安芸優樹は勇者である   作:三奈木イヴ

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2週間ペースに変えて早々、大変お待たせしました!!
次回はもう少し早く投稿できるよう頑張ります!!


秘密のひととき

「今日の依頼は迷い猫を探すわよ!」

 

風先輩から今日の依頼が発表された。

 

「またクロちゃんですかね?」

 

「初めての依頼を思い出しますね」

 

「あの時は優樹くんが見つけてたよね!」

 

僕と友奈と東郷は当時の事を思い出していた。

当時と言っても去年なんだけどね。

 

その時は黒猫のクロちゃんを僕が見つけたけど、それからも度々逃げ出しちゃうから困ったものだよね。

 

「懐かしいわね〜あの時はまだあたし達4人で活動してたわね。それで依頼された子はこの子よ」

 

そう言って風先輩が黒板に1枚の写真を貼り出した。

 

「ほう、白黒の子ですか」

 

「可愛いですね!」

 

今日探すのは白黒の猫のようだ。

白い毛がベースで背中や顔の一部が黒くなっていてとても可愛い。名前はユキちゃんだそうだ。

 

「それで手分けして探して行くんだけどね、メンバーはこれで行こうと思うの」

 

風先輩から探す場所とメンバーが発表された。

まずは僕、友奈、園子。東郷さんとは別行動になってしまうけど、まあ良いだろう。次は銀と夏凛それから東郷さんだ。銀の巻き込まれ体質の事を考えれば妥当……なのかな……?

そして風先輩は樹ちゃんとだ。

 

「あっきー、ゆーゆ、よろしくなんだぜ〜!」

 

「うん、よろしくね!そのちゃん!」

 

「園子、2年ぶりだけどよろしく頼むよ」

 

◆◇

 

「ねぇねぇあっきー」

 

「どうしたの園子」

 

友奈と園子と猫を──ユキちゃんを探し歩いていると、園子が僕を呼びながらメモを取り出した。

 

「わっしーとイチャイチャしなくて良かったの?」

 

「あはは……流石に場所は選んでるよ」

 

確かにイチャつく時はあるけど流石に場所は選ぶ。部室とか。まあ、大抵は夏凛達に怒られるけど。

 

「そのちゃんそのちゃん、優樹くんは部室で東郷さんと仲良くしてる時もあれば筋トレしてたりもするよ!」

 

「友奈!?」

 

「ほうほう……あっきーが好きなのはわっしーと筋トレ……」

 

園子は何やらメモを取っている。

僕はこの後何をされるんだ……

 

◆◇

 

場面は変わって東郷サイド。こちらでは、東郷、夏凛そして銀の3人が白黒のユキちゃんを探している。

 

「……見つからないわね」

 

「どこに行っちゃったのかしら」

 

「うーん……園子ならぴっかーんと思いつきそうなんだけどなぁ」

 

「そのっちならあり得るわね」

 

「ねぇ……東郷はその……優樹と一緒じゃなくて良かったの?」

 

夏凛の問いに東郷が一瞬の間を置き、静かに答えた。

 

「……一緒でも別でも同じよ。今は依頼中なのだから」

 

「そう……仲が良いのは結構だけれど、場所は選んでちょうだいね?」

 

「……ええ」

 

「須美ー甘い雰囲気が漏れてるぞー」

 

◆◇

 

「んー……いない……」

 

「樹ーそっちは居たー?」

 

「いないよお姉ちゃん」

 

犬吠埼姉妹は木の上を見たり、樹が猫の鳴き真似をしてみたりをして探している。だがどれも不発のようだ。

 

「樹、もっかい鳴き真似してみたら?」

 

「え、えー……にゃ、にゃ〜にゃ〜」

 

「可愛い猫ちゃん発見!」

 

「お姉ちゃんが釣れてどうするの……」

 

樹が猫の鳴き真似をしても、釣れるのは風だけのようだ。

 

◆◇

 

「友奈、そっちはどう?」

 

「いないよー、そのちゃんはどう?」

 

「そっかぁ、君も知らないのか〜……それは残念」

 

「園子……?」

 

ユキちゃんを見つけるためにいろんな事をためしているのだが──園子は猫に話しかけているみたいだ。

 

「うーん、ユキちゃんはかくれんぼが上手みたいなんよ」

 

「他に隠れそうなところかぁ…」

 

去年の依頼では、近くの路地裏に居たんだけどなぁ……

 

「みゃあ……」

 

「クロ!また脱走かい?」

 

どこか思い当たる場所が無いか思い出していると、僕の足元に顔見知りの黒猫が擦り寄っていた。

 

それはクロだった。

 

「クロちゃんだ、久しぶりだね〜」

 

「その子があっきー達の言ってたクロちゃんか〜初めまして〜乃木園子で〜す」

 

園子と友奈がクロの頭を撫でてやった。

クロはあれからも猫探しの依頼に名前が挙がる常連さんだけど、本人はどこ吹く風だ。

 

……あっ、そうだ。

 

「クロ、僕たちユキちゃんっていう白黒の子を探しているんだけど、知らないかい?」

 

ダメで元々とクロに話しかけてみた。まあ、言葉通じる訳ないよね──

 

「ニャン!」

 

「着いてこいって?」

 

「にゃん!」

 

僕が半信半疑で呟くと、クロはこっちを見て強く鳴いた。どうやらそのようだ。

 

「友奈、園子!行ってみよう」

 

「うん!」

 

「おっけーなんだぜ!」

 

◆◇

 

「にゃあ!」

 

「あの子かい?」

 

クロに連れられて公園へ。木の上で寝ている白黒の猫がそうみたいだ。

 

「やっぱり猫は高いところが好きみたいだね」

 

僕は上を見上げてため息をついた。

 

「あっきーあっきー、私が木に登って保護しても良い?」

 

「いや、友奈も園子も制服なんだし、ここは僕が行くよ」

 

いろいろと目のやりどころに困るからね……。

僕は上着を脱ぎ、太い枝に手をかけた。

 

「ユキちゃん、大丈夫だよ……」

 

僕はそう声をかけながら、慎重に枝を渡った。

 

「にゃあっ!」

 

次の瞬間、眠っていたユキちゃんは目を覚まし、ひらりと木から飛び降りた。

 

「えっ──」

 

「っと!」

 

受け止めたのは、下で構えていた園子だった。

 

「はい、ユキちゃん確保なんだぜ〜!」

 

「にゃあ……」

 

ユキちゃんは観念したように園子の腕の中で丸くなった。

 

「……やっぱり、猫は猫だね」

 

思わずそう呟くと、二人は一瞬、互いの顔を見合わせて笑った。

 

◆◇

 

「クロ、ありがとうね」

 

「みゃあん」

 

クロは僕の頭の上に、ユキちゃんは園子の腕の中だ。

風先輩には連絡済みでこれから依頼者のところへ向かうところだ。

 

目的のユキちゃんだけじゃなく、常連のクロも確保出来たからそっちは僕が向かわなきゃな。

 

そんな事を考えていると、僕は一つとても大事な事を思い出した。

 

「……ねぇ、クロ?最近、真っ白な猫を見なかったかい?」

 

「にゃあん?」

 

知らない。と言わんばかりの鳴き声を聞き、僕はそうかと呟いた。

 

「なら良いんだ。ありがとね」

 

「みゃお……」

 

千景……君はどこで何をしてるんだろうか……

 

元気でやってれば良いんだけど……

 




2週間ペースに変えたのは結構良い判断だと思えるよう努力します。
私事ではありますが、先週は体調崩してたのでペース落としてて助かりました……
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