さす方を見てみると、道を尋ねられて答えてると思わしき銀の姿があった。

 

「道を尋ねられたのかしら?」

 

「そういえば、二人はどこから見てたの?」

 

ふと疑問に思った事を確認した。僕が声をかけた時点で既に尾行していたみたいだけど、始まったばかりなのかここまで尾行していたのか……。

 

「ミノさんの家から見てたよ〜わっしーが本格的な道具まで出してたんよ〜」

 

「の、乃木さん……!」

 

「えぇ……」

 

なんでそんなもの持ってるの……?ちょっと怖くなってきた……

僕は須美から少し距離を取った。

 

それからも尾行は続いた。ぶっちゃけ僕は銀が遅刻を繰り返す理由は知ってるので別行動しようとしたが……

 

「あっきーとも遊びたいんだぜ〜」

 

園子に右腕を引っ張られながらそう言われた。まあ、銀の行き先なんてどうせイネスだろう。僕もイネスで買い物をする予定だったからと園子と須美に動向する事になった。

 

「それにしても……三ノ輪さんって結構トラブルに巻き込まれるのね」

 

「ミノさん、さっきの道を聞かれるだけじゃなくて、子供たちの喧嘩を止めたり、お爺さんの荷物を持ってあげたり他にもいろいろだったね」

 

「初めて会った時もあんなだったよ、あれはもう体質だね」

 

「安芸くんは知っていたの?」

 

「うん、初めて出会った時もそうだったけど、その場に居合わせたこともあったからね」

 

イネスに向かってる時に何度か銀と出会ってるけど、その度にトラブルに巻き込まれていたからね……。

 

「それにしても……イネス着いちゃったよ。もうそろそろ良いんじゃないの?」

 

「そう……あっ!もう見てられないわ!」

 

イネスに入るや否やまたもやトラブルに巻き込まれる銀を見た須美が飛び出した。

 

「三ノ輪さん!」

 

「須美!?」

 

「園子もいるんだぜ!」

 

「ごめんね銀、僕もいるよ」

 

須美に続き園子が、そして僕も続いた。

 

「園子に優樹まで……」

 

「ほらほら、4人もいるんだからあっという間だよ」

 

まずは目の前で起きてるトラブルへの対処だ。4人もいれば一瞬だね。

 

◆◇

 

「えー!?そんなとこから見られてたのかよ……!?なんだか恥ずかしいな……」

 

須美と園子に覗かれていたことに気づいていなかったみたいだ。

 

「銀、それは恥じることじゃないよ」

 

「そうよ、でも……三ノ輪さんも安芸くんも言ってくれれば良かったのに」

 

「いや、それはなんか人のせいにしてるみたいで違うなって。実際、遅刻してるのはアタシが悪いんだし」

 

「僕も銀にそうやって言われてたから、僕からは言わないようにしてたんだ」

 

「あっきーはミノさんの良き理解者だね〜」

 

「そういえば、昔からこんな風なの?」

 

「そうなんだよー……ついてない事が多いんだよ、ビンゴとか当たった事無いし────」

 

違和感を感じた僕たちは、辺りを見渡した。

僕たち以外誰も動いていない。

 

「ほらな……日曜が台無し」

 

「3体目……か」

 

風鈴の音が響き渡り、世界が白い光に包まれた。

 

◆◇

 

「あれが3体目か」

 

「なんだかビジュアル系のルックスしてんなぁ」

 

言われてみるとそうかもしれない。3体目のバーテックスは4本の巨大な角のようなモノが特徴的だ。

 

「まずは……私が……!」

 

須美が矢をつがえる。ん……?

 

「私が……やらなきゃ……」

 

小さく呟く須美の不安そうな声が聞こえた。

 

「須美、落ち着け」

 

須美の肩にポンと手を置いた。そして銀もそれに続く。

 

「大丈夫、アタシ達がいるんだ」

 

「そうだよわっしー、合宿での成果を発揮する時だよ!」

 

「みんな……うん!」

 

そして園子も続き、須美は落ち着きを取り戻した。

 

「行くぞ──ッ……!!」

 

須美が矢をつがえ、僕が大鎌の斬撃を飛ばそうとした瞬間、地面が揺れた。

 

「な、なんだよこれ……!?」

 

「敵のせい……!?」

 

揺れはすぐに治った──いや、来る!

 

「私がみんなを守る!」

 

空へ浮かび上がったバーテックスが角のようなもので僕たちを貫かんとばかりに攻撃をした。しかし、その攻撃は園子の展開した盾によって阻まれた。

 

「園子!」

 

「この……!」

 

「セイッ!」

 

すぐさま僕と須美が反撃に出たが、あまりにも高い場所にいる敵には届かなかった。

 

「全然届いてない……!?」

 

「もう少し溜めればいける……?」

 

「こらー!降りてこい!」

 

「……何か、仕掛けてくる……!」

 

園子の言葉に僕たちは気を引き締め直し、敵方を確認した。

4本の角を回転させ──!?

 

「グッ!!」

 

そのままドリルのように激しく回転し、銀目掛け落ちてきた。

 

「銀!」

 

「ミノさん!」

 

「三ノ輪さん!」

 

銀は咄嗟の判断で斧をクロスさせ、敵の攻撃を防いでるが──あれではいつか潰れてしまう……!

 

「銀!どれくらい行ける!?」

 

「30……いや、1分は持たせる!それまでに上の敵を!」

 

1分か……それまでにアイツの攻撃を止めなければ

 

「園子!」

 

「うん!」

 

園子の槍はいろんな事が出来る万能だ。槍として突いたり傘を開いて盾にしたり、()()()()()()()()を生み出したり

 

「須美!僕たちで上の敵を叩くよ!」

 

「えっ……!?りょ、了解!!」

 

階段を飛び上がり、空中から放つのは斬撃。あの時のように不発なんて事はもうさせない。

 

「これが……特訓の成果だ!!」

 

そして須美も飛び出し、矢を放った。

 

「と……ど……けぇ……!!」

 

僕の斬撃は敵に深い傷をつけ、須美の矢は菊の花を浮かばせながら爆発した。

 

「やった!私も!」

 

園子が槍を構えた。

 

「ここから……出て行けぇ!!」

 

「突撃!!」

 

そして突撃した。

 

その結果──バーテックスの巨大な身体を貫き、銀への攻撃を止めた。

 

「ミノさん!」

 

「おう!」

 

銀の双斧から牡丹が咲いた。

 

「おりゃあ!!」

 

そのまま地上へ落ちてくるバーテックスを上空で細切れにした!

 

「やった……」

 

銀が着地すると同時、鎮花の儀が始まり、戦闘は終了した。

 

◆◇

 

「いてて……」

 

「ミノさん大丈夫……?」

 

「疲れたよ……腰に来る戦いだった……」

 

「ごめんね銀、でも助かったよ」

 

「良いってことよ、そっちだって凄かったぞ?」

 

「園子の機転のおかげだね」

 

「えへへ〜ミノさんが1分は持つって言ったんだから、1分は持つじゃない?それくらいあればなんとかなるなって」

 

「確かに、銀ならやってくれるね」

 

「二人とも買い被りすぎだぞ……にしても、お腹減ったな」

 

そんな事無いと思うけどな。それはそれとして確かにお腹は減ったな……。

 

「うどん食べてる途中だったもんね」

 

「あーもう!迎え来たらうどん食べに行こうぜ!」

 

「その前に病院だね」

 

今の戦いでみんな負傷しちゃってるし……

 

「うっ……ひぐっ……!」

 

「えっ……?」

 

「須美!?大丈夫か!?」

 

「どこか痛いの……?」

 

隣から啜り泣くような声が聞こえ、そちらを見ると須美が泣いていた。えっ……なんで……!?まさか僕のせい……!?

 

「違うの……私……ごめんなさい……」

 

「次は最初から息を合わせるよう……頑張る……」

 

そういう事か……。真面目な須美は自分が足を引っ張ってると思ってるみたいだ。

 

「ああ……!頑張ろうな!」

 

銀が須美を鼓舞し

 

「はい、わっしー」

 

「ありがとう……」

 

園子がハンカチを渡した。

 

「──そのっち」

 

!!

 

「い、今……!そのっちって……!もう一回!もう一回言ってわっしー!」

 

やっとあだ名で呼んでもらえた園子が大興奮だ。

 

「そ、そのっち」

 

「……!」

 

園子が満面の笑みを浮かべた。そして、銀も手を上げながら須美に聞いた。

 

「アタシは!?アタシは!?」

 

「銀……」

 

「えっ!?」

 

「……銀!」

 

「嬉しいな……!ようやく須美と友達になれた気がするよ!」

 

銀は須美の両手を取り、喜んでいた。

 

「ねぇねぇわっしー、あっきーは!?」

 

「僕……!?」

 

「ゆ……優樹……君……」

 

恐る恐ると言うべきか……須美が僕の名前を呼んだ。

 

「フッ……ふふっ……はっ……あっはっはっは!!」

 

その姿に僕は思わず声を上げて笑った。

 

「ゆ、優樹……?」

 

「あっきーどうしちゃったの?」

 

「優樹……君……?」

 

「あはは……いやごめんね、須美がそんな風に名前を呼ぶから、つい……ね」

 

「だ、だって……男の子の友達なんて……初めてだったから……」

 

「あれ、そうだったんだ」

 

もしかしたら前に聞いたかもしれないけど、そうだったんだ。

 

「銀も言ってたけどさ、僕もやっと須美と友達になれた気がするよ」

 

今までは目の前から居なくなることを恐れて友達を作るのが怖かった。でも、今は違う。園子がいて、銀がいて、そして須美がいるんだ。

 

「う、うん……!みんなありがとう。私も……これから頑張るから」

 

◆◇◆◇◆◇

 

『…………』

 

大橋から4人の少年少女を見つめるカラスが一羽。

 

バサバサッ……!

 

その烏は、全身が青色で──胸の辺りに()()()()が宿っている。

 

『…………』

 

バサバサバサっ!!

 

カラスは飛び立った。翼をはためかせ、何かを伝えるように翼を動かし、少年達の方へ飛んだ。

 

「きゃっ……」

 

「青い鳥……?初めて見たな」

 

「まるで幸せを呼びそうだね〜」

 

「────っ」

 

その鳥と少年の視線が合った。

 

「…………」

 

『…………』

 

バサバサバサバサッ!!

 

カラスは飛び去っていった。

 

「優樹、どうしたんだ」

 

「あ、ああ、いや……なんでもないよ」

 

青い鳥なんて初めて見たけれど……何故だろう、僕はあの鳥を識っている気がした…………。




ほんっとに……戦闘がダメです……。こればっかりは本当に苦手……。
戦闘描写はダメですが、しばらくはいつも通りの時間に投稿できそうです。
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